こんなエヴァがいればもう死んでもいいです(賢者)
「世話をすると言ったな。あれは撤回したい」
メイトリックス大佐なら子育てもコマンドーだと思うんだ(?)
要は簡単に世話をすると言った自分を殴りたくなる。いや、別に世話が大変とか肉体的に辛いとかではないのだ。
「……何だろうね。あの子等見てたら胸が痛くならないかい?」
「お前がクソだからだろうが」
辛辣エヴァンジェリン。ふんっと鼻を鳴らしながら膝の上で特製のトロピカルジュース的なものを飲む。リゾートホテルでよくありそうな南国風のジュースを堪能しておる。
心が痛むこっちに比べてエヴァンジェリンは元々心を痛めているのか何ともないようだ。ロリモードになっているから大人の辛さを忘れ、子供よりも子供っぽくなっているから大丈夫なんじゃ?
「オイ。変な事を考えているだろ」
「子供だから子供を見ても何ともないんじゃねーかと」
「逆だ逆。お前がクソで心が汚れているからそうなるんだ」
「ごばっ」
吐血しそうな勢いで噴いた。
「そんなんならお前の彼女も愛想を尽かすだろうよ。今なら子供から大人まで、何でもできる彼女候補が目の前にいるぞ? ん? 花婿にでもなるか?」
「や、やめるんだ! そ、そんな誘惑は……!」
「更に愛玩人形もセットだぞ。選り取り見取り、数の子天井なるものも実現した者もいるんだぞ? 人形だから激しいプレイもできる。人形にも感情は少しインストールしてあるから可愛く鳴く奴がいるかもなぁ?」
「煩悩退散煩悩退散煩悩退散! 目先のエロい誘惑退散ッ!!」
おのれエヴァンジェリン。子供の純真な部分とエロの誘惑をして混乱させるつもりか。間を揺れ動いて正常な判断をできないようにするつもりなのか。なんと策士か。
「それに私は浮気容認だぞ?」
「ボクと結婚……ハッ! 騙されないぞ!」
今はまだエヴァンジェリンに返事をするわけにはいかないんだ。全てはあの子と会話をしてからだ。
「ッチ。お堅い奴め。固いのはそれだけでよかろうのに」
「ボクねぇ、日常的にセクハラ発言をする女の子は少し苦手なんだ。女の子ならお淑やかにしないとね。その点ならあの子は高嶺の花とも言える可愛い子だったんだよねぇ」
「ぐ、ぐぬぬぬ。何だこの言い様のない敗北感は」
初めての彼女さんだったからかな? かなり補正があるような気もする。エヴァンジェリンも魅力的だけどあの子ももっと魅力的なんだ。
「まあ、いい。アドバンテージは私にある。お前の性癖も何もかも知り尽くしているんだぞ? 尤も、レイプされた事を引き合いに出すだけでも勝てると思うぞ?」
「ごめんなさいごめんなさいマジでそれは許してください」
みっともなく謝る。膝に乗られているので土下座はできないがとにかく必死に謝り倒して誠意を見せる。
裁判沙汰になったら間違いなくエヴァンジェリンが勝訴するだろう。セクハラ、強姦、性犯罪の全てが適用されて裁かれるかもしれない。ここが過去でエヴァンジェリンが相手でよかったと心から思う。
悪い言い方だがエヴァンジェリンは世界最悪の犯罪者。訴えようとも訴えられないのが現状で本気で訴えようとしないのが幸いだった。
だけど、だ。エヴァンジェリンはそれを引き合いに出して何かと自分に引き込もうとする事が多くなっている。ボクが未来に帰りたいと思う目的を話してからは。
誘惑する。媚薬を混ぜて誘惑する。セックスして肉体を誘惑する。とにかく彼女への目が自分に向くように必死になっている。
「あーんだあーん」
「どうぞマスター」
「何というコンビネーション。結託してるのか君等」
エヴァンジェリンが口を開けて要求し、彼女の従者のチャチャシリーズの一体がアイスクリームの乗ったジュースを渡してきた。これはパフェと呼ぶべきなのだろうか。
こ、怖いな。本気になった女はここまで怖いものなのか。何であっても口説き落としてみせるという気迫も伝わる。
「ふぉら」
「専用のスプーンです」
「用意がいいね。怖すぎるわっ」
背景の音楽、子供のはしゃいでいる声が遠くに聞こえる。まるで別空間に放り投げられた気分だ。こうまで空気が違うのか。
「あ、あーん?」
「あー……あむっ。美味い」
「恐縮です」
「マスターの技術もあってでしょう」
どんな技術だよそれ。
チャチャの一体によくわからないお世辞を言われる。傍にチャチャゼロに似た顔のメイドが数体いるが徹底的にメイドであろうとしている。まだ作られて日が浅い子達なのだろうか。
パフェらしきもののアイスクリームを掬い、エヴァンジェリンに与える。前に大人バージョンにもやった事があるが、子供バージョンだとほっこりした気分になる。何であれとにかく可愛い。
分け与えて食べさせると変な気分になる。フェ……いや、何でもない。
「うん。美味い。もっとくれ」
「おかわりは用意してあります」
「準備万端で恐ろしいよこの子等」
「まあな。こいつ等はまだ新人で教育段階だ。何かを教えるよりもこうして実際にやらせて覚えさせるのが空気にも慣れるだろうし、そっちがいいだろう? お前、たどたどしい感じの処女が好み――」
「アーアーアーアーアー」
さらっと性癖をバラすんじゃありません。
ニヤニヤと楽しそうなエヴァンジェリンを傍目に間接キッスとか関係なしにエヴァンジェリンの口に侵入したであろうスプーンでアイスクリームを掬って食べる。美味い。
「あ、お、お、おまっ」
「美味しい。誰かさんのスパイスもあるからかな?」
「や、やめろ。恥ずかしいだろうが」
ふふふ。子供エヴァンジェリンことエヴァはストレートな愛情表現に耐性はなかったりする。仕返しにこんな事をするのもお決まりだ。
大人と子供だと何が弱いのかは変わる。こう、弱いツボとか性癖も変化するらしい。色々と別人になっているエヴァンジェリンだからこそ自分の持ち味である年齢詐称薬とかで迫るのだろうと思う。
大人になると色々と凄い。昼も夜も。
「スプーンは変える?」
「……や、や。そのままでいい……」
「エヴァンジェリン可愛い」
パフェの器を渡し、エヴァンジェリンの小さな体を抱き締める。こんな行為をするんだから恋人に見られてもしょうがないかなぁ。浮気で怒られそうだよ。
昔は寂しそうにするエヴァンジェリンを人の温もりを伝えるために抱き締める事も多かったので今更恥ずかしがるのも変な話だ。これで恋人じゃないんだから詐欺だよな、ホントに。
「何だかなぁ」
「だよねぇ」
同じ事を思っていたようだ。
「というわけだから付き合え。昔の女なんか忘れて私だけを見ればいいだろ」
「いや。だからさ。もう少しだけ待ってほしい。お話をしてから決めたいんだ」
「どうせあっちも忘れているって」
ネガティブになる発言だけは勘弁してくれ。そりゃ、今まで頼って心の拠り所にしているんじゃないかとは思うけど最近は露骨ってレベルじゃねーぞ。
抱き着いているとエヴァンジェリンはだいしゅきホールドに変更した。足までしっかりと腰に回して離さないと言わんばかりに締め付けてくる。意外と子供の力は強いから油断ならんよなぁ。
「さて。飽きないように新しいキャラを作るか……お兄ちゃんだーいしゅき」
この後滅茶苦茶(ry
だいしゅき発言に萌えたのは初めてだ。だいしゅきホールドに加えてあのエヴァンジェリンがだいしゅき発言をするとは思わなかった。あれはやばい。
「マスター助けて」
「のっ!?」
わはーやらあはーと無表情少女にしがみつく子供三人。無表情に見えて少し困っている感じが契約パスから伝わる。懐いている感じを見れば、もしかするとボクよりも懐かれているんじゃないか?
と思ったらターゲットを変えて三人は足にしがみついてよじ登ったり抱き着いたりと忙しくなる。もうさぁ、保父さんにでもなれってか?
エヴァンジェリンズリゾート。別荘と呼んでいるダイオラマ魔法球という商品の中で遊んだり寛いでいる。時間の流れを変えたりする点では通常のダイオラマよりも高性能のものだが。
昔は貴重で貴族の嗜みというか趣味で集められているので数は少なく、手を出せないでいるほど高価なもの。今はもう魔法世界では普通に売られている。まあ、まだ少し高価かもしれないけど。
ボクも買おうかと思ったけどエヴァンジェリンからプレゼントされて改造途中だ。中身を好きに変えられるのが利点で色々と土地を開拓したり海を拓いたりと大忙しである。
エヴァンジェリンの場合だと自分の住んでいた城を中に移してそこから微調整して今のリゾート地に相応しい場所に変えた。転移魔法の応用で物を移したりできるそうで無断で土地を削って移しているのだとか。
……月を盗んでプレゼントするとかって言葉を思い出した。月を削ってダイオラマ魔法球に入れてやろうかね。
いや。まさかあのクレーターは……。
「マスター。タッチ」
「お前、面倒を主人に擦り付けるのか」
「マイスターはマスターならなんでもできるって」
「おんどれクソ野郎」
あ。痛い痛い。髪の毛を引っ張らないで。
「エヴァンジェリンからの調整は終わったの?」
「ん。バッチリ。試す?」
グッと拳を握り締めるソフィ。可愛いけど終盤の彼女だと恐ろしくて敵わない。リトルクイーンと合体したバージョンだとどれだけになるんだ。ババア声は勘弁な。
ソフィがバージョンアップすればそれだけ魔力消費は激しくなるだろうと覚悟をしていたが意外と燃費はいいようにできているのだろう。魔法世界でも珍しい魔力を生み出す不思議な石を使っているからかもしれない。
偶にあるよね。素材アイテムなのにインチキとしか思えないようなネーミング。魔法石アダマンタイトみたいなの。
魔導コアを核とした魔導人形みたいなソフィだな、おい。胸が開いてレーザーでも撃てるようになるのだろうか。
「それはいいからこの子等の世話を……おい待て。手を振りながら逃げんな」
「んっ。その子、マスターが好き。お任せする」
「好きだから任せるのはおかしくね!? マジで逃げんじゃねぇ! ボクを守ると言ったのは誰だ!」
必死に止めてもうちのソフィは冷たいようである。子供三人を押し付けてどこかへ行ってしまった。
やめろよ。やめてくれよ。子供の純真さに心が痛むんだよ。エヴァンジェリンには心が汚れているとか言われているのでそれが原因だと思うんだ。クソなのが悪いのか。
サトリの子供、ドラゴンの子供。扱いも難しい。心を封じなければサトリの子供は泣き出すし遊んでやらないとドラゴンの子供は拗ねる。玩具にされて髪の毛を引っ張られるので勘弁してくれ。
性別はサトリの子供は女の子、ドラゴンの子供は男勝りの女の子……二人。そこは男の子と女の子の双子だろうが。
えー。えー。えー。子供の扱いはないんだぞ?
前にさ。ちょっとだけ気を抜いて心を覗かれてエヴァンジェリンの情事を見られて何をしてたの? と聞かれて気まずい感じになった事がある。純真な子供の残酷な言葉だよなぁ。子供はどうやってできるの? ってレベル。
「あ、いや。これは何でもないから。ね?」
性教育のタイミングで難しいよね。オカンとかオトンもこんな悩みをしていたのだろうかとしみじみと思う。
エロ本とか読み始めたタイミングも中学生ぐらいだったかね? 大体はエロに目覚めた同級生の自慢か何かでエロ本とかAVとかを知るよね。ボクだとクラスメイトのエロい奴に教えてもらったかな?
そこで賢者モードに到れるかどうかでクラスの位置は決まる気がする。早くエロを知る者は人気者になれるとわけのわからない事を言っていたクラスメイトがいた気がする。
「もう疲れたでしょ。お昼寝の時間だけど眠たくない?」
こんな感じだったかね。保育園は。お昼寝の時間なんてものがあったようななかったような。寝クソする子もいたような覚えがある。
今の今までずっと遊んでいたから疲れていると思う。ソフィに絡んだりチャチャシリーズの誰かと海で遊んだり。見渡す限りの海原と砂浜で疲れも吹っ飛びそうだが。
子供はヤンチャだからねぇ。ドラゴンの双子はまだまだ元気一杯だし。サトリの子は少しウトウトしている気がする。
一番眠たそうなサトリの子を抱き上げ、ドラゴンの双子を宥める。というか鬱陶しい。
「チャチャーチャチャー! 寝かせるから誰か手伝えー!」
「はいマスター」
「……見てただろ君等」
「はい。マスターがマスターの困る所を見て楽しめと仰っていましたので」
「クソエヴァンジェリンめ!!」
「ふぇ……」
「ああ、ごめんね。怒ってるわけじゃないから」
どうもサトリの子は怒りの感情に敏感で怒鳴るとすぐに怖がるらしい。奴隷商人とかも怒りながら“教育”してたんだろうから怒鳴られるのは怖いのかもしれない。
クソ野郎共。イエスロリータ、ノータッチだろうが。ボクはロリに手を出したけど愛でなければ男は名乗れないだろうが。死ね。
やっぱり少しだけ残すんじゃなくて皆殺しにすればよかったかもしれない。うむ。次は顧客に“報復”してやろう。
「エヴァンジェリンに伝言。近い内にこの子等を種族の元に帰すよ。その後に計画を再始動させるって」
「かしこまりました」
「奴等に……おっと。平常心平常心」
このサトリの子と一緒にいると閉心術なるものを嫌でも習得できそうだ。ダンブルドア校長にでもなるつもりかボクは。
まあ、ボク等の“敵”は誰もが知っているようで知らない相手だ。知れたのも昔の縁というか何というか。ここが別世界だと知った今、最も帰れるであろう手段を持っていると思われる人物だと思われる。
端の部分から潰して大元を叩き出す。エヴァンジェリンと決めた事でもう前から動いている。
今は三人の女の子の世話で動けないけど何れは再開する。
「寝かせたら少し世話をお願い。こっちにも準備があるから」
この子等の誘拐と奴隷化にも関係しているらしいから、な。
エヴァが可愛い回。オリ主が胸の内を明かした事で必死に引き止めようとしているようです。
何かねぇ。別に貶してるわけじゃないけどオリ主はアクエリオンの一万と二千年から愛してる的なロマンチストな純粋なゲスさん。何も自分が知っている愛が愛の答えではないと考えてます。
まあ要は人の愛の形なんて人の数だけあるってこった。もし長年寄り添う方を優先するのであれば夫婦の浮気なんて世界に存在してないと思うんだけどね。好きになったら好きな人を愛するって事ですな。
長文コメスマソ。