真祖の眷族   作:賢者神

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 インジャパァン(巻き舌)







帰郷する

 

 

 

 

 

 

 

「ふぉふぉふぉ。えばちゃんはかわええのぉ」

 

「可愛いのは認めるが年齢を考えろクソジジイ。だから女性はオメーを避けるんだよ」

 

「ふぉふぉふぉ。コゾー、あんまりそんな態度をしているとワシ、教えんよ?」

 

「安心しろ。エヴァンジェリンがマスターすれば教わるから。見取り稽古でも覚えられるから無駄だぜ? にしてもボク等を簡単にいなせるなんて何者だよジジイ」

 

 

 ふぉふぉふぉと笑う髭を生やしたジジイ。白い道着を着て高らかに笑いながら下心丸出しで襲いかかる野郎共を投げまくるエヴァンジェリンを一緒に見ている。

 ロリに白い道着は似合うものだ。シャツがなければはだけてポッチが見えるだろうが対策で着させておいた。ジジイにも門下生にも睨まれたがどうということはない。

 

 

「小よく大を制する。合気道はそこが原点、全ての基じゃ。合気柔術も理念はそこの一点のみに集中しており、小さな力で大きな敵を制御して流す事こそが合気道の真髄。それを忘れてはならんぞ、えばちゃん」

 

 

 少女贔屓ワロス。門下生も同意せずに反論しろよ。

 

 にしても飲み込み早いなぁ。エヴァンジェリンは元々武術の才能はあった方なのでこの成長も当たり前と言えば当たり前だろうけど。

 今のボクの目なら見切れるッ! エヴァンジェリンが最小限の動きで門下生をぶん投げているのをッ! それはまさに芸術ッ! 彼女の動きは見事としか言えないッ!

 うーん。ジョジョのにわかファンだとボキャブラリーが乏しいな。というよりも少しだけでもよく覚えていたな。

 

 

「師範、終わったぞ」

 

「お疲れさんじゃいえばちゃん」

 

「おー、お疲れ。見事な投げ技だったよ」

 

「私ならではだな」

 

 

 相変わらずの自画自賛だな。だけどその自信は実力に裏付けされたものなのだろう。エヴァンジェリンは体術ならボクよりも遥かに上だし上達も早いのだと思われる。

 カメラがあれば道着姿のエヴァンジェリンを激写したのに。クソ、こういうところは未来の方が良かったのに。一眼レフでもあればプロカメラマンを目指す一環にエヴァンジェリンを……駄目だ。もうハメ撮りとしか言葉が出ん。

 もう腐ってるなボク。帰っても薬中のように非常識に飢えるかもしれんでマジで困る。

 

 

「師範。アイキドウは奥が深いな」

 

「そうじゃろそうじゃろ。もしえばちゃんがよければこのまま門下生にならんかの? ワシが手とり足とり教えるぞい?」

 

「死ねエロジジイ」

 

「ふぉっ!?」

 

 

 おっと。つい足が出てしまったよハッハッハ。

 簡単に人を殺せるはずなのにジジイは簡単にそれを受け流して命拾いした。もう合気道の道では最強じゃないの?

 小よく大を制する。まさに至言だな。エヴァンジェリンの言う通り、合気道は習得次第では戦いの役に立つのかもしれない。

 

 例えば、魔法を最小限の消費だけで回避できるのならそれだけ防御の魔力を攻撃に回せるはずだ。魔力の使用を制限できるのは魔法使いタイプにはうってつけだからね。

 ……うっわ。受け流すのとマギア・エレベアの特性でえげつないのを思い付いたよ。まるでドレイン戦法だドレイン。攻撃魔法を吸収してゲットできるのなら半永久的に戦い続ける事も可能ではないか? 我ながら恐ろしい考えだ。

 まさかエヴァンジェリン、ここまで? もう怖いよエヴァンジェリン。

 

 

「や、やめんか! お主の力はアホみたいに強いんじゃい! 流すだけでもどれだけ苦労すると思うとる!」

 

「ハッハッハ。そんなまさか……死ねばいいのに」

 

「聞こえとるぞバカモン!」

 

 

 エロジジイはギャグには必要だが日常には要らん。エヴァンジェリンを狙うのも愚直だがセクハラは普通にしそうだ。したら殺す。

 

 

(というわけでエヴァンジェリン、殺していい?)

 

(やめとけ。このジジイは殺しても死なんよ。それにまだジジイの奥義とやらもまだ教えてもらっていない)

 

(その後は殺しても?)

 

(やめんか)

 

 

 ボクには教えないのにエヴァンジェリンだけに教えて贔屓するのはクソだと思うんだ。誰かに教える立場としては最悪だとも思う。

 合気道の極意を持つ指導者なのに何で指導しないんだよホント。

 

 

「えばさん! 相手をオナシャス!」

 

「いや、俺だ!」

 

「僕からお願いします!」

 

 

(モテモテだねぇ)

 

(面倒臭いからお前が相手をしろ)

 

(あー、無理無理。殴る事しかできませんし)

 

 

 レベルを上げて物理で殴るタイプなので。寧ろ魔力を上げてゴリ押し? 大呪文連発して力にものを言わせるタイプなのかもしれない。

 手加減は上手でも手が滑ってグモッチュイーンするかもしれん。頭がパーンとか目の前でされたら賞金首が更に上がりそうだ。

 どこぞの海賊王でもあるまいし。賞金首が上がって誰が喜ぶよそれ。七百万も過去最大で歴代最高らしいし、これ以上上がって更に目を付けられるのはゴメンだ。未来に帰って似てるだけで逮捕されるのも嫌だ。

 

 

「ふむ。えばちゃんは上がってええぞい。コゾーは百人抜きじゃ」

 

「オイクソジジイ」

 

「野郎共。えばちゃんと組手をしたければコゾーを殺すんじゃい」

 

「言葉もおかしいぞ。というか完全に私怨だろそれ……」

 

 

 するとヤローブッコロシテヤラーと辺りから声があがる。何でこんなに殺気立ってんだよテメー等。

 

 

(まあ頑張れ)

 

(見捨てないでエヴァンジェリン! 気持ち良くしてあげるから助けて!)

 

(そこまで欲求不満じゃない。それに毎日アレを味わっているとアホになるから程々でいいんだよ程々で。じゃあ頑張れ。先に宿で休んでるよ)

 

(薄情者!)

 

 

「ヤローテメーシニヤガレー」

 

 

 メゴシャッ。つい反射的に殴り飛ばしてしまった。手の骨が軋むような感触が手に伝わる。というよりも顔の骨とぶつかったものか。

 一人を殴ればそれを合図に門下生が我先にと向かってきた。鬼のような形相に怯むどころかもう呆れしか出なかった。

 こんなギャグコメディーを自分が体験する事になるなんて誰が予測できるんだよ全く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうさ、あそこ嫌なんだけど」

 

「我慢しろ。色欲に惑わされて教わる事ができるだけでいいだろうが。他はお堅いから教えてくれるだけでもかなり融通できる」

 

「ただのエロジジイでしょあれ。嫉妬してボクを殺そうともしてたんだよ?」

 

「お遊びだろうが」

 

 

 何であんなに頑丈なんだよアイツ等。殺そうとしても死なないなんてボク等よりもアンデットしてんじゃないの?

 百人抜きとは名ばかりのイジメを切り抜け、エヴァンジェリンと泊まっている宿で休んでいる。今の時代の宿って趣があるというか趣しかないよな。露天風呂の概念もこの時代からあったのかと不思議に思う。

 

 

「ゼロは?」

 

「辻斬り」

 

「まーた弁慶ごっこか。刀とかは頼んだ?」

 

「気に入れば幾つか見繕ってくれるだろ。刃物関係ならチャチャゼロも喜んで収集するだろうしな」

 

 

 今の時代なら虎徹だろ虎徹。近藤勇が持っている事で有名な刀なら名前だけ覚えているのでそれがあるのだと思うんだが。

 チャチャゼロ、ボクはゼロと呼んでいるが言うなれば自律型魔導人形? 魔法なのに魔導人形かよとツッコミを入れたが色々あるので黙っておいた。

 ゼロは辻斬りを好むほど刃物好きで殺人狂。あー、例えるなら古代の切り裂きジャックかな? ジャックザリッパー、人形バージョン? どちらにしても純粋な戦闘能力はエヴァンジェリンの眷族だから恐るべきものだ。

 殺しの技術だけはエヴァンジェリンより上だ。人殺しをさせればゼロの右に出る者はいないとも思う。エヴァンジェリンはエヴァンジェリンで女と子供は殺さないと信念があるので躊躇はするっぽい。

 

 

「あー……それにしてもいい湯だねー」

 

「ああ。未来の人間はこういうのが好きらしいな。人間も娯楽がわかっているじゃないか」

 

「そだねー……というかボク等裸で混浴してるけど抵抗ないの?」

 

「何を今更」

 

 

 だよねー。

 

 ボクはエヴァンジェリンを見てるし、エヴァンジェリンはボクを見てるし。レイプとはいええっちした仲だから今更抵抗なんかないんだろう。

 今もちょくちょく処女膜再生防止に一緒に寝てるし。日々成長するエヴァンジェリンも色々と愉しみたいから成長に合わせて調子を確かめてる。大人になったらもう死ぬか溺れるかどっちかだな、ウン。

 

 

「年齢詐称薬の調子もいいね。ロリ姿の継続時間も長くなってるんじゃない?」

 

「そうだな。念のためにと幾つか用意はしたがこれならあまり使わなくとも大丈夫かもしれんな」

 

「うん。まあ、薬中みたいにならんで済むのはいいんじゃないかな?」

 

 

 薬物乱用っぽい雰囲気があるのは気のせいだと思いたい。

 

 

「うむ。では明日はギンカクジなるものを見ようではないか。金閣寺と同じように銀色に輝いているのだろうな」

 

「あっあー」

 

 

 わかるわかる。名前だけで結構勘違いするんだよね銀閣寺。金閣寺を先に見れば勘違いも加速すると思う。教科書を見て落胆した覚えがある。

 あまり変わらないんだな今も昔も。修理とかされて外見は変わるのかと思ったけどやっぱりそこは日本だった。良い意味で変態技術なんだな……。

 

 

「あー、先に言っとくけど銀閣寺、別に銀色じゃないよ」

 

「何ッ!? だ、だが金閣寺は名の通りに金色に輝いていたぞ!?」

 

「ボクもそこまで覚えていないけど確か銀閣寺は八代目将軍が作ったもので予算が足りていなかったとか銀の箔が足りなかったとかそんな理由で普通の寺になったんだっけ? 外見は普通の寺なのは銀閣寺の醍醐味なんだっけ? ごめんね。あんまり学校の授業は書いて復習して覚えるタイプだったからさ」

 

「何だと……私はギンカクジが銀色に輝いているからと聞いて楽しみにしていたのだぞッ! どうしてくれるんだ!」

 

「いやいや。そこはボクじゃなくて当時の銀閣寺を建てた人を怒ってよ」

 

 

 今更どう言っても仕方がないでしょ。それはそれで楽しみがあるんだから楽しみなさいよエヴァンジェリン。

 もううろ覚えだ。オタク知識はあるのに一般常識は覚えていないボクって日本の恥さらしなのだろうか?

 

 

「あっ、そうそう。他に光の反射具合で銀色に見えるって説もあってだな」

 

「誰が行くか! 別の場所に行くぞ別の!」

 

「まあまあ。京都巡りをするのだと思えばいいじゃない。銀閣寺も未来の日本を代表する建造物なんだよ? 外国からも観光客もいっぱい来ているらしいし一度だけでも見る価値があるんじゃない?」

 

「なら案内しろ!」

 

「わかったわかった。気が済むまで案内するよ」

 

 

 ワガママなお姫様である。ロリモードだと背伸びしたワガママお嬢様になるようで物凄く可愛い子である。

 え。エヴァンジェリンって身長で性格が変化する摩訶不思議体質なの? ボクは子供になってもあんまり変化がないんだけどエヴァンジェリンだけなのか? ハーレムの女の子の性格を全てコンプリートしてんじゃねーのか。

 

 

「話は変わるけど麻帆良学園ってどこにあるの? 未来でも聞いた事がないんだけど」

 

 

 エヴァンジェリンの話によれば学園都市らしいし、学園都市ほどの規模なら大規模のはずだから知っていると思うんだが。

 というか世界樹って何? 図書館島ってファンタジー溢れるネーミングはなんなの? そんなのがあれば知らないはずはないはずなのに。

 

 

「む。確か……そう! ダサイタマだ!」

 

「埼玉な埼玉。埼玉県民が聞いたら殺しに来るぞマジで」

 

 

 ネタとしては愛されているのにあまり本気だと埼玉県のオーバーテクノロジーでぶっ殺されるかもしれない。

 魔法という存在を知ってからは埼玉とか群馬とかが復讐しに来そうで怖いんだ。特にグンマーは魔境の地、魔物を何匹も狩れる強者が一番弱い部類なのだとか……! マジこえぇ。

 

 取り敢えず埼玉と群馬、ごめんなさい。

 

 

「埼玉にある? あれ。埼玉の麻帆良学園なんてモンはなかったと思うんだが」

 

「む、む? 埼玉の麻帆良市にあると聞いたのだが」

 

 

 ……いつも思うんだがエヴァンジェリンはどこでそんな情報を仕入れるんだ? まさか娼婦か娼婦なのか!? お父さん許しませんよ!

 わかってるけど。吸血鬼の魔眼で幻術を使って詳しい奴に聞き出したんだと。情報収集もエヴァンジェリンには敵わないなぁ。強さだけ上回ってもエヴァンジェリンを超えた事にならないしあらゆる点でエヴァンジェリンに勝ちたいものだ。男であるなら、だ。

 女の子に負けて守られる惨めさというか悔しさとはもうお別れだ。今のボクはエヴァンジェリンに守られるのではなく守れる力があるのだから。

 

 やめやめ。シリアスも大事だが今は旅行中だ。気楽な気分で過去の京都を満喫しようではないか。

 

 

「風呂終わったら確認しよう。埼玉の麻帆良市は聞いた事はないしもしかするとエヴァンジェリンが間違っているかもしれないしボクが知らないだけかもしれない。だからこそ確認は必要でしょ?」

 

「そうだな。ちょうどイノウタダタカのオリジナルの地図がある。それで確認しよう」

 

「なんつーレア物を持ってるんだ。くれ」

 

「断る」

 

 

 レアコレクションの中に含まれるだろう。伊能忠敬の地図なんて日本地図の始まりじゃないか。未来の収集家とか歴史研究家にいくらで売れるんだよそんな貴重なモノ。

 この調子だと他にも教科書に載っているような貴重な代物を抱えてそうだ。売れそう……ゲフンゲフン、面白そうな物は何かないだろうか。海賊が使ってた古臭い拳銃とか。

 

 

「よく考えたら伊能忠敬の地図は昔の基準だからボクわかんねーじゃん。都道府県じゃなくて藩とかじゃないの?」

 

「クク。安心しろ。今に対応する地図も用意してある」

 

 

 ロリエヴァはどうも人で遊ぶ癖があるようだ。色々と用意しているのに隠して明かして楽しそうにする。

 取り敢えずほっぺを摘んで遊ぶ事にした。あうーとか言うと思ったがだうーと声を漏らしているようだ。柔らかいし少し涙目になるのも可愛いからもう少し遊ぼう。

 

 

「いやへろーいたいらろー」

 

「アッハッハ。あんまり人を馬鹿にするとこうなる事を教えとかないとね。何で大人とこんなに性格に差があるわけ?」

 

「ひるふぁー」

 

 

 どうやらエヴァンジェリンでさえも知らないようだ。

 

 露天風呂を堪能した後は舌を堪能させる高級料理を食べた。ずっとエヴァンジェリンが不満そうだったがあーんをするとみるみる上機嫌になった。

 うむ。チョロイ。

 

 久々の日本はタイムトラベル前では到底泊まる事もできないような高級宿泊地から始まった。何とも言えない喜びが胸を満たした……ような気がした。

 

 

 

 

 





 合気道、合気柔術習得途中。同時にオリ主がオリ主様に昇華するフラグ?


 合気道は原作でエヴァは1900年代前後に訪れています。その時に京都も訪れ、詳しくなったのだと解釈。日本スキーのエヴァの事だから別の時代にも訪れてそうですが。

 現時点でラカン表のオリ主の強さ比べ。


 タイムトラベル初期 ・・・ 0.5(長谷川千雨で1。つまりはクソ雑魚。もっと言えばにゃーん)

 エヴァと共に正義の魔法使いのボスを討伐 ・・・ 270(エヴァがいたので何とか勝てた。エヴァの眷属としての恩恵の大幅補正値)

 眠りからの覚醒 ・・・ 400(サイヤ根性論。闇の魔法の恩恵もアリ)

 アリアドネーからの帰還後 ・・・ 700(純粋な戦闘力。魔法世界後の新ネギと同等)

 本気モード ・・・ 決めてない(ドヤァ)


 要はネギと違って長い時間を利用して大器晩成するタイプ。寿命も伸びてるし努力を怠らずに人類の敵を目指しているので劣化する事はまずない。合気柔術の極意を学ぶ事でネギの闇の魔法究極の技法、太陰道に似たものが使えるようになる。

 まあ、適正はネギよりも上の設定にしているのでまだまだ強くなります。目指せデューク。我が友の為にとか叫びながらビックバンをぶっぱなすんだ。

 最後に重ね重ね、群馬県民と埼玉県民ごめんなさい。作者は好きだよ!(ステマ)




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