リリカルビルドファイターズ   作:凍結する人

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漢二人、終わり無く(Ⅱ)

 海鳴市の中心部に建つ、高層ホテルの最上階。その内線が音を立てたので、彼は受話器を手にとった。

 

――夜分遅くに済みません。お客様とお会いしたいという方が居らっしゃいまして――

 

 そう聞いた途端に彼は全てを察し、連絡してくれたフロントに部屋まで案内してやってくれと頼み、通話を切った。

 彼にとって、何処か見覚えのある、それどころか、デジャブばかりの光景だ。

 それは、一年ほど前のこと。その時の彼も、同じような部屋のソファに、一人きりで座り込んでいた。そして、今と同じように鳴った内線を受け取り、同じような事を告げられた。

 いや、あの時の呼び出しは今と違って、とてつもなく剣呑だった。当たり前だ。なにせ立場ある人物が、大それた犯罪行為を企んでいたのだから。比べて今回は、誰にも何にも害を及ばさぬ、単なる戯けた遊びに過ぎない。

 しかしながら、それでも同じように、周りくどいことを繰り返す自分は、何と難儀な性根を持っているだろう――と、ここまで述懐した所でドアが開く。

 自動ドアの機械的な音ではなく、分厚い、しかしよく手入れされている扉の開く音がして、入ってきた少年に、彼はゆっくりと目を合わせた。

 

「お久しぶりです」

「……座ってくれ」

 

 彼に薦められた通り、少年は対面に座り、テーブルを挟んで向かいあう。その顔は、昔彼が見ていたように落ち着いているものの、その中に仄かな温かみもあった。まるで、遠く離れた親戚と再び会えたような。それだけでなく、恩人であり、教師であり、かつて夢見た人を見るような表情と、瞳。彼は目を背けたくなる衝動を覚えたが、それを乗り越えて、見据えた。

 

「……何時から気づいていたのかね? 私こそが『ホワイトデビル』だと」

「簡単な事ですよ、グレアム提督」

 

 ギル・グレアムとクロノ・ハラオウン。同じ世界に生まれた老人と少年は、グレアムの依頼退職から、しばらくぶりに顔を合わせた。それまでは師匠と弟子、遠い上司と部下として何度も顔を合わせていた関係だったが、あの『闇の書事件』からは実に数カ月以上経っての対面だ。

 

「先ずは最初に戦った時。消えいく時の言葉が引っかかっていました。ですが、確信したのははやての部屋に入った時です」

「はやての部屋に……?」

「あそこには、バトルシステムがありました。かなり小型ではありますが、それでもあれは値の張る代物です。いくら金銭感覚に長けているとはいえ、女の子一人が買えるものじゃない。だから」

「私のプレゼント、だと見抜いたわけか」

 

 大事にされていましたからね、とクロノは更に付け加える。彼が工作机で自分のガンプラに手を加えていた時、その後ろではやては何度もバトルシステムを見ては、綺麗に掃除したり、メンテナンスを加えていた。

 その時の愛おしげな目つきと表情は、自分で買ったものへ向けるものと言うより、誰か大切な人からの贈り物、預かり物へ対するものだったから。例えば、クロノがS2Uやデュランダルに手入れをする時のように。

 

「そこで、暇を見て少し調べてみたんです。そうしたら、こんな物を見つけました」

 

 膝に置いた鞄からクロノが取り出したのは、ガンプラに関する雑誌だった。ただしその誌面はかなり傷んでおり、何箇所かに補修も施されていて、そして表紙の右下に貼り付けられているのは海鳴市立の図書館のマークだ。

 何年も前のバックナンバー。その1ページが開かれ、グレアムの目の前に差し出された。その内容は彼にもはっきりと理解できる。日本語が読めない訳ではないし、例え読めなくても、側にある写真を見れば何が書いてあるかは一目瞭然だ。

 

――古今東西ガンプラビルダー列伝、イギリス代表『ジョン・エアーズ・マッケンジー』――

 

――そして、『ギル・グレアム』――

 

「僕は今まで、地球で貴方が何をやっていたかなんて知りませんでしたけど。まさか……イギリスを二分するほどのガンプラビルダーだったなんて」

 

 そう。ガンプラバトルシステムの開発前から、イギリスという異国の地においてジョン・エアーズ・マッケンジーと雌雄を争っていた、百戦錬磨のガンプラビルダー。

 それが、第九十七管理外世界『地球』における、ギル・グレアムの肩書きなのだった。

 

「子供の頃から、好きだったんだよ……ガンダムがね。どうしようもなく」

 

 ギル・グレアムは幼い時、偶然魔法と出会って、己の高い魔法の素質を知った。そしてそれと同時に、機動戦士ガンダムという素晴らしいロボットアニメと、プラモデルという玩具を知った。

 その後管理局と関わりを持ち、自分の才能を異世界で試し、鍛え上げながら。一方で彼はオフになると地球に帰還し、ガンプラをひたすら作り続けた。そしてジョン・エアーズという大いなるライバルと出会い、いつの間にやらイギリス一を争う間柄となり、互いに切磋琢磨した。

 クロノと同じく仕事人間だった青年時代の彼にとって、それが唯一にして最大の趣味だった。

 その後執務官としてキャリアを積んで、提督に、更には執務官長にまで出世して。同時に地球では、イギリスでもトップクラスのビルダーとして名を馳せていた。風光明媚な丘陵地にある彼の家には、そんな時代に積み上げてきたトロフィーと作品の数々が、大事に保管されている。

 そんな彼だが、十二年ほど前は一切ガンプラに触れず、当然、現在盛んに行われている、ガンプラバトルやその世界大会にも一切出場してはいなかった。

 

 そう、十二年前のことなのだ。だから、その理由についてクロノは今更に問いただしはしない。

 その代わりに、一つだけ聞いた。

 

「『グレアムおじさん』として、はやてにガンプラを薦めたのも、貴方だった」

「……日々を過ごし、辛いリハビリを行う彼女にも……その終わりに悲しい運命が待っていようとも……そこに、少しばかりの楽しみがあればと思ったんだ。女の子に贈るものではなかったかもしれないが、私にはこの方法しか分からなかった」

 

 偽善だ。それも馬鹿らしい偽善だ。と、苦笑するグレアム。

 彼は数年前、小さなはやてに、一つのガンプラとバトルシステムをプレゼントした。自分を養ってくれて、気にかけてくれる大人からの贈り物へ、はやては熱心に向き合い、そして。今では海鳴にいる少女たちの中でも一二を争うほど、ガンプラにのめり込んでいる。

 そして、数百年を戦いと破壊に費やし、摩耗しきった騎士たちや、暴走と悲しみという無形の檻に囚われていた管制人格も。揃ってガンプラという遊びを楽しみ、自宅のバトルシステムで日々熱戦を繰り広げている。

 

「全部、貴方が大元だったんですね。闇の書を凍結させるための依代と選んだのも。そんな彼女とその家族に、自分と同じ遊びを教えたのも」

 

 クロノ自身こういった、責めるような言い方をしたくなかった。封印の犠牲を最小限に抑える残酷な計算と、一人ぼっちの少女に対して自分が楽しんだものを分け与える慰め。相反する二つの行為は、全てこの老人の不器用な優しさが為した物であると知っていたから。

 何故なら。

 

「今回のプロジェクトだって、大元の立案者は……恐らく、貴方なんでしょう。遠くへ行けないはやてのために、複製によるガンプラバトルを考えた」

 

 無言を肯定として、クロノは理解した。

 バトルシステムを利用した、プラフスキー粒子による複製での遠隔ガンプラバトル。その計画を立案し、PPSE社へ強く働きかけた漢の脳裏には、車椅子の女の子だけがあったのだろう。

 対戦相手を作れず、コンピューター相手にバトルすることしか出来ない少女のためだけに設立されたプロジェクトは、少女に家族が出来たのと同時に立ち消えとなり。そして今、少女の切なる願いを受けて、再び始動している。

 ささやかな事件の裏で働いていた力学を、少年はそう推論していた。

 

「そうなんですね? グレアム提督」

「……あぁ、その通り。全く見事だよ、クロノ」

 

 巻き込まれた立場でありながら、そこまで見抜ける直感と思考。捜査の指揮をただ一人で行う執務官としては第一等の資質であろう。老いた師父は弟子の成長に微かな笑みを浮かべ、答え合わせとばかりに自らのνガンダムとその遠隔操作器を足元のトランクから取り出してみせた。

 

「これが提督の……」

「そう、私の『νガンダムSteel』だ。今回のプロジェクトに際し、久しぶりに作ったが、中々の出来だと思っているよ」

 

 クロノはそれを見て、やはり目の前の老人は偉大なビルダーだ、と改めて確認した。ディテール、塗装、プロポーション共に芸術品と言っていい。熟練ビルダーにしか作り出せない重厚さと、プラスチックを鋼鉄に見違えさせる程の完成度。ガンプラに触れてまだ数日のクロノが見て、そう感じるのだから、アリサ辺りが目の当たりにすればどんな賞賛が飛び出してくるだろうか。

 これに勝ったのか。そう思うと、彼は改めて自分のやったことを信じられなくなった。あんなガンプラに勝利したのか。自分の、急ごしらえで荒削りで、無理な所ばかりあるガンプラが。

 しかしグレアムはクロノのそういう気持ちを見透かしているのか、ゆっくりと頭を振った。

 

「あの勝負には、私の全てを込めた。例えそれがどんな条件下であろうと、私は本気だった。そして、君の本気と、君のガンプラが、私と私のνガンダムを打ち破った。その事実には一点の曇りもなく、だから君は、誇っていい。このギル・グレアムを負かしたと」

 

 クロノの心に、嬉しさと喜びがふつふつと湧いてきた。目の前に居る男は、クロノの先達であり、師匠であり、目標だった。そんな彼に褒められる。それが例えガンプラという遊びであっても、嬉しい事に変わりはないのだ。

 思えば、魔法でグレアムと戦った事も何度かある。だが、そこは引退したとは言え歴戦の魔導師と未熟な少年。何度も叩き落とされ、その度に大きな教訓を得て、強くなる決意を固めたものだ。そんな大いなる老人に、クロノは確かに勝利したのだ。ガンプラバトルという、真剣勝負で。

 嬉しいし、心が浮き立つ。でも、もう一つだけ、解せない事実があったので、クロノは更に問いを投げかけることにした。

 

「……でも、一つ分からないことがあります」

「なんだね?」

「どうして、僕と勝負しようと思ったんですか?」

 

 グレアムはその質問を予想していなかったようで、一瞬戸惑うようにクロノを見つめた。

 

「本来の計画では、貴方ははやてとバトルをするはずだった。自分の教えたガンプラを楽しんでくれる彼女に、せめてものお礼と、謝罪を込めて」

「その通りだ」

「ですが、そこではやては、偶然ガンプラを始めた僕を代わりに推薦した。貴方はそれを断る事も出来たはずです。いや、そうすべきだった。この計画はあくまで、はやてのためのものですから」

 

 遠隔操作によるガンプラバトルの実験、そして、グレアムが海鳴にまで来てそれに協力したことも、全ては闇の書事件の被害者であり、功労者であるはやてへの恩返しとして行ったことなら。それに自分が乗っかるというのは理屈に合わないし、何よりはやての楽しみを奪ってしまったみたいで申し訳ない、というのがクロノの想いだった。

 だが、グレアムは笑ってそれを否定する。そういうことではないのだ。

 

「いや。はやては是非に、と君を薦めていたよ。たぶん、私のことも君のことも、全てわかった上でそうしていたと思う」

「全て、と言いますと?」

「……それを私に言わせるかね……」

 

 ここまで言ったのなら、少しは察してくれても良いはずなんだが。やはりこの少年、気質ゆえに仕方ないことだが、自分のことにはどうにも疎いのかもしれない。と、僅かに評価を修正しながらグレアムは答えた。

 

 

「君と、遊びたかった」

 

 

 今度、意表を突かれたのはクロノの方だった。

 遊びたい? ギル・グレアムが、クロノ・ハラオウンと?

 到底信じられない言葉だったが、続くグレアムの言葉が、彼の疑問を解きほぐす。

 

「私はね、君の父親……クライドのことは、息子と同じように思っていた。そして、君のことも同じく、いや……年老いて、妻を持たない私に天が授けてくれた、孫のように思っている」

「……僕が、貴方の」

 

 こくり、と頷いたグレアムの表情は、執務官長でも、多くの人を守るために罪を犯そうとする老人でも、ガンプラという遊びに年甲斐も無く熱中するビルダーのそれでもない。

 ただ、幼かった血縁の確かな成長に喜ぶ、翁の顔だった。

 

「その君に……私は今まで何もしてやれなかった」

「違います、そんなことはありません。貴方は僕に、色々と便宜を図ってくれました。士官学校に入るのも、執務官試験を受けるのも……貴方の口利きが無かったら、もしかすると、もっと後のことになっていたかも」

「そうではない。確かに私は君を個人的に鍛えはしたし、それを試せるようにもしてあげた。選ばれたのはあくまで君自身の実力だ……いや、そういうことでもないな」

 

 言葉を紡ぐグレアム自身が、どうにも言い倦ねる様子を見せている。とうの本人に面と向かってつげるには、少々気恥ずかしい事実でああった。

 

「例えば、暖炉の側で本を読み聞かせるような……君にも私にも何の意味もない、他愛のないこと。そういうことを、私はしてやれなかったんだ。そして、それをしてやりたい、と心のどこかで思っていた……」

「そう、なんですか」

「実感出来ない、という顔だな。まあ、君ぐらいの年だとそうかもしれんし、それでいいだろう」

 

 いずれ成長し、子を持ったなら分かるかもしれないだろうが。まだ少年のクロノには、いまいちピンと来ない心境だろう。

 

「私は君がガンプラを始めたと聞いて、その偶然、天文学的な奇跡とも呼ぶべき偶然を、とても嬉しく感じたし……だから、その後にはやてから提案された計画に乗った。『ホワイトデビル』などという、似合わない渾名も使ってな」

「全部、僕と遊びたかったから……最初から姿を露わにしたら、そこに余計なものが入るから、貴方は『ホワイトデビル』になった」

 

 もし最初から、ギル・グレアムという個人として現れたら、それでは管理局の執務官と引退した老提督の間柄にしかならない。グレアムがそれを望んでいなくとも、クロノの性格と、グレアム自身の気質がそうさせてしまう。時折直接会って話すときも、彼らの会話はいつも事務的なことに終始し、上官からの訓示を部下が受け取るような空気に陥ってしまっていた。

 そんな関係ではなく、単なる人と人として二人が向かい合うには『ホワイトデビル』という仮面が必要不可欠だったのだ。

 

「まぁ、それ以外にも、結構楽しかったがね……謎の強敵、という立場を演じるのは」

 

 ふふ、と思い出し笑うグレアムを見て、クロノの表情も次第に緩んでいった。

 

 全てがこの老人の戯れ、たった一人の少年に向けられた少々過激な遊び心だったのならば、そんなに表情を固めなくてもいい。

 

 偉大な先人の意外な茶目っ気を、こちらも笑って受け入れよう。

 

「ふ、ふふふふ……」

「あはは……」

 

 そのまま二人、しばらく笑いあった後。クロノが鞄から取り出したのは、何やら食べ物が入っている二つの紙袋だった。

 

「これ、はやてが作ってくれたんです。出かける時に、二人で食べたらええ、って」

「彼女も鋭いな……確か、捜査官志望だったか。筋はいい、とどこぞの老いぼれが言っていた、と伝えてくれ」

「名前、また隠すんですか?」

「これで当たったら、おめでとうというところだな。もし当てられたらそう言ってくれ」

「えぇ、分かりましたよ」

 

 グレアムはソファから立ち上がり、テーブルの脇を歩いてクロノの隣に座った。老提督と執務官にしては近すぎる距離。だが、二人ともそれに違和感を感じない。

 これくらい、近くていい。だって、ガンプラで戦う二人は強敵と書いて友と読む、漢二人であり。笑い合う二人はただの老人と、ただの子供なのだから。

 クロノが両手で開いた袋の中身を見て、グレアムはほう、と嘆息した。

 

「フィッシュ・アンド・チップスか。いい匂いだ」

「イギリスの料理でしたっけ」

「そうだな。しかし、はやても良く知っていたな」

「前から勉強してたんだそうです。イギリスの料理をおじさんに食べてほしいから、って」

 

 その言葉に、彼は思わず目を潤ませたが、すんでの所でこらえる、孫の前で涙を流すなんて、情けない所を見せるほど耄碌してはいないつもりだった、大体、面と向かって一緒に遊びたいなんて言うこと事態既に恥ずかしいことなのだから、これ以上は御免だ。

 

「そういうことなら、好意に甘えて、頂くとするか」

「はい、頂きましょう」

 

 そのまま二人、膝上にある二つの袋から、白身魚のフライや、ポテトを摘んで食べ続ける。品物自体は極ありふれたファーストフードだけれど、どれも英国人の口に合う美味しさだ。はやての作る料理の美味しさはグレアムも聞き知っていたが、こうして食べるのは初めてのことだった。

 そして、彼の横で、同じように食べ続けるクロノの姿。ハラオウン家との食事会や、局員として出席した会食で何回か顔を合わせてはいた。しかし、こうして二人きりで隣り合わせになったことは今まで無かった。

 年下の孫くらいに離れた年頃の子どもと、一緒に遊んで、飯を食う。しかも、共にガンプラで遊ぶなんてことは、クライドともやれなかったことだ。

 

 

 年老いた身にとって、なんと甘美な思い出か。

 

 

「……これ、美味しいですね」

「あぁ、美味いな……」

 

 

 二人は食べ続ける。その光景を見つめているのは、テーブルの上に立つ、νガンダム。

 

「少しいいですか、グレアム()()()()

「ん、どうしたね、クロノ」

「今度、休暇を貰ったら。イギリスまで行きたいんです」

 

 そう言ってクロノは、バッグからボロボロの量産型νA'sを取り出した。一応応急処置は終えているものの、まだ新しい腕は取り付けられておらず、所々に大きな損傷がある。しかし、グレアムはそれを美しい、と思った。全てを出し切って戦った男の勲章。どんなビルドでも作れない魂が、このガンプラには宿っている。

 それをクロノは、νガンダムと同じくテーブルに直立させた。そのツインアイとボディを、向かい合わせるように。

 

 

「そうしたら、またバトルしましょう。もっとも、その時も僕が勝ってみせますけど」

 

 

 叩きつけられたのは、これ以上ないほどの挑戦状。決然とした顔で、真っ向からぶつかる意思。 いいだろう。

 子供の無邪気な挑戦を受け止めるのは、いつだって、大人がやることだ。

 

「良いだろう。何時でもかかってきたまえ。今度は私が勝ってやる」

「言いましたね? 僕のType-A'sは、まだまだもっと強くなりますよ」

「それはこちらも同じだ。老いたとはいえこのグレアム、ビルダーはまだまだ現役だ。更に腕を上げてみせようじゃないか」

 

 

 言い張り合って、再び笑い。そしてまた、フライを摘んで咀嚼する。

 

「なあ、クロノ」

「なんです?」

「ガンプラは、どうだ?」

 

 そんな二人はライバルであり、祖父と孫であり。師匠と弟子であり、上司と部下であり。

 

 だが、間違いなく言えることが一つ。

 

「えぇ、とても楽しいです」

「そうだろう、楽しいな、とても」

 

 

 彼らはこれからも、ガンプラと、ガンプラバトルを続けるだろう。

 

 グレアムが子供の頃から、好きになってずっと続けているように。

 そして、クロノが、始めて好きになったものを続けていくように。

 

 

 漢二人、終わり無く。

 




以上です。
長いこと放置しておいたせいで、女の子よりも長い男の子主役という、誰得なのか分かんないものになってしまいました。
割りと好き勝手やれて、書いてて楽しかったのですが、それが作者の一人よがりになっていないかがとても心配だったり。

さて、計三編書いてきたこの短篇集ですが、他にもフェイトちゃんとレイジ、アイラの出会い、そしてセイとレイジの再会を書く構想があったりするのです。
他にもはやてちゃんが始めて作った騎士ガンダムのお話だったり、マテリアルズ三人のトライファイトなお話もあったりするのですが、それを書くには大分時間がかかっちゃうかもしれませぬ。

とはいえ、書くには書きたいので、期待しないで待っていただけたらと思います。

では、ここまでご覧頂き、誠にありがとうございました。

凍結する人

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