ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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挿話9 リーグ1回戦 ヒカリ

『さあ、次の試合に進みましょう!』

 

 男性実況の声がスタジアム内にうるさいくらいに響き渡る。観客席にいるオレでも若干耳を塞ぎたいレベルだ。

 予選リーグ一回戦。環境は水のフィールドということで長方形の形をした水深数メートルの深いプールに水がなみなみ入っている。

 そんなところでは水ポケモンしかダメじゃないかと思うところだが、そこはきちんと円形状の陸地がいくつもきちんと立てられていて、水ポケモン以外でも活躍できるになっていたりもする。ちなみに、これはカビゴンやボスゴドラが乗っても壊れないんだとか。この世界の科学技術はホントよくわかりませんね。

 

『まずは赤コーナー! ハクタイシティ出身、サユリ選手!!』

 

 出てきた相手はゲームでいえば、いわゆるエリートトレーナー。ただ、装いはシンオウのそれなんだけど、髪型だけはイッシュっぽいツインドリル風。つまり、何が言いたいかと言うと、緑ツインドリルはなんだかとっても新鮮味を受けるということ。

 

『サユリ選手は予選リーグに出場すれば、毎回決勝リーグまで勝ち進む強者です! 今回はこの予選リーグからの出場となります! そして青コーナー! フタバタウン出身、ヒカリ選手!!』

 

 そしてヒカリちゃんも登場。見た感じガチガチに緊張しているようには見えない。二人はゲートを通って、トレーナーがポケモンに指示を出す枠――トレーナースクエア――の中に足を踏み入れた。一度この中に入れば、基本的にバトルが終わるまで、トレーナーはこの中から出ることは許されない。

 

「結局ヒカリちゃんとバトルは出来なかったけど、楽しみね」

「ああ。なんつったって、このうすらバカの弟子だかんな」

 

 そしてオレの横にはグリーンさんたち三人。ちなみにダイゴは席をはずしていてこの場にはいない。なんでも、チャンピオンとしての仕事が入ったようだ。

 しかし、相変わらず、シルバーさんは口が悪い。だから、年上扱いしないんだよ。

 

「おい、シルバー」

「あ? いつも年上には敬えつってんだろ?」

「あんた、年上だったのか。それは初耳だ」

「コノヤロッ」

「はいはい、二人とも。じゃれあうのはそこまでにしよう。今はヒカリちゃんの試合だよ」

 

 いや、じゃれ合ってないです。そこは違いますよー、グリーンさん。

 

「そうだぜ、だれがこんな」

「ハイハイ、もういいから」

「そういうのは後でいくらでもやってよね」

 

 うわ、二人にすっげー適当に流された。

 

「そんなことよりも、ユート君。どうなのよ、実際ヒカリちゃんは?」

「そうだね。彼女の手持ちポケモンは?」

 

 強引な話題転換に釈然としないものを感じるけど、えーと、彼女のポケモンね。ひとまず、水タイプはポッチャマ、ギャラドス、ラプラスの三体。

 

「なるほどな。一応は水タイプだけで三体組めるっつーわけだ」

「でも、その三体で出るのは危険じゃない? だって弱点もろ被りだし」

「しかし、フィールドを生かすにはなかなかの組み合わせだろう。まあ尤も、僕なら飛行タイプは絶対潜り込ませるかな。その三体だと、対空迎撃に関してはやや不安だからね」

 

 さっきまでイザコザしていたシルバーも加わってあれやこれやと討論している。三人はヒカリちゃんのことをまだあまり知らないからという面で、少し心配だという気持ちがあるのだろうが、オレとしては結構楽観している。

 

「まあ、彼女なら大丈夫だと思いますよ」

 

 その言葉に三人はピタッと止まり、次にオレを見据えてくる。

 

「それってユート君が彼女の師匠としての自信?」

「それもあるにはありますが、彼女のトレーナーとしての才能ですかね」

 

 さらに、リーフさんへの答えには付け加えなかったが、オレとのバトルを何度も経験しているなら、きっと考え付くことがあるハズ。

 

『では、試合開始ィィィ!!』

 

 実況の合図がBGMとして流れる中、彼女がどんなバトルを観せてくれるのか期待に胸がふくらんだ。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

 初めてのポケモンリーグ。

 周りを見回せば、スタジアムの客席を埋め尽くすさまざまな色。そして耳を塞がんというばかりの歓声。

 こんな中でのバトルなんて、今まで一度も経験したことはない。

 緊張もしてる。

 でも。

 ガチガチに固まるような緊張感ではなく、ほどよいそれ。そして何より――

 

「ワクワクするなぁ!」

 

 期待感、それから高揚感の方がそれを大きく上回っていた。

 トレーナーの待機場所に立った。これからバトル終了まではここからポケモンたちに指示を出すのだ。

 

「では、改めてルールを説明します」

 

 一回戦だけはここで再度、ジャッジの人がルール説明をしてくれるらしい。ルールに関しては昨日までに頭に叩き込んだけど、もう一度耳を傾ける。

 

「バトルの形式は1対1のシングルバトルです。使用ポケモンは三体、ポケモンの交代は認めます。道具の使用はできません。以上です」

 

 うん、バッチシ! 今のを言い換えれば、それ以外は何をしたってOKなわけだ(もちろんスポーツマンシップに反する行為はアウトだけど)。

 ということはわざわざご丁寧にこの水のフィールドに付き合ってあげることもないのである(尤も、この手段はまだとっておくけど)。

 

「では、よろしいですね?」

 

 ジャッジの言葉にお相手のきれいなお姉さん、それからあたしも頷く。

 

「両者、ボールを構えて!」

 

 あたしの最初のポケモン。それは――

 

『では、試合開始ィィィ!!』

 

 

 あなたよ!

 

 

 * * * * * * * *

 

 

『さあ、バトル開始! 両者最初の一体目のポケモンが出揃いました! サユリ選手はスターミー、ヒカリ選手はギャラドスです! スターミーにギャラドス、どちらも水タイプのポケモンです!』

 

「ギャラドスね。悪いけど私のスターミーの相手じゃないわ」

 

 スターミーは特攻、素早さが共に高いポケモン。しかも、10万ボルトにサイコキネシスにれいとうビームといった多彩な技を覚える。

 だけどね。

 

「さあ、どうですかね! ギャラドス、ダイビングでスターミーに接近!」

 

 タイプ相性はバトルではすごく大事。でも、それだけで決まるわけじゃない。

 

「私のスターミーはそんじょそこらのスターミーとはワケが違うわよ! さあ、スターミー、10万ボルト!」

 

 スターミーの身体が発光すると同時に、10万ボルトが放たれる。スターミーを中心にして、水面を波紋のごとく、あっという間に10万ボルトが広がっていった。

 

『これはすごい! サユリ選手のスターミー! 水タイプであるにもかかわらず、なんと弱点である電気技が使えるようです! これはこの水のフィールドに対して相性は抜群でしょう! そして電気には極端に弱いギャラドス! これは効果抜群だぁ!』

 

 ギャラドスは浮かんでこない。

 ジャッジとしては戦闘不能かそうでないかを見極めなければならないから、水面をジッと凝視している。

 

「お分かりの通り、私のスターミーは水タイプにとって弱点のはずの電気タイプの技が使えます。加えて、普通の水タイプよりさらに電気に弱いギャラドスではもうどうしようもできません。交代の準備をした方が賢明ですよ」

 

 ……ちょっといろいろ言いたい。さっきの実況の人も言ってたけど、別にそのポケモンにとって弱点になる技を覚えるのって、結構普通にあることだと思う。それとも、水タイプなのに電気タイプの技っていうのがインパクト大きいのかな。ともかく、そんなのはそれなりに普通。あたしのラプラスやギャラドスだって10万ボルトは使えるし、かみなりだって使える。

 ふとスターミーが乗る足場近くの水面にいくつかの小さい泡がボコボコと浮き上がった。

 

「さあ、次のポケモンを用意なさい!」

 

 いまだ出てこないギャラドスに、相手はスターミーともども完全に油断していた。

 

 

「今よ、出てきなさい! ギャラドス!」

 

「グオォォオ!」

 

 

 その合図とともに水面から跳びはね、宙に飛び上がったギャラドス。

 

「な、なんですって!?」

 

 相手の顔が驚愕に染まるのが見える。

 

『な、なんと! ギャラドス、スターミーの10万ボルトを食らってもダウンしていません! そのまま水中から飛び上がったァ!』

 

 そのままおんがえしでも決めてもらおうと思ったけど、結構高く上がったから変更。

 

「そのまま反転してずつきよ!」

「くっ! スターミー、避けて!」

 

 ギャラドスのその高い攻撃種族値からのずつき。

 わんぱくな性格だったので、特性いかく込みの物理受けを考えた戦略で努力値を振っていたものの、攻撃にだって、わずかだけど、ちゃんと振ってある。しかも落下の加速度とギャラドスの全体重が加わる。スターミーは耐久とHPはそんなに高くはないから、これなら!

 

『決まったァ! ギャラドスのずつき! スターミー、避け切れなかったァァ!!』

 

 そして二百キログラム以上の体重がスターミーに乗っかり、疑似的なのしかかり状態になった。

 ギャラドスがその場を退く。仰向けに倒れ、中央の宝石のような部分がピコピコと点滅していた。

 

 

「スターミー、戦闘不能! ギャラドスの勝ち!」

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

「かみなりとか10万ボルトでもよかったんだろうけど、水面高く飛び上がってくれたんだったら、確かにずつきの方がよかったわね」

「ああ。すっげぇ体重があるから、いくら電気が弱点とはいえ、ずつきとかの方が威力があるからな。つか、あのギャラドスはマジなんなんだ? スターミーの10万ボルト食らってもピンピンしてるとか」

「昨日ヒカリちゃんに聞いたんだけど、あのギャラドスはナギサシティというところの発電所内で捕まえたらしいから、電気にそこそこの耐性があるんだとか」

「ええ!? なにその反則!」

 

 隣では三人が今の試合の討論を活発に交わし合っている。

 そんな中、相手が次のポケモンを繰り出してきた。

 

「おっ?」

 

 あのポケモンは――

 なにかあったのかと、三人がこちらを振り向くのが見えた。

 

「これは……。結構おもしろいのが見られるかもしれませんよ?」

 

 三人の目はどういうことか説明しろ、と口以上にものを語っているように見えるが、答え(?)を言うのは面白くもない。でも、まぁヒントだけは出すかな。

 

「この水のフィールド。大会関係者には申し訳ないですけど、わざわざこのフィールドに付き合うことはない、ということです」

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

『サユリ選手、二体目のポケモンはキングドラだァ!』

 

 相手の二体目は水・ドラゴンタイプのキングドラ。そのタイプの掛け合わせから、効果抜群を取るのがなかなか難しいポケモンでもある。

 

「キングドラ、弱点はかなり少ないわ。さて、どうするのかしら?」

 

 どうするかですって?

 

 そんなものは相手の出方を見ながら考える!

 とりあえず、まずは特性を判断しないと。たしかキングドラの特性は『すいすい』、『スナイパー』、それから、

 

「げっ! あと一つなんだっけ!?」

 

 しまった、肝心なところで思い出せない~!

 

「ま、まぁ、忘れちゃったってことはきっと大したことがない特性ってことよね! うん!」

 

 よし! これで解決!!

 

 …………ゴメンナサイ、後で確認します……。

 

「キングドラ、こうそくいどう! ギャラドスをスピードでかく乱するわよ!」

 

 おっと、そんな間に攻めてきた。キングドラは水面を滑るように高速で移動している。とりあえず『すいすい』か『スナイパー』か。あまごいをやらないとすると、『スナイパー』の方が濃厚な気もするけど、ビミョー。ここはなるだけ速攻で決めよう。

 それにしても、あんなにビュンビュン滑るなら――

 

「ギャラドス、急所攻撃には十分気をつけなさい! それから水面ではねるよ!」

 

 ギャラドスは心得たとばかりに水面で不規則にはねる。穏やかな水面ではスキーのように滑ることも可能だろうけど、それが果して荒れてしまえば、どうなるかしらね?

 

「くっ! なかなか考えますね!」

『おーっと! ギャラドスがはねたことにより、水のフィールドは大荒れになっています! さすがのキングドラもこれにはスピードがコントロール出来ないのか、失速しております!』

 

 よし! いい感じ! あのギャラドスの巨体でのはねるだから、フィールドは大荒れの大荒れ。さらにバッシャンバッシャンとギャラドスを中心に水しぶきが上がるから簡易的なガードとしての役割も持たせられる。……というか、そこかしこで水しぶきが上がるから、若干あたしにもかかってちょっと失敗したかも……。

 さて、次の一手!

 

「ギャラドス、今度はりゅうのまい!」

 

 ギャラドスがピンと背筋が伸びたような状態になり、円回転をし始める。それと同時に黒煙とそれに纏うようなスパークが天に昇りつめていった。ついでにその余波として水のフィールドにある一定の流れが出来始める。要領としては流れるプールといったところ。

 

「キングドラ、流れに乗りなさい!」

 

 さすがは水ポケモンといったところで、さらに回転を始めていた水流にあっさりと乗るキングドラ。いえ、それだけじゃなくて、レベルが高いこともあるかな。

 

「今よ、キングドラ! ギガインパクト!」

 

 水流に乗って勢いが増した状態からのギガインパクト。じばく系統の技以外としてはほぼ最強の威力を持つ技だ。

 だけど、

 

『な、なんと! これはどうしたことでしょう! キングドラのギガインパクトが全く効いていない!』

 

「そっ、そんな!?」

 

 あたしのギャラドスはとっても打たれづよいのよね。それにさっきも言ったけど、わんぱくな性格(防御↑、特攻↓)だったから物理受けに育ててきた。だから、いくらギガインパクトといえど、簡単には大ダメージは食らわない。

 

『一方ヒカリ選手のギャラドスは先程から何をしているのでしょうか!? 何かをやっているのはわかりますが、あれがなんなのかは不明です!』

 

 へっ? え? ウソ?

 何やっているか分からないって、あたしにはその発言の方がわけがわからないよ。あれはりゅうのまいっていう、攻撃と素早さを上げる効果を持つ、れっきとした技なんだけど。

 アレ?

 もしかして知られていないとか?

 

「くっ! いったい何をしようとしているんですか!?」

 

 ……多分知られてないんですね、わかります。これは勝っちゃうかも。正直もう十分すぎるくらいに舞ったから。

 とはいえ、水面を滑空するように移動するキングドラのあのスピードは、いくらりゅうのまいで素早さが上がったとはいえ、些か面倒。

 

 ならば!

 いよいよ作戦 K☆A☆I☆K☆I☆N といきましょうか!

 

 

「ギャラドス、高く高くとびはねなさい!」

 

 

 その指示でギャラドスはスタジアムの客席の高さより高く飛び上がった。

 

「縦に回転!」

 

 ゴローニャのころがるのごとく(あんなにグルグルとは回らないけど)縦回転を始める。当然ギャラドスは飛べないので、落下をし始めている。

 

「アイアンテールを水面に叩きつけなさい!」

 

「グオォォオ!」

 

 掛け声一閃。アイアンテールが水面に叩きつけられた。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

『こ、これは……!』

 

 実況は言葉を失っているようだ。尤もそれはオレやヒカリちゃん以外、この会場にいる全員が同じような状況である。

 

「まあ、ざっとこんなもんでしょう」

 

 オレも自分のポケモンに対してああいう手合いなら、似たようなことをやる。

 

 

「高くとびはねることによって、落下する際に発生するエネルギー、しかもそれはギャラドスのあの重い体重も合わさって相当の威力になる。さらに縦回転による遠心力、そしてそれらが全て合わさったアイアンテール。そうなればこの結果も当然だ」

 

 

 ついでに言えば、ギャラドスは高い攻撃種族値を持っている上に、りゅうのまいの舞い過ぎで攻撃力も大幅にアップしていたから、ただでさえ威力の高いアイアンテールにさらなる大きなブーストが掛かっていたようなものである。

 

『な、なんと! ギャラドスのアイアンテールにより、フィールドの水がほとんど外に溢れ出してしまったァァ!』

 

 結果、水のフィールドに張ってあった水はほとんどが外に飛び出してなくなってしまった。

 

 別に、フィールドの環境を変えていけないなどというルールは存在していない。だから、この戦法も十分アリである。

 

『キングドラは!? サユリ選手のキングドラはどこに!?』

 

 キングドラはフィールドから消えていた。

 

 いや――

 フィールド上に僅かながら残る荒ぶっていた水流もだんだんと穏やかになり始めてきたとき。

 

「!? キングドラ! しっかり!」

 

『あーっと、キングドラが浮かんできました! これは!?』

 

 ジャッジが傍に寄った。ここからはボコボコのキングドラが倒れてぷかぷかと浮かんでいるようにしか見えない。

 

 

「キングドラ、戦闘不能! ギャラドスの勝ち!」

 

 

 あんな様子なら、きっと荒れ狂う水流に巻き込まれて壁や土台の柱に何度も叩きつけられたに違いない。はねるのときのような水面でのバランスならともかく、水中では、そのとき以上の猛烈で不規則な水流で荒れ狂っていたようだから、コントロールを失ったとしても、ムリからぬことだったわけだ。

 ちなみにオレだったら、威力を弱めることによってあの水流を調節してキングドラの自由を奪い、そして波が壁に当たって反射してきたところをカウンター気味に物理技を一撃入れていたことだろうな。

 まあ、なにはともあれ、相手の手持ちはこれで残り一体。ヒカリちゃんの一回戦突破にリーチがかかった。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

「まだよ! 勝負は最後まで分からないわ! 出番よ、ピジョット!」

 

 うわお! なんて珍しい!

 

『サユリ選手最後のポケモンはピジョットです! それにしても、これは珍しい! なんと色違い! 金色のピジョットです!』

 

 ピジョットってすっごいイケメンなのに、あんな色違いじゃさらにカッコイイ!

 ……なーんてやってる場合じゃなくて。

 なるほど、空からのヒットアンドアウェイ戦法で来るってことね。

 

「ピジョット、そらをとびなさい!」

 

 ふふ♪ そうはさせないわ!

 

「ギャラドス、かみなり!」

 

 飛び上がったピジョットに対して、ギャラドスのかみなりが炸裂する。

 

『ななななーんと! ギャラドスがかみなり! これは意外すぎるぞ! サユリ選手のピジョット、これには堪らず効果抜群! 果たして耐えられるのかァ!!』

 

 そらをとぶ中で下は見ていても、上は見ていないようだったから運よく当たってよかった。それにピジョットにしては弱点だし、かみなり自体は威力が高い技だから、ギャラドスの特攻能力値的に厳しくても、これで――

 

「ピジョッ、ピジョッーート!」

 

 って、耐えた!?

 

「ピジョット! 頑張って! 行ける!?」

「ピッ、ピジョッーート!」

 

 倒せたかと思ったけど、あのピジョットはまだやれるといった感じ。ただ、全身がやや煤けてたりしているから、大ダメージは間違いなさそう。というかやっぱりリーグだけあってレベル高いわよね。

 

『ピジョットはどうやらやる気十分! バトル続行です! しかし、やはり弱点技は痛かった! 相当ダメージを負っているようです!』

 

 でも、これで迂闊にそらをとべなくなる。なにせ飛んだら、またあのかみなりが来ると読むだろうから。

 

「ピジョット、低空を飛行しなさい! それから上にも注意!」

 

 うん、やっぱり。今思うに空からの攻撃を半ば封じたこの手は、飛行タイプの特徴を打ち消し、相手のトレーナーに相当のプレッシャーを与えているのかもしれない。

 

「ピジョット、ブレイブバード!」

「ギャラドス、アクアテールで撃ち落としなさい!」

 

 ピジョットのブレイブバードがギャラドスに迫る。でも、りゅうのまいを数回積んでいたギャラドスのアクアテールの方が速く決まる。急加速で突進していたピジョットに対し、カウンター気味にギャラドスのアクアテールが決まった。

 

 ギャラドスは、尾の部分にだけど、ブレイブバードのダメージを食らった。しかし、ピジョットは弱点技のかみなりに、タイプ一致物理技アクアテールのダメージを負っていた。さらにプラスして、ブレイブバード自体が使った側もダメージを受ける技であるため、その反動ダメージも合わさって、結果、ピジョットは墜落した。

 

 

「ピジョット、戦闘不能! ギャラドスの勝ち! サユリ選手が三体全てのポケモンを失ったため、この勝負、ヒカリ選手の勝ち!!」

 

 

『決まったァァァ! リーグ強豪として知られるサユリ選手がまさかの予選リーグ一回戦敗退! 打ち破ったトレーナー、ヒカリ選手二回戦進出決定ィィ! いやぁ、なにかが起こると言われていた今大会! なんと一回戦、早くもここで大波乱が起きました! ヒカリ選手の大金星です!』

 

 

 初めてのリーグ戦での初勝利。あたしはそれらをふわふわとした気持ちでそれらを聞いていた。

 

 

 シンオウ地方フタバタウン出身、ヒカリ。

 二回戦進出。

 

 

 ついでに。

 

 

「マリル、アクアジェット!」

 

『アクアジェットがクリーンヒットォォ! トオル選手のマッスグマ、耐えられるか!?』

 

「マッスグマ、戦闘不能! トオル選手が三体全てのポケモンを失ったため、この勝負、ユウト選手の勝ち!」

 

『マッスグマ、耐えられなかった! ホウエン地方ハジツゲタウン出身、ユウト選手、二回戦進出決定!!』

 

 

 ホウエン地方ハジツゲタウン出身、ユウト。

 二回戦進出。

 

 

「ってオレはついでですか!?」

「(なにメタってんの、ユウト?)」

 

 




ゲームでは意味のない技のはねるを活用してみました。

それからピジョットのブレイブバードはタマゴ技ですが、タマゴ技は、遺伝じゃなくても覚えられるということにしてあります。

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