スマンスマン。書いてて投稿するのを忘れてた。では、おやすみなさい。
…φ(:3」∠)_
ぶっころリストにジャック・ラカンの名前を加えた後はサーチする。そしてデストロイ。ぶっころぶっころ!
お尋ね者になっているが本気を出して探し出して殺してやる。イチモツを切り落として角にしてやる。ホモ楽園に放り投げてやる。オカマバーに放り投げてやるぅ。
「だからって邪魔するのはよくないと思うんだが」
ダダダダ、ガガガガ。喧しい音が耳を叩く中、背中にも衝撃が伝わってくる。壁に寄り掛かって座り込んでいるが、未だにそれは止みそうにない。
こんな経験は第二次世界大戦に冷戦以来の経験だ。銃弾が飛び交う戦場に身を置くのも久し振りだが、何度も経験すると実在の兵士が精神を病む事になりそうだ。吸血鬼になってからはそういった事に耐性ができているが慣れたくない。
何でこうなったのか。まあ、わかっているが狙われ過ぎにも程がある。しかも攫われているとはどういう事だあやつ等。仕事くらいはしっかりしろよ。
ピンと音がしたので少しだけ身を乗り出して音の発生源を撃ち抜く。手榴弾を使おうとする奴がいたので暴発させてあげた。ハリウッドのスーパースパイでもこれはできぬだろう。
素知らぬ顔で阿鼻叫喚の敵の声を聞きながら発砲の音を聞き、敵の居所を掴む。普通の人間にはできないだろうが、聴力と嗅覚を駆使すればこれぐらいは容易い。音波を発してイルカとか蝙蝠のように反響ソナー方法はできない事はないが気が散る。後はこの場所だと魔力が使いにくい。
いくらなんでも銃撃が魔法使いに有効的とはいえ、弾幕をここまで張らなくともいいだろうに。戦争中でも鳴り止まない銃撃はあんまりないんだぞ。音が継続するとは何たる事か。
いつ仕掛けるべきか。あんまり早過ぎると蜂の巣になる。死なんけど。
「悪しき吸血鬼に死を!」
また悪者扱いか。吸血鬼イコール悪って考えはどこまで浸透しているんだか。あー、歯向かったから殺される運命が決まってしまうなんて。
殺そうとするからには殺され(ry
大方の位置は掴めた。攻勢に出ますか――!
床を蹴り、壁を蹴り。縦横無尽に駆け抜ける感じで飛び出すと映画の如くスロー演出を心掛けるように引き金を引いた。
「ふん。遅いでは――む」
「おお! 助けが――ぴぃ!」
「案外余裕だなアンタ等。何で捕まってんだ」
熱を持つ銃身のリボルバーのシリンダーを出して空の銃弾を落として新しく補填する。意外と多かったな、敵。
リロードしながら捕まっているアリカ様とテオドラの部屋に入ると案外余裕そうな二人がいる。別に助けに来なくてもよかったんじゃないか?
風の噂で二人が誘拐されたと聞いたので変な迷宮に助けに来た。アラルブラと行動を共にする二人を助ける方がラカンに近付けるチャンスも増えるというものだ。そしてボコボコにしてやるんだ、あのダルマ。
懐のホルスターにリボルバーを仕舞うと、二人を拘束している手錠を見つける。一定の場所に留まらせる認識障害系の一種の結界魔法か。
「ちょいと失礼」
バキッと手錠を握り潰して二人を解放させる。特にトラップもないので簡単に破壊できたのはよかった。余計なトラップがあれば破壊した人間を呪う事もありえるのでなくて助かった。
手錠を外した後に手首を摩る仕草をするアリカ様は少し痩せているように思える。碌に食べ物も与えなかったのか誘拐犯共は。
馬鹿め。スラッとした体型がいいと言うのは童貞だけだ。非童貞なら少し太って肉付きがいいのが最高の女というものなのだ。食事を抜かすとは言語道断だクソめ。
「すまん。助かった」
「契約したからこれくらいはね。それよか何で捕まったんだ? 優秀なボディガードは仕事を放棄したの?」
「ふむ。どうやら幻術に長けた魔法使いがいたようでな。気が付けば捕まっておった」
「ゼクト君とかアルビレオはどうしたんだ? あの二人なら見抜けるだけの技量はあるだろうに」
「別の仕事をしておらんかった」
「あの退魔師は?」
「悩殺されておった」
「ラカンは?」
「外で暴れておったぞ」
「……ナギ君は?」
「単調故に簡単に騙されおった」
「ええぇぇぇぇぇぇ」
絶句するしかない。というか呆れるしかない。肝心な場所で役立たずだなアイツ等。
淡々と話すアリカ様は失望したという感情を醸し出している。そりゃ、世界最強の集団だと思えばこれだもんな。しょうがないね。
……え? ガキ? 初めから期待なんかしてませんよ。
「あー、うん。あー。どうする?」
「其方に任せよう」
警備は全滅させたから危険はないと思うが、増援が来る事は間違いなさそうだ。ここに放置していると別の場所に移されそうだ。今度はこんなヘマがないように警備も強化するだろうし……連れ出すしか選択肢はないのか。
むむむ、と唸る。アリカ様とテオドラを連れ出す事で生じるメリットとデメリットを考えてみる。
「な、なんでこっちを見るんじゃあ!」
デメリットその一。テオドラが五月蝿い。毎回これだと心労が溜まるというもの。アリカ様はまだ静かで頭も良いから助けになるが。まだ子供のテオドラだと環境の変化に対応しきれない場合もあり得る。
メリットその一。アリカ様の王女としての人脈と力。テオドラの皇族としての人脈。後に賞金首手配を解除させるのにも恩を売るのもいいかもしれない。
「取り敢えずここから出ますか」
「うむ」
……何故自然な流れでボクに手を出すのですかアリカ様。すぐに引っ込めてちょっと恥ずかしそうにしているけど癖なの? 王族特有の癖か何かなの? エスコートしろとの御達しなの?
少し居所が悪そうに手をもじもじさせる彼女はギャップ萌えインパクトをしているが、ほぼ日常的な行為だったようである。反射的に動いてしまったようだ。
「す、すまない」
「んー……どうぞお姫様。エスコートさせていただきます」
「うっ……本当にすまない」
「いえいえ。王族をエスコートする貴重な経験ができますので」
正しいエスコートなんざ知らんが。ドエスコートという名の露出調教ぐらいしか……ゲフンゲフン。
わからないので適当に肘を曲げて腕を差し出す。花嫁をエスコートする父親みたいだが年齢的にはセーフセーフ。アリカ様がおずおずと手を差し込んできたので多分正解だろう。付き合ってくれただけかもしれないとも考えられる。
「王族はエスコートした事はないのか?」
「そんな経験があれば今の状況にはなってませんね。王族の側近とかだったらここまで悪評は広まらないでしょう……というより、エスコートの仕方はこれでよろしいので?」
「エスコートの仕方は人それぞれだ。それに妾達は対等の契約を交わした。もう少し砕けた喋り方で砕けた態度で構わんぞ。妾の口調は染み付いておるのでな。このままで許してくれ」
「かしこまりましたアリカ様――ではなく、アリカでよろし?」
「うむ」
満足したように頷くアリカ様もとい、アリカ。ここまでテオドラは空気である。完全に怯えているので話にならず、アリカに任せようという魂胆なわけで。
何となくテオドラに手を差し伸べて掴ませようとしてみたが、怖がって後ろに下がるばかり。そんなにボクが怖いのか。ひぃひぃと泣きべそを言ってる。早く逃げないとヤバイんだけどなぁ。
「彼女を説得してアリカ。早く逃げないと追っ手が来るんだけど」
「任された……だが、其方がもう少し良い子でいればこうはならなかったのではないか?」
「冤罪だ冤罪。女の子とはヤりまくったけどそこまで残虐じゃないよボク。寧ろ紳士の鑑なんだぞ」
身の覚えがない事までボクのせいにするアホはアホで最悪だと思うんだ。エヴァンジェリンよりも残虐最低下劣になっているのは野郎の僻みに決まっているはずだ。
呆れた目を向けてくるアリカはまるで信じていないようである。それでもテオドラを慰める事はしてくれるようだ。
スンスン、からクンクン、と鼻を動かして臭いを嗅いでみる。探知能力だけはクソなので臭いと音で探知する事が得意だ。今までも大体の確率で敵は感知できるし、確認の意味合いも含めて警戒してみた。
が。見た目以上に広い迷宮に迷宮内の臭いだけしか嗅げなかった。外までは調べる事はできず、ふぅと鼻から溜め息を吐いた。
「待たせたな」
「え。はやっ」
驚いてはみるものの、腕だけは体だけが動いてアリカに差し出していた。ボクは王族直属の召使いかなんかか。
腕を組むアリカ、アリカと怯えながらも手を繋ぐテオドラ。デコボコトリオみたいな見てくれだなこれ。親子なら真ん中がテオドラだ。
「行きましょうか。転移魔法は使えますが、ここだと座標が安定しないので一旦外に出ましょう」
「ふむ。まあ、仕方があるまい。ここでは様々なアーティファクトの波動が混ざり合って魔力の操作を困難にさせておるからな。いくら大魔法使いでも難しいからの」
いや。発動は楽にできるんだが、転移先の座標が安定しないから使わないだけだ。いしのなかにいるとかってオチだけは勘弁願いたい。
「ところで何故そんな野蛮な武器を使っておるのだ?」
テクテクとエスコートしていると、夜の迷宮の出口付近で慣れたっぽいテオドラが話し掛けてきた。間にアリカがいるが話す気にはなったようだ。
野蛮な武器というと拳銃か。ちょうどコートの盛り上がっている部分を指差しているので間違いはない。
「マテバだったか?」
え。何で知ってんの? アリカがこれを知っているのは驚いたが世に出ていない試作品なのにマニアでしかわからないと思う。造形でマテバ社の作品だとわかるとは……アリカも目を持っているな。
ルガーとかも好きだがこの独特的なデザインはマテバのリボルバーが好きだ。威力も高いし殺傷力もあるし。吸血鬼の膂力で反動を抑えられるから魔法使い殺しにはもってこいである。
魔法使い熟練者は剣士タイプの戦士の攻撃を防ぐ為に物理障壁を使う。ファンタジー世界のブロードソードとかミスリルソードの斬撃も熟練次第で簡単に防げる。
それを魔力無しでぶち抜く為に選んだのは人類最強の兵器である銃器。デザインも多種多様なので好みが人それぞれに出てくる。その中で選んだのがリボルバー銃のマテバ社の作品である。あの独特的なデザインがたまらん。
今ある銃器で使い慣れているのはこのマテバリボルバーで、もう一丁は片手で持てるショットガンのソードオフショットガン。化け物退治でお馴染みの武器の二丁持ちがボクのスタイルである。
「魔法を使わないで魔法使いを殺す……いやいや、倒すのに一番いいのはこれ。このデザインを選んだのは趣味と実用性から。拳銃には色々あるけどリボルバーのマグナム弾を使用するタイプが一番ぶっ殺せるんです」
「ひぃ!」
「え?」
「物騒な発言はやめんか」
「ん? ……あ、あー。ぶっ殺す発言ね。ゴメンゴメン」
涙目になるテオドラをあやすアリカ。もうこの二人って姉妹でいいんじゃないの?
二人に言ったようにマグナム弾は魔法使いの物理障壁を貫くのに最も適している。もっと詳しく言えば一撃で物理障壁を壊せるのが、だが。
アサルトライフルの弾でも壊せない事はないが、魔法の物理障壁は厄介な性能を持っていて同じ部分への衝撃は緩和する事が多い。弾に弾をぶつけて守りを突破するというトンデモ現象は効果が薄かったりする……というのが見立てだがぶっちゃけ弱点とかよくわからん。性質も魔法使いの物理障壁とか魔力の質で変化するもの。
衝撃に強かったり、斬撃に強かったりと多種多様だ。魔法障壁というものも存在するが物理障壁と似てるので性能は似たり寄ったりだったりもする。属性防御というものもあるので物理障壁よりも魔法障壁の方が応用性があるのだ。まさにロマン溢れる魔法。
「このリボルバーは少し改造を施していますんで魔法使い対策にはこれ以上ない選択です。よければ撃ちます?」
「い、いらんわ!」
「妾は少し興味がある」
お馴染みのベレッタ、グロック。海外ドラマとかならどっちかを使いそうなデザインをしている拳銃をホルスター入りで見せてみる。まだ過去だから前の性能なのかね、と思う。
テオドラは嫌がるが、アリカは意外と乗り気である。ホルスターに入ったままの拳銃を手に取って抜いてみたりとかなり興味津々のようだ。
「あ。それ、弾は入ってませんので」
「む」
「素人に持たせたら怖いんで。一度戦争中の新兵が遊び半分で遊んでたらッパーンて事があったんで」
これはマジ。戦争に参加して偉い階級になって新兵訓練してたらマジ殺された経歴があるから素人には渡さないように心に決めている。新兵訓練には慣れているから本気で学びたい時だけ教えるつもりだ。
何か不満そうにしているけど勘弁してくれよ。もう脳みそぶちまける経験なんぞ二度としたくないんだよ。墓穴に埋められて暗闇で怖かったんだぞホントに。
「何で生きとるんじゃ其方は……」
「棺桶に入れられた時に再生した。脳みそが吹っ飛んだから時間が掛かって掛かって。脳みその一部が消えて記憶の一部も消えて取り戻すのにも時間が必要だった。目ぇ、覚めたら戦争が激化して普通の人間としてのスキルを鍛えるのに苦労した」
CQBとかを習ったのはこの時期だ。一兵士として戦場を駆け抜けたのもつい最近に思える。あの頃は遊び気分で参加したが、後になるとPTSDになりかけた。FPS戦争ゲーみたいに気軽に殺すと欝になるもんよ。
吸血鬼としての感覚の鋭さが拾うのか、怨念の声が渦巻いて完全な闇の眷族に引き摺り込もうとしてくるのも懐かしい。問題なく飲み込んだせいでマギア・エレベアの刻印が広がって魔王ファッションみたいになりかけている。隠せないものもあって腹の臍を中心として渦巻いているのが消えない。
服で上手く隠しているがペロンと捲れば丸見えになる。
「あっ」
「む?」
「ぬおっ」
「ゴメンゴメン。そこ、トラップ。解除するから二歩下がって」
腕組みを解除をしてゴソゴソと服の中、魔法陣に手を突っ込む。アリカとテオドラと会った時に着ていたローブなので何をしているかは二人にもわかるはずだ。
ど、れ、に、し、よ、う、か、な、っと。こんな時の為に魔法無しで魔法トラップを破壊する手段をいくつか用意してある。型月のルールブレイカーなる短刀やらもあるが、これにしようか。
ぬっと手を引っこ抜いて目的の物を少し格好良く取り出してみる。多分、映画とかならスロー演出が入る。
「はいバーン」
音としてはプシュと気が抜ける音だが。サイレンサー、サプレッサーと呼ばれる銃声を可能な限り無くす小道具を装着した拳銃を説明もなしにぶっぱした。
皿を床に落として割れた音が響くとトラップが壊れる。用が済んだので懐の魔法陣に収納して仕舞う。
「おけ。行きましょうか」
「な、何をしたのか教えてくれてもいいんじゃないかの!?」
「バーン。パキーン」
「わかるか!!」
擬音に加えて手振りも見せたのにわからぬとは何たる事か。ウガーと子供らしく怒るテオドラに説明しても無駄そうだ。撃って、壊れましたと教えてやったのに。
「ふむ。もしやその消音器に何か仕掛けがあるのか?」
「……ご名答。サプレッサーにマジックキャンセルの術式を刻んで弾が射出されると魔法として発動し、魔弾となるのだよ――!」
「欲しい。くれ」
「料金ガ、発生シマス」
「布教、実用、鑑賞の三つで言い値で買う」
……このアリカの中身、実は現代人なんじゃないんだろうかと疑り始める。完全にオタクの買い方じゃないか。実用って誰かを撃つつもりかこのお姫様は。
後はだな。この拳銃は二丁しかないのだよ。某マリモのように三刀流ならぬ三丁持ちなんてできぬぞ。作れと言われても作れるのはもう死んじゃったし。ここまで見事な改造はボクには無理です。
「せ、戦争が終わればボクのコレクションから少しあげますから勘弁してください」
そう言うと凄い嬉しそうな顔をするクールビューティー。はいはい、ギャップ萌えギャップ萌え(震え声)
夜の迷宮を脱出するのに凄まじく時間が掛かったのは言うまでもない。追っ手がいないだけでまだマシと言うべきなのか何というか。
取り敢えず新しいのを書き始めたこの頃。今回のプロットは変態鬼畜(自称)オリ主さんをお送りしましたが、次は『意中のあの人を射止めるには手段を選ばないヒロイン一同』をテーマに頑張ります。
ペルソナ4でやります(宣伝)
大丈夫。溜めといてこのネギまが終わるまではやらんから。終わらせるから安心してね。
俺、これが書き終わったら人物紹介とどんでん返し後日談を書くんだ……(フラグ)