真剣でKUKIに恋しなさい!   作:chemi

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11話『興味と疑惑』

 

「それで、私に何か用ですか?」

 

 マルギッテは、自身の斜め右前に座る征士郎に問いかけた。

 転入生が加わったSクラスではあったが、そこで特に何かが起こったわけでもなく、授業は淡々と進み、今は昼食時となっている。

 教室は、食堂へ向かう生徒も多いので、少しがらんとしていた。

 そんな中で、征士郎と李、マルギッテは机を寄せ合っている。というのも、彼がマルギッテを昼食に誘ったからであった。傍から見ると、黒スーツの男、メイド、軍人の集まりというアンバランスなもの。これが廃墟などの荒んだ場所であれば、何かしらの取引を行っているようにも見えたことだろう。生憎、ここは教室で、その手元にあるのは弁当であった。

 

「特に急な用事があったわけじゃない。しかし、マルギッテも今日来たばかり、一人で食事……というのも味気ないだろう?」

 

 そういうことを気にする性格でもないかもしれんが。征士郎はそう言いつつ、出し巻きを口へと運ぶ。

 

「随分と周りを気にかけるのですね。この学園で、あなた程忙しい人もそういないと思いますが?」

「性分という奴かもな。それに、この程度で忙しいなどと口にはできん。身近にはもっと凄い人間がいて、今こうしている間にも世界を飛び回っている」

 

 帝のことを指しているのだろう。

 征士郎が言葉を続ける。

 

「そういえば、お前の指揮している狩猟部隊も街の監視にあたると、フランク中将から聞いている」

 

 今朝の決闘が終わり、教室に帰ろうとしていた征士郎に、フランクが声をかけてきたのだ。どうやら、彼はわざわざクリスのために、再度来日していたらしい。

 会話はごく短いもので、クリスがこれから世話になる、そして、マルギッテをよろしく頼むとも。その間に、狩猟部隊が九鬼従者と連携し、街の監視にあたることが伝えられた。

 征士郎もこれについては、事前に聞かされていたので、了承の言葉を返し、その場で別れた。

 マルギッテが、言葉を付け加える。

 

「正確に言うならば、クリスお嬢様の護衛のために、だ」

 

 狩猟部隊。ドイツ軍の中でも精鋭が集う特殊部隊である。そんな彼らに下された任務は、日本におけるクリスの安全の確保。彼女の身に何か起こらないとも限らないが、それにしても大げさな対応である。しかし、裏を返せば、それだけ彼女が大事であり、フランク自身が、それを容易く行えるほどの力を有しているとも言える。

 

「大袈裟だと思う気持ちもあるが、それを俺が言う資格はないな」

 

 現に、傍には専属がおり、今日から数日にわたっては、厳重な警護もついているからだ。そして、街には監視の目が行き届いている。もっとも、征士郎には狙われた過去なども存在するわけだが。

 しかし、と征士郎が尋ねる。

 

「それだけ大事にしている存在をよく国外に出そうと思ったな?」

「クリスお嬢様は、日本が大好きであり、ずっと憧れてもおられた。加えて、中将も元々日本の、特にサムライの考え方に敬意を表されていたのです。良い機会だとお考えになられたのでしょう」

「なるほど。しかし、最初はクリス一人の転入だったはず……どうして、マルギッテまでも? 来るなら、狩猟部隊と同様の方法でもよかったのではないか?」

 

 マルギッテは、そこで少し間をとった。

 

「……おそらく、私の心情を汲み取ってくださったのでしょう。3-Sへの転入もそのせいかと」

 

 クリス程ではないにしても、フランクにとっては、マルギッテも娘のような存在であった。ドイツの星と呼称するほどである。彼女に刺激を与えてくれる者がいる場所へ送り出したかったのかもしれない。それが、彼女の成長にも繋がると信じて。

 その刺激を与えてくれる者、李はというと、征士郎とマルギッテの会話を聞くだけであり、その間、一言も喋っていない。食べ方の一つ一つはとても上品であり、時に、征士郎へお茶を差し出し、従者としての仕事もしっかりとこなしていた。

 そんな彼女が初めて発した言葉は「マルギッテ様も飲まれますか?」だった。

 マルギッテは、もらってあげてもいい、と頷きながら続ける。

 

「それから、様付けなど不要です」

「わかりました、マルギッテ。征士郎様、食後のデザートもご用意してあります」

 

 ごそごそと包みの中を漁る李、それをマルギッテが観察していた。

 その様子を見ていた征士郎は、思わず笑みをこぼす。それに合わせて、マルギッテの視線が彼へと向かう。なにがおかしい、とその目が語っていた。

 

「そんなにジロジロと見てやるな。李が嫌がっているぞ」

 

 征士郎の言葉に、マルギッテは疑問をもった。見たところ、李に変化はないからだ。表情、態度など些細なものであっても、何かあれば、マルギッテは気づくことができる。

 冗談の類か。マルギッテはそう判断し、会話を続ける。

 

「興味をもつな、という方が無理だと思いなさい」

 

 あの廊下でのやり取り、眼帯を取っていなかったとはいえ、あの一瞬の攻防は心に焼き付いているのだ。美しさすらも孕んだその洗練された動き、思い出すだけで闘争心に火がつくというもの。

 しかし、李は何事もなかったかのように、お目当てものを机の中央へ広げる。

 

「この栗の大きさに、びっくりしないように」

 

 マルギッテの視線が再び征士郎へ向かう。どう反応すればよいのだ、と。

 征士郎は一つ甘栗をつまみ、口へ放りこんだ。実がほろほろと崩れゆく中、程良い甘さが広がる。

 

「おもしろかったら、笑って褒めてやれ。おもしろくないなら、正直に言ってやれ。これから、付き合っていく中で、こういう機会は多くなるからな」

「おもしろくないと知りなさい。チョイスが無難すぎます」

 

 きっぱり言い切るマルギッテの言葉が、李の心にクリティカルといった様子であった。

 

(まるで別人のようだ)

 

 落ち込む李を見て、マルギッテは思った。同時に、毒気が抜かれる。これが、あの『龍』なのかと。

 マルギッテは、敗れた日以来、李のことを調べてみた。そして、この名に行き着いたのだ。アジアを中心に長く暗躍し、その依頼達成率は99.9%。龍が人に転生したのが彼女だと囁かれるほどの強さであったという。マルギッテも、それには同意せざるをえないと思った。裏の世界では、未だにその名を恐れる者もいるらしい。

 しかし、李が九鬼へと入ることになった経緯は分からなかった。勧誘があったと考えるのが普通である。なんせ、あの九鬼なのだ。有能な者であれば、前歴がどうであれ関係ない。その言葉通り、裏で名を馳せた人物が、いつの間にか、九鬼で従者をやっているなんてこともあるのだ。マルギッテの知る限りでも、そういう人間が数人、九鬼に入っている。

 そんな人間を容易に取りこむ九鬼従者部隊は、それこそカオスである。特に、10位以上の従者は魑魅魍魎の類とすら噂されるほど。その中において、若くして序列14位にまでのし上がった実力は、まぎれもなく本物だ。

 

(そして、龍は、多くの場合、王の象徴として描かれるもの。九鬼征士郎は、その龍の名を冠する者を傍に置いている)

 

 偶然なのか、はたまた必然なのか。なんにせよ、面白い組み合わせであった。

 マルギッテの瞳には、主に励まされる従者の姿が映っている。

 

(その九鬼征士郎は、暗殺者と知りながら、李静初を専属とした)

 

 弟の英雄も、女王蜂と呼ばれたあずみを専属としている。

 有能な者を深く愛するが故なのかとも思えるが、ならば姉である揚羽の専属はどうなのかと疑問も湧く。

 共通点は、異性を専属としていることだ。そこから導かれる答えは――。

 

(単純に気に入ったものを傍に置く)

 

 しかし、そう考えても元暗殺者を従者に、しかも専属となれば2人きりになる機会がほとんどだろう。そこにあるのは、確かな信頼だ。

 そこまで思い至り、マルギッテは先の征士郎の言葉を思い出す。

 李が嫌がっていたのは、冗談ではなく本当であり、征士郎は彼女を一目見て、それがわかったということ。

 長い年月を共にしてきたからこそ、わかることもある。マルギッテにとってのクリスがそうであるように。もっとも、クリスの場合、感情のほぼ全てが顔に表れるので、他人が見たとしても気づいてしまうかもしれない。マルギッテにしてみれば、そんな所も愛しく思うわけだが。

 

(ほんの僅かだが……興味が惹かれますね)

 

 自身を破った李が、主人として仰ぐ男。

 気づけば、話のペースを握られていたようだ。マルギッテは、時計へと目をやった。昼休みもあと半分をきっている。彼女は急ぎ準備を整えると、クリスの様子見に行くため、席を立った。その背後から、征士郎の声がかかる。

 

「マルギッテ、気が向いたら、九鬼へ来い」

 

 まるで、遊びにでも誘うかのような口調であった。征士郎は、もちろんマルギッテのことをそれなりに調べているはずである。そして、彼女がフランクを尊敬し、ドイツ軍人であることを誇りに思っていることなども百も承知のはず。

 普段のマルギッテなら、ここで怒りを表しかもしれない。しかし、彼女の表情にあったのは笑みであった。

 

「私がドイツ軍から離れるとき、それは死以外にありえないと心得なさい」

 

 九鬼へ来いという言葉は、言うなれば、最高の褒め言葉にあたるのかもしれない。言い換えれば、お前は有能だ、ということである。

 褒められて悪い気はしない。マルギッテの笑みはそこから来ていた。

 征士郎は肩をすくめ、残念だ、と軽く流していた。本人も一言で来てくれるなどとは、毛頭考えていなかったようだ。しかし、その言葉は心の片隅に残ってしまう。

 

(軍を離れるなど考えたこともない……)

 

 マルギッテにとっては、それが全てであり、そのことに満足もしていた。フランクに仕え、クリスを見守り、ゆくゆくはそのクリスへ。そして、これからもこの思いが変わることはない。自身の立つべき場所はここである、と再度確認できた。

 マルギッテは満たされた思いがした。その切っ掛けを与えたのは征士郎の言葉。

 面白い男。それが、征士郎にもったマルギッテの印象だった。

 

 

 □

 

 

 数日が過ぎ、世の中はゴールデンウィークに浮かれる中、九鬼極東本部でも同じように浮かれている人間がいた。見るからにテンションが高く、今にも鼻歌を歌いだしそうな雰囲気である。

 その人物は、将棋盤を両手に抱えている。

 

「兄上! 将棋で勝負しましょう!」

 

 末っ子の紋白であった。彼女の目の前にいるのは征士郎。

 時刻は8時を回り、天気予報の伝えていた通り、雨がぱらつき始めていた。窓をポツポツと濡らすそれは、一足早く梅雨の到来を告げるかのようである。

 彼らのいる場所は、本部の上層階にある一室。そこは家族のためのリビングルームといってよい場所であった。この同じ階に、征士郎らの個室もある。

 征士郎と紋白が座っているのは、優に3人は腰掛けられる白のソファ。それが、真ん中にある木のテーブルを囲むようにして、右手にもう一つあり、左手の窓際には一人掛けの同色のソファが2つ。そして、彼らのソファの正面には薄型テレビが設置されている。そのテレビの幅は、ともすると紋白の身長と並ぶほどであった。

 床は板張り、壁面と天井はベージュで統一され、それらを照らしだす照明は多くが間接となっている。しかし、それで暗さを感じないのは、計算され尽くした配置のおかげであろう。

 安らげるように。そういうコンセプトが一目で伝わって来るようだった。

 紋白は将棋盤をソファの上へと置き、駒の入った箱を盤の上で逆さまにする。2人はそこから駒を配置させていった。

 紋白は女の子座りで、征士郎は足を組んで座っている。

 

(我ももう少し身長があれば……)

 

 紋白は、様になっている兄を見ながら思った。身長は未だ伸び続けているものの、足を組んでという所までは、今しばらく時間が必要である。

 紋白が先に駒を進めたところで、征士郎が口を開く。

 

「初めて会ったクローンはどうだった?」

 

 学園に通うまでの時間、紋白は比較的自由な時間を過ごすことができていた。その間、ちょっとした気分転換も兼ねて、クローン達がいる小笠原諸島に行ってみてはどうか、と征士郎が薦めたのだった。

 九鬼4兄弟の中で、人材について一際関心のある紋白である。過去の英雄であるクローンの存在を聞いて、ぜひと間髪いれずに返事した。

 

「皆、おもしろい者達でした」

 

 紋白はそのまま、クローンの印象を語る。

 義経は真面目な性格であり、模範となろうという意識があり、会う者に好印象を与える。また、人懐っこい。しかし、自身が英雄だということに、幾分こだわりすぎているかとも思われる。

 その辺を弁慶が上手く調節しているようにも見えるが、彼女は彼女で、義経にかなり依存しているようだった。その弁慶であるが、頭の回転が早く、クローン組の中でも随一。怠けようとはするものの、主である義経に常に配慮しており、篤い忠誠心を持っている。

 一方、よくわからないのが与一。というのも、彼とは多く語ることができなかったから。感じたのは弁慶に対する恐怖と、何事もつまらないといった風な言動。それでも義経に対しては、気にかけるところもあるらしい。ほんの僅かしか感じ取れなかったが。

 そして、次に清楚の番になったところで、紋白は一つの事を思い出した。

 

「そういえば、清楚から伝言を預かっております」

 

 その言葉に、征士郎は首をかしげる。思い当たる節と言えば、項羽解放時のことであろう。

 

「どういうものだ?」

「はい。正確に言えば、項羽が混ざった状態の清楚なのですが、『次に会う時は覚えていろ』とのことです」

 

 征士郎はそれを聞いて納得した。解放時の四面楚歌が余程堪えたのだと。

 そうか、と征士郎は短く答え、伝言役の紋白へ礼を述べた。

 紋白も、その清楚から、解放時のことを聞いていたので、伝言の意味もわかっている。しかし、一体何をするつもりなのか検討もつかない。

 征士郎が笑いかける。

 

「別に何かされるというわけでもないと思うぞ。心配いらん」

「顔に出ていましたか?」

 

 紋白はペタペタと顔を触った。

 

「眉が寄っていたからな」

 

 征士郎は自身の眉間を人差し指で叩くと、また笑みをこぼした。

 

(兄上の笑顔は、本当に母上によく似ている)

 

 紋白の好きな表情の一つである。しかし、それはただ局に似ているからという理由ではない。その瞬間、凛とした雰囲気が、ふわりと和らぐのだ。他の誰かに見せる笑顔とも少し違う。征士郎の奥にある優しさが溢れるような笑み。紋白にとっては、それがたまらなく嬉しいのである。

 紋白は、もちろん家族全員が大好きである。そこに優劣をつけることなどできるわけもない。しかし、憧れの姉である揚羽、自慢の兄である英雄、という風に考えていくと、征士郎の場合、何になるのか。

 

 大好きな兄。

 

 これが一番しっくりくるのである。それでは、自慢ではないのかと問われれば、当然、自慢の兄であることは間違いないと断言できる。憧れも同様であった。

 しかし、言葉で表すなら、どう考えてもこれである。

 

(兄上には叱られたこともあったが……)

 

 やんちゃにしていた頃、その大半をヒュームに叱られていたが、征士郎にも数度叱られたことがあった。

 そして、ヒュームに叱られるときは、従者の言う事など聞かんわ、と反発しまくっていた紋白だが、征士郎に行われたときは、泣いたほどである。

 これは何も征士郎が、非道を尽くしたとかそういうわけではない。可愛がってくれる兄が怒るということに、底知れない恐怖を感じたからであった。普段、穏やかな兄だったからこそ、余計にだった。

 それでも、紋白が征士郎を避けなかったのは、楽しかったからであろう。今、思い返しても、よく遊んでもらった思い出が多い。

紋白が将棋やチェスを覚えてからは、今のようにそれをしながら、話をよく聞いてくれたのだ。

 時には揚羽や英雄も交えて遊んだ。テレビゲームの人生ゲームを初めてやったのもこのときである。兄妹4人、熾烈な1位争いをした記憶があった。

 そんな兄に対して、紋白は疑問に思う事がある。

 

(なぜ、兄上には恋人がいないのか?)

 

 紋白からしてみると、不思議でならないことであった。それは揚羽に対しても同様。

 見合いの申し込みも多いと聞く。英雄の場合は、川神一子という片思い中の相手がいるため、断るのもよくわかるが。

 

(だがまぁ、我としては、兄上とこうしていられるから嬉しいが……)

 

 そこで紋白の脳裏に閃光が走る。

 

(もしや……わ、我はブラコンというものかもしれぬ)

 

 弁慶のことを依存しているなどと、どの口が言うのか。紋白は一人打ちひしがれる。もし、ここが彼女の私室であったなら、彼女はベッドの上で転がったかもしれない。

 その様子を見た征士郎が声をかけてくる。

 

「どうしたんだ? 笑ったり、困った顔したり、何か思い出したのか?」

「いえ、我は今、隠された我の内面を知ってしまっただけです」

 

 ほうと、征士郎は興味深そうな顔をする。それに対して、紋白が慌てて話題を変える。

 

「と、ところで兄上! 学園には転入生も入ったと聞きます。いかがですか?」

 

(いや、我が兄上を慕うのはただの家族愛であって、決して、恋人にしたいとかそういうわけでは断じてない! 兄上に恋人ができれば、確かに寂しいと思うが、それで兄上が幸せならば、我はそれを喜んで祝福するぞ! ただし、兄上の恋人となる者が現れたら、我が直々にチェックしてやらなければ。最終的には、兄上の気持ち次第ではあるが、もし下心のある者が近づいてきたら良くない。兄上は、父上に似て甘い所があるからな。目下、怪しい者といえば……川神百代。李の話では、1年の頃から急に近づいてくるようになったとか。くっ! またしても百代か。姉上に続き、兄上をもどうにかしようとしているのかもしれない! そして、次なる人物は清楚か? 兄上に対しての執念、あれがいつ変化するとも限らない。弁慶は……ないだろう。懐きはするかもしれないが、兄上の近くでダラダラなどできようはずもない。とすると、義経だが、あやつも大丈夫な気がするな。そして、他にも、下級生には多く兄上を慕う者がいるようだ。それは今年のバレンタインで証明済み。生徒会長として、いつもお世話になっているお礼という名目で、渡しやすかったのだろう。全てを食べきった兄上には、我のみならず従者の多くも感動したものだ。朝一で、李とともに食べておいてもらってよかったと心底思った。……っ! 忘れていた、我は既に松永燕を呼んでしまっている。百代に対する相手として申し分ないことと、その父である久信の技術は、兄上の腕の開発にも役立てられると喜んでしまっていた! 燕は我が目を付けたほどの優秀な奴だ。兄上もきっと気に入るに違いない。……いやいや、我は一体、何を焦っておるのだ?)

 

 この間、僅か数秒。紋白の中に新たな悩みが誕生していた。

 妹も色々と悩みが多い年頃のようだ。征士郎は百面相を見せる紋白を見て、そんなことを考えていた。

 

 




もうすぐだ。もうすぐ学園に、皆が揃う。

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