真祖の眷族   作:賢者神

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 ここで打ち止め。一週間に三回か四回できればいい方かな?





得る

 

 

 

 

 

 フーハハハハハハ! 滾る! 我が力が滾る! 漲るぞォ!

 

 ……ふぅ。

 

 

『な、なんて実力だ! 彗星のごとく現れた謎の男、ストレートで優勝をもぎ取ったぁ! 圧倒的な強さに長年司会を務めた私も驚いているぞ!』

 

 

 何でこうもテンションが高いのかこの司会役の人間。漫画とかにも無駄にテンションが高い司会がいるけど受付の女性の手の仕草のようにそれをやる事は決まっているのだろうか。もしそうなら世界って意外と狭いんだと思う。

 うーむ。伝統ある大会だとは聞いていたが簡単に優勝できた事を考えればレベルは低いのだろうかこの大会。もしくはボクが強すぎるのか。

 

 質素な格好でポケットに手を突っ込みながら倒れ伏す相手を見る。普通の人間なら間違いなく強い部類に入っていると思う。

 それでも世界最強種のエヴァンジェリンに鍛えられたボクには勝てぬのさ。フハハハ……ふぅ。落ち着こう。

 

 

(終わったよ。そっちはどう?)

 

(む。そうか。こっちも終わったぞ。まほら武道大会の警備に人員を割いていたおかげですんなりと行けたぞ)

 

(オケー。賞金を受け取ったら合流するよ)

 

 

 念話で離れているエヴァンジェリンと連絡を取る。あちらもやる事は終えたようで順調に事を運び終えたようである。

 や。何か手加減をするだけで肩が凝ったよ。あまり強くしすぎると殺してしまうから細心の注意が必要だった。一番強い者でもワンパングモッチュイーンだもんな。

 

 馬で麻帆良の学園都市に来た。道中、盗賊に襲われるとかイベントは特になく昼の間に人のいる場所まで行けて宿に泊まる事もできた。意外と宿らしい宿はあるもんだ。

 野宿を覚悟していたが夜の間は睡眠の必要がないゼロを見張り番に立たせて時間の流れを外界と同じにし、エヴァンジェリンの豪邸で休む事をしようとしたが要らん心配だった。各地名所の食べ物も堪能できたのでよし。昔の飯も美味しかった。

 麻帆良に着いてからは麻帆良学園に滞在しようとしたが、学園都市だからなのか外から来た者の宿泊所は中心から離れた場所だったのでどうしようかとも考えている……試合の真っ最中に。余裕だなボク。

 

 

『では優勝者に賞金を』

 

「こちらをどうぞ」

 

「どもー」

 

 

 それにしてもまほら武道大会か。着いて早々、金を稼げてラッキーだった。麻帆良学園名物と噂されていたが結構な武術家やら武道家もいたので実力者の腕試し場所でもあったのだろう。

 主催者から金の入った袋を貰い、中身を確認した。ふへへへ。これでしばらくは持つぜ。

 と、言いたいところだが更なる金稼ぎをするために主催者に提案しよう。お代官様ごっこをするように耳打ちをする。

 

 

「ちょいとまほら武道大会の主催者に会わせてくれませんかね? いい話があるんですが」

 

 

 ふへへへ。金が絡むとゲスっぽくなるぜふへへへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけで安定しているっぽい収入を得る機会を得ました。賞金は減ったけど別にいいよね?」

 

 

 ハァ? と言いたそうな顔をされた。酷いな。これでも知識を絞って考えた金策なんだよ? というかそもそもの原因は誰だっけ?

 

 

「何をしたんだお前は」

 

「この学園伝統のまほら武道大会の優勝者は毎回違うらしいんだ。つまり、まほら武道大会の“象徴”があるようでないのが現状なんだ。そこでボク」

 

 

 そう、ボク。圧倒的な実力で優勝したボクはその“象徴”になるのだ。つまりはヒーローになる。

 もっと言えば広告塔。宣伝の意味も含めて自分はまほら武道大会のチャンピオンになって観客を盛り上げる役目を担う事を頼んだ。安定した収入も得る事ができるわけだ。ファイトマネーってやつ?

 主催者側は断ると思ったが乗り気で助かった。どこの馬の骨かもわからない奴を広告塔にするのも危険だと思うんだが人は強くて憧れたい人間を望むからなぁ。人間じゃないけどそこは気にしない方向で。

 

 

「あー、まほら武道大会の優勝者として名を売ったのか」

 

「ほぼ全員ワンパンで沈んだからね。強さの証明はできていただろうからそれも了承してもらえた事の一つなんじゃない? ついでだけど伝書鳩も契約しておいたから。呼ばれたら応じるよ」

 

「まあ構わんが。すまんな、苦労をかけて」

 

「いいよ。情報を集めるのにもお金は必要でしょ? 頑張って稼ぐよ……どしたの? 胸を押さえて。ちっぱいでも気にしないよ?」

 

 

 胸を押さえて苦しそうにするエヴァンジェリンを変に思ったがひんぬーでも構わないよボク。エヴァンジェリンは感度が高いから……えっふん。

 

 

「お、お前は心を抉るのがエグいな」

 

「? 傷つく事を言った?」

 

「て、天然で時々やるから油断できないんだコイツは……!」

 

 

 貶されてる気がするけど何かやったのかね、ボクは。時々エヴァンジェリンに責められる事があるがそれなんだろうか。

 

 

「そっちはどう?」

 

 

 金稼ぎもいいがこっちも気になっていた。職業魔法使いならやっぱり良い杖は持たねば。後はトンデモ効果がある魔法属性耐性ローブかな?

 世界樹の木の枝を形を整えて杖にするのはエヴァンジェリンの麻帆良学園に来た大きな目的の一つ。麻帆良学園の中心にある大きな樹はかなり目立っているしエヴァンジェリンによれば世界樹の力で強力な結界が張られているらしい。

 “認識を狂わせる”のを目的としているとも。すまんがよくわからん。エヴァンジェリンは何でもわかるんだなぁ。

 

 

「七本の枝は取れた。子供用から大人用に合わせるために幾つか繕っておいた。帰ってから作るのが楽しみだ」

 

「楽しそうだね」

 

「まあな。魔法媒介としてはこれ以上にない素材だ」

 

 

 これだけの結界が張れるほどの魔力を秘めた樹だからそりゃそうだろ。世界樹の名に恥じないものなら規格外の効果は期待できる。ある作品だと世界すらも支えてるんだもんな。

 それはそうと、魔法媒介の杖を作る手順も必要となると魔法使いの杖すらもエヴァンジェリンは作れる事になるのだろうか。本当に何でもできるようで尊敬の意しか抱けないよ。魔法を使うための必要な魔法媒介、指輪も自作できるもんなぁ。

 自分の指の大きさに合わせる事もできるから手先は器用だとわかる。小指の太さにもピッタリだし、特殊な金属で成長に合わせる事も可能なオンリーワンの作品だ。

 

 この指輪は形状記憶合金の一種だと思っていいのか? 伝説上の金属らしいから贅沢だよな。ブルジョワなエヴァンジェリンだからこそ贅沢な使い方だ。

 

 

「魔法媒介といえば、だ。それはまだ大丈夫なのか?」

 

「あー、わかっちゃう? 実はもうガタガタし始めているんだ。騙し騙しで使っているけどそろそろ砕けそうなんだ。修理はちょこちょこしてるけど術式兵装と大魔法を同時に使えば持たないかも」

 

「む、むむむ。結構頑丈には作ってあるんだがやはりお前では持たんか」

 

 

 小指にある指輪を見れば所々に罅があるのがわかる。それに少し煤のような黒いのも錆のように付着してもおり、所謂故障寸前なのだと素人のボクが見てもわかる。

 今まで大魔法をホイホイ使って負荷を与えまくっていたから当然か。もう少し大事に使えばよかったと今になって後悔した。物は大事に扱わないとだ。

 

 

「私は杖を作るのに忙しくなる。新しいのを用意してやりたいが神経を使う作業だから同時進行はできんぞ」

 

「迷惑はかけないつもりだよ。作り方を教わりにアリアドネーに行こうと思ってるんだ」

 

「……言っとくがまだ指名手配は解けてないぞ。お前、アリアドネー最悪の性犯罪者と呼ばれているからな? あれだ。ライオンの群れに飛び込む餌だぞ」

 

 

 うぐ。まだボクはレイプ犯のままか。レイプじゃなくて和姦なのに何で強姦魔扱いにされてんの? 僻みなのか? モテない野郎共の。

 くそぅ。何でこんな事になったんだ。元童貞野郎はセックスするなってか。何で僻みだけで指名手配されてんだよ。強姦魔だと広めた奴出てこい。首の骨をへし折っちゃる。

 

 

「ハァ……」

 

「ど、どうした? いきなり溜め息なんか吐いて」

 

「いやぁ。もう本気で世界を滅ぼそうかなーって」

 

「待て待て待て待て待て。何を血迷っている。何故そんな結論に行き着いた」

 

「もうさぁ。世の中の野郎共を殺してボクだけのハーレムを築こうかなって思ってるんだ。僻みや妬みでこんな事になるなら殺そうかなぁって」

 

「あのなぁ。それくらいは我慢しろよ。得をしているのはお前の方なんだぞ? 女を喰いまくって種をバラ撒い……」

 

 

 それ以上はいけない。エヴァンジェリンの口を思わず塞いでしまった。

 

 

「種をバラ撒くって表現はやめよう。吸血鬼になったから繁殖能力はかなり低下してるんでしょ? つまりは種無しとも言っていいんじゃないの? どれだけ出しても妊娠はせんと思うよ」

 

 

 フィニッシュはぶっかけですので。種無しの割には出る量は馬並だから女の子の方がお腹が苦しくなるかもしれないし? ギャルゲとかエロゲの主人公か。隙間から溢れるなんて普通はありえねーよ。

 逆に種として人間よりも上になったから確率は高まると思ったんだけどな。やはり悪魔でなければ駄目なのか。オークとかゴブリンとか。

 

 

「もはっ。た、確かに女を孕ませる確率は低くなっているがそれは女の場合だ。クォーターヴァンパイアのお前は人間の種と絶対的優位種でもあるヴァンパイアと合わさって精子は強力だ。魔力も含まってるし、絶頂しすぎて下手すれば快楽死するぞ、女」

 

「誓います。ボクはもうセックスをしません」

 

「どうせ我慢できんだろ」

 

 

 うぐ。反論できん。女性の数だけ快楽の数もある事を知ってしまうとどうも定期的にセックスはしたくなる事は否定できない。自分で処理をしろと言われてもあの快楽を知ればオカズにすらならんぞ。

 ボテ腹も見てみたい気がするけど女性は大事にしないとね。そこまで堕ちないよ流石に。エイリアンのあれがトラウマだからかねぇ。ボテ腹苦手なの。プレデリアンマジ怖い。

 

 

「まあ、何だ。私が相手をしてもいいが底無しなんだよお前は。負担を軽くするためにも他の女で発散はして欲しいんだが」

 

「もうヤリチンなのかボク」

 

「ヤ、ヤリチン? 節操なしを未来でそう言うのか。どっちにしても私としては壊しても構わんからヤりまくれと言いたいんだが」

 

「えー。エヴァンジェリンの事を反省して女性には優しくってのがボクのモットーにもなっているんだけど」

 

 

 フェイトさんの勝てなかったよをやらせたいとか言ってた昔の自分はクソだ。自分の欲望に忠実とはいえあれは最悪すぎた。アリアドネーの女の子が優しくて気遣う余裕が出たのは不幸中の幸いだった。

 気の弱い少年が逆レイプされると途端に強くなっておねだりしろとかなるパターンじゃなくてホッとした。おねショタも似たようなモンだけど何とか外道レイパーにならずに済んだよ。気合で性欲を抑える手段を会得しといてよかった。

 

 

「……ふむ。久し振りに本気でやるか」

 

「セックスを?」

 

「アホか。物作りをだよ。杖に人形に魔法媒介、研究。お前のダイオラマの時間設定が最大限に発揮されるな」

 

 

 ごめん。今の話の流れからそう思ってしまったんだ。

 

 

「というわけで記憶を覗かせてもらうぞ。人形のデザインをこっちが考えてもいいが未来には素晴らしい人間の形をした人形がいるのだろう? それを参考にさせてもらう。もしよければお前が決めるか? 性欲処理の愛玩人形も作るから慎重にな」

 

「人形にまで欲情するなんて完全に救いようのない変態じゃないか。断固として違うと反論させてもらう」

 

 

 愛玩じゃなくて後方支援に徹底できるほど信頼できる戦闘人形。それも正常、常識、ノット非常識、ノット殺人狂のがいい。人形と聞いて浮かぶのはコスモスさんかなぁ?

 エヴァンジェリンならチャチャゼロがいる。他にも微かな精霊を人形に入れて荷物の整理をやらせる人形っぽいのもいる。元々、エヴァンジェリンは人形好きで人形使いとも言われているから人形を作るのは得意な方なのだろう。

 だが、だ。チャチャゼロはボクの頭に乗れる大きさだ。あまり大きな人形は手間がかかるしメンテナンスも必要になるのでエヴァンジェリンが作るにしても多分時間がかなり必要になるだろう。

 どちらにしても吸血鬼であるとはいえ、負担はかけたくない。

 

 

「そうだな……このローゼンメイデンとやらはどうだ? 水銀橙?」

 

「君はボクをロリコンにしたいわけ?」

 

 

 戦う人形さんってロリばっかりだけど。

 

 

自動人形(オートマトン)と魔法の融合……これは腕が鳴るな」

 

「ねえ。聞いてる? オートマトンと魔法は切っても切り離せない密接な関係があるんじゃ……」

 

「ふむ。愛玩人形、戦闘人形、メイド自動人形にしよう。取り敢えずお前の過去でいいなと思った被検体を選んでモチーフにさせてもらおう」

 

 

 おいやめろ。ボクの性癖が丸裸になるじゃないか。

 確かにおっぱいは好きだしちっぱいも好きだよ? だけど見た目がこういうのが好きとか探られて目の前に現れると微妙な気分になるじゃん。犯してぇ、やらこの子は俺の嫁宣言をしている手前、恥ずかしい思いをするのは目に見えているのだ。

 

 ……にしても愛玩人形か。オナホよりも気持ちゲフゲフ。

 

 いかんいかん。人形であれ女性には優しく。自分本位で交わるのだけは絶対に避けなければ。

 

 

「メイドまでいるの? 一箇所に留まるならまだしも逃亡生活をするようなボク等だと逆に邪魔にならない?」

 

「何を言う。家事を全て任せられるのだぞ。私は楽がしたいから作るんだ」

 

「それには賛同するけど料理は毎回行う事で腕を落とさずに磨けるんだよ? エヴァンジェリンが満足する料理を作れるようにキープするならサボる事だけはしたくないんだけど」

 

「む。それもそうか。私のために?」

 

「そだねー」

 

 

 第一の理由が五月蝿いからだけど。機嫌を損ねると大気が氷点下になって氷河期到来なんて事にはしたくないから必死なんだ。

 

 

「よし。暫くダイオラマに籠る。見張りは任せてもいいか?」

 

「わかった。その間に麻帆良から離れて昔の日本を見てみるよ。やっぱり故郷だから昔がどんなのだったか知りたいんだ」

 

「土産を忘れるなよ」

 

「オケー」

 

 

 暫くエヴァンジェリンと別れる事になった。別荘は持っているから別れるなんて大層な事でもないけど。

 エヴァンジェリンが作業する間は殺人狂のゼロとの二人旅になる。要所要所で常識は弁える方なので大丈夫かと思われる。大丈夫だといいな。

 ゼロのフラストレーションを発散させるために追っ手を狩らせよう。うん。そうしよう。ついでに金も奪うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「できたぞ」

 

「ご主人様、守る」

 

「マモレナカッタ……じゃねー! ボクはロリコンじゃねー!」

 

 

 別荘で一体の人形が完成した後のお披露目につい叫んでしまった。おいラント領の長男連れて来いよ。

 

 

 

 

 





 ゲットしたもの → 金45万ドル 神木・蟠桃の枝、大小七本 ファイトマネー支給決定権利(?) 麻帆良名物土産

 神木・蟠桃は変装用。大戦時の暗躍で大活躍。金は……わかるな? エヴァへの貢物だ。更にエヴァの良心を痛め付ける事でしょう。



 というわけでして次回より大戦。大分列戦争、ネギ君の父親のナギが活躍する時期ですね。軽く六十年は経過してます。その間はダイジェストで。

 また言われるかもしれないので先に。そもそも何で参加するか、何でこうなるのかとか後で書くので何でエヴァを優先しないの? みたいな事を言われても早漏フヘヘヘwwwと割り切ります。




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