ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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外伝2 シロナ アルセウスとの邂逅(前編)

 シンオウ地方ハクタイシティ。

 

 歴史を重んじる気風が漂う町。しかし、近年は高層ビルなどが軒並み建ち並び、街並みから歴史を感じることは難しくはなっている。

 

 そんなハクタイシティの町外れの一角。そこにはシンオウ地方伝説のポケモンの一体、パルキアを象った銅像とともに一つの施設がある。

 それがシンオウハクタイ大学。ここは全国にある様々な大学の中で、各地方の歴史とポケモンとの関わりにおける研究において、全国的に有名な大学である。ちなみにこのハクタイ大学は最近、それ以外の分野にも裾野を広げようと予備学校も設置し、様々な分野で活躍するであろう研究者の育成にも力を入れている。

 尤も、本業とも言える歴史分野についても抜かりはない。

 

「――であるからして――」

 

 そこの講堂の一つ。

 そこで後ろに大きなプロジェクターを背負いながら熱弁を奮っている一人の女性がいた。金糸のような長髪を柔らかく後ろに垂らし、それは腰下までは易々と届いている。

 シンオウ地方は比較的寒冷であり、ハクタイシティはキッサキシティほどではないが、テンガン山から寒冷な空気が流れてきて、キッサキシティの次くらいに気温は低い。

 だが、室内はその限りではないのだが、その女性は黒のコートを羽織っている。もはや、それが彼女のトレードマークであることを主張していた。

 その女性の名は――

 

「シロナさん、そろそろ次の――」

「あぁ、申し訳ありません。ついつい熱くなってしまい。では――」

 

 考古学者であり、そしてシンオウチャンピオンマスターとしての側面も持つ女性、シロナである。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

 皆さん、お久しぶりです。

 私はシンオウチャンピオンマスターのシロナです。

 

 現在私はチャンピオンの他に考古学者という一面を持っています。ちなみに専門分野は『ポケモンの歴史と神話を研究』です。

 そして、これらのお仕事の一つとして、たびたびいろいろな施設で“講演”というようなもの行っています。

 昔は“チャンピオンとして”、というのが多かったのですが、私の発表した論文が学会で認められ、世界的な賞を取ってからというもの“考古学者として”という依頼が多くなってきました。ちなみに大学を始め、様々な研究機関が私に籍をおいてほしいと言ってきたのですが、断りました。

 私も誰かに似てきたのか、一つの場所に縛られるというのもあまり好きではないので。

 

 さて私がここに立っている理由。それは四年前の彼との出会いがすべての始まりでしょうか。彼との出会いが私の中のポケモンに対する認識、知識、考え方、ほぼ全てと言ってもいいほど変えてくれました。

 そして同時に考古学者としての悲願もギンガ団の思惑があったとはいえ、相見えることもできました。

 そしてさらにもう一つ、

 

「では世界の根元というものの話をしましょうか」

 

――私は彼のおかげで歴史の“始点”というものにも立ち会えることができました。今日はそのお話をします。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「おもしろいもの?」

 

 彼から連絡が来たのは実に半年ぶり。たまには連絡しろとは言ったもののこれほど連絡してこないとは。喜びと同時に怒りのボルテージも膨れ上がっていく。

 

「私たちを放っておいてずいぶんなご身分ね」

 

 私の発した言葉はつっけんどんな感じだったと思う。

 

【うっ、その辺は反省してます。ただオレ、シロナさんに喜んでほしくていろいろ探し回ってたんですよ】

 

 私のため

 

 私のため

 

 “私のため”

 

 ちょっと、いや、結構舞い上がってしまった。年下の子の言葉一つに一喜一憂するなんて――

 

【詳しいことは会ってから話します】

「そう。わかったわ」

【それからヒカリちゃんも呼びます】

「……ふ~ん」

 

 微妙に今の言葉にカチンときたのだけど――

 

【シロナさん。シロナさんのポケモンで、実力が最強のメンバーを六体選出してから来てください】

 

 彼の話らしからぬその真剣さと内容から、それは軽々と吹き飛んでしまった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 私とヒカリちゃんは彼の指定してきた、テンガン山の奥に佇む、やりのはしらにいた。

 

 やりのはしら

 

 ギンガ団のボスであったアカギがシンオウ地方の三湖にいる伝説のポケモンたちの力を使って時間の神ディアルガ、空間の神パルキアを呼び出し、新世界を創造させ、世界の破滅を招こうとした場所。

 

 そしてもう一度ここに来たとき、あのときには感じなかった別の考えが頭を(よぎ)った。

 

「あのギンガ団のときはそれどころじゃなかったですけど、今思えば、ここって何かおかしいですよね?」

「そうね。おそらくここはもっと別の重要な何かを意味するところなんじゃないかしら? 言葉は悪いけど、得体の知れないものが存在している気がするのよね」

 

 しかし、私の言葉に返答をしたのは隣のヒカリちゃんではなく――

 

「そのとおりです。二人ともお久しぶりですね」

 

 私たちのよく知る彼の声であった。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 再会を喜ぼうとも、そしてなんでほったらかしていたんだという怒りをぶつけようとも思っていたのだけども。

 

「あの……ユウト、さん……」

 

 ヒカリちゃんが言いよどむのもわかる。

 なぜなら彼の隣にはラルトスの他にものすごい威圧感を放つ得体の知れない大きな存在が六体――

 

 いや――

 これは――

 まさか――

 

 ――ポケモン……!?

 

『何者だ、この者たちは?』

 

 頭部は人間よりも明らかに大きいが二足歩行で尻尾があって全身が白っぽい、得体の知れない存在のうちの一体が喋った。いや、正確には、口は動いておらず、そして脳に響くように聞こえてきた。

 これには覚えがある。

 たしかこれは、ラルトスの使っていたテレパシー!

 

「彼女らは助っ人さ」

『我らだけでは不服と申すか?』

「そんなんじゃないよ。仲間は多い方がいい。今回の相手はヤバいから」

「(アンタ、さっきからそうユウトが説明してるじゃない、戦力は多い方がいいって。このポケモンたちのことを受け入れたんだから、今更人間の一人や二人で文句言うんじゃないわよ)」

『むぅ』

 

 彼とラルトス、そしてその得体の知れない存在とのテレパシーが頭の中に響いてくる。それにしても彼があの存在と普通に会話していることについて、ほとほと彼には驚き飽きていたつもりだったんだけど、実はまだまだ足らなかったらしい。

 

「ユ、ユウトさん、説明、してもらえます?」

「おぉ、そうだ。二人には紹介しておかないと」

 

 そう言って彼が紹介をし始める。

 

「二人の右から見てホウオウ、ルギア、グラードン、カイオーガ、レックウザだ。あ、オレたちと今話してたのがミュウツーね」

 

 私、いつから夢を見ていたのかしら。

 頬を抓ってみる。いたい。

 今度こそ思いっきり抓ってみた。あれ、痛くない。なんだやっぱり夢――

 

「ってシロナさん! なんであたしの頬を抓ってんですか!! しかも超痛いし!!」

 

 なるほど。自分のじゃなかったのか。道理で痛くないわけだ。

 そしてお返しとばかりにヒカリちゃんに思いっきり抓られた。

 

「……いふぁい」

「反省してください!」

 

 やっぱり痛かった。ということはだ。

 これ、現実?

 これが現実?

 コレガゲンジツ?

 

「ま、まさか、伝説のポケモン!?」

「そっ。そのまさかだ」

 

 ヒカリちゃんの驚愕の問いをよそに彼はあっけらかんと答えてくれた。

 

 ここで彼の“講義”を思い出した。

 ポケモンの中で無類の強さを発揮し、そのポケモンの前に敵はなし。捕まえにくさも他のポケモンとは一線を画す存在。

 それが“伝説のポケモン”

 

 私たちが彼にそれについて教わったうちのシンオウを除く各地方を代表する伝説級のポケモン。それが今私たちの目の前にいたのだった。

 

「この伝説のポケモンたちは全てユウトさんのポケモンなんですか?」

「いや、今は違うというか、捕まえてから逃がした」

「逃がしたぁ?」

「ああ。こういうポケモンは、そこに住んでいるポケモンたちからも崇拝の対象になっている場合もあったりするから、オレが勝手に連れて行くっていうのもね。あと強過ぎるポケモンっていうのはいろいろなトラブルを招きやすいんだ」

 

 そういえば昔ロケット団とかいう組織があって、その組織は伝説のポケモンを狙っていたとか何とか。その後も、解散しているけどしぶとく残党たちが再起しようと奮起しているというのも聞いたことがある。

 今はそれらは聞かなくなったけど、万が一ということもあるか。

 

「相変わらず、用心深いのね」

「いや、シロナさんが用心しなさすぎなだけだから。それに今ではこいつらはいい友達みたいなものですよ。困ったときはお互い助け合うっていうね」

『我を頼ったのは今回が初めてだったがな』

『そうだな。今まではこちらの頼みごとが多かった。だから、君の頼みごとについては快く協力しよう。しかし、そろそろ説明してくれないか。私達伝説のポケモンと呼ばれるポケモンをこれほど集めて、君はいったい何をしようとしている?』

 

 ルギアというポケモンが話の核心を聞きたいと促す。ちなみにルギアも別に口が動いているわけではない。おそらく、ミュウツーもそうだが、この二体はエスパータイプを持つからなのか、ラルトスと同じくテレパシーで会話をしている。

 

「そうだな。役者も肝心要を除いて全員そろったことだし」

 

 そう言って彼は詩を朗読するかのように次の一節を詠った。

 

 

 ――初めにあったのは

 ――混沌のうねりだけだった

 ――全てが混ざり合い

 ――中心に卵が現れた

 ――零れ落ちた卵より

 ――最初のものが生まれ出た

 ――最初のものは

 ――二つの分身を創った

 ――時間が回り始めた

 ――空間が広がり始めた

 ――さらに自分の体から

 ――三つの命を生み出した

 ――二つの分身が祈ると

 ――「物」と言うものが生まれ

 ――三つの命が祈ると

 ――「心」と言うものが生まれた

 ――世界が創り出されたので

 ――最初のものは眠りについた

 

 

 これは私もよく知っている。なにせこれが専門なのだ。これは、シンオウ地方に伝わる伝説のうちの一つ。

 

「『始まりの話』ね」

 

 そして、ギンガ団、そしてギラティナのことがあってから、私はこれについての論文を仕上げているために、検証を続けている途中でもある。ちなみに、この神話の中の“二つの分身”はディアルガとパルキア、“三つの命”はアグノム、ユクシー、エムリット、そして“最初のもの”というのがこの世界を生み出したポケモン、創造神アルセウス。尤も、この神話は事実が欠けていて、アルセウスは二つではなく、三つの分身を生み出していて、それがこの世界の裏側に存在する“やぶれた世界”にいるギラティナである。

 

「ジョウトにあるシント遺跡、それからホウエン地方ルネシティの近くにはまったくその存在が知られていない海底遺跡があるのですが、その二か所に行ったときのことです。そこでわかったことなんですが、実はこのやりのはしらはある目的のためにオレたち人間とポケモンの祖先が創り出したものらしいんです」

 

 ジョウト地方。そこはポケモンにまつわる遺跡や伝承が数多く残る歴史的な地方で、建造物も古風なものがよく見られる。私もフィールドワークで何度も出かけたりしていた。

 しかし、ふと思う。今、彼は“誰にも知られていないという海底遺跡”と言った。

 

「あなたはどうやってその海底遺跡の存在を知ってそこに行くことが出来たの?」

「カイオーガに案内してもらったんですよ。カイオーガが住む“うみのどうくつ”にほど近い場所でした」

 

 なるほど。うみのどうくつは聞くところによれば入口が複数個所あり、それらがランダムに口を開けるのだという謎の洞窟。尤も、この子ならその不可思議な洞窟に辿り着いたとしてもなんらおかしなところはないと感じさせてくれる。

 

 でも――

 

「いったいどうやってそんなことを?」

 

 彼は考古学者でもなんでもない。彼はただの、というのには大きな語弊があるが、ポケモントレーナーだ。いったいどうやってそれを知ることが出来たのか。

 

「アンノーンです」

「アンノーン、ですか? あのめざめるパワーしか覚えない、あのエスパータイプの?」

 

 これも彼の“講義”の中で聞いたことがある。

 

 アンノーン。ヒカリちゃんの言うとおりのポケモンで、めざめるパワーしか覚えないポケモンなため、残念ながらバトル向きとは言い難い。しかし、その不可思議な存在から極めて謎の多いポケモン。

 

「ちょっとここで“臨時ポケモン講座”を開きましょうか。テーマはアンノーンについて。二人とも、アンノーンって実は何種類もいるんだけど何種類いるのか知ってます?」

 

 遺跡とかに行くと壁画として刻まれていたりするアンノーン。

 たしか様々な種類がいた。

 

「二十とかですか?」

「いいえ、たしか二十八種類だったと思うわ?」

「シロナさん、正解。答えは二十八種類です」

 

 まあここは私の専門分野の知識の賜物だろう。なにせアンノーンは遺跡には必ずと言っていいほど登場するポケモンであり、遺跡の壁画には必ずと言っていいほど描かれているポケモンだ。そして、描かれている場合、ビッシリとほとんど隙間なく描かれている。学会ではいまだにそれがなにを描いているのかわからないという見解だが、一部の学者たちにはそれがなんらかの文字を表しているのではないかという見方もある。論拠としては目玉の上半分が黒いまぶたのような物で覆われているちょっとレアなアンノーンが二種類いるのだけど、その二種類が私たちの使う『!』(エクスクラメーション・マーク)『?』(クエスチョンマーク)によく見れば似ているのではないかというものである。ちなみに、私はこの文字を表しているという見解に同意している立場だ。

 

「もっと詳しく言えば、二十六個の文字と二つの記号を合わせて合計二十八種類です」

 

 ――ちょっと待ちなさい。今なんと言ったかしら?

 

「あれが、文字に、記号……!?」

「ええ。それがどうかしましたか?」

 

 どうかしたかじゃないわよ!! 世界中の学者ですら解き明かしていないことなのよ、あれは!?

 それがなによ! なんでこうもあっけらかんと!!

 

(「あ、そうか。ここってたしかあそことは)(文字が違うからわからないんだよな。)(忘れてたよ」)

 

 なんかボソボソと独り言を言っているみたいだけど、今は全然気にならなかった。

 

「あの、シロナさん? ユウトさん?」

 

 ヒカリちゃんの心配そうな声も今の私にはどうでもよかった。

 

「ユウト君」

「はい?」

「なんでそんなことを知っているのかとかこの際はどうでもいいわ。あとで、あとでそのアンノーンと文字について詳しく教えなさい。いいわね?」

「まあかまいませんよ」

 

 よし! 言質は取った! 

 あとで絶対にその文字――文字なんて言うからにはそれを使った言語があるということだけど――、それをものにしてみせる!

 これは人類の偉業に刻みつけられる偉大なる一歩となるのよ!

 

 

「さて、だいぶ本題から離れてしまったので戻りましょう。このやりのはしらはそのシント遺跡とその海底遺跡にあった文字――アンノーン文字としましょうか――その一説によるとある目的のために構築したそうです。その目的とは――」

 

 

 創造神アルセウスをこの世界に降臨せしめるため――

 

 

「オレはこれからここにそのアルセウスを呼び寄せます」

 

 開いた口がふさがらないとはきっとこういうことを言うのだろう。

 アルセウスは『始まりの話』にある伝説のポケモンたちを生み出し、そして彼らがこの世界を創り出した。アルセウスは云わば何もかもを生み出した神という位置づけに存在する。

 そして――

 

『なるほど。全てを生み出した神というわけか。ならば、ここにそれぞれ“神”とも呼ばれることもあるポケモンを集めたのも納得がいく』

『我も、いや、様子を見るに我らは皆興味をそそられたといったところか』

『そうだな。私も全てを生み出した神とやらに会ってみたい。おそらく戦うことにはなるだろうがな』

『人間が“最強”を目指すために創り出した我の力がどこまでその神とやらに通用するのかというのをはかるのもおもしろい』

 

 ルギアやミュウツーの言葉通り、伝説のポケモンたちは臨戦態勢を整えている。というか、ちょっと待ってほしい。

 

「あなたたち、戦うことが前提なわけ?」

『戦わないというのはおそらくムリな話だ』

『我らはポケモンであり、生き物である。我はコピーではあったが、しかし生き物であることに変わりはない。そして生き物ならば仲間でもないものに対し、争わないという道理はない。我らとて戦わずしてユウトと友誼を交わし合ったわけではないのだ。もちろん、例外はあるがな』

「だけど、今回は戦うのは最後の手段だ。一応戦わなくても済むよう手段を構築してきた」

 

 尤もそれは後のお楽しみということにして、と言いつつ、彼はバックから奇妙な形をした笛のようなものを取り出した。眠っているポケモンを起こすポケモンの笛とは形状がまったく違う。

 

「それ、何ですか?」

「ん? これはねぇ~」

 

 ヒカリちゃんの言葉を耳にしつつ、彼は地面の上に熱心な視線を送っている。

 

「……ん? こいつかな? あぁ、コレっぽいな」

 

 そう言って彼は地面に座り込み、その周辺の砂を払っている。

 

「で、これは天界の笛って言ってアルセウスを呼び寄せるためのアイテムなんだ。さっき話に出たその海底洞窟で拾った。そして、この天界の笛をやりのはしらのある特定の場所で鳴らすとアルセウスへの道が開かれる。それがここ。二人とも、ここを見てみ」

 

 ヒカリちゃんの後に次いで私も彼の指差すところを見ると、何やら笛の絵(?)のようなものが描かれている。

 

「さて、じゃあ今からこの笛を吹くよ。みんな準備はいい?」

 

 ここで否と答えた場合、きっと空気読めよと言われることうけあいだろう。

 

 

 * * * * * * * *

 

 

「これは……!?」

 

 思わず、言葉がこぼれ落ちてしまった。

 いや、この場にいる一人を除いて人もポケモンも皆がある感情を覚えていた。

 

『不思議だ。私達のように超能力のようなものではない』

『ごく自然にある。まやかしなどではない』

 

 ルギアやミュウツーが言うにはおかしなところは一切ないらしい。

 

「透明な……階段……!?」

 

 そこに現れたモノ。それはやりのはしらのさらに上に行けとでも言うような階段。半透明で先が透けて見えるそれだが、手をついてみると、確固とした頑丈な感触を覚える。これが笛の絵が描かれた部分から上に向かい、伸びていたのだった。

 このやりのはしらはテンガン山の頂点に位置していると言っても過言ではない。

 シンオウ地方ではテンガン山のことを『シンオウ地方を二つに分ける山脈であり、シンオウ地方の“屋根”である』とも言われている。実際、山頂付近は万年雪に覆われており、テンガン山の東と西では気候もポケモンの生態も異なる。

 そのテンガン山山頂のやりのはしらからさらに上に、それこそ、やりのはしらに立てられている大理石の柱は先が見えないのだが、それよりもさらに上に向かって伸びている階段は、まさに天に、いや、“天国にすら伸びていきそうだ”という印象を受けた。

 

「創造神が降臨すると言うのにはまさにうってつけといった感じかしらね」

「まあ、そうですね。じゃあ行きましょうか、アルセウスの待つ――」

 

 

 ――始まりの間へ――

 

 

 




一つにまとめられるかなと思いきや案外長かったので、ここで一時切ります。

またアンノーン文字(アルファベット)についての補足です。
ポケモンの世界を見ていますと、我々の世界で使っている文字とは異なるものが使われているようです(アニメやゲームの描写から。詳しく確認してみたい方はアニメXYの1話と26話を画像検索掛けてみてください。ちなみにアラビア数字は同じようです)。
すると、我々が使っているごく普通の文字が、彼らにはまったく未知の文字として映るものだと考えました。
ですので、アンノーン文字についてはこのような描写としました。

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