ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第4話 ポケモン講座

 さてさて、三日が経った。

 今は約束通り、ヒカリちゃんに会いにハクタイの森に向かっている最中である。

 

 それにしても、この三日間は本当にしんどくて大変だったけど、同時にとても楽しかった。

 何をしていたのかというと、ジムリーダー・四天王といった公式リーグの上の人の方を相手にした講習というか講義+実習みたいなものをしていた。

 ほぼ一日中缶詰めでやっていたとはいえ、時間が足らなかったから、種族値・個体値・努力値といった三値に性格・個性といったもの、技の種類・効果なんかの、ゲームでいえば基礎にあたる部分で終わっちゃいました。技の効果は数が多すぎて最初の方しか話せてなかった。

 今回は約束もあったし、オレが疲れ果ててしまったから、終わりになったんだけど、またこういった機会を近いうちに開くのだそうだ。ちなみに、参加者たちは全員目から鱗が落ちていたと同時に、大好評をいただいた。

 

 さて、三日後の約束というのだが、シロナさんも参加したいということらしい。

 だが、オレと同行するのではなく、一足先にヒカリちゃんのもとに行った。なんでも、彼女とサシで話してみたかったらしい。

 だから、オレは今、ラルトスを頭の上に乗っけながら、マリル・ウインディ・ヨルノズク・フシギダネ・マニューラと、今の手持ちのポケモン六体すべてを出して、みんなで歩いているといったところだ。

 なぜかというと、それはみんなの手(あるいはツタの先)にある。

 

「どうだ美味いか、みんな?」

「(もう、最っ高よ!)」

「リル、マリル!」

「バウォオ!」

「トゥロロロ!」

「ダネ! ダネフッシ!」

「マニュ! マニュ!」

「そっか。そいつは良かったな」

 

 そこには高級アイスクリーム店で買ったアイスクリームがあった。ラルトスとマリルは手で、手がないヨルノズク・ウインディ・フシギダネは、ヨルノズクはマニューラに差し出してもらって、ウインディとフシギダネはフシギダネのつるのムチの先をそれぞれのコーンに括りつけ、おいしそうにそれぞれの味を楽しんでいる。

 

「ま、ラルトスは不味いとか言ったら、振り落とすけどな」

「(そんなこと冗談でも言わないわよ)」

 

 ちなみにラルトスは三段重ねのアイスを食べていたりする。他の奴らも同じだ。

 

 ところで、このアイスはこの頭の上に乗っかっているこいつが「アイス食べたい」とか言い出さなければ、全員に買ってやる必要はなかったのである(アイスは食べたいって全員がモンスターボールから出てきた)。

 

 さらにラルトスにとってみれば、それは昼食の“締め”であって、昼食はケーキのバイキングに行った(以前言ってたジム戦に出ない代わりとしてである)。

 

 正直、時間内食べ放題定額制でよかった……。あれが単品いくらだか支払うのだとすると……。

 まったく……末恐ろしいもんだ。というか、あんな食ったら体重激b――

 

「(それ以上言ったらどうなるか、わかってるんでしょうね……?)」

「やっ、やだな~、な、何をおっしゃるラルトスさん。オ、オレは何も考えてないですよ? ホントだよッ? 信じてッ」

 

 さっき、ラルトスが頭の上に乗っていると言ったけど、ラルトス自身、体重が七キロ近くあり、普通ならそれが頭の上に乗っかった段階で首に致命的なダメージを受けるはずである。

 しかし、現状オレがそうなっていないのは、ラルトス自身それを考慮して自分をサイコキネシスで浮かせているのだ。だから、オレ自身に荷重は掛かっていないにも等しい。

 ただ、今ラルトスがオレに言ったのは、「そのサイコキネシスをやめてあげましょうか? なんならいっそ、そのまま下にグイグイ押し付けてみるのもイイかもしれないわよ?」ということである。

 

 オレ、謝るしかないよね。

 というか、女の子を体重の話でからかった自分が百パーセント悪いっていうのは自覚している。

 でも、お財布の中身が軽くなったのも事実で、少し当てつけをしたかった気持ちも汲んでほしかったんだ……。

 

 そういえば、いまの手持ちに関しては、一旦今までの地方を一緒に旅してきたポケモンたちにしていたりする。

 この三日間の用事とヒカリちゃんに対してのアプローチにはオレのことをより良く知ってくれているヤツらの方がよかったからね。

 

 とまあ、そんなこんなで、ハクタイの森に入った。どこで野営をしているかとかは聞いていないので、探すがてら適当にぶらついてみた。

 すると、一匹のムックルが飛んでいるのを見つけた。

 

「たしかこのハクタイの森にはムックルはいないはずだったよな?」

「(じゃないかしら? 図鑑で確認してみたら?)」

 

 ラルトスの言うとおり、ポケモン図鑑を取り出して開いてみる。ちなみにこれ、現実でのスマートフォンよりもやや大きいぐらいの、時代の最先端をいく機器である。

 やはりムックルの生息地を示すマークは付けられていなかった。

 とすると、残る可能性はトレーナーのポケモンであるということだ。ヒカリちゃんもムックルは持っていたが、現状彼女のポケモンではない可能性も充分にある。

 さてどうしようかと思っていると、向こうも此方に気づいて下りてきた。

 

「ムックルムックルー!」

「(どうやらヒカリのムックルみたい。付いてきてって言ってるわ)」

「わかった。案内頼むぜ、ムックル」

「ムックルー!」

 

 ムックルはゆっくりと飛び始め、ラルトスの言葉通り、ムックルの後を付いていった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 ムックルに付いていくことしばらく。

 すると、やや開けた広場のような場所に出た。

 

「ムックルー!」

「(ここみたいね)」

 

 見渡してみると、ごく最近の焚き火の後もあり、さらには近くに川も流れていて、たしかに野営には絶好の場所だった。

 

「あっ、ユウトさん!」

「待ってたわ、ユウト君」

 

 そこにあった倒木の一つをベンチ替わりにして腰掛けていたヒカリちゃんとシロナさんが、ムックルのおかげでオレたちに気づいた。

 

「やあ、ヒカリちゃん。シロナさんもどーもです。で、ヒカリちゃん、どうだった、この三日間は?」

「とっても楽しかったですよー!」

「そっか」

 

 その様子から、この三日間でだいぶヒカリちゃんとポケモンたちの信頼関係がかなり進んだことが見て取れた。

 ヒカリちゃんのポケモンで一番気になっていたヒトカゲだが、

 

「カゲ、カゲ♪」

 

ヒカリちゃんの隣りを常に陣取り、ヒカリちゃんがヒトカゲの頭に手を置くとスリスリとヒカリちゃんに頬ずりをしている様子を見ると、なかなかに上手くやっていたのだと感じた。

 オマケに三日前とは比べ物にならないくらい生き生きとしていて、楽しそうに笑みを浮かべてすらいた。

 

「三日前とはエラい違いだね。いったい何があったわけ?」

 

 で、ヒカリちゃんに聞いてみたら、アニメによくあるゲットにまつわる友情秘話(集団で襲われる→ヒカリちゃん、ヒトカゲをかばう→ヒトカゲ感激→仲間の助けが入り生還→ヒトカゲ、ヒカリちゃんに心酔)があったようだ。

 

(やっぱり、人恋しかったのね。人間と触れたポケモンは多かれ少なかれそうなっていくものだから、本当によかったわ)

(たしかに)

 

 何はともあれ、良い具合に向かってくれてよかったよ。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 さてさて、ヒカリちゃん、ついでにシロナさんも参加することになったポケモン講座。シロナさんは一度聞いた話だけど、すべてをきちんと自分の中で噛み砕いて理解しているわけではないはずだから確認のためにもいいだろう。

 で、とりあえず最初はポケモンの技と能力、性格などの基礎となる土台を、

 

「マリル! キミに決めた!」

 

このマリルを例に使って説明していくことにした。

 

 

「まずは、ポケモンの能力についてです。ポケモンは体力(Hit Point)の他に攻撃(Attack Point)、防御(Block Point)、特攻(Contact Point)、特防(Difence Point)、素早さ(Speed Point)という能力値があります。略称は体力=H、攻撃=A、防御=B、特攻=C、特防=D、素早さ=Sです。で、これらの高低はバトルの行方を左右する重要な要素の一つになります。ちなみに特攻・特防はそれぞれ特殊攻撃・特殊防御の略のことです」

 

 ちなみに、これらの高さは種族値というポケモンごとによって決まっている値に比例していて、種族値の大小が能力の高低に関わる一因でもあったりする。

 

「まあ、この種族値ついてはまた後ほどで」

 

 さて、これらを念頭においた上で、次にポケモンの技について。

 ポケモンの使う技には大きく分けると三つに大別される。

 

「物理攻撃技、特殊攻撃技、変化技。この三つです」

 

 では、それぞれについて実演を交えながら簡単に説明していくとしようか。

 

「マリル、あの木に向かってアクアジェット!」

「リル!」

 

 マリルは片手をかわいらしく挙げて元気よく返事をした後、身体に水流を纏った。その後、纏った水がウォーターカッターのごとく発射され、そのままジェット噴射で、マリルが突撃。凄まじいスピードで指示した木に衝突した。木は、まるで無理矢理へし折られたかのような、轟音を立てて崩壊した。横倒しになった木には、縦にすら様々な裂傷が入っていたが、マリルの方はいたって元気な様子った。

 ちなみにヒカリちゃんはその様子に口をアングリ開けてボーゼンとしていたので、気付けで元に戻す。

 

「とまあ、こんな感じで相手に直接接触する技が物理攻撃技です。物理技の威力は『攻撃』の高さに依存します。続いてみずでっぽう!」

 

 同じくらいの隣にあった木に向かって、みずでっぽうが発射される。

 今度は倒れることはなく、ただただ、大きく木を揺らすに留まった。

 

「これが特殊攻撃技です。もういいよ、マリル。おいで」

 

 すると、オレのマリルは嬉々としてオレの胸に飛び込んでくる。しかし、軽い突進気味で突っ込んでくるから受ける方としてはちょっと痛い……。今度からそこら辺もなんとかしようかな。

 

「とにかく特殊技の威力は『特攻』の高さに依存します」

 

 相手を攻撃する技はこの二種類。『攻撃』『特攻』の高さによって物理技か特殊技かを選択していくことは、バトルの戦略を立てる上でも非常に重要な要素である。だから、自分のポケモンの種族値を知ることは大事、というより知っていなければならないのだ。

 

「少し脱線してしまいましたが、話を戻して最後に、変化技っていうのはこれら二種類の攻撃技以外の技のことを言います」

 

 例えば『まもる』とか『いやなおと』とか『しびれごな』とかだね。

 

「要は、相手に直接ダメージを与える技以外の技は全部変化技って認識してもらえば結構です」

 

 あとは攻撃と特攻の違いを一応確認してもらおうか。大丈夫だと思うけど、この世界の常識のごとく、それらを混同してもらっても困るからな。

 

「ところで、みずでっぽうにアクアジェット、この二つは威力的には同じ技です。でも、一方は木をなぎ倒し、もう一方はただ揺らしただけ。さて、どうしてこの二つに違いが生まれたのでしょう?」

「『攻撃』が高かった、ということですよね?」

「そう、正解。いいね、飲み込みが早くて実にイイよ。ヒカリちゃんの指摘通り、この子は『攻撃』の方が高かったから、同じ威力の技でも、あれだけ威力の差が出たんです。尤も、この子の場合は特性の影響もあったりしますけどね」

「特性? あー、なんでしたっけ?」

 

 ふむ。

 ヒカリちゃんはトレーナーに成り立てだから、少しは予習みたいな感じで学習してはいるだろうけど、カバーしきれないところもあるよな。こういう知識も追々“完璧”に覚えていってもらわないとかないと。

 

「それって『ちからもち』かしら?」

「そうです、さすがシロナさん。ヒカリちゃんもこういう知識は覚えていかないといけないからちょっとずつ知っていこう。ポケモンには特性というものが必ずあって、マリルには『あついしぼう』と『ちからもち』の二つの特性があるとされている。この子は『ちからもち』の方だ。『ちからもち』は物理技の威力が二倍になる。ちなみに『あついしぼう』の方は氷技と炎技の威力を半減させるんだ」

 

 ちなみに隠れ特性(夢特性)についてはここではまだ触れないでおく。いろいろと試してみてはいるんだけど、まだ確定していないこともあるからである。

 ちなみにゲームのようなデータではないから、きっと何かがあるはずなんだと思っている。この辺はポケモンの進化やタマゴ研究の第一人者のウツギ博士と相談かな。

 

 っと、今日の本題から少しずれてしまったか。

 あ、それから特性のことはひとまず置いておいて、他にも今日は『ポケモンの技で、ポケモンのタイプと同じタイプの技を使った場合、その技の威力が一.五倍に上昇する』っていうのも覚えてもらわないとな。

 

「これのことをタイプ一致と言います。例えばですが、『れいとうビーム』は氷タイプの技だけど、同じ『れいとうビーム』でも、水タイプが使うときと氷タイプが使うときだと、後者の方が、威力が高いってことです」

 

 この恩恵を活用できるとできないとの差はかなり大きい。この恩恵の差によってバトルの勝敗が決まってしまうことも少なくないからだ。

 

「尤も、だからといって他のタイプの技を覚えさせてはダメということはありません。いろいろなタイプの技を使えた方が戦略に幅が出ますからね」

 

 さて、最後にポケモンの性格について。

 とりあえず結論から言えば、これはポケモンの能力に直に影響する。

 

「例えば、この子はちょっといじっぱりな性格なんですけど、この性格は『攻撃』の高さが上昇して『特攻』の高さが減少するんです」

 

 さっきの技の実演での威力の違いは、特性の影響もあったが、性格にも左右されていたというわけだ。

 

「さて、自分のポケモン、いろいろ知っていなければならないこと、ありましたよね。これらを把握することは、ポケモンとの友情や信頼を深め、バトルに於いては戦略を組み立てる重要なファクターにも成りうるんです」

 

 ポケモンとも仲良くなれて、それが、お互いをより高みへと導いてくれる。

 素敵なことだと思う。

 

「ふぅー。一旦休憩を挟みましょう。お互い疲れたでしょ?」

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 その後、いろいろあり、オレはヒカリちゃんの旅に同行することになった。

 いや、女の子に拝み倒されたら断れないでしょ?

 ということで、講義については旅の途中で追々やっていくことにして、それから数日間は、このハクタイの森でヒカリちゃんの特訓漬けだった。

 どんな感じかというと、戦略→実践→検討・反省→戦略→以下∞ループといった具合に。

 

 

 ああ、それからちょっと変わったことといえば、

 

「ポッチャマ、うずしおでウインディを閉じ込めなさい!」

「(ウインディ、にほんばれ)」

「そのままふぶき! うずしおを凍りつかせるのよ!」

「(あまいわね。ウインディ、ソーラービーム連射よ)」

「ああ!? ポッチャマ!?」

 

といった具合に、ラルトスが擬似トレーナーとしてポケモン相手に指示だしている。戦えない(許可されない)からトレーナーの代わりをして発散するんだそうだ(その辺がオレには未だによくわかんないが)。

 今回はヒカリちゃんがウインディをうずしおで閉じ込めて、さらにふぶきでうずしおを凍らせることによってウインディの身動きを封じようとしたようだが、ウインディの晴れ+ソーラービーム(晴れ時、ソーラービームは溜めナシで連射可能)で返り討ちにされたといった感じで終了した。

 

「マニュ! マニュマニュマニュ!」

「(あら、あなたもやりたいの? なら次よ)」

「マニュ!」

 

 さらにつけくわえていえば、ラルトスがモンスターボールを投げてゲットしたポケモンもいたりする。たとえば、ナタネ戦で活躍したズバットやこのマニューラ(元はニューラ)なんかもそう。アイツらはオレの言うことはもちろん聞くけど、それ以上にラルトスの言うことの方をよく聞いている気もしないでもない。

 とまあ、そんな感じなので、一人旅のときはラルトスとポケモン勝負をやってたこともあった。

 一応断っておくと、「俺に十万ボルト!」とか「俺にボルテッカー!」とかそんなマゾいことはしていないからね。オレは某マサラ人みたく、人間はやめていないので。

 

 っと、また話がズレてしまった。

 そうそう、特訓はバトルばっかりではなく、バトル以外の点でも、例えば技の充実のために技マシンも貸してあげたりもしている。ちなみにこの世界の技マシンはBW方式の使ってもなくならないタイプのものみたいなので、使い放題だ。

 ただゲームのように覚えた技をすぐにフルパワーで使えるのではなく、練習が必要だったりする。言わば、熟練度(仮)といったものだろう。その熟練度が上であるほど成功率、威力、応用が効いてくるといった具合である(ゲームでは「どうして覚えたばかりの技が百パーセントの威力で出せるのか」ということを不思議に思っていたから、納得といったところだ)。

 なので、合間合間にその練習も繰り返していたりもした。

 

 それから

 

「あ、ユウト君、ヒカリちゃん。さっそくだけど、これをあげるわ」

 

 シロナさんにライブキャスターを貰った。ちなみにこれはBWで出てきた携帯型のチャット式テレビ電話である。

 渡した本人曰く、これでいつでも連絡が取れるから、何かあったらすぐに呼べとのこと。逆にシロナさん側からの呼び出しについても使われるっぽい。

 

「尤もGPSが付いてるから位置特定はラクなものよ、ねぇユウト君」

 

 まあ今時GPSが付いていない携帯機種を探す方が大変だろうから、そんなものだろうな。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「そういえば、あのギンガ団って何者ですかね?」

 

 夕食時、唐突にそんなことをヒカリちゃんが聞いてきた。

 

「ギンガ団、ねぇ。私は聞き覚えはないんだけど、なにかあったの?」

 

 シロナさんは知らないらしい。

 そういえば、ギンガ団ってロケット団みたいに一般人に迷惑をかける行為はそんなには犯してなかったから知られてないのかもしれない。

 そうすると、あまり一般的でないギンガ団に目を付けて追っていたハンサムさんって、ゲームでは感じなかったけど、実は物凄い優秀なんじゃないか?

 

「えーとですね」

 

 そんなことをつらつら考えているうちになにやら話が進んでいた。

 なんでも、最初はハクタイの森に入るのを邪魔され、次にソノオタウンであまいミツを奪おうとしていたのを撃退したらしい。

 アレ? たしかそのイベントって――

 

「そのときなんか拾ったりとかしなかった?」

「あー、なんかカードみたいなの拾いました。えーと……あっ。あったあったコレです。でもこれ、結局何かわかんないんですよねー」

 

 それ、見事に発電所のカードキーです。

 そうか、ヒカリちゃんは谷間の発電所には行ってなかったのね。折りをみて、早急にヒカリちゃんを連れて潰しておこう。

 

 ついでに言えば、ゲーム通りなら三人で手分けした方がいい場面があった気がするから、ヒカリちゃんを戦力にしなければ現状手が足りない。となると、ヒカリちゃんもギンガ団幹部たちとある程度戦えるようにしなければならないわけだから、より一層特訓にも気合い入れて取り組まないといけないな。

 

 ということで翌日の特訓から少し変わったものを見せようかと思い立った。

 

「マリル! ムクバードに向かってアクアジェット!」

「ムクバード! 体当たりで突っ込むわよ!」

 

 現在、バトルの特訓中。ヒカリちゃんはアクアジェットとのぶつかり合いを意識したっぽい。ちなみに、ヒカリちゃんのムクバードは、昨日ムックルから進化した。

 さて、ヒカリちゃんの考えとして、此方は空に向かってアクアジェットなため、重力とマリル自身の体重の影響で、威力が弱まる。逆にムクバードは空からの突撃のため、タイプ一致で威力上昇の体当たりにムクバード自身の体重×重力加速度による力が働く関係で、マリルを押し返せると計算したようだ。

 うん、昨日の教訓がちゃんと生きているようで、何より。

 ホントに彼女、水が砂に吸い込まれるような勢いで成長していくから、教えている身としてはホントに嬉しい限りだ。

 さて、いっちょ魅せつけて、これも吸収してもらいましょうか!

 

「マリル! アクアジェット、タイプA!」

 

 それを聞いたマリルはアクアジェットの矛先を空中とは全く関係のない地面に向け、そのまま衝突。そのまま、そこでクルクルと回転しだす。

 

「!? ウソでしょ!?」

 

 マリルを包んでいたアクアジェットの水流が不規則に竜巻の渦のごとく、それが幾筋も巻き上がり始め、それらがムクバードを襲い始める。

 ムクバードも必死に避けていたのだが、動きが不規則過ぎたため、読み切れなかった。

 

「ムクッバードッ!」

 

 いく筋もある水の竜巻のうちの一本がムクバードが避けた隙を突いて直撃。その後、一本当たれば二本三本と立て続けに水の竜巻を食らい続けて、ついにはダウンした。

 

 ちなみに今の技は偶々見たアニメのサートシ君の技を参考にさせてもらった。水の勢いが強かったのは、アクアジェットの勢い+水を出すホースの先を摘むと水流が激しくなるのを応用したものである。成功させるのに相当苦労したけどね。

 

 さて、今日はフルで対戦して明日一日休んだ後、いよいよ彼女のジム戦といきましょうかね!




遺伝技は後天的に覚えることが可能としています。

ヒカリのハクタイジム戦はあまり考えていません。

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