真祖の眷族   作:賢者神

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 お ま た せ 。

 今回は閑話。クッキング番組の作ったものがこれになります的な内容。








 空いたのはゲームで色々稼いでいたから。






まみえる

 

 

 

 

 

 めんどくせぇなぁと誰かなら言うだろう。雑用作業に見える作業を何度も繰り返していると誰もがぼやきそうだ。

 

 

「あー、記録。ヘラス帝国国内の奴隷売買所を強襲、全滅。奴隷は全員開放、職員は一部を除いて殺害。情報収集に拷問する予定……拷問されるのはお好き?」

 

 

 あれだけ威勢が良かったのに立場が逆転すればみっともなく怯える。もう何度も何度も見た事だ。

 同じように怯える者が六人。ボイスレコーダーのマジックアイテム版に声を吹き込みながら少しずつ脅して恐怖を蓄積させる。口の軽そうで何かを知ってそうな奴だけを選んでおいたから後でゲロらせよう。

 

 

「記録を継続。奴隷はいつもの場所へ。家族がいる者は家族の元へ手配は済んでいる。顧客名簿も入手、調査を慎重に行って然るべき処置を行う」

 

 

 記録終了と最後に加えてスイッチを切る。更に脅すように第二次世界大戦で使用されていたリボルバー銃の銃口を突き付ける。

 拳銃の方が刀よりも重く感じるのは間違いはないはずだ。いとも容易く命を奪う人類が作ったであろう最悪の兵器。何も感じないのはボクがゲスになって染まっているからだろうか。

 

 湿っぽい事を思いながら銃口を向けたまま破壊し尽くした部屋の瓦礫に腰を落ち着ける。面白いように怯える六人に愉悦を感じるのはもう終わってるのではないか。悪と言われるならもうと吹っ切ったのが悪いのか。

 

 

「うん。悪いね。本当は君等の商売の邪魔はするつもりはなかったんだけど。今のボクって期限が最悪だからね。ついでに助けるのと一緒に潰させてもらったよ」

 

 

 まあ、虫の居所が悪かったから殺しました。だな。

 別に奴隷商人を見境なく襲っているわけではないよ? ただ、少しの手掛かりを持っている場所なら見境なく襲っているだけ。例え、奴隷を悪く扱わずに使用人としてキチンと扱っている場所でも壊している。

 うーむ。完全に悪者だなボク。

 

 

「あ、悪の魔法使いが何故こんな……」

 

「アハハ。悪の魔法使いだから奴隷制度は賛成だって? 笑える。自分達の悪という定義を押し付けないで欲しいな? ボクにはボクの悪の定義がある。それが他人から悪と呼ばれようともボクから見れば正義にも見えるんだぜ?」

 

「ふ、ふざけるな! 正義の魔法使いはそんな事は……ひっ」

 

「悪いんだけどねぇ。世の中の正義の魔法使いの一部は悪の魔法使いと変わらない行為をしているんだぜ? 性奴隷、強姦、殺害。正義のためだと幼気な少女を犯す奴もいるんだよ。おお、なんと嘆かわしい事か! 立派な魔法使いは大犯罪者の代名詞なのだろうか!」

 

 

 一部は違うだろうけど大部分は正義に盲信するのが多いしね。酷いのは正義だと謳ってレイプを正当化する奴。エヴァンジェリンブチ切れだったなぁ。

 氷の柩に入れて底が深い湖に沈めてたもん。わざわざ動けるように中身に少し空洞だけ作ってまで。あれは生き地獄だっただろう。別に可哀想だとは思わんね。当然の報いだと思うよ。

 

 贅沢を言えば回転式シリンダーの拳銃じゃなくてソードオフショットガンが欲しかったリボルバーもいいけど片手で撃てるショットガンが好きだ。

 おっぱいリロードも懐かしく思えるね。谷間から銃弾弾き出してリロードする斬新さに変なエロさがあったし。男なら股間から出してリロード……うん。キモイ。

 散弾銃は色々と単発銃よりも使えると思う。散弾を強力にすれば広範囲に広がる殺傷武器にもなる。バイオのコイン散弾は色々とエグかった。真似する気にもならないくらいに。エヴァンジェリンも顔が引き攣ってた。

 

 

「まあ、いいけどね。欲望のままに生きるのは構わないけど被害者が助けを求めるなら誰だって殺すよ。悪魔に魂を渡してまで復讐をしたいのは山程いるからね。正義の魔法使いだろうと立派な魔法使いだろうと誰だって恨まれるものなのさ」

 

 

 その点では自分は恨まれているだろうね。今まで何人殺しただろうか。どうせ死ぬからいいか。死ぬ時間が早まっただけだ。

 

 

「というわけで君等も殺してあげようか? 大丈夫。痛みはないよ。ど頭をぶち抜くだけだから。痛みを感じる前に死んでるから」

 

 

 一番近い奴に銃口を突き付けてみる。拷問によく使われるんじゃないかって思える最も単純明快な脅迫だ。

 誰かが脅されるのを見ると自分もそうなるのだろうかと小心者なら思うらしい。他人の経験談と自分の経験に基づいての考えだけど。銃を頭に突き付けられると誰だって怖いわな。

 

 ついでに縛ってあるので手は使えない。銃口から逃げようとしても頭しか動かせない相手は簡単に追い掛けられる。怯えの表情と視線がこちらに向く。

 準備は整った。よくある手だが効果は最もあるのでそれを行う。

 リボルバーの拳銃をクルリと回して銃口を頭から外す。トントンと拳銃を肩に置いて叩いて溜め息を吐いた演技を見せる。まるで悩んでいる様子を見せてみる。

 

 

「うーん。このままぶっ殺してもいいけどボクは情報が欲しいからね……よし。こうしよう」

 

 

 もう面白いほど目が輝くのがわかる。助かるのかと期待している顔ってこんなにも状況によって面白く思った。

 何回も見たけど容易いね。小物だと自分の命が助かるなら何でもする。重要な事もベラベラと話して助かろうとするんだから情報収集にはもってこいだわな。口の軽い奴はさほど重要な情報を与えられていないので五分五分だが。

 

 

「ボクが欲しいって思っている情報を当てて話すのなら助けてもいいよ。ただし、有意義でなければ問答無用で……バーン」

 

 

 拳銃を頭に突き付けて銃口を少し跳ね上げる。ペルソナ召喚のような動作だから頭が狂ってると思われるだろう。別に撃つつもりはないから遊びで見せてやっただけ。

 簡単な動作だけど脅迫の意味合いでは効果的。自分の頭から誰かの頭に。そうすればまた怖いと思う。

 

 

「ふふふ。さあ、悪魔に魅入られる情報を君等は持っているかな? 生きるか死ぬか。それは君等の選択で決まる。何度もない究極の選択が立ちはだかっているぞ?」

 

 

 両手を広げて悪役を演じきる。フハハハ。これでまた情報は得られる。

 最後のトドメに銃を突き付けて笑い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいはいお待たせ。どうだった?」

 

「ん。一杯」

 

 

 少し微笑んで紙の束を見せてくれる。両手一杯にそれを見せてくれ、彼女側が上手くいっている事を意味している事を思い、少し嬉しく思った。

 吸血鬼の卓越した嗅覚が独特の臭いを捉える。吸血鬼大好き血の臭いだ。ソフィからほんの微量だが香る。

 

 何人か殺ったのか。こんな少女が人殺しをするなんて世も末だな。

 

 草を生やす語調で思う。スプラッタ表現がないだけでソフィがいた世界ではバシバシ魔物を殺しているもの。人殺しがどうだとか今頃言ってもねぇ。ボクを守る名義で創られたソフィは役目を果たせない方が嫌らしいし。

 戦わなくてもいいと言ってもご主人様守るとしか言わんもんな。

 

 

「マスターは?」

 

「空振り。結局はマトモな情報は得られなかった。下の下の組織だと知っているのは少ないし有意義でもないし。最悪だったよ」

 

 

 必死に命乞いする割にはいい情報はなかったからムカついて撃った。ムカつくから誰かを殺すってのも人間が蟻を踏み潰すのと同じだよねぇ。

 

 

「こっちは少し」

 

「ありがと」

 

 

 ペラペラと紙の束を捲ってみる。メモリースティックやらUSBメモリとかがある未来と比べて不便かな? と思ったけど一番処分が容易いんだよね、紙の束とかは。燃やすだけでカスになるし。

 メモリとかだと中途半端に処分すればデータの復元でわかるもんだし。

 

 ふむ。内容は顧客名簿らしい。名だたる名前の一部が腐敗していると教えてくれる。やっぱ上層部は腐っているのが当たり前なのか。

 メガロメセンブリアの名前が一杯だねぇ。旧世界の住人が魔法世界って場所に来て好き放題していればキレるか。ボク等がいくら悪の魔法使いで強くても個々だと手間が掛かるものだ。

 情報収集はしているが、その情報源の場所を教えてくれるのはその奴隷を全員救いたいと思っている好き者から齎されて助ける。まあ、こんな感じだ。

 

 

「ふーむ。全部黒ってわけじゃないね。ニ、三人は潔白で奴隷制度の規制を強く思っているのがいるみたいだ。亜人だからといって阻害する考えじゃない……のか?」

 

「わからない」

 

「おお、ごめんよ。どっちにしてもエヴァンジェリンに見せないとわからないね」

 

 

 エヴァンジェリンの方が頭は良いし。戦略とか立てるならエヴァンジェリン任せにしているから勝手に動いては計画が破綻する恐れがある。

 諸葛亮孔明に直接会った事はなくてもエヴァンジェリンの戦略や作戦を練る能力はそれだと見間違うほど凄いと思う。天才とも表現できるからこそこんな大層な作戦を実行に移しているのだとも思う。

 

 

「じゃあソフィは先にエヴァンジェリンの所に。ボクは解放した奴隷に話を聞きに行くよ」

 

「マスター、子供大好きだもんね」

 

「好かれるだけじゃね?」

 

 

 これではロリコン認定もしょうがないだろう。ショタコンとも言われるのは嫌だねぇ。悪口、悪戯でよくホモだとか言われるせいで本気で洗脳されそうだ。

 最近はアリアドネーの時のようにおにゃのこと寝たりする事よりもムサイ野郎とか小物野郎ばっかり相手にしてるからホモとか言われても正直否定できん。おにゃのこというよりも幼女とかしか相手にできなかったのは痛い。

 身体年齢は10位じゃないかな? 一番年上っぽい肉付きとか身体とか。ロリコンじゃないか。

 

 娼婦を使おうかとも考えたり、ナンパをして処女さんを喰おうかと思ったのに。その時間もないから溜まっていると思うんだ。発散しないとやばい事になりそうだ。

 エヴァンジェリンに休暇を貰おう。休暇を貰ってエヴァンジェリンに給仕しているメイドさんとねちょねちょするんだ。エルフさん、ケモ耳さん。選り取り見取りで迷いますな。涎も……おっと。

 ソフィはちょっと。性欲の対象ではなく娘とかに向ける親愛のが強い。

 

 そんなソフィといえばクイクイと何かをねだるように服を引っ張ってくる。これはご褒美をねだっているのか。

 

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

「一人で帰れる?」

 

「大丈夫」

 

 

 ふんすと気合を入れるソフィ。小さな事でも気合を入れる癖があってやる気を見せてくれるのは嬉しいんだけどもう少し気を抜いてもいいんだと思うんだけど。

 お金を渡してお小遣いをあげる。こうして労うともっと頑張ろうって気持ちが湧き上がるんだとか。魔力をあげても嬉しそうに笑う。癒される。

 トテテテと走り去るソフィに軽く手を振って見送りながらこの先の事を考える。途端、重ーい溜め息が出た。

 

 

「めんどくさいなぁ。数だけは多いし」

 

 

 未だに有力な情報は無い。これだ、という決め手が無いので中々計画を進められない。

 クソ。あのクソ野郎、言うだけ言って煽りやがって。今のボクならテメーなんぞ瞬殺なんだぞしゅんころ。未熟な時と比べてんじゃねーぞ。

 

 そろそろメガロメセンブリアとかに目を付けられる頃だろう。逆に今までよく気付かれずに動けたものだとメガロの連中の無能さに呆れる。

 もし本気で動いていたら二人、ボクとエヴァンジェリンが動いている事くらいは察知できているだろうに。戦争を隠れ蓑にしてる事を含めても、だ。

 ボクもまさか第二次世界大戦以外で戦争に参加するとは思わなかったよ。日本側で暗躍するとかアメリカを負けさせるとかじゃなくて傍観しつつも骨董品を収集したりとか。戦争は悲惨だとか教科書で読んだけどやっぱり実物は違うわとしか言えない。

 人がたくさん死んでいるんだぞ! とか訴えられるほど人間はできていない。訴えて止めようとしてもどこかで綻びは生まれるだろうしね。原爆阻止しても戦争が続行ってなったら正直洒落にならん。

 ゲームとかでも第二次世界大戦の後の冷戦時代を描くものがあったけど蛇さんはいなかった。残念。CQCとか教わろうと思ったのに。

 

 認識障害。具体的には似ているけどやっぱり気のせいか? と思わせる魔法を予め付加させているエヴァンジェリン特製アーティファクトの眼鏡を外してレンズを拭く。伊達眼鏡でもオシャレにはなるので対策としては万全だ……と思う。

 エヴァンジェリンって逃走に回ると本気でエグい効果を持つアーティファクトを作るもんだね。吸血鬼になってからの経験が生かされているのがよくわかる。

 

 

「あ。すみません。ちょっと船の時間を教えてくれないですかね?」

 

 

 さて。考えるよりも行動をしよう。

 

 ウェスペルタティア王国と呼ばれる魔法世界でも古いんじゃないかな? って程度の印象のあるメガロメセンブリアの領域のある国。今、そこにいるわけだが。

 アリアドネーは浅く広く。だったがウェスペルタティアはある部門では深く狭く。専門知識かよと突っ込みたくなる本がたくさんあった。ウェスペルタティアの首都、オスティアのお城の書庫に忍び込んだので内緒にせねば。

 エヴァンジェリンも真の敵はウェスペルタティアに潜んでいると睨んでいるが王族の誰かなのだろう……む。

 

 

「やあ。久し振りだね」

 

「げっ」

 

「そんなに嫌そうな顔をしないで欲しいな。僕は君に会いたかったんだ」

 

 

 キモイ発言をやめてほしい。決して、ホモではない。

 

 

「道を尋ねたのにその反応は酷くないかな? 僕も親切に教えようとしたんだけど」

 

「それはありがたい。ついでに手を離してくれるともっとありがたいんだが?」

 

 

 ギリギリと手の骨が軋むような音が伝わる。こいつ、本気で握り締めて逃げないようにしてやがる……! というかいつ手を取った。

 改めて周りを見ればチラホラと見覚えのある連中がいる。潜んでたのか。

 

 

「それにしてもやってくれたね。君も闇の福音も。僕達の計画が大きく挫折するような事をね……実に腹立たしい」

 

「ざまあ」

 

 

 草を生やしてやる。

 

 

「……苛々するね君。僕にこんな感情を芽生えさせたのは生まれてから君が初めてだ。主は喜んでくださっているが僕としては負の感情を先に覚えたのは許せないものなんだよ」

 

「いいじゃん。人は負の感情を抱くのは当たり前。いくら取り繕っても正の感情よりも多くあるのが普通なんだぜ? 寧ろもっと喜べ……名前なんだっけ?」

 

「はははは……」

 

 

 痛い痛い。ムカつくのはわかるけど静かに怒らなくてもいいじゃないか。

 追い打ちをするように手を握り締めている優男の仲間が囲む。その中の一人が忘れたくても忘れられない奴だ。自分の人生の転換点、物語の転換点と言える奴が。

 

 

「おや。別に初めて会うわけではないのにそんな目で見なくてもいいんじゃないかい? 仮にも君を変えたであろう重要な人間なんだろう?」

 

「ボクの傷を抉るように再生させて強化するのはどうなの?」

 

「フフフ。何事も精神攻撃から、だろう?」

 

 

 ぬんと顔だけが面影があり、体だけが屈強にマッチョに変わっている因縁の相手。元魔法使いで今は静かに暗躍する世界を救うと謳う伝説を生きる者の部下の眷族。

 厭らしいほどに笑顔を浮かべるそいつに顔が自然と顰めてしまう。一度、殺されかけた、殺された相手の顔を見るとこんな反応をしてしまうのが当たり前なのだろうか。少し腰が引ける。

 

 そう。因縁の人物、正義の魔法使いの総本山のボス。名を知らぬ炎を操る当時の最強の魔法使いの一角だった者。

 

 

「久し振りだな小僧」

 

 

 あの時と変わらぬ声と記憶の中の声に少しだけ恐怖を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 





 最後の人は原作だとマッチョさん。ぶっちゃけ姿は同じだけどオリ主さんにとっては初めての生死をかけて戦ったボス。何度も生き返るゾンビ野郎。確か火の使徒だったっけ? おにゃのこしか覚えてないよ……ウホッ、いい男♂ アッー!

 一応補足。オリ主は第二次世界大戦を第三者の立場で傍観。参加したりはしてないけど色々としてたらしい。リボルバーの拳銃とかこっそりと盗んだようです……訴えられないよね? そんな時にはこれが便利。

 ※これはフィクションです。実在する(ry


 もうエヴァと彼はナギよりも先に完全なる世界と激突。外堀を埋めるように崩し始めてます。一番目とは既に面識アリ。





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