真祖の眷族   作:賢者神

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 書き直すのもめんどくさいので真夜中のテンションのまま書いたのを投稿。

 ほ、ほら! ゲスなのに少し優しい部分を見せて好感度を稼ごうとする汚い戦法だと思ってくれれば!
 あれ? 本音を言ってる?
 あとがきで言い訳させてくれ。






引き取る

 

 

 

 

 

「ま。そういうわけだから」

 

「お前は話題に尽きん奴だな。退屈せん」

 

「まあね。行く先行く先にトラブルに巻き込まれる体質らしいから解決するのも当たり前になってるんだよ」

 

 

 そして根こそぎ“見舞い品”をもらう。

 

 返り討ちとはいってもただの強盗である。戦利品とも言える品々は大量、だけど役立たずばかり。売り飛ばしたものが多い。

 

 

「……まさかとは思うがウェスペルタティアでの事件は」

 

「耳が早いね。そうだよ」

 

「何をしてるんだ全く……」

 

「ほら。ボク等は悪の魔法使いだからね。悪なら悪らしく汚名を被って事件を起こしてあげたんだ」

 

 

 そうすれば正義の魔法使いはボクを討伐するという名目で力を増せるだろう。そうなれば更に恐怖のドン底に落とせる。まさに天国から地獄へ。前からエヴァンジェリンと相談して決めた事だ。

 戦利品の品々は“奴隷商人”からのものが多い。それだけで悪であると断定はする短絡的な思考の老害ばかりだ。

 

 

「口止めもしてある。ボクが金の欲しさに“彼等”を売り飛ばしたのだという事にしてあるよ。証言をさせて有利にしようとも逆に不利になるように計らってある」

 

「クククク。面白くなってきたな」

 

「対人恐怖症の一部の子は引き取ったよ。ボクの催眠療法で少しずつ人に慣らして社会に参加できるようにしようかと」

 

 

 三人の子供を引き剥がしてエヴァンジェリンの前に出す。エヴァンジェリンが怖いのだろうか、彼女の目から逃れようと服の中に隠れようとしたり後ろに回ろうとしている。

 あ。何かエヴァンジェリンがしょんぼりしている。子供は好きなエヴァンジェリンだからそんな態度をされるとショックだろうね。

 

 

「亜人の中でも特異的な子でね。酷い“教育”を受けたらしいんだ。助けたボクは怖くないようだけど優しい人ですらも怯えるんだ……あ、こら。鼻水をつけるんじゃない」

 

「……む。サトリの気配か? 混ざりもの(ハーフ)なのか」

 

「や。少し違うね」

 

 

 あれだ。魔族大隔世に似た現象だろう。三人に共通するのは何れも先祖に強力な人外やら魔物やら悪魔だったりが存在して遺伝が覚醒したみたいな? 詳しい事はわからずだ。

 

 

「この金眼の子はサトリらしい。こっちは双子、何でも龍種の王族の子孫だとか」

 

 

 あれだ。新しいヒロインを出そうとして超サラブレッドのチートにしかならないような設定だ。こんなあからさまなのは結構好みである。

 

 

「まさかサトリをこの目で見る事ができるとは思わなかった。人に化けられる龍種も珍しいなんてレベルじゃ――」

 

 

 エヴァンジェリンの言葉は途中で切られ、三人の子供はピエーと泣き始めた。もう大泣きなのでエヴァンジェリンはすぐに慌て始める。

 これはエヴァンジェリンが悪い。珍しいという言葉はこの三人には禁句だ。商品にするために珍しいものを集めるのが仕事らしく、三人共珍しいという言葉がトラウマになるくらいトラウマになっているのだ。それこそ大泣きするレベル。

 こうなると止まらん。感情が暴走して本来の姿になって暴れるなんて事にならないだけが救いで一番の被害は服に涙やら鼻水がべっとり付着する事くらい。

 

 

「な、何か悪い事をしたか?」

 

 

 オロオロと泣いている子供を宥めようとして引っ込めるエヴァンジェリンに言葉は伝えずに文字で伝える。

 念話も駄目。サトリの子供は念話なら何でも盗聴できるのでボクとエヴァンジェリンの間の念話パスに割り込んでまた大泣きする言葉を言ってしまいそうなのだ。紙に書いて伝えるだけ。

 

 エヴァンジェリンなら自分の心を閉ざす賢者モードになれるはずだ。

 

 

「うああああああああああん!!」

 

 

 無駄だったようだ。

 

 

「何をしてんのエヴァンジェリン。自分の考えを読ませたら駄目じゃないか」

 

「そんなのできるかぁ!!」

 

「びえええええええええええ!!」

 

「私が悪いのか! 悪くないだろうがああああああああ!!」

 

 

 あーも。滅茶苦茶じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま。そんなこんなであの子達は暫くボクが治療するから。ボクにしか懐いてないし」

 

「もう嫌だ……」

 

 

 疲れ切ったエヴァンジェリン大人バージョン。子供は好きらしいがこんな風に大泣きされて嫌われると心は痛むだろう。最後まで大泣きしてボクから離れないのは相当堪えるだろうと思う。

 やっと寝たんだがサトリの子はエヴァンジェリンが近付いただけで飛び起きて泣きそうになる。エヴァンジェリンのメイドロボが世話をしているから大丈夫だろうけど彼女はかなりデリケートなので対応には注意をしないと。

 というよりもこの子、どっかで見た覚えがあるんだよねぇ。

 

 

「ウェスペルタティアの奴隷専門孤児院のシスターですらもお手上げらしいから。あの双子は力が強いし彼女は読心で捕まる事から逃れようとして世話は無理だってさ。膂力は互角のボク等、サトリ対策のボクがいるから引き取ったんだ」

 

「相談ぐらいはな。しろよアホ」

 

「アホで悪かったね……それに双子は世話だけじゃなくて実験の協力をさせるつもり」

 

 

 龍種の王族の末裔。ドラゴンの最強種の力を宿している事と同意義だ。研究者や科学者なら人道から外れても欲しいと思う実験材料だろう。悪い言い方をすればだが。

 魔導書の中に火で最強と謳われるドラゴンの吐息、炎の吐息が書かれていた。それも王族のものだ。火の適正を持つ自分としては何よりも欲しい“道具”の一つだ。ドラゴンの炎と人に化けられるドラゴンの子供の血があれば……。

 

 

「どうした?」

 

「いや。邪な考えを逃がそうと……」

 

 

 駄目駄目。相手は子供だ。利用するなんて邪な考え方は絶対に駄目だ。

 

 

「少し聞きたい。サトリの子供は知り合いか? お前のあの子を見る目が少し違っていたからな」

 

「鋭いね、相変わらず」

 

 

 観察力もずば抜けているよな。

 

 いや。見覚えがあるだけで知り合いがどうとかってレベルじゃない。記憶から引っ張り出してもどこで見たのかハッキリと思い出せない。凄い身近なのは確かなんだが。

 顔じゃない。面影でもない。こう、雰囲気が誰かに似ている気がするのだ。サトリ特有の空気なのだろうかと思っているが実際はどうだか。

 

 

「ふん? 雰囲気が似ている?」

 

「うん。身近にいた誰かにそっくりなんだ。残念だけど誰かは覚えていないんだ。もしかしたら未来でのお話かもね。あの時はもう思い出せないんだ」

 

 

 それこそ手帳を見ないとわからないほどに。どんな人柄とかは思い出せるけど顔は覚えていない。記憶を覗く魔法があるけどエヴァンジェリンから禁止命令を出されて見れない。本当に何だっけ?

 ホームシックになる覗く魔法。前に極限の欝になって再起不能になった事もあったから多分それが原因。

 酷いんだぜ? ボクを正気に戻すためにエヴァンジェリンはぬちょぬちょ腹の上で跳ねて搾っては搾ってたんだべ。強烈なショックとセックスを結びつけるエヴァンジェリンは淫乱に違いない。マグロでなければ罵声プレイでもしてやろうかと思ったのに。

 

 

「言っとくがもうあれは使わんぞ。幻術でも精神が壊れるほど脆いんだからな」

 

「あれだ。強烈なチートに対しての些細な小さな弱点? 精神が弱いとマギア・エレベアの制御は難しくなるんじゃなかったの?」

 

「適正が高いお前ではそれはない。寧ろ少しは壊れて自分の置かれている危険な立場を理解しろとな……」

 

「騎乗位はなしね」

 

「ふむ。だいしゅきホールドの腰振りはいいのか?」

 

「対面座位難しいだろ。何でだいしゅきホールド知ってるんだ」

 

 

 記憶を覗いたのは何も自分だけではない。過去にエヴァンジェリンは覗いて自分の正体を知り、様々な知識を吸収している。そこからの知識なのかもしれない。

 エヴァンジェリンはボクよりも記憶力はいいし。何年も経って覚えておらず忘れていた自分と違ってほとんどを記憶して覚えている。興味を持っている事なら覚えていてそれが自分の知りたい情報なら教えてくれる。

 が。残念ながら初めての彼女関連の記憶は無かった事にして記憶から消し去っておるので無理ですな。

 

 

「ふん。彼女なんて画面の中の彼女だろう。見栄を張らずとも私がいるじゃないか」

 

「本当の事なんだけどなぁ……」

 

「そもそもまだ帰るのを諦めていないのか。もう諦めてここにいろ」

 

 

 最近はこれだもんな。いっつもエヴァンジェリンは事ある毎に残るように言ってくる。今になってその頻度は上がっている。

 まあ、ずっと考えられたはずなのに考えられなかった事が本当になったからねぇ。

 

 デロリアンを知っているならあの理論も本当になる。スポーツ年鑑で未来が変わった世界線のようにタイムトラベルをした時にそれが本当に自分のいた過去であるはずもない可能性があったはずなのに。

 ずっとずっと帰れると思っていたのに。と後悔するだろうがそんな事をしている暇があるのなら前を向いて歩く。

 

 って格好良い事を言ってみた。

 

 

「ごめんね。本当はここにいるのもいいんだけどまずあっちでやる事を終えてから決めさせてね? 折角の彼女にもお別れを言うのかそのまま付き合って恋を楽しむのか。もしかしたらエヴァンジェリンを選ぶかもしれないし、この世界から一生お別れするのかもしれないんだけどね。いいかな?」

 

「優柔不断とも言える決断だな。聞くが、共にあり続けた私よりもその彼女を選ぶのか? 私ならお前の望むプレイでも何でもしてやれるんだぞ?」

 

「真面目な話なんだからそっちの話はなしね。確かにエヴァンジェリンは魅力的だし彼女にも嫁さんにもしたいけどやっぱりね」

 

 

 この目的だけは覚えている。家族に会う、彼女に会う。それだけを胸に秘めて未来に帰る方法を探し続けた。

 結果はこの世界は自分の知る世界ではないこと。絶望的になったが元いた時代が近付く度に自分に風向きが来たように帰れそうな手段に利用できそうなものが転がり込んできた。龍種の子孫の双子にしかりだ。

 

 

「やっぱりね。最後はキッパリと別れたいんだ。ボクが生まれて初めて好きになった彼女さんだからね。その思いは異性に対する好意の何よりも大事だと考えている。外道に成り下がったボクが言う事じゃないけど純粋なこの思いは大事にしたいんだ」

 

「……意外とロマンチストなんだな」

 

「でしょ? 自分でも信じられないよ」

 

 

 悪であろうと、畜生に身を堕としてもこの彼女への思い、想いは変わらなかった。家族への愛もだが、初めてできた彼女はこうも愛する事ができるのかと自分でも驚いている。

 ボクの完全な自己解釈かもしれないけど母親や姉以外に女の人を好きになるとこうも愛おしく感じるものなのか。へへ。酷いロマンチストだぜ、ボク。

 

 

「お前が決めたならもう言わん」

 

「ごめん」

 

「いい。お前にはたくさんの幸せを貰った。男を愛すること、成長しない体が成長できるようになったこと、何よりも吸血鬼の私を愛してくれたこと。それだけでも十分だよ。願わくばお前と共に永遠にありたかったが」

 

「それは彼女に全てを明かしてからの反応次第だねぇ……」

 

 

 ……今まで考えなかったが化け物(ヴァンパイア)になったボクを彼女は受け入れてくれるのだろうかとふと怖くなった。

 

 

「あ、ははは。クソ。こんな思いをするなら心も畜生に堕ちてくれればよかったのに」

 

「心まで堕ちたらその彼女もここまで想えなかっただろう。中途半端に変わったせいで中途半端に苦しんでしまう」

 

 

 今だから明かすとエヴァンジェリンは語り出す。大人に成長し、心身共に成熟したエヴァンジェリンはその胸の内を。

 

 度重なる洗脳と誘惑。エヴァンジェリンが暇があればそれを行ったのはボクをエヴァンジェリンだけのものにすること。レイプした男が相手とはいえ、好きになってしまったのだからしょうがないのだとか。

 後はボクを完全に吸血鬼にする事だとか。中途半端に人間のままでいると思考も人格も歪んでしまうのだとか。だからゲスになったのか。ゲスである自分と彼女を想う気持ちが均衡して余計に苦しんでしまうのだとか。

 言われれば心当たりはあるのだが、今だとどうもエヴァンジェリンがボクを帰らせないようにしているようにしか思えない。

 

 

「だからな。真面目に言ってるんだぞ? 私はお前のためにだな」

 

「嬉しいけどまだ人間でありたいんだ。せめて彼女とお別れするまでの間は」

 

「変なところで頑固だなお前は。女なんかそれこそ星の数はいるだろうに。そもそも女と寝まくったクソ野郎のお前がその彼女に好かれると思うのか?」

 

「一番気にしてる事言わないでよ……」

 

「女は他の女の匂いに敏感だからな? 匂いにしかり臭いにしかり。香水やら交わった時の性臭やらな。自分が好きな男ほどその臭いには敏感だぞ。フフフ、フーフフフフ」

 

 

 絶対に楽しんでいるよこの人。というかエヴァンジェリン。

 楽しそう、ではなく愉しそう。愉快そうに笑いながら腕を組むエヴァンジェリンはボクの未来を予知して笑いを堪えずにいるのだろう。

 彼女さん、浮気とか絶対に嫌いなタイプだもんな。もう100人はセックスした浮気者を彼女はどう思うのだろうか。嫌われるなぁ……いや、磨いたテクニックでメロメロに! ただの畜生じゃねぇか! 畜生!

 

 

「ハハハハハ!」

 

「五月蝿いよ! そんなにボクの不幸が嬉しいか!」

 

「まあな。私を選ばなかった囁かな復讐だと思えばいいだろう? 精々苦しめ。フーハハハハハハ!」

 

 

 そんな時、エヴァンジェリンの高笑いに呼応するように遠くから子供の泣き声が聞こえてくる。ピタリと高笑いは止まり、形勢逆転と言わんばかりにエヴァンジェリンは落ち込む姿を見せる。

 

 

「マスター、マスター。子供が泣いておりますがどうしましょうか」

 

「……」

 

「ボクが行くよ」

 

「……ああ。頼んだ」

 

 

 沈黙するエヴァンジェリン。呼びに来たエヴァンジェリンの従者人形、メイドの……メイドの……。

 

 

「チャチャ13です」

 

「サーティーンね」

 

 

 名前はチャチャから始まって数字で呼ばれる。ゼロから始まって何体いるのだろうか。暫く見なかったからまた増えているのかもしれない。

 チャチャサーティーンに案内され、三人の子供が寝る部屋に。大泣きしているのはサトリの子供、もうそれはもう大泣きだった。あれ。子供ってこんなに大泣きするものだっけかと不思議に思う。

 

 

「何で泣いてるの?」

 

「マスターの姿が見えないからでしょう」

 

「ボク? そんなに懐かれてるのか……」

 

 

 子供好きって女性受けするのかはわからないがこんなのだったらごめんだね。

 まいったなーと頭を掻いていると大泣きしていた子供がこちらを見て自分を見つけ、不安な気持ちを打ち消そうと足にしがみついてきた。鼻水がまた――。

 子供に懐かれるのは心が清らかでなければならなかったのではないのか? もしかするとベジータ王子のようにツンデレ純粋なのだろうか、自分も。純粋な悪でも超サイヤ人になれるらしいし。

 中途半端な悪意よりも突き抜けた悪意は善意に変わる……ないない。

 

 

「あー、サーティーン。飯の用意はできる? この子等、マトモな物を食ってないらしいから今日は豪華に」

 

「はいマスター」

 

「世話はこっちが見るからエヴァンジェリンにも伝えておいて」

 

「かしこまりました」

 

 

 トラブルは絶えんなぁ。暫くは研究も情報収集もお休みかね。

 

 

 

 

 

 





 エヴァンジェリンはもう大人になれたようです。UQホルダーの雪姫ではなくネギ君と停電で戦った時の大人の方だね。自然に成長したエヴァンジェリンだと思えばよろし。

 エヴァは年齢詐称薬でロリにも美女にもなれる。甘える時はロリでいる事が多いようです。膝に乗るには小さい方が犯罪臭も姿勢も楽だもんね! あーんをしてもらうのはお気に入り。


 い、言い訳をさせて。今回はゲスな部分を緩和させようと子供の純粋な部分を見せてオリ主を苦しませてやろうと思っているんだ。名前が今まで出ないってどういう事なの……?

 サトリなのは精神面の強化? 龍種は神竜さん? うとうとしながら書いていたのでわかねーお。サトリを出したのは多分、おなかにいっぱい……いや、なんでもない。神竜は時間を越える時にあー、これかーだと思う。ごめんね。

 まあ、オリ主がエヴァよりも未来の事を考えていたのはチェリー独特のおにゃのこ依存でして。初めて好きになってカップルになれた感動を忘れずに別れるにしてもちゃんと話し合わないとというのが原因。最初はネットの環境がないから未来のがいいというのが主だったりする。

 ネットがなければ三日で発狂できる自信がある。それに耐えられたからこそオリ主さんはマギア・エレベアに耐えられる精神力が……よし。そういう事にしよう。行き当たりばったりで設定を決めるのもいいね。

 設定に違和感ないよね? ないと言ってくれバーニィ!




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