ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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祝☆ORAS発売!
ひゃっはー!
ここのところずっと修羅場&まだまだなんかやばいんですけど、睡眠時間削ってやっちゃうよー!

それにしてもホウエンの生態系がカオスすぎて笑っちゃいました。
野生で全滅したのは初代ディグダの穴のダグトリオ以来です(笑)。
あんなカオスってるなら、あれだけ伝説がうじゃうじゃいるのも納得。
九州ってまさに修羅の土地ですね。わかります。


外伝4 ラルトスとユウト

 ホウエン地方ハジツゲタウン。

 ここにある一人の少年が住んでいる。その少年の名はユウト。後に数々の伝説を打ち立てるポケモントレーナーである。

 しかし、そんな彼も今はただの五歳児。もうまもなく誕生日を迎えるとはいえ、義務教育も終わっておらず、旅に出られる年齢にも達していない、少し変わったところもあるものの、ただの普通の男の子である。

 そしてそんな彼が、今夢中になっているものがあった。今日も元気に家から飛び出していく。

 

「いくよ、ラルトス!」

「ラルー!」

 

 それはポケットモンスター、縮めてポケモンと呼ばれる、不思議な不思議な生き物である。人間と共に暮らしているポケモンもいれば、草むらや森、洞窟、川、湖、海、さらには街中などにも生息し、そこで彼らは伸び伸びと生活している。中には大空を自由に羽ばたくポケモンなどもいたりする。しかし、総じてその生態については、あまりよくわかってはいない。

 また、彼らはモンスターボールやスーパーボールといったボールを使うと捕えることができ、そのボールの中に入れて持ち運べるのが大きな特徴の一つである。

 さて、彼のそのポケモン、否、彼にとっては既に大事な友達にすらなっているポケモンがいる。それが、今彼と一緒に走っているポケモン、ラルトスだ。赤いツノが生えたおかっぱ頭のような緑色の頭部に、服の裾を引きずった幼い子供のような外観を持つポケモンである。タイプはエスパー・フェアリーで、“きもちポケモン”と分類される通り、頭のツノで人やポケモンの感情を感じ取ることができるポケモンだ。

 

「ラル! ラルトー!」

 

 ラルトスが少年ユウトに向かって飛びかかった。

 

「おっと!」

 

 それを彼は全身を使って抱きかかえるように受け止めた。ラルトスの勢いが思いの外、強かったせいか、それに流されるようにユウトもその場で一回転してようやく治まったのだが。

 

「はは! お前っていつもなんかちょっとあったかいのな」

「ラール」

 

 ラルトスのその温かさは、明るい気持ちをキャッチするか、あるいはその人間のことを本当に好いている場合に感じることが出来る。つまりは――

 

「ラールー♪」

 

 ラルトスは彼の腕の中でご満悦そうな顔を浮かべていた。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 このラルトスがユウトの元に来たのは、ユウトが五才の誕生日のときだ。

 ユウトの家の近所にはホウエン地方でのパソコンを使ったポケモンの転送等を行う『ポケモン預かりシステム』の管理を一任されているマユミという女性が住んでいるのだが、彼女から

 

「スミマセン。私の仕事のトラブルといいますか、「タマゴが生まれすぎて育てきれない」というトレーナーから「そういうシステムを管理してるんだからそっちで引き取ってくれ」と理不尽なクレームを受けまして、それと一緒にポケモンのタマゴも私のところに大量に送りつけられてきたんです。それで、このままではあまりにかわいそうで、なんとか引き取り先を見つけたくて。ですから、どうかもらっていただけませんか」

 

と言われ、それにユウトの家族も協力して、一人タマゴ一つずつ引き取ったことがある。

 

「ねぇ、ホントにちゃんとお世話できる?」

「うん! やるよ、ボク!」

 

 ユウトの母親であるサエコはユウトの分までタマゴを孵して、それを最初の一体として手渡すつもりだったのだが、それをユウトは

 

『自分でやる』

 

と断り、その後タマゴの世話を懸命にし始めた。

 母としては

 

「塞ぎ込むこともあるから、情操教育にもなるし、誕生日プレゼントにもなるし、気分転換にもなるからちょうどいいかしらね」

 

とユウトの自主性を尊重して任せてみたくなったのだ。

 結果、彼のそういった様子は見せなくなり、タマゴもユウトの心の籠った世話によって、タマゴは無事に孵ることとなる。

 

 

「ラルー、ラルトー!」

 

 

 ユウトからしてみれば真心を込めた結晶、生まれたポケモンからしてみれば刷り込み――ポケモンもタマゴから生まれて初めて目にしたものに対してより懐く傾向がある――によって。

 この二人は常に行動を共にして常にお互いを気に掛ける、そんな関係が出来上がるのに時間もかからなかった。

 つまり、彼らは既に、気の置けない親友同士の間柄にあったのだ。

 

 さて、今日はそんな二人の間に起こったある出来事のお話をする。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「さ、今日もやるぞー!」

「ラル!」

 

 唐突だが、現在二人は黄色い袋を手に持って、113番道路に来ている。この道路はユウトが住むハジツゲタウンから東に伸びる道路で、風の影響で常にえんとつやまから噴出している火山灰が降り注いでいる。ユウトたちはその灰を集めているのだ。

 なぜ灰を集めているのかと言えば、この113番道路には、髪が後退して第二の太陽を自前で持つガラス職人のオッサンがおり、その工房にて、ここで集めた灰からビードロなどのガラス細工を作ってくれるためである(ちなみに炉の加熱にはその自前の太陽が役立っているという噂がまことしやかに存在していたりする)。

 

「ラルトスー、何度も言うけど草むらには絶対入るなよー!」

「ラール!」

 

 ユウトが草むらには入るなと注意を促している。その言葉にしたがって、ラルトス、それから注意をしたユウトもそこには入らずに、開けた場所で、かつ積もった灰のごく上の部分のみをかき集めて持参の灰袋に灰をしまっている。

 目の前の草むらの草の上には地面とは違い、量も豊富で、かつ、汚れてもいない灰が積もっているのだが、二人はそれをときどきチラチラと見るだけで、決してその灰を取ろうとはしていない。

 本来ならば、草むらの草に積もった灰をかき集めるのが量・質ともに効率がよく、かつ、上物である。しかし、草むらでは野生のポケモンに遭遇しやすい。生まれてからそんなに時間の経っていないラルトスに野生のポケモンとのバトルをさせるには、まだ早いのではないかというユウトの考えがあったからである。

 

「さて! ラルトス、そろそろ帰ろー!」

 

 この灰集めはほぼ毎日やっていることである。たとえ一日の収穫量が少なくとも一年間毎日、そしてそれを二年三年と続けていけば、相当な量となるのだ。

 

(今日のところはもう十分)

 

 そう思って、彼はラルトスに声をかけた。

 しかし――

 いつもならやや甲高くて元気な声が返ってくるはずなのが、

 

「ラ、ラルー!!」

 

今日は悲鳴のような声が彼の耳に届く。

 

「ラルトス!?」

 

 そこでユウトは初めてラルトスに何かが起きたのだと自覚した。

 顔を上げて辺りを見回してみるも見当たらない。

 

「どこだ!? どこにいる、ラルトス!?」

 

 ユウトは思わず声を張り上げた。

 

「ラルー!!」

 

 再度同じように彼の耳に届く叫び。

 

「こっちか!」

 

 聞こえてきた方には草むらが広がっている。さっき彼は野生のポケモンと遭遇しやすいから草むらに入るな的なことを言っていたが、既にそんなことは彼の頭の中にはなかった。

 

「待ってろよ、ラルトス!」

 

 彼は躊躇なく草むらに分け入った。

 

「ラ、ラル、ラルー!」

 

 なおも姿が見えず、しかも苦しみ、助けを求めるかのような声。

 彼は走った。大人には何でもなくとも、子供の背丈ではやや高い草むらの中であったため、そこを走り抜けている彼の全身は既に灰まみれであり、さらに草によって腕や足のあちこちが切れて擦り傷が出来ている。

 しかし、それでも彼は走った。自分が一から育てたポケモンで、彼女が生まれてからは、自分の隣に常に彼女がいて、自分の一番の友達だったからだ。

 

「ラルトス!」

「ラルラ!?」

 

 そうして草むらからやや開けたところに出た。

 目の前には探していたラルトスの姿。

 それにユウトはホッと一息を吐くも、周りの状況から今が全然油断ならないものであるということを悟った。

 

「マッ!」

 

 ラルトスの周りを五体の赤いなめくじのようなポケモン、マグマッグが取り囲んでいたからだ。

 どう考えても多勢に無勢。おまけにラルトス自身生まれてそう時間も経っていないことからレベルも低い。それにラルトスの体中に焦げ跡も見受けられる。ラルトスが大きなダメージを負っていることも確かだった。

 

「マッグゥ!」

 

 そんな中、そのうちの一体から放たれたひのこがラルトスに向かって飛んでいく。

 

「止せ! やめろ!」

 

 ポケモンの技を人間が食らえば、某マサラ人以外は、ただでは済まない。しかし、ユウトの中にそんな意識はなく、ユウトはラルトスの前に飛び出した。

 ただただラルトスを助けたい、その一心での行動だった。そして飛び出した勢いのままユウトはラルトスの腕を掴んで、自身の胸に抱え込み、そしてそのひのこを避けるべく、飛び出した勢いを利用して地面を転がった。

 

「ラルラ!?」

「心配すんな。大丈夫。お前はオレが守る」

 

 ひのこを避け切ったユウトはラルトスを抱えたまま、町の方角に向かって逃げることを試みる。ちょうど、今の飛び込みでマグマッグに囲まれて出来ていた輪から外れることが出来たからだ。

 

「マッグゥ!」

「マッグゥ!」

「マッグゥ!」

 

 立ち上がり、走り始めて加速がつく。そんなときだった、マグマッグたちのひのこの雨が彼らを襲ったのは。

 

「ああああ!?」

「ラルラ!?」

 

 後ろからの、思いもかけない熱さが足と背中を襲ったため、ユウトはその場につんのめって倒れこんでしまった。

 

「ラルラ!!」

「だ、大丈夫。こ、このくらい、なんともない、さ」

 

 ズボンやシャツから焦げ臭いにおいを漂わせながら、それでも腕の中にいるラルトスに向かって微笑みを向けるユウト。

 

「ラルラ!!」

「大丈、ぶぐっ!?」

 

 さらにユウトの背をマグマッグたちのひのこが襲う。ユウトはそれがラルトスにいかないように、さらに背を丸めて足を畳むようにして、亀の甲羅のように身を丸めた。

 

「ぐぅ、ぐぐ、あ、あつッ……!」

 

 

 ラルトスは思った。

 

 ――なぜわたしはポケモンなのに大好きな人を守れないのか――

 

 生まれてからずっといっしょにいた。

 出かけるときも、ご飯を食べるときも、お風呂に入るときも、寝るときも。

 ずっと傍にいた。

 大好きな人間。

 

「あ、あついッ……あついよ……ッ!」

 

 そんな人が今目の前で苦しんでいる。

 

 このままじゃ、ユウトが死んじゃう。

 

 死んじゃう?

 

 いなくなる?

 

 

 いや

 

 いやだ

 

 そんなのいや

 

 

 

(そんなの! いやぁぁぁ!!)

 

 

 

 聞いた覚えがない、しかし、どこかで聞いたことがあるような声、そんな叫びがユウトの頭に響くと同時に、ユウトの体がフワリと浮き上がった。ユウトという壁がなくなったことで、晒されるラルトスの傷ついた身体。そこに向かって尚も襲い来るひのこの雨。

 しかし、それがラルトスに直撃することはなかった。

 

「こ、これって、もしかして、ハイパー、ボイス……?」

 

 そう。ラルトスから突如として周りの空間全体を伝わっていく音の攻撃。それは空気の振動が目に見えるほどのものだった。それで、迫りくるひのこをすべて弾き飛ばし、そして目の前の五体のマグマッグに大きなダメージを与えていた。しかし、それほどのハイパーボイスなのに、近くにいるユウトには影響は一切ない。凄まじい威力とコントロールに長けた一撃だった。

 

「マ、マグッ!」

「マッグ!」

「ママッグ!」

 

 それによってマグマッグたちは散り散りになって逃げていく。

 

「よ、よかった…………」

 

 痛みによる体力の消耗、また、彼らが逃げていったことによって緊張が解けたのか、ユウトはそうつぶやくと同時に気絶してしまった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 なにやら温かい何かを感じる。いったいこれはなんだろうか。

 そう思ってユウトは目を開けてみた。

 

「……ラルトス?」

 

 上から太陽の淡い光と灰が舞い降りてくるが、それ以外に真っ先に目につくものがあった。それはすぐ目の前。そこにラルトスの顔があったのだ。

 

「(よかった! 気がついたのね!)」

 

 ラルトスの、前髪みたいな頭部のおかげで普段はあまり見ることが出来ないその赤い瞳には涙が浮かぶ。

 

「これって……?」

 

 ユウトは全身をほのかに包む淡い光を見て取った。

 

「(これはいやしのはどうよ。これであなたを治してたの。火傷、そんなに痛くないでしょ?)」

「ああ。ありがとう、ラルトス」

 

 いやしのはどうは自分以外の対象のHPを回復させる技だ。ポケモンも人間も生き物であることに変わりはない。ならば、ポケモンの技が人間に効くというのも少しは頷けるものである。

 

「ん、ちょっと待て。お前……」

 

 ユウトはここで一つおかしなことに思い当った。

 

 

「(うん? どうかした、ユウト?)」

 

 

「お前、その言葉どうした?」

 

 

 ポケモンは基本的に、とあるニャースなどの一部の例外を除いて、人間の言葉を喋らない。

 それなのにだ。このラルトスはきちんと人間の言葉で会話出来ている。

 

「(別にわたしが人間の言葉を話しているわけではないわ。これはテレパシー。これであなたの頭の中に直接話しかけているの。だから)」

 

 そこでラルトスは一旦言葉を区切る。

 

「ラル、ラルラールラ?」

 

 それはいつもよく聞くラルトスの声だった。

 

「(というわけよ)」

「……なるほど。ちなみになんでそんなことが出来るようになったん?」

 

 ラルトス系統は赤い突起で人やポケモンの感情を感じ取ることができる。さらに、明るく前向きな感情を受け取ると、全身がほのかに熱くなるということは知られている。しかし、そういうことが出来るから、あるいはエスパータイプのポケモンだからといって、テレパシーでコミュニケーションを取れるなどという話をユウトは聞いたことがなかった。

 

「(むー、わかんない)」

「いや、わかんないって」

「(だってわかんないものはわかんないもん)」

 

 頬に手を当てながら首をひねってそう言うラルトス。真剣に考えてくれているのだが、本当に分からないのだろう。

 

「そういや、お前ってまだ生まれてから半年も経ってないもんな。仕方ないか」

「(そうよ。それにいいじゃない。これでもっとユウトとお話しできるんだから!)」

 

 その嬉しそうな様子にユウトは頬が綻んだ。

 

「そっか。そうだよね。ぼくもラルトスと話せてうれしいよ!」

 

 難しいことは置いておいて、今はそのことでこれからが楽しみだ、そういう気持ちがユウト、そしてラルトスにも湧き上がっていた。

 

「(さて、そろそろ帰りましょう。ユウトのママ、心配しているわ)」

 

 その言葉で今の状況を思い出したユウト。いつもだったら()うに返っている時間なのにまだ113番道路にいる。さらにここは草むらの中。さっきみたいにいつ野生のポケモンが襲ってくるとも限らない。加えてここは、タイプ相性的にラルトスにとって苦手なエアームドも僅かながら生息している地域。この場を一刻も離れる理由には事欠かなかった。

 

「よし。っ、つぅッ」

 

 ユウトは肘をついて身体を起こそうとしたが、全身に痛みが走ったことでまた大地に横になってしまった。

 

「(ユウト、大丈夫!?)」

 

 慌てた様子のラルトスがユウトの視界に入り、これ以上彼女に心配かけまいと振る舞おうとするが、

 

「だ、大じょ、うっ。だ、大丈夫、だよ」

 

 身体や精神は限界だった。

 

「(ユウト、今治すから! …………はれ?)」

 

 ラルトスは先程までユウトに掛けていたいやしのはどうをやろうとする。しかし、

 

「(な、なんで!? どうしてできないの!?)」

 

いやしのはどうは一向に発動しなかった。どうやらいやしのはどうを行うだけの力がラルトスにはもう残っていなかったようである。

 

「無理しなくていい、ラルトス。その気持ちだけで十分だ。お前だって結構なケガを負ってんだぞ」

 

 震える腕を伸ばしてなんとかラルトスの頭に手を置くユウト。そのまま、手を動かしてラルトスを撫でて宥めようとするユウトを見て、

 

「(……ユウト)」

 

ラルトスは何らかの決意を固めた。

 

「(ユウト、あとよろしくね)」

 

 そうして彼女は頭の上に乗っている手を両手で優しく地面に下ろすと、そのまま両膝をついて両手を組み、まるで信者が神への祈祷するかのような(よそお)いを見せた。

 するとラルトスの全身から薄い青色のキラキラとした輝きを持つ光が幾筋も――大きな星型を形成したものの中心を螺旋状に周りながら――空に向かって昇っていく。

 

「……おい、それってまさか!?」

 

 この世界の誰もがわからなかっただろうが、唯一ユウトだけは彼女が何をしようとしているのかが理解できてしまった。

 

「おいバカ、よせ! それは使うな!」

 

 ラルトスが使おうとしていたもの。それはいやしのねがい。これは自分が倒れる代わりに、その後に出てくるポケモンの状態異常を治し、HPを全回復させる技だ。つまり、この技を使えば、ユウトは先程のいやしのはどうから考えれば回復するのかもしれない。

 しかし――

 

「よせ! お前が倒れちゃうんだぞ!」

 

 ユウトの目の前にいる、一番の親友、一番傷つけたくなかった彼女が倒れてしまうことに他ならなかった。

 

「(大丈夫。死にはしないわよ。それにちょっと疲れてバトル出来なくなっちゃうだけよ? 心配しすぎじゃない?)」

「で、でも……!」

 

 ユウトはこのラルトスが初めてのポケモンだ。戦闘不能状態になるだけだということが言葉ではわかっていても、実際それを目にしたことはなく、かつ、今の怪我のあり様から、彼はある種の軽いパニック状態に陥っていた。自分がタマゴから返した大事な存在だったのだからなおさらだ。

 

「(じゃあ、あと、は……)」

 

 そうしてラルトスはそのまま膝をおって倒れこんでしまった。

 直後、空から先程上にあがっていった薄青いのキラキラとした輝きを放つ光がユウトの元に舞い降りてきて、そしてユウトの体に溶け込んでいった。

 すると、どうだろうか。ユウトの負っていた怪我はすべて完治し、体力も回復していった。服装以外は平時と変わらないくらいだ。

 

「くっそ……!」

 

 ユウトは起き上がると、倒れてしまったラルトスをすぐに抱きかかえる。

 

「待ってろよ。すぐにポケモンセンターに連れてって回復してあげるからな!」

 

 その宣言にラルトスは小さく、声にならない声で返事を返した。

 ユウトはそれに気づかず、来た道を走り続ける。

 

 ユウトの腕の中で感じる風と振動が彼女にはいたく心地よい。全身がポカポカと温かい何かに包み込まれ、くすぐったさを感じた。

 

 知らず知らずのうちにラルトスの口元は微笑んでいた。

 

 

 

 これを機にユウトとラルトスは、ユウトの考えの元、特訓を積むようになる。

 そしてこれが、たとえどんなに離れていようと互いを想い想われる、人間とポケモンという種族という括りなどを超越した絆の始まりとなった。




この後、ユウトとラルトスは般若がインしたママンにOHANASHIしされてました。


ラルトスの図鑑説明

ラルトス きもちポケモン
頭のツノで人やポケモンの感情を感じ取る。敵意を感じると隠れてしまうが、明るい気持ちをキャッチするとその人の前に現れるという。その際、全身がほのかに熱くなるそうだ。しかし、総じて人前にはめったに姿を現さないポケモンであることに変わりはない。

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