真祖の眷族   作:賢者神

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 お待たせ。お待たせ。お待たせ。パソコン壊れて思うように執筆できんかった。すまんの。

 ちょっと見ぬ内にまたハーメルン内の小説が混沌化してるじゃまいか。







盛る

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい。何を飲むんだ?」

 

 

 いかにもと酒場のマスター風の男が厳つい声で話し掛けてくる。ピクリと眉が動くのを確認できたが隣の褐色エロは酒のボトルに気を取られて些細な変化に気付かない。

 

 

「旅で疲れてるんだ。“ダブルボンバー”と“トリプルブレンド”を頼みたい。そうだな、後はマスターの今日のオススメをお願いできるかな? ちなみに彼はツレ」

 

「おっ? いきなり強いのを飲むのか。中々冒険するな」

 

「注文は以上か?」

 

「あ。後は少し摘める物を」

 

「了解だ。奥の部屋を使え」

 

「感謝するよマスター」

 

 

 酒を飲もうと待ち構えるラカンを引き摺って奥の部屋、カーテンで仕切られた間に行く。大男を下回る男が引き摺るのを見て驚いたのがいるがここは魔法の世界だろうが。別に不思議でも何ともないはずだが?

 シャッとカーテンを横にズラし、中の様子を伺う。少し洒落た感じの部屋に自分で歩き始めたラカンがヒューと口笛を吹いて中の様子に感動を感じているようだ。

 

 

「ホッホー。中々いい場所知ってんじゃねーか。もしかして常連か? ダブルとかトリプルとか普通は頼まんだろ」

 

「あー、まあ。酒豪とかは普通に飲むけど。魔力を回復するのに気分を落ち着かせる事が多いからね。オッサンとかはそれで回復する事もあるよ」

 

 

 魔法世界らしく酒に魔力が回復する作用のある小物を入れる場合も多い。炭酸割りやら水割りのアクセントにそれを入れるのが習わしと認識している。

 ボンバーは中量の魔力回復にブレンドは気の回復と思ってもらえれば。とラカンに説明をしたがそんな事より酒を寄越せと宣う。クソめ。折角の説明をそんな事呼ばわりか。

 

 

「実はここ、犯罪者御用達のバーだったりすんのよ」

 

「マジか」

 

「完全に悪いのは極僅かだけどメガロメセンブリアの連中に睨まれてるのはここを知っているのが多いかな? 冤罪とか多いからここに逃げ込むのは多いよ。特に亜人奴隷は。お、来た来た。噂をすれば」

 

 

 亜人の人間寄りの女性が飲み物を持ってくる。ボクを見るとキャーと嬉しそうに抱き着いてくるもんだから話の雰囲気をぶった斬られた気分だ。

 ケッとやさぐれるラカンが酒を持つのを見て抱き着いてくる女性を膝に座らせつつもラカンに彼女を向き合わせる。背中の空いたデザインの制服とかエロ過ぎてムラムラしてきた。

 

 

「紹介するよ。今は絶滅した種族の最後の生き残りの子だ。色々とあってボクが保護してここのバーで働かせている」

 

「ケッ。流石は性技の魔法使い様ですこと。女を侍らせるのは得意ってか? アアン?」

 

「羨ましい? 大丈夫大丈夫。ここにはラカンみたいな逞しい男が好きって子もいるから。後で指名して相手してもらいなよ。ボクの奢り」

 

「ハーッハッハッハ! 流石は俺様の盟友!」

 

 

 うわ。ドン引きだよこの手の平返し。目先の利益があれば誰でも飛び付くんだねぇ。特にエロは野郎は逆らえんな。エロは偉大なりって自論はやはり正しかったか。

 傾国美女って存在はやはり最強か。エヴァンジェリンもそれに入るだろうしエロに釣られたボクもそんな思春期中学生のお子ちゃまだ。野郎の性はいつまでも直せないモンなのさ。

 エロい笑いをするラカンをどうしても冷めた目で見てしまうのはチョロ過ぎる思考に呆れたからだろうか。

 

 

「助かったぜ。今まで溜まってたんだがお子ちゃまはいるわ姫さんもいるわで発散する機会がなかったんだわ。えーしゅんもえーしゅんでお堅いからな。行けんかった」

 

「ぶっちゃけ世界が危機に瀕してるのに女を抱く方が異常だと思う」

 

 

 すると気が触れたのかバンバンバンとテーブルを叩き始めるラカン。

 

 

「バカ野郎! スッキリしなければ全力が出せないだろうが! 下手に溜まれば股間から攻撃ができてしまうだろうが!」

 

「ぶっかけか」

 

 

 見るだけ見るならダイナミック射○だろそれ。口からビームを吐く人間よりも酷いぞその光景は。

 ラカンの言う事もわからなくはないが発散するだけなら他の方法もあるだろうに。女を抱くよりも気に入らないアホを攻めるとか責めるとか。言葉責めをするのが楽しい発散方法だと思います。

 

 

「同性愛好者なんかおのれは。オカマもいるけどそっちにしようか? 喜んで掘られるし掘ってくれるよ?」

 

「ぶっ殺すぞ!」

 

 

 見た目のせいでイメージが固定される。ガチムチホモって最もらしいイメージが。

 

 

「取り敢えずここはボクの奢り。マスターにはもう言ってあるから暫しの休息を楽しんだら? じゃあ手が空いてる子カモーン」

 

 

 昔の戦国武将のように手を叩いて呼び込む。これだけでわかるのだから訓練されている人は凄いと感動する。昔は色々と理不尽だから学べない事も学べるんだろうな、と人間の強さも捨てたもんじゃないと思う。

 元人間のボクが言うと嫌味に聞こえるけど。

 

 

「前に保護した多種多様の子がいるから。マスターはあのマスターだけど経営者的ポジションはボクね」

 

「旦那様スキー」

「ステキーダイテー」

 

「タラシめが!!」

 

 

 再びラカンに怒鳴られた。はて、何故だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「礼を言うよマスター」

 

「気になさらず。ここで経営できるのもあなたのお陰ですから。これぐらいの事は喜んで引き受けます」

 

 

 前には銀弾貰って火傷した事があるドジは忘れているんかマスター。

 シリンダーに弾を入れ、テーブルに弾が立つように取り出す。ズレないように慎重に持ち上げてその並びを固定する。魔法という便利なものがあるので小道具を使わなくともその並びを記憶させる事も可能だ。

 並びを固定させると別空間に入れて保存する。リロードの手間を省く事を考えるとこの作業に行き着く。いやー、魔法って超便利。

 

 

「売り上げとかは問題ない? 資金不足なら援助するけど」

 

「問題ありません。クレームを引っ掛ける客からいくらか慰謝料をいただいておりますので余裕もあります。ですが、銃弾の密輸は大変です」

 

「勘弁してよ。旧世界にも渡れない現状に銃弾の確保も難しいの。最近は追っ手も増えてるから」

 

 

 どうやってボクを見つけてるんだって毎回不思議に思ってる。おかげさまで物資だけを減らす毎日だよ全く。

 愚痴りながらも手を止めないのは何度も繰り返した事で染み付いた慣れの影響だ。朝起きて歯を磨くレベルに日常になってるよ。やる事は非日常レベルだが。銃弾を込める作業が日常なのは戦時中とか映画の中だけでいいんだよ。

 マスターと会話をしながらシリンダーに銃弾を入れる作業がまだ終わらないお。近況を聞く事があるから時間を有効的に使えるから五分五分だ。一介のバーのマスターの枠に収まらない超エリート情報屋だから今の状況をしっかりと把握できる。

 

 

「彼、ジャック・ラカンですよね。紅き翼(アラルブラ)がまだ追われてるのに呑気なものです」

 

「まあまあ。野郎には発散しなければならない時があるんだよ。一時の休息だと思えば良い響きに聞こえるじゃん? 多分ナニもでけーからあの子等も満足するでしょ」

 

「娼婦じゃないんですがね」

 

「セックス中毒だからしょうがないね。精液採取すれば元気になるから逞しい野郎と楽しむのが人生さ」

 

 

 こんな時代だからセックスに対する常識が違う。現代だと捕まる発言をしつつ、タバコを咥えて喫煙をする。色々駄目人間に成り果ててるなぁ、ボク。完全にエロゲ悪役ポジションじゃないか。

 奴隷とか娼婦とかが一番儲かるんだから世も末だ。やはりエロは世界を動かすか……!

 吸血鬼の聴力でちょいちょい下衆いラカンの声と女の喘ぎ声が聞こえてくるには我慢するしかないのか。随分楽しんでいるようで何よりだが、いつまでヤるつもりだあの筋肉ダルマは。

 

 

「まだ終わんねぇなアレ。防音しておくから暫く放置しておいてくれ」

 

「出禁にしますか」

 

「やめとけ。ああいうのは搾り取る道具にするのが効率がいいんだよ。騙しておくからラカンの対応は任せて」

 

 

 ガリガリと頭を掻くしかない。どんだけ溜まってるんだか、と呆れるしかない。ボクも我慢していた時期があったがあれではサカる猿ではないか。後でお願い事を聞いておこう。不憫っぽく感じる。

 軽く咥えたままプフーとタバコの紫煙を吐く。吸殻を灰皿に捨てながら酒を飲む行為をすると、ギャング映画のようだと思う。マフィアやギャングがいそうなバーの景色も相まって秘密の会談をしているようではないか。

 ふむ。どんだけボッたくろうか。

 仕事があるので、とマスターがいなくなると一人だけになる。残った酒を飲んだりタバコを吸ったりとラカンとは別に一時の休息を楽しむ。

 

 ああ^~落ち着くんじゃあ~。

 

 だるーん。と木製のテーブルに腕を伸ばしてだらける。最近は本当に落ち着ける時間がなかったからなー。今の内に休んでおこう。

 タバコを吸い切ると新しいのをとはならない。吸殻を灰皿に捨て切ると余った一発の銃弾を立ててクルクル回しながら遊ぶ。指で弾いたらどれだけのスピードが出るのだろうかとどうでもいい事も考えながら。

 

 

「ああー、久々にスッキリしたぜ」

 

「あ。終わった? おい貴様。ここはヌードバーじゃねーんだぞ。後臭いからシャワー浴びて来い。んで着替えろ」

 

「フヘヘヘ。気持ちいもんだぜおねーちゃんはよ。別嬪さんだから余計にな!」

 

 

 ビキビキと青筋が立つのがわかる。素っ裸丸出しの褐色筋肉ダルマが隠す事もなくヌラヌラと光るイチモツを揺らしながら立っているラカンに苛立ちを感じる。洗えよ、汚い。吸血鬼の嗅覚もあって、交わった他人の臭いが気分を更に悪くさせる。

 やりきった感を出すから余計に。テメー、そのグロいイチモツを切り取ってやろうか。

 

 

「いいから体を洗えアホ。このバーの評判を下げる気か」

 

「俺様はよ。シャワーじゃなくて滝で豪快に浴びなければ気が済まん……ふおおおっ!?」

 

 

 ラカンの悲鳴と同時にガウンと甲高い音が響く。必死に避けるラカンの後ろの壁には煙を上げながら穴がある。ボクの手にはその原因である拳銃が握られている。

 いっけね。ついぶっぱしちまったぜ。なかった事にするように懐に拳銃を隠してラカンを指差した。

 

 

「いいから体を洗えアホ。このバーの評判を下げる気か」

 

「なかった事にしやがった!」

 

 

 戦慄するように叫ぶラカンだった。そこは流せよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あー、少し寒くなったなーとウォッカを飲みながら思う。まあ、裸に下半身シーツ隠しだと余計に寒くなるんだけどね。

 

 

「やっぱり旦那様上手ー」

 

「ありがとねー」

 

 

 甘えてくる子を撫でて宥める。あー、やっぱりおっぱいはええわ。柔らかいし。

 ラカンの相手をご苦労様と言えば普通の自然な流れでセックスになったのはよくわからないが、相手をした子は嬉しそうなので置いておく。後は発散できてボクもスッキリ。エヴァンジェリンが怒りそうだ。

 ラカンはもう帰った。スッキリしたから次は暴れてスッキリするわと脳筋発言をして。何というかただのスケベ親父だったな、アイツ。

 

 ラカンは帰ったが、戦争はまだ終わらない。こちらも上手く立ち回らないといけないが暫くはまだアラルブラの、ナギ君やアリカ様に暴れてもらおう。

 順当に行けばアリカ様は団結力を増やす為に自分の国をクーデターで乗っ取るだろう。あくまでも予想だが、一番確率は高い。アホなボクでもそうするからだ。ぶっちゃけ王様になる方が戦力は簡単に手に入れられるし。

 問題はそのクーデターをいつ起こすか、そのタイミングだ。まだ犯罪者のアラルブラがウェスペルタティアに戻れば殺されるのがオチだ。もう少しコズモ・エンテレケイアの拠点を潰してからか? そのタイミングで参戦しますか。

 大方の準備は済んでいるから休息を取って一気に攻めるのがいいだろう。今はおっぱいに埋もれて寝るんだ。

 

 

「やんっ。旦那様甘えんぼー」

 

「おっぱい嫌いな男はいない。眠たいから暫くはこうさせて」

 

「はーい」

 

 

 ぎゅーっとおっぱいに顔を埋めるように抱き寄せると、目を閉じて眠る態勢を取る。

 夢を見る事はよくある。今も昔も恋しいボクの時代の夢を。オカンとオトンに彼女。幸せで平和な世界での暮らしが恋しいようだ。エヴァンジェリンを選ばなかった、選べなかった原因がそれだ。

 まだエヴァンジェリンとは喧嘩別れしたままだ。喧嘩したまま別れるのは後味が悪い。時期を見て仲直りする努力をしよう。結婚を迫られたりしたら全力で逃げるけど。

 

 

「……ん? ねえ、何か変な臭いがするんだけど君?」

 

「え? 私じゃないと思います」

 

 

 スンスンと鼻を動かしてみれば妙な臭いがするのがわかる。これは、残り香か?

 名残惜しいが彼女から離れるとスンスンと鼻を動かして臭いが感じる場所を探す。犬みたいだと思いながらも吸血鬼の並外れた嗅覚には何度も驚かされる。

 えーっと……ここか。

 

 

「ここ、触った?」

 

「いえ。だけどあの男の人がコソコソしているのは見ました」

 

 

 臭いが残っている。一番強い場所で変な臭いも混ざっている。だが、こんな場所にラカンの臭いが残っているのはどうも解せぬ。

 その場所はボクが所持品を纏めて置いてある場所だからだ。そこから導かれる答えにまさかと思い、徹底的に調べようと引っ繰り返す勢いで調べ始める。引き出しを引き、棚に置いてある物品の数を確認したりと。

 

 ……!? ないっ! あれが、ないっ!

 

 拳銃はある。予備のマガジンの銃弾もある。その他にも常備しているものはあるのだが、どうもあれだけがない。

 マズイ。盗まれたとしたら一大事だ。特にコズモ・エンテレケイアの手に渡ると、厄介以上に厄介な事になる。そこから齎されるのはパンドラの絶望に勝るとも限らない。

 ないないないないない。あの手帳が! しかも魔法の真髄の巻が! 適当な名前だが中身は今までの吸血鬼の歴史と共に築き上げたものだから知られるわけにはいかないのにっ!

 

 

「あんのクソ筋肉ダルマめぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 きゃあ、と彼女が驚く。思わず壁を蹴って穴を開けてしまう。ラカンの勝ち誇ったような、やりきった顔が浮かんで媚びり付いてくるのでイライラ感は更に倍増になる。

 マスター以下、全員が止めに来るまで暴れる事になるのであった。

 

 

「クソダルマ! 死ね死ね死ねぇ!」

 

「旦那様落ち着いてー」

「壊れちゃうよー」

「よーしよしよし」

 

「だ、旦那。落ち着いてくだせぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 え? ホモネタ? ラカンの裸姦を見れたからセーフ。アウトじゃないもん。ヌラヌラと光る聳え立つバベルの塔なんてセーフセーフ。

 これが終わったら別の変態オリ主の小説書くんだ……。次はドMな。




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