ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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筆が全然進まないんですが、とりあえず更新しないとということで更新。
出せるストックがこれ除いてあと2話分。現状では公開できない塩漬けストックを早く更新できるように頑張ります。

あ、この話は本編の挿話4と挿話5の間のお話ですので、ラルトスが話せるということはヒカリやシロナには知られていません(初めて知ったのはギンガ団関連でテンガン山に登るとき)。このシリーズではその点に留意を置いていただきたく存じます。


外伝10 ヒカリ ときわたり

 ジョウト地方ヒワダタウン。

 いつも町中にヤドンがいて、ヤドンがあくびをすると雨が降るとの伝承が伝わっている長閑な町。そんな町の北には、カントーではトキワの森、ホウエンではトウカの森、といった風にその地方を代表するような森林地帯があるが、ジョウトの森といえば必ずこの名前が出てくるほどに、ジョウト地方を代表するような有数のそれが広がっている。

 その名はウバメの森。

 昼間でも日光が入らないほど、木が鬱蒼と生い茂っており、ヒワダタウン名産の「もくたん」の材料が切り出されていたりもする。

 そしてその森の中ほどには“森の神様”あるいは“森の護神”をまつる祠があった。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

「ああ! 見てください、センセー! アレですよ、アレ!」

 

 ジョウト地方で二つ目のバッチをゲットしたあたしたちはヒワダタウンとコガネシティの間にあるウバメの森にいた。そして、このウバメの森にある祠の話を聞いてきたコトネが立ち寄りたいということで、此方に足を向けたワケだ。尤も、出口に向かう途中にあったので、必然的に通りがかることにはなったんだけど。ちなみにコトネは賽銭箱はないのに賽銭を祠に投げ入れていた。

 

「センセーとキャッキャウフフが出来ますように。センセーとキャッキャウフフが出来ますように。センセーとキャッ、

 

 ゴウフッ!」

 

 とりあえず、思いっきりそこらに転がっていた石を脳天に叩きつけておいた。コイツはゴキブリなんかよりも生命力が強いからまあ大丈夫でしょ。

 

「し、しどいです、センセー」

 

 ほらね。

 

「きさまうるさいだまればかへんたいあほきちがいがいちゅう」

「あーあ、せっかくあと少しで三回言えたのに。そしたら願いは叶うんですよね!」

「叶わんわ、ボケェ!!」

 

 あまりのことに火事場の馬鹿力のごとく、やや大きな岩をヘンタイに叩きつけてしまった。

 

「グスッ。コトネ、ちょっと涙出そう」

 

 ……さっきはああ言ったけど、なんでそれだけ何ですかアンタは!? ちょっと涙出そうじゃないわ! アンタマジで人間止めてんの!?

 

 

 とまあ痴態はこの辺にして。

 

 

「この“森の神様”ってきっとセレビィのことよね」

「セレビィ?」

「あれ? ジョウト地方の幻のポケモンなんだけど知らない?」

「うーん、聞いたことないですねぇ」

 

 まあ、幻と言われるぐらいだから知らないのも当然かと心の片隅で思いつつも、あたしはバックから自分のポケモン図鑑を取り出して、コトネにも見えるように、いくつか操作する。

 

「これがセレビィよ」

 

『セレビィ ときわたりポケモン

 森の神様として祀られる、時間を越えて彼方此方をさまようポケモン。セレビィが姿を現した森には草木が生い茂るという』

 

 といった具合に電子音声が、森の静寂さのおかげで、辺りに響き渡った。

 

「ときわたりポケモン、ですか。“ときわたり”というのはなんですか?」

「文字通り、“時渡り”よ。セレビィは時間を移動することが出来るの。タイムスリップって言えばいいのかしら」

「えー、なんかビミョーに胡散臭いような」

「ポケモンなんて不思議なものよ。超能力が使えたり、中には時間や空間、世界すらも生み出しちゃうようなポケモンもいるし。それに、セレビィの時渡りはあたしも一応経験したことあるのよ」

「……何か今サラッとすごいことを耳にした気がしますが、とりあえず。センセーって時渡りって経験したんですか?」

「今そう言ったじゃない」

「やっぱ、センセーはただ者じゃあなかった! んで、センセー、その時渡りを経験したときってどうだったんですか? ぜひとも聞かせてください!」

「うーん、そうねぇ……——」

 

 

 これはそんな“時渡り”を経験したときの話――

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 シンオウ地方。

 あたしがユウトさんといっしょにシンオウ各地のジムを巡り、旅をしていた頃。キッサキシティで六つ目のバッチをゲットして七つ目のバッチをゲットするため、ミオシティへ、ハクタイシティからハクタイの森を抜けてソノオタウン→コトブキシティ→ミオシティという経路で抜けようとしていた。

 そしてハクタイの森の中頃まで来たときのことだった。

 

「どうした、ラルトス?」

 

 ユウトさんのラルトスが何かを感じたらしく、そちらに向かい、森の中を分け入っていく。あたしたち、それからキッサキから同行しているシロナさんも合わせて彼女の後を追った。

 

「ここ、どこかしら?」

「シロナさん?」

「わたしも旅はしてるけど、ハクタイの森でこんなところがあるなんて見たことも聞いたこともないわ」

 

 いつの間にかと言うべきだろうか。シロナさんの言葉通り、普通の森とは違って樹齢でいえば数百年は下らない、もはや単なる木ではなく、『大樹』と呼称すべき木々が其処彼処に乱立していた。

 

「ひょっとして、普段人間は立ち入れないところだったりしてね」

 

 ユウトさんがそんな冗談を零しながら(でも案外冗談でもなさそうではある)、さらに先に進む。しばらくいくと、ハクタイの森に生息するポケモンはもちろん、どう見てもこの森には生息していないポケモン(山や草原に洞窟、さらには水辺にいるようなポケモンにまで)たちと遭遇した。彼らと出会った当初はみんなあたしたちのことを警戒していたようだが、どうやらラルトスが説得してくれているようで、ポケモンたちが襲いかかってくるということはなかった。

 

「あれは……!」

 

 まるで朝の日射しの中での木漏れ日のごとく、そんな森の中で、神聖さを醸し出す祭壇のような、平らであたしはおろかユウトさんやシロナさんよりも大きな一枚岩が鎮座していた。その周りには様々な種類のポケモンたち。皆一様に、その一枚岩を、あたし個人の推測の域を出ないけど、心配そうな面持ちに見つめている。

 いや。

 正確に言えばその一枚岩の上にひどい怪我をして横たわる、ある“ポケモン”に視線が集まっていた。

 

「まさか……でもなぜ……!? いや、そんなのは後で、とにかく治療しよう!」

 

 ユウトさんは驚いた顔をしていたが、すぐさまバックからかいふくのくすりを取り出すと、そのポケモンに駆け寄った。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「ビィ、ビィ~!」

「ラル、ラルー」

 

 どうやらあのポケモンは元気になったようだ。今はあたしたちの周りをラルトスといっしょに元気に飛び回っている。

 

「ビィ、ビィビィ~!」

 

 なにやら「ありがとう!」っていわれている気がして嬉しくなる。

 

「で、ユウト君、このポケモンは?」

 

 見たことも聞いたこともないポケモンにあたしたち二人の視線がユウトさんに集まる。

 

「うん、このポケモンはセレビィ。ジョウト地方の幻のポケモンです」

 

 そうして彼は自分が持っていたポケモン図鑑を見せてくれた。その中に、気になる言葉があった。

 

「『時間を越えて彼方此方をさまよう』ってどういうことですか?」

「その言葉通りだよ、ヒカリちゃん」

「まさか……時間移動、タイムスリップ? でもそんなことが現実に起きるの?」

 

 時間移動。つまり、過去に行くことも出来るし、未来にも行くことが出来る。

 

「そんなことがありえるんですか?」

「別におかしなことじゃないよ。大地や海を生み出したポケモンもいれば、時間と空間を生み出したポケモンだっているんだから」

 

 大地や海、ホウエン地方の伝説のポケモン、グラードン・カイオーガ。

 時間と空間、シンオウ地方の伝説のポケモン、ディアルガ・パルキア。

 

 いずれも、人間からすれば、途方もないモノを生み出したポケモン。人間の力では及びもつかないそれらに比べたら、確かに時間移動も似たようなものなのかもしれない。

 

「ラルトスが『これからセレビィが時渡りを見せてくれる』だそうです」

 

 

 ――え? 今なんて?

 

 

 そう疑問に思う間もなくあたしたちは白い光に包まれた。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「ッ、ここは……?」

 

 目の前には透き通った水で満ちている湖。周りには木々が生い茂っているが、森と言うほどではなく林ぐらいがちょうどいい。

 ただ――

 

「「「さむ~~~い!!」」」

 

 辺りは猛烈なまでに吹雪いていた。

 

「ラル! ラルラル!」

「ビィ、ビィー……」

 

 ラルトスはセレビィに向かってものすごく怒っているようだった。シンオウ地方は、全国の中では比較的寒冷な地方とはいえ、晴れ渡って気温も高くなく、かといって低くもなくといった場所から、いきなり頬に叩きつけるような横殴りの猛吹雪の場所に飛ばされたら文句も言いたくなるのはよく分かる。

 ラルトスとセレビィはおいといて、とりあえず、

 

「うう、ニドクイン、キミに決めた!」

「り、リザードン、出てきて!」

「ご、劫火に(おど)れ、バクフーン!」

 

 全員手持ちの中で炎タイプのポケモンを取り出して――

 

「「「にほんばれ!!」」」

 

 考えることは一緒だった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「ここはエイチ湖だったのね」

 

 ひとまず吹雪を無理やり止まさせたあたしたちは、ここがどこなのか、ということを知るために辺りを探索することにした。

 にほんばれによって湖近辺だけだが、吹雪が止んで晴れ渡り、視界が開ける。すると、近くにロッジ風の建物があったので立ち寄ってみると、そこはエイチ湖ほとりに佇むペンションの一つだったのだ。ついでに今日はこのペンションにあたしたちは泊まることにした。

 

「急に湖が晴れ出したから『いったいなんだ?』って思ったけど、そういうわけだったのか。でも、今日はどこもあの猛烈な吹雪で出かけるのはおススメしないよ。悪いことは言わないから今日は泊まっていくといい。明日になれば今日とは打って変わって快晴になるそうだからな」

 

 とこのペンションのオーナーに言われたからだ。事実、窓の外を見ると、にほんばれの効果が切れてきているようで、また吹雪き始めていた。

 別にあたしたちはセレビィの“時渡り”で来たわけで少し我慢をすればいいだけだから、そのまま休息を取ったら出ていっても良かったんだけど、寒冷装備は持ち合わせていなかったあたしたちがそんな気候の中、外に出ていけば、オーナーの心持が悪くなるだろうし、非常に目立つ。

 そして問題はそれだけではなかった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「場所はわかりました。で、結局“ここ”は何なんですか」

 

 壁際にある大きな暖炉がある木目調の、ホールというより喫茶店に近い雰囲気のような場所。今、その暖炉の目の前にあたしたち三人とセレビィ・ラルトスが陣取っていた(今日は今のところ客はいないらしいので問題ない)。そしてあたしが発した言葉に全員が全員困ったような顔を浮かべた。もちろんあたし自身もその一人だ。

 

「ビィ、ビィビィビィ~」

「ラ~、ラルラルラ~、ラーラルラ」

「で、加減を間違えたらしいです」

 

 ラルトスがセレビィから事情を聞き取り、その内容をラルトスがテレパシーでユウトさんに送信。それをユウトさんが話すと言った感じで説明が行われている。

 で、それによるとセレビィの体調があまりに絶好調だったらしい上に、ラルトスが普通に接してくれたのがあまりに嬉しく(普段は普通のポケモンに出会っても相手の方が畏まった扱いをするらしいです。さすが森の神様と言われるだけはある)ハイテンションになっていたおかげで加減を間違えてしまったらしい。

 

 で、先程の疑問である“ここ”は何なのかに対する答えなんだけど――

 

 ――簡単にぶっちゃけると、ここはあたしたちが全く知らない世界だそうだ。

 

 ユウトさん曰く、あたしたちがいた世界とはなんらつながりはない世界。時間の流れは同じで、たとえすぐそばにあろうとも、決してお互いが交わることがない世界、いわゆる平行世界というんだそうです。

 

 結論をいえば、あたしたちは“時渡り”どころか“世界渡り”まで行ってしまったようです。

 

「まるでSF映画のような話ですね」

「で、セレビィ、結局私たちは元の世界に戻れるのかしら?」

「ビィビィ」

「ラルラル」

 

 そしてユウトさんは思わず手を頭にやって上を見上げてしまった。

 

「……がんばる、だそうです」

「ハァ……つまり保証はないと」

 

 あたしたちは思いっきり深くため息をついた。

 

「ビィ! ビィビィビィビー!」

「ラルラルラ、ルラ」

 

 セレビィがまた何か言ったけど、そこでさらにユウトさんとラルトスまでもが肩を落とした。

 

「……聞きたくはないんだけど、セレビィは何て言ったのかしら?」

 

 ……あたしも同じ思いだったからシロナさんが請け負ってくれて助かったわ。

 

「……『いつか戻れるから心配すんな。この時間旅行を楽しもうよ』だそうです」

 

 ……シロナさんはどうだか知らないけど、あたしは今の言葉にどっちかって言うとすごくイラッときた。

 誰のせいでこんなことになっているのかと。

 

 そう口からその言葉が零れてきそうになったときのことだった、それらがすべて吹き飛んでしまうほどの衝撃を受けたのは。

 

 カランカラン

 

 ペンションの入り口のドアに吊るしてある鐘が鳴った。

 

「やー、まいったぜ」

「ピカピカ」

「ホントに。猛吹雪かと思ったら晴れて、ちょっと経ったらまた吹雪とか。いったいなんなのよー」

「ポチャポチャ」

「とりあえず、ここで一休みしよう」

 

 ここから入口は見えなかったが、声の感じからして男の子が二人、女の子が一人、それからピカチュウとポッチャマと思われるポケモンたち、そんな一団がこのペンションに入ってきたようだった。オーナーが迎えにいっている。

 ただ、何かおかしいと感じた。

 ここは全然知らない世界。あたしたちの知り合いなどは皆無の世界。

 なのに――

 ――あたしの聞き間違いだろうかとも思ったけど、セレビィを除いて全員が驚きの表情を浮かべていた。

 

「いらっしゃい、大変だったろう?って、ええっ!?」

 

 オーナーの驚きの声が聞こえてきた。

 

「キミ、今ホールにいたよね?」

「え?」

「ポチャ?」

「あのー、オレたちここにはじめてきたんですけど」

「ピカ」

「見ての通り外はすごい吹雪なので、少し休憩させてもらえませんか?」

「あ、ああ」

 

 そうしてホールに入ってきた一団。

 

 ……うん。

 まずピカチュウとポッチャマは何となくわかってた。

 そして男の子二人もあたしの知らない人たち。

 

 ただ――

 

 

「「「「「「えええええええええーーーーーーーーーー!?」」」」」」

 

 

 あたしたちと彼らの驚愕が重なり合う。

 だってその一団にいた女の子ってのは――

 

 

「ピカカ!?」

「ポチャチャ!?」

「(ヒカリ!?)」

 

 

 紛れもない、“あたし自身”だったのだから――

 

 




はーい、じゃあみんな机の上で頭を伏せてー。

ウバメの森の祠にきんのはっぱとぎんのはっぱを持っていったらセレビィが出て来るってデマを流したのは誰かなー。
先生怒らないから正直に言ってみてー。
大丈夫、周りのみんなには見えないからー。


ネットもない時代にあのデマはどうやって広まっていったんですかね?


図鑑の説明文は金(HG)とクリスタルから持ってきました。そして『“時渡り”じゃねーよ』と、書いてた自分でもつっこんでました。このセレビィは個体値6V(オール31でMax)の個体なんだと解釈してくださいm(_ _)m

Wikiによれば、ヒカリのことをピカチュウは「ピカカ」、ポッチャマは「ポチャチャ」と呼ぶんだそうです。

また、アニメからいろんな人が出張参加しています。

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