真祖の眷族   作:賢者神

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 お久しぶりです。完全に会話だけなので読まなくても大丈夫だと……いいなぁ。

 すいませんね。ユニコーンのEP7を見てたらマキブでフルコーン使いたくなって色々やってますた。映画終わったんだからPS3のユニコーン二作目はよ。だけどネオ・ジオングだけは勘弁な!



 新作にマブラヴ書きたい。





明かす

 

 

 

 

「ひ、ひぃ。な、何で悪い魔法使いがいるんじゃあ!」

 

 

 ……場が白けた。帰ろう。

 

 そんな考えを読んでか、アリカ様がガシッと腕を掴んでくる。逃がさないと言わんばかりの力の込もり具合に白ける事からげんなりする事に変化する。こうなる事を読んでいたのか。

 ボクの反応を読んでいなければここまですぐに反応はできないだろう。つまり、最初からこのチビ助と会わせる事を決めていた事になる。

 

 

「アルビレオ。このガキ、ヘラスの皇女だろう。何でいる?」

 

「テオドラ様とアリカ様は戦争を止めるために動いていますから。前々から内密に連絡を取っていまして、貴方との接触を機にこうして顔を合わせる事を決めたようです。どうやらお気に召さないようですね」

 

「こんなちんちくりんを見せられて喜ぶのはお前だけだよクソロリコン」

 

 

 こうも怯えられると逆にイライラが募るというもの。どうやらこの皇女はあの噂に惑わされているようだ。レイプ魔とかレイプ魔とか悪い魔法使いとか。

 大体が本当なので否定も肯定もしない。

 

 

「お飾りの皇女は役立たずだろ。この場にいても邪魔になるだけだと思うんだが……ね。おじょーちゃん?」

 

「ぴっ!?」

 

「あんまり子供は虐めるもんじゃない」

 

 

 そこに挟み込んだのは煙草を咥えた髭男。ガトウとアルビレオが呼んだ男で、皇女を守るように間に立った。煙草の煙が煙い。

 酒は好きだが煙草は嫌いだ。煙が目に入って痛い上に臭いも好きになれない。酒以上に大人ぶっているようにも感じるのでどうも。

 

 

「ガトウって名前だっけ?」

 

「ガトウ・カグラだ。それよりもこんな子供を責めるような言い方は感心しないな。アリカ様と契約を結ぶ立場とはいえ、少しその態度はないんじゃないか?」

 

「悪いね。ボクには人間の優しさってモンはないんだ。悪い魔法使いだからねぇ」

 

 

 若干、不貞腐れる。八つ当たりのようにガトウの咥える煙草を強奪すると火を煙草諸共消し去る。燃えた時に煙草の臭いが辺りに漂うので自然と顔が顰め、ガトウに対しての印象というか評価が下がる。

 こうならば、こう。ああならば、ああ。ガトウの言う事は正しくもあり、間違いでもある。それは一般常識ではあるものの、一般ではないアウトローの場合はそれで推し量るのは危険が伴う。

 お願いする側はガトウ、アリカ側。こっちはお願いされる側。対等の関係、取引の会話にはそれなりの敬意を持って望むべきだとは思うがこれは契約だ。彼等と自分の間の大きな差を知りつつもお願いをするのだから敬意なんぞ知るか。

 

 

「さてアリカ様。段々とボクは不機嫌になってきたよ。機嫌を損ねるのが契約内容にあるなら大した策士だと思わない?」

 

「む、む。それはスマン。だがこちらにはこちらなりの考えを持つ事だけはわかってくれ。妾は一応、王族なのでな。どうも王族なら誰もが平伏して敬意を払わなければならないと考える者が多いのだ。其方ではそういった事は関係ないのだろう」

 

 

 まあ、なりそこないとはいえ、吸血鬼ですから。人間様と同じにされてもエヴァンジェリンはいい顔しないだろう。何で王様とか地位が高いのはあんなに偉そうなのだろうか。

 その点ではアリカ様は偉そうというよりも誇り高きというイメージがある。あーっと、ノブリスオブリージュ? だっけ? ノブレスオブリージュ?

 貴族が義務を背負うのなら王族はもっと義務を背負わなければならない、だっただろうか。エヴァンジェリンのコレクションの中に名言が記された手紙があったような気もする。アリカ様はまさにそれが似合う雰囲気を漂わせている。

 

 

「彼等の非は妾が詫びる。だからもう少し話を聞いてはくれぬか」

 

「それほど事態に切羽詰まっているんだ。まあ、削ってもどこからか生まれてくるような輩だし寧ろ持っているのが褒められるよ」

 

「やはり彼等の正体を掴んでいるようですアリカ様」

 

「うむ」

 

 

 期待通りと言った顔をするアルビレオとアリカ様。内緒話ならよそでやれ。

 

 

「確認をします。貴方はこの戦争の裏側で暗躍する組織の正体を掴んでいますか?」

 

「肯定と言っておく」

 

「それを踏まえた上で奴等の情報を提供する契約をしたい。そちらの望みはできるだけ叶える。有利になる契約もする。だから教えてはくれぬか」

 

 

 切実な様子のアリカ様。空気の読めないボクは自分で探した方が回り道になっても確実ではないだろうかと思ってしまう。仮にも悪の魔法使いに情報を求めるなんてデメリットを考えていないのか。

 裏を返せばそれほど切羽詰まっているのだとわかるのだが。時間がないのか情報を得られる自信がないのだろうか。

 

 

「んー?」

 

 

 そうなると返事はどうしようか。別に引き受けても構わないのだが役に立ってくれてありがとうターンとか裏切りはやだしなぁ。油断しないようにしても油断するのがボクらしいから。

 何を見返りに求めるかを考える。ウェスペルタティアの魔法はアマテルの研究の途中で色々と学んだから必要ない。流石にいきなり女の子の体をくれだのは……悪い魔法使いだから構わないか!

 

 

「じゃあまずは王国のお抱え宝物庫のお宝。珍品なら尚良し」

 

「手配しよう。無理だと言われても押し通して其方を宝物庫に入れる手配をする」

 

「次に黄昏の姫御子の身柄」

 

「ッ! ……考える」

 

 

 おや。流石に黄昏のは反対するかと思ったのだが割と早く肯定の意を見せてくれたな。一応、おばとか祖母に当たるのでは?

 彼女の特殊能力は新しい魔法の発動に役に立つかもしれない。非人道的な儀式はやらんが彼女の体質は調べてみたい。

 

 黄昏のが欲しいと言えば周りが殺気立つ。というよりもガトウ一人が納得できないとばかりに睨んでくる。特別な思い入れでもあるのかこのスモーキーは。

 

 

「後は……そうだなぁ」

 

 

 ちょっと悪戯で嘗め回すような目線でアリカ様を見てみる。気分は脅迫して性交を求めるゲス。同人誌定番のシチュエーションでもあり、その前戯の一部でもある行為をしてみる。

 案の定、見られている事を感付いたアリカ様は少したじろいだ様子で、体を隠そうとした手はピクリと動いたが我慢して体を少し震わせる。見ても構わないとのメッセージなのだがこうなると少し罪悪感が沸く。悪戯なのにここまで覚悟を決められるとどうも……。

 それに過剰に反応したガトウがポケットに手を突っ込んでアリカ様の前に出てくる。どうもしゃしゃり出るのが好きなようである。アリカ様も頼んでいるわけでもあるまいし。

 その更にアリカ様とガトウの間に子供がアリカ様を守るように移動する。かなり怯えた顔をしているがそんなに怖いのだろうか。

 

 

「ま。冗談だよ冗談。先に二つの条件を飲めば情報は全部あげる」

 

「お前のような外道が嘘じゃないと証明できるのか?」

 

「ヴァンデンバーグ捜査官!」

 

 

 うーむ。ガトウの発言で不機嫌になって契約を白紙にしようと考えたが思いの外、アリカ様は交渉を知っているようだ。

 立ち塞がるガトウを押し退け、堂々と、されど少し体を震わせながら目前に立つアリカ様。何というか肝が座っているというかいい度胸をしているよな、この王女。

 というかこのガトウ、ヴァンデンバーグって名前なんかい。偽名でも使ってるのかこのスモーキーは。捜査官と呼ばれているから身バレ防止なんだろうが。

 

 

「その条件は飲もう。だがアスナはウェスペルタティア王国の傀儡で今は渡せない」

 

「大丈夫。ついでに喧嘩を売る為に黄昏のを助けるから。というよりも彼女、奴等の計画の一部だから救助はどうせ必要なんだけどね」

 

「何……? それは一体どういう?」

 

「おーっとっと。これ以上は契約を結んでからね。更に条件を加えるとアリカ様、君を好きにしてもいいなら情報だけじゃなくてボクも力を貸してもいいよ。具体的に言えば互いの利益になる等価交換制の共同戦線。名立たる悪い魔法使いの力を得られるから助かるんじゃない? 君の体で世界を救えると言っても過言じゃない」

 

 

 完全にゲスである。だが楽しい。同人誌定番のシチュエーションの裏にはロマンがあるのだよロマン。

 

 

「ぐっ……! アリカ様……」

 

「……聞くが其方は本当に実力はあるのだろうな」

 

「なければ過去最大の賞金首にはならないし二つ名でもない悪の魔法使いとも呼ばれないと思うけど? エヴァンジェリンと同等と考えてもいい」

 

 

 まあ、別に条件がなくても力は貸すつもりだけど。弱くても人手は必要だしナギ君やらアルビレオがいるなら面倒事も減る。好感度を上げといて賞金首を消す事も考えているので気に入ったとか言って懐も広いよアピールをしておこう。

 暴れる事ならナギ君にお任せ。策略ならアルビレオにお任せ。他は適当。といった感じに考えている。

 

 

「わかった。妾の身一つで世界が救えるのならば喜んで差し出そう。その代わり、其方には世界を絶対に救ってもらう」

 

「うんうん。契約成立……と言いたいけど流石に女の子に股を開けとか言うのは嫌だから今回はサービス。体を売らなくても力は貸すよ」

 

「だが、それでは等価交換の天秤が釣り合わないのではないか?」

 

「まあまあ。代わりにそこのちんちくりんの国からも珍品を要求するから」

 

「はえっ!? な、なんでいきなりこっちに振るんじゃ!?」

 

 

 空気になろうと隠れていたちんちくりんを指差して無理矢理にでも存在感を表に出させる。ヘラスの皇女という立場にあるのだからアリカ様のように貢いでゴマすりをしなければ未来はないのだぞと悪役思考。

 別に滅ぼすつもりは一切ないのだが脅せばしなやす思考でレアな物まで貢いでくれるだろうと画策する。ヘラスは魔法世界でも古くからある皇国だから今は伝説となったアイテムも抱えてるだろう。

 ロリはエヴァンジェリンだけでいいのでアリカ様のように内緒にして欲しかったらフヘヘヘはしない。決して。

 

 

「そりゃ、お前さんはアリカ様だけに負担をさせる気なの? 合同会議らしい事をするつもりでここにいるんだから役に立てちんちくりん」

 

「だ、だがの。いくらなんでもヘラスの宝物庫はおいそれと……」

 

「じゃあ戦争が終わったらエヴァンジェリンと一緒にヘラスを滅ぼすわ。余計な手間を掛けさせた罰で奴隷にして売り払うぞチビ助」

 

「ぴいいいいいいい!?」

 

「あまり女の子は苛めるものじゃないと思いますが……イエスロリータ、ノータッチ。幼女は愛でるものですよ」

 

 

 触ってる触ってる。愛でる時点で幼女に触れてる。

 アルビレオが横からしゃしゃり出てヘラスのちんちくりんを庇う。お前は幼女なら誰でもいいのか。

 苛めたくなるような声で叫ぶちんちくりんはよりにもよってアリカ様の後ろに隠れる。アリカ様の呆れた表情かと思いきや、どう反応すればいいか戸惑う表情だった。あれ?

 

 

「ではウェスペルタティア、ヘラス両国の代表の合意の上に契約を交わしましょう。アリカ様、テオドラ様、異論はありますか?」

 

「彼が二つの条件でよいと言うのなら」

 

「わ、妾は体は売らんぞ!」

 

 

 誰がいるかアホ。アルビレオに売れアルビレオに。泣いて喜ぶだろう。

 

 

「契約書にサインを。ギアス執行の特別製なので契約に反すれば悪魔に魂を食われてしまいますがよろしいでしょうか?」

 

「……」

 

 

 どうしよう。前に約束を破って召喚された悪魔を消し飛ばした事は話した方がいいのだろうか。

 いつの間にか仕切り役をしているアルビレオを微妙な表情で見ながら即効で契約書にサインするアリカ様と渋々と迷いながらもサインするちんちくりんことテオドラ。これまた微妙な気分になる。

 吸血鬼の眷族、闇の眷族でもあるボクは悪魔に好かれるというか普通の魔法使いよりも色々と便宜を計ってくれるので契約の内容を改竄する事も可能なわけで。実際、こんな契約書は無意味に等しいのだが。

 

 ボクの順番になる。いつの間にやら契約内容まで提案した取引内容が書かれている。あの短い時間でどうやってできた。あ、精霊か。

 一応、確認をする。ウェスペルタティア、ヘラス両国はボクにアーティファクトを提供する。ウェスペルタティアは黄昏の姫御子の身柄を引き渡す。見返りにボクは黒幕の情報を渡し、ウェスペルタティアとヘラスの依頼を引き受ける。依頼って形にしたのか。

 まあ、不備はない。だが改竄をしよう。依頼を受ける時は気分次第で。強制は不可って事にしておく。いやー、この悪魔さんと精霊さんは話がわかるね。

 ガリッと親指を噛む。強く噛んだせいで血が滲み出てテオドラがギョッとした顔をする。他は吸血鬼の逸話を知っているのかテオドラほどではない驚愕を見せている。彼等の視線を浴びながらもポタポタと滴る血をもう片手の掌を皿に見立てて受け止めながら操作する。

 その血を契約書に四滴垂らすと血が一人でに動き出して文字を象る。奇っ怪な様子が珍しいのかテオドラが乗り出してその様子を観察する。すぐ近くにボクがいてすぐにアリカ様の後ろに隠れたが。

 

 

「ほら」

 

「わざわざ血で書かなくてもいいんですがね」

 

「血で書くという事は信頼してるとも取れるだろうアルビレオ。妾は其方に感謝の意を示したい」

 

 

 契約の改竄に血を使っただけなのに何か勘違いされているし。血を使って署名する事は普通の契約と違って魂をも捧げる契約と同意義であると考えられるのでその反応はある意味当然と言えば当然か。

 どうもアリカ様は物事を良い方に考えようとするようだ。ネガティブよりもポジティブが人生生きるにはいいがあんまり楽観的だと苦労するぞ。まあ、楽観的じゃないと絶望から心が砕けないようにするのは難しいか。

 

 

「……アルビレオ、読めるか?」

 

「すいません。これは何の文字でしょうか」

 

 

 アリカ様を見ながら考察していると二人から何だこれはと契約書を見せてくる。ああ、そういえばそうか。

 

 

「古代文字。高貴なる貴族と王族の文字」

 

「嘘でしょう?」

 

「嘘です。本当は生命が生まれた時に授かる真名に近い名前、らしい。血で文字を書くと魂の情報を刻み込むって噂。ボクの場合は――」

 

 

 ――おーっとっと。喋りすぎたか。

 

 手で口を隠して発言を止める。血で名前を書いても読めないようになっているのは人間としてのボク、吸血鬼としてのボク、エヴァンジェリンの眷属としてのボク。それらが混ざり過ぎて継ぎ接ぎだらけの名前に見えているだけ。

 吸血鬼としての名前があるのは予想外だった。眷属にもなると名前があるのね、とこの方法を初めてした時は驚くよりも呆れた。

 

 

「場合は?」

 

「内緒。契約には完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)の情報のみでボクの情報を与える必要はないよ?」

 

「コズモ……?」

 

「コズモ・エンテレケイア。完全なる世界を目指す今回の戦争の黒幕の組織の名前さ」

 

 

 と、言ったら一気に空気が張り詰める。何でいきなりシリアスモードになってるのだろうか。名前だけでそれは早漏だろうとどうでもいい事を考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 完全なる世界はまだアリカ様一行はぼんやりと掴んでますが、ここでハッキリ。地道にヴァンデンバーグさんの役目を奪ってね? 何かdisってるけど動かしやすいのはガトウさんなんだよなぁ。

 捜査官ってポジションだから犯罪者には風当たりが強いと思ってこうしたらヤバイ事になっちまった。ナギ君以上に不幸になるんじゃないか?



 というわけで紅き翼一行と共同戦線。共同と言っても目的を共にして戦うだけで最終決戦くらいしかナギ君達と一緒に戦わないかもね。オリ主、単騎無双型だし。

 四十話以内に終われるとイイナー。





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