私と13   作:遠い空

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今作初投稿の作品となります。インフルエンザにかかった時、暇つぶしにケータイのメモ帳に書いた小説です。書いているうちに結構な長編になったのと、できがよかったので(自分の勝手な判断です。)投稿してみました。
自分は理系が得意で、文系が苦手です。文法的におかしいところがあるかもしれませんがご了承ください。変なところがあったら遠慮なく教えてください。そうしていただければ、少しでも勉強になると思います。
いろいろお世話になると思いますがこれからもよろしくお願いします。


第1章 復讐の始まり

 私はあの星の降った夜空を覚えている。1994年にコモナ大学がとある小惑星を発見した。これが全ての始まりだった。

 その小惑星はのちに【ユリシーズ】と命名された。

 最初にユリシーズの存在を発見した中立国サンサルバシオンを始め、巨大国家であるオーシア、ユークトバニア、アネア大陸で大きくなりつつあるエメリア、南半球を代表する国家オーレリアなど、様々な国々が対策準備に取り掛かった。

 しかし、1995年に世界を巻き込んだ戦争が起きた。

 のちに【ベルカ戦争】と呼ばれ、歴史に残る大きな戦争へと発展した。

 これにより、ベルカ戦争に介入していたオーシア、ユークトバニアはユリシーズ対策に大きな遅れをとることになる。幸いにも、【円卓の鬼神】と呼ばれた一人の戦闘機パイロットによって戦争は短期に終結。のちに起きた、【国境なき世界】によるクーデターもなんなく鎮圧した。

  戦争も終わったことでユリシーズ対策に集中できるかと思いきや、恐ろしい事実が判明した。

 ユリシーズはエメリアがあるアネア大陸、サンサルバシオンがあるユージア大陸を中心に衝突するということが判明したのだ。

 アネア大陸では、エメリアの隣国エストバキアがユリシーズ破壊用の巨大レールガン【シャンデリア】の開発に取り掛かる。

 ユージア大陸でも同様に巨大レールガンを開発することにした。

 それが将来起きる戦争の引き金になるとは知らずに…。

【ストーンヘンジ】と命名され、開発に取り掛かった。

 しかし、ユリシーズの混乱とストーンヘンジの建設反対などユージア大陸の秩序は乱れていき、1997年ユージア大陸で軍の一部をそそのかし、テロリストによるクーデターが起きてしまう。

 これに対し、傭兵部隊を編成。【特殊戦術戦闘飛行隊スカーフェイス】の活躍によってクーデターを短期で鎮圧した。

 そうしている間にも時は過ぎて行き、1999年の夏の夜、ついにユリシーズ衝突の日がやってきた。

 それは本当に一瞬だった。

 当時4歳だった私の脳裏にも鮮明に焼き付いている。

 夜空に巨大な光が落ちていき、次の瞬間巨大な光は小さな光に砕け散った。

 おそらくストーンヘンジによって破壊されたのだろう。

 小さな光は流れ星の如く夜空に降り注いだ。

 

 

 見るからに神秘的な光景…。私はずっと空を眺めていた。

 

 

 こんなに美しいのに…。

 

 

 美しいだけで済めばいいのに…。

 

 

 砕け散った無数のカケラは世界中へと降り注いだ。

 文明崩壊はまぬがれたものの、世界は甚大な被害を受けた。

 特にアネア大陸のエストバキアと、ユージア大陸西部に位置する軍事国家エルジアは被害が大きく、国としての秩序が崩壊しつつあった。

 そしてそれが災いして、ユージア大陸で戦争が起きてしまった…。

 

 

 時は過ぎ2003年9月19日、私が8歳の時、それは突然やってきた。

 あれは夏の終わりの頃だった。

 私はサンサルバシオンの首都サンサルバシオンの郊外の湖の岬の家に住んでいた。

 最近隣国の軍事国家エルジアがユージア諸国に宣戦布告し、戦争が始まったとテレビでよく報じられた。

 しかし、【ISAF】と呼ばれる連合軍が編成され、鎮圧作戦は順調に進んでいて勝利は時間の問題と言われいた。戦争なんてテレビの向こうの世界で起きていること。

 もうじき戦争も終わって平和がやってくる。

 私が住んでいるサンサルバシオンは戦争とは全く無縁だった。

 

 

 いや、はずだった…。

 

 

 いつもと変わらぬ朝がやってくる。

 一階の食卓には母が作った朝食が、父はスーツ姿でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。

 テレビは戦争のことばかり。話題は戦争終結間近のことだった。

 いつものようにパジャマから着替え、顔を洗い、朝食を食べ、歯を磨き、リュックを背負い、家族にいってきますと言って、自転車に乗って学校へと向かった。

 ある程度自転車を漕いだあと、空の異変に気付いた。

 晴れ渡った朝空に轟音が響く。

 よく見ると戦闘機が2機互いにループを描いて飛んでいる。

 そのうち一機は黄色の塗装が特徴的な戦闘機だった。

 

 

 遠い空の戦い…。

 

 

 私は飽きることなく空を眺めていた。

 しばらくして戦闘機の一機が火を噴く。

 コクピットからパイロットが脱出し、燃え盛る戦闘機が湖の岬へ墜ちていった。

 

 

 我が家のあった場所に…。

 

 

 私は何が何だか理解できなかった。

 

 

 燃え盛る我が家にはまだ家族が…。

 

 

 だがもはや手遅れだ。

 

 

 あの懐かしい家族は私の記憶の中にしか残っていない。

 上空には黄色の戦闘機が優雅に飛んでいた。

 あの戦闘機には私の家族を殺した張本人が乗っている。

 そしてその戦闘機には黄色で【13】の数字が刻まれていたことを私は決して忘れない。

 今日未明、エルジアはISAF軍の不意を付き隕石撃墜用レールガン、ストーンヘンジに奇襲攻撃。サンサルバシオン郊外上空にエルジア軍戦闘機が姿を現したのはストーンヘンジ奇襲の為の陽動作戦であった。

 しかもその戦闘機はエルジア軍トップのエース部隊、【エルジア空軍第156戦術航空団アクィラ中隊】通称【黄色中隊】でありその空域にいたISAF空軍機が全滅したと言う。

 一方、ストーンヘンジ奇襲作戦は成功し、ストーンヘンジを空間制圧兵器として転用。ISAF空軍機は行動範囲を制限され、まともに航空支援ができないため地上部隊は撤退または全滅していった。

 こうして形勢は見事に逆転、戦争は長期化してしまった。

 

 

 私は途方にくれながら自転車を走らせていた。

 今日は学校が休みだった。

 理由は何となく分かる気がする。

 あんなことがあったから学校なんて行きたくなかったが…。

 

 

 サンサルバシオン中心街にはISAFの戦車が多数配備されていた。

 上空には多数の戦闘機が飛んでいる。

 恐らくエルジア軍の反撃に備えるためだろう。

 

 

 その時だった。

 

 

 空に閃光が走り、戦闘機たちが次々と墜落していった。

 

 

 その後地上から銃声が…。

 

 

 ISAFの戦車が火を噴く。

 

 

 私は恐怖のあまり自転車を捨て、近くの建物へと逃げた。

 すると後ろから私の名前を呼ぶ男の声がした。

 始めは父かと思ったが、よく見るとそれは叔父だった。

 叔父は父の兄だ。私が逃げた建物は叔父が住んでいるアパートだったのだ。

 私は叔父にすべてを話した。

 叔父は私を家に迎え入れてくれた。

 しばらく外では銃声と爆発音が響いていた。

 静かになったのは次の日のことだった。

 

 

 外には黒煙が吹いていて、壁に銃撃の生々しい跡が残っていた。

 

 

 周りは血痕だらけ…。

 

 

 戦車や戦闘機の残骸がたくさん…。

 

 

 近くにいる軍人は肩に付いているワッペンを見る限りエルジア軍だということがわかった。

 町にはエルジアのプロパガンダ放送が流れていた。

 放送内容はストーンヘンジを奪還し、ISAFを大陸から追い出している最中であるという内容だった。

 追い出している最中ということはまだ大陸に残っている部隊がいるということだろう。

 彼らがエルジア軍を追い出してくれることを願っていた。

 だが数ヶ月後、それは無理だという現実を突きつけられた。

  ストーンヘンジ奪還のためISAFは現在いるトップエースで編成された戦闘機隊で奪還作戦に出た。

 ところが、黄色中隊の攻撃を受け全滅。作戦は失敗し、逆にサンサルバシオン東部の巨大都市ロスカナスにあるISAF総司令部が爆撃を受け壊滅、ユージア大陸東部の諸島に位置する中立国の島国ノースポイントへ撤退し、そこに臨時総司令部を築いたという。

 もはや大陸から撤退したということは絶望的である。

 この世に神でもいない限り、エルジア軍を追い出すことは無理だ。

 

 

 家族に会いたい。

 

 

 でも二度と会うことはできない。

 

 

 会うことすら許されない。

 

 

 なぜならもうこの世にいないから…。

 

 

 この頃の私は復讐心に満ちていた。

 標的は家族を殺した黄色の13。

 あのパイロットを絶対八つ裂きにしてやると心に誓った。

 

 




悲しいストーリーだったと思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございます。続きはまだありますのでぜひ読んでみてください。


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