真祖の眷族   作:賢者神

30 / 36

 書いてたのに投稿を忘れる作者のクソ。

 そろそろ終わりなんで作者のマイページの活動報告で色々報告します。暇な人は見てね。忘れてしまうかもしれんけどな!!

 ぺ、ペルソナ書く時にイエスノーでキャラ設定を決めたいからってわけじゃないからね!






動き出す

 

 

 

 

 

 料理人たる者、料理を美味しいと言ってもらえる事が幸せだと言う。だがそんな言葉を考えた馬鹿はどこだ。全然嬉しく思えねーぞ。

 無言で皿を差し出す口を汚したアリカ。お気に召したのか、太る勢いで何杯も頼んでくる。隣では上品に味わうように食事をするテオドラが。何でこんなに馴染んでるんだこのお姫様コンビは。

 

 

「おかわり」

 

「空です」

 

 

 寸胴の鍋の中身を見せてみる。ずっと食べるから無くなるのは当たり前だろうに。貴様等王族だからって好きなだけ何でも食べられると思ってんじゃねーぞ。

 塩味のラーメンを参考にしてあっさり系のスープを作ってみたが、お気に召されたようだ。というかボクの分まで食べ尽くすとはどういう事か。

 

 お姫様コンビを助け出してから同居生活を少しだけ過ごした。エヴァンジェリン相手に料理の腕を磨いていたので王族の舌に合う味で満足されたがそのまま料理当番になってしまった。付け加えれば家事担当。

 あの二人は仕事をしていないというかただの読書しかしてない。いや、時には集めたコズモ・エンテレケイアの情報を見て作戦を練ったりしているがニートしてる。

 

 

「お姫さん方。いい加減に食うのをやめて皿を洗え……いや、やめとく。ニートせずに何かして働け」

 

「情報を纏めておるぞ」

 

「もうボクが纏めてるんだけど。勝手に自分の手柄みたいに言わないでくれる?」

 

 

 こうなると全然仕事してないな。皿洗いを任せると割られるし。一人旅用に少ない最低限の食器しかないのに割られると二人の分まで賄うのは難しいんですけど。

 皿洗いも面倒だな、と思いながら二人の綺麗に食べた皿を取り上げて魔法で洗う。水を浮かせて球体を作り、中に放り込んで洗濯機のように洗う。これだけでも高速洗浄で大分綺麗になる。そろそろ洗剤とか出ないかねぇ。過去はこんなところで不便である。

 一拍置いてデザートをくれと宣うテオドラ。己、あれほど怖い怖いと怯えてたくせに胃袋を掴まれるとホイホイ許す売女か。

 

 

「それにしてもまだ動かんのう。あやつ等、妾達の事を忘れておらんか? 特に筋肉バカは遊んでおらんか?」

 

「……え? 無事な事は知らせてないの? ボクと一緒にいる事も伝えてないの?」

 

「夜の迷宮に攫われた時に通信手段を奪われての。連絡したくともできん」

 

「妾も似たようなものじゃ。アルビレオにフィリウス殿には連絡したが出てこん」

 

「だからのんびりしてるのか己等は。もう少し危機感を持って行動しろよ。仮にも王族と皇族の王位継承者だろうに。行方不明なだけでボクの罪状が増えるだろうが」

 

「飯が美味い。無罪」

 

「家事万能。無罪」

 

「ふざけてんのかテメー等」

 

「家来になれば漏れなく無罪判決に加えてVIP待遇。宰相としても迎える事も考えよう」

 

「ウェスペルタティアは好みの女性を与えよう。一夫多妻制だから好きに結婚しても構わんぞ」

 

 

 家来になり――ハッ。危ない危ない。

 

 勧誘を挟んでくる二人。不自然なタイミングのはずなのに自然に思えるのは二人の技術が卓越しているからか。

 もう少し別のシチュエーションなら可能性はあっただろうに。まあ、エヴァンジェリンの誘いを断っているから付き合いの浅い二人の勧誘は肯定として返事はしないけどね。

 

 

「一昨日来やがれ。そもそもボクは一匹狼タイプなんだ。エヴァンジェリンならまだしも君等じゃ、望みはこれっぽっちもないよ」

 

 

 洗った皿を熱風で乾かし、布巾で綺麗に拭きながらそう教える。エヴァンジェリンの熱烈な誘いを断って元の世界に戻る事を選んだんだから。

 

 

「というかほら。これ貸してあげるから連絡を取りなさい。食うだけ食う生活もそろそろ終わり。というか帰れ」

 

「有罪」

 

「有罪」

 

 

 二人揃って有罪判決を下しやがる。先程の無罪はどうなったんだ無罪は。逆転裁判も真っ青な逆転判決だよこれ。

 嗚呼、まだこれは居座る気だなこれ。

 

 肩が落ちそうになるのを堪えながら昔の日本の偉い人が使ってそうな巻物を広げ、洗った食器を全て置く。巻物にはローブにも使われる転移魔法の術式があり、食器を仕舞える仕組みになっている。

 ローブには入れないのかって? 戦闘中にフライパンとか取り出して鈍器にするのか? 血の染み付いたフライパンで料理はしたくない。

 

 

「御馳走様でした。じゃあ仕事をしなさい」

 

「仕事がない」

 

「妾はまだ子供じゃ」

 

「終いには犯すぞ貴様等」

 

「犯されるのはいやじゃあー! 妾は有能な者としか結婚はせん……む。そういえば優秀ではないかの?」

 

 

 え゛。なに急にビッチ発言をしてるの? 金持ちの男ならホイホイ股を開くクソビッチの発言そのものではないかね? ま、まさかの褐色人外ロリビッチ!? 新開拓のネタになりそうだ。

 ブツブツと呟き始めるテオドラに恐々としながら巻物を綺麗に巻いて木箱に入れてから容量的に入りそうにないローブの内側にニュルンと仕舞う。木箱に入れれば手触りで違うとわかるし。

 家事用に空間を分けているから間違う事はないんだけどね。思い描けば欲しい物は取り出せるように魔法を改良してあるもの。

 

 

「ところで其方の“友人”はまだ戻らんのか?」

 

「まあ。あれ、仮にも普通の動物だからね? 動物に好かれるから協力してもらってるのであって下僕でもなんでもないんだぜ? 見つからないようにとは言ってるからまだ時間は必要だよ」

 

 

 あれを普通の動物と言っていいかはまた別だが。魔法世界の動物だから普通とは言い難い部分もある。魔法の恩恵か吸血鬼化の恩恵か、動物とかと何となくそれとなく会話ができるのだ。

 こうなのよーと言えば理解でき、何を伝えたいのか何となくわかる感じ。今回は鷹さんにお手伝いしてもらっているわけなのである。昔も鷹を飼って偵察するのもいたからこの方法は限りなく正解に近い偵察方法、情報収集法だと思うんだ。

 ウェスペルタティア王国、アラルブラの所在。それを中心に調べるように頼んであるから仲間がいたとしてもまだ時間は必要だろう。

 

 

「これ。そろそろ主の所蔵の続きを見せてくれんかの? 暇でしょうがないのじゃ」

 

「はいさようなら」

 

 

 裸で放り出されないだけ慈悲を与えたと思え。隠れている住居から締め出すように蹴り出すと、テオドラは面白いように転がっていった。恐怖がなくなったかと思えばこの態度である。腹が立つにも程がある。

 まあ、テオドラが望んだのはヤバイ書物。所謂、歴史の闇にうもれた歴史の真実とも言える物語をモチーフに時代の反逆者が記した禁書だ。面白い物語が好きらしい。

 あれだ。ガリレオの地動説を参考にした物語に近い。現代の真実を過去の人間が記して囁かな反逆を行ったという感じか。中には現代で真実だと信じられたものが実は当時の人間が捏造した嘘の真実だったりする事が多いのでそれがツボに来るのだ。

 革命を起こそうと魔法使いが介入したパターンがあり、時代の英雄がオンリーワンの魔法を作っていたりするので収集対象にもなる。エヴァンジェリンもかなりの数を集めている。

 

 すまんのじゃーと扉を叩くテオドラは無視して音もシャットする。アリカが入れようとしていたが、眼力で黙らせる。エヴァンジェリンをも恐れさせたゲス顔からのゲス目は悪人真っ青だぜ。

 鍵のついでにチェーンもしておいて。ちなみにここは数多ある隠れ家の一つで現代風のマンションの一室をイメージしております。魔法ってマジ便利。

 ダイオラマ魔法球にも入れられるように設計してあるのでお手頃なお値段で買えるようにしてる。後で似たような物を量産して荒稼ぎしよう。

 

 

「これからどうするつもりじゃ? 其方の計画も一応、聞いておきたい」

 

「あー、そういえばまだ話してないっけ? 鷹が戻るまではちゃんとした道は決められないけど予定としてはアリカの考えるようにクーデターを支援するのは決めてる。その後はコズモ・エンテレケイアの動きに合わせて少しずつ潰して追い詰める……と言えば格好良いんだが本当はコズモ・エンテレケイアのボスの造物主と交渉の場を設けようとしてるんだよね」

 

「裏切るつもりか?」

 

「やるならとっくにやってる。君等を助けた事から裏切りの心配はないよ……とは言い切れないね。悪い魔法使いだもの、簡単に最悪のタイミングで裏切るかもしれん」

 

「むぅ。それは困る。其方は最高の友人で最高の戦力だ。手放したくはない。やはり体で繋ぎ留める必要があるか?」

 

「セックスすんの? 王族セックスがどんなのかは知らないけどボクは抱けるんならいつでもバッチコーイ」

 

 

 バッと手を広げて誘ってみる。アリカと面識を持った甲斐があるというもので、今すぐにでも抱き心地を味わいたいというもの。というかヤらせろ。

 

 

「妾の体は安くない」

 

「っえー。前とは違ってかなり強かになってるね。前なんか嫌そうに体を隠して恥ずかしがってたじゃん」

 

「堂々とする方が確実だろうに。其方は強姦魔と呼ばれているが、こうして付き合ってみれば無理矢理はしない奴だとわかった。ギリギリで交渉すれば大丈夫だと判断した」

 

 

 ね、ネタばらしするほど余裕があるようで。というかボクってそんなに甘ちゃんなのか!?

 

 

「それに約束はしたからな。戦争が終われば妾の体でも何でも捧げよう。妻にでも愛人にでもなってやろう」

 

「言質取りました。妻にはならんでいいけど気が済むまで王女の体を貪らせていただきます」

 

 

 ふ、ふへへ、ふへへへへへ。色んなところを開発してやろうじゃないか。ボクなしでは生きていけない体にしてやる……と言いたいが、世界を越える魔法を開発すると捨てる事になるんだよねぇ。完全にクズ男じゃないか。

 王女様って愚民とは違って美味いものを食らい、美貌を保つ為に高級エステ以上の超高級エステの専属がいるらしい。後は血筋。先祖が綺麗どころが多いから生まれる子孫が綺麗になるのは確率的に高い。

 不細工が生まれる事もあるが、そんなのは性悪悪役令嬢が出るフィクションだけだ。今までの歴史でウェスペルタティアの王女に不細工はいない。

 

 畜生。遠目から見て警戒するよりも捕まるの覚悟でルパンダイブすればよかった。過去の王女にもアリカに並ぶ美女とか美少女がいたのに。寝取るのもよかったかもしれん。そしてこのボクが、ウェスペルタティアの王に成り代わるのだ。的な流れでもよかった。

 ウェスペルタティアの魔法は古代の魔法に分類されてるとはいえ、今の普及している魔法と比べても効率的にも優秀であるのは間違いない。王族の仲間入りをすればそれも簡単に見れるはずだから少し惜しい事をしたか、と思う。

 

 

「ふむ。聞けば噂の真相を知る過去の者は其方に抱かれると天国を感じられると供述しておる。疲れも吹き飛び、魔法を容易く使えるようになるそうだな」

 

「え。それは言い過ぎじゃない?」

 

 

 魔法の契約は性交をすると契約の効果が増すオプションがある。仮契約《パクティオー》もキスでやる暗黙の了解があるのもそれを知ってるから。異性同士での仮契約は婚約の契の始まりだの言われるのもこれが原因だな。時々、同性でキスするのもいるがボクはホモじゃない。百合なら歓迎だが薔薇は勘弁。

 別にキスをする必要もないのだが、仮契約はキスってのが普通になってるし。伝説の始まりのアマテルとその従者が悪いよこうなったのは。

 というか昔にヤった子等は何という事を言っているのだ。ストレスを解消できたから余計な事を考える必要が無くなって精神に作用する魔法が使いやすくなるのは当然だろうに。ラカンもフィーバーしてんじゃん。

 

 ……あ。ラカンといえば。

 

 

「ねえねえ。そういえばラカンの事を聞きたいんだけどさ。こう、これくらいのサイズの手帳を持ってなかった? ボクから盗んだ物なんだけど」

 

「……むぅ。何やらアルビレオとゼクト殿と雑談しておったな。普段はあそこまで盛り上がらないはずなのにやけに盛り上がっておったのはそれかもしれんな。大事な物なのか?」

 

「ボクの魔法の歴史……の、ネタ本」

 

「は?」

 

「いや。こう、魔が差してイタズラする事があるでしょ? 真面目に研究するのが疲れて息抜きに遊びでそんな魔法を作るの。それを全部まとめたの。できるなら早く返してもらいたいんだが」

 

 

 殺してでも うばいとる 。

 

 ラカンは許さん。殺す。

 

 

「? ネタと言うなら早くなくてもよいと思うが」

 

「何を言ってんの。“ネタ”だからヤバイんでしょうが。ネタでは済まないレベルのも含まれてるの」

 

 

 シリアスブレイカーという意味合いでもヤバイ。ネタの範疇に入らない実用性でもヤバイレベルの魔法もあるのだ。エヴァンジェリンも呆れるほどに。

 もし、高位の魔法使いがそれを読んでしまえばネタに隠れた大魔法を知ってしまう。アルビレオとゼクト君がそれを見てるとなれば非常にマズイ。クソ、ラカンめ。

 

 

「大部分は頭に入ってる。だからこそ内容が知られるのは嫌なんだ。戦争の火種になりそうなのもあるから」

 

「確かにの。悪の魔法使い殿が今までに培ったものならそれくらいは可能か……」

 

「呑気に言える君が羨ましいよ」

 

 

 あの盗人が盗まなければこんな悩みはする事はなかったのに。厳重に仕舞わなかったボクも悪いけどいきなり盗むとは誰も思わないだろう。

 他の手帳を取られないだけまだマシなんだが、エヴァンジェリンにも誰かに渡る事だけは避けろと言われたのに許してしまうとは自分を許せん。早急に取り返さないと世界がネタに包み込まれる。

 

 

「そんなわけだからあのアホ見つけたら取り返して欲しいんだけど」

 

「ふむ。それくらいは容易い。任せよ」

 

「愛してるアリカ様」

 

「愛を囁くのであればもう少しシチュエーションを考えるのだな」

 

「お礼の意味合いだよ。本気で口説いてるならもう股を開いてるぜ? ボクのナンパテクなめんなよ?」

 

 

 きっかけがあると記憶は呼び覚まされる。どこかのコピペでこの流れがあったようななかったようなと段々と近付く生まれた時代に思いを馳せた。

 股がグチョグチョと続けようとするがアリカは余裕そうに笑う。やりこまれているなと感じながら取り敢えずプリンセスおっぱいを揉む事にした。

 

 

「あ。手が滑った」

 

 

 バチコーンとビンタを食らうイメージをするが、アリカの反応は予想に反するものだった。

 

 

「ほう? 妾の体は安くないと言ったな? これは是が非とも言う事を聞いてもらわねば。ふっふっふっふ」

 

「許してください。何でもしますから」

 

 

 アリカの悪巧みするような顔に圧倒されてホモ展開になりそうなセリフが自然と口から出てしまった。

 ん? と続くはずのシチュエーションはネタを知らぬはずのアリカは面白いものを見つけたとばかりに目を輝かせるのがわかる。ふ、ふざけんな! ボクは襲う方であって襲われる方ではないんだ!

 襲われるとかいった事はなく、アリカの計画発動に伴って最大限の協力をする事で手を打つ事になった。

 

 ――クーデター。何とも心が躍る単語だろうか。

 

 

 

 

 

 

 





 満更でもない二人。というよりも悪い人かと思えば虚勢を張る小物ワルっぽい性格であると見抜いたので遊んでいるだけです。王女様は高スペック。はっきりわかんだね。

 というわけで盗まれたのはネタ本。真夜中のテンションで書き殴る小説のように狂乱した状態で作った魔法の全てが記されているのでこのオリ主は危惧しております。エヴァンジェリンからの危険指定されるレベルの大魔法もあるので早急に取り戻したいと考えております。シリアスがシリアル()になる危険性も孕んでおります故。

 次回からはクーデターから始まり、烈戦争終結に向ける最終決戦に向けての準備。




 ――そして、遂に後回しにしていた修羅が目覚める(修羅場)




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。