黒バスの世界に転生したみたいだけど何かがおかしい 作:バイタリティ・FX
そして問題が発覚した……木吉先輩の名前どうしよう。どういじっても女の子っぽくならない……もう鉄平のままでいいだろうか?
入学式は滞りなく終了した。まぁ、ツナちゃんが点呼され忘れるという事件が起きたけど。
言っちゃ悪いがいつものことだからあまり気にしちゃいないだろう。
でも中学校生活のスタートがこんなんじゃ流石に可哀想なので帰り道でツナちゃんが好きなバニラシェイクでも奢ってあげよう。
そんなことを考えていたらホームルームが終わっていた。そんな特筆することもない平凡な内容だった。あぁ、でも今から二週間後までに部活を決めておかないといけないらしい。ちなみに帝光は生徒全員何らかの部活に所属しなければならない。
どうしよう、帰宅部同然の部活はないのだろうか? もしくは文芸部とか。ツナちゃんの影響か、俺もだいぶ本が好きだ。本をのんべんだらりと読むだけの部活とか最高じゃないか。
「英理くん、帰りましょう」
ツナちゃんが俺の席まで来た。そうだ、ここでツナちゃんの容姿を簡単に説明しよう。
黒子テツナ。身長は確か149センチ。体重は知らない。水色の少しだけクセのある髪を肩口で切り揃えた女の子。影が薄いのがちょっと悩みらしいが、両親を除けば俺や俺の父さん母さんだけが普通に認識できるらしい。影が薄いせいもあって知られていないが普通に美少女である。
小動物系の守ってあげたい感じ。そのせいか俺はツナちゃんを妹っぽく思ってたりする。
「英理くん?」
「あぁ、ゴメンゴメン。少し考え事してた。そういえば今日もおばさん達仕事でしょ? 帰りにマジバに寄ってご飯食べようよ」
マジバっていうのは『MAJI burger』というハンバーガーチェーンのことだ。この世界にマックはなかった。
「わかりました。ちょうど良かったです。クーポン券の期限があと少しだったので」
お金が少ない学生にとってマジバは安くて魅力的だ。なのでお昼時の今はさぞかし賑わっていることだろう。早く行かないと席が埋まってしまう。
「じゃあ早く行こっか。席、埋まっちゃうし」
そう言ってツナちゃんの手を握る。これは昔からの癖だ。ほっとくとすぐ迷子になってしまうからね、この子。
そんな感じでやって来ました、MAJI burger。
全席満員の大賑わいです。出遅れた。
「しょうがないですね、テイクアウトしてからお家で食べましょう」
家が近いからテイクアウトでも構わないんだけど、ファストフードってお店で食べるからいいと思うんだよね。それにせっかく少し遠回りしたんだ。なら近くのファミレスとかで食べたほうがマシじゃ……あっ、バニラシェイクが飲みたいのね。わかったから。じゃあ俺が注文してくるからここで待って……
「あれ? お前……確かオレと同じクラスの奴だよな?」
今日はやたらと思考が遮られる日だ。そんなことを思いながら話しかけられた方向を見る。
そこにいたのは美少女だった。
入学式終わりだというのに早速制服を着崩している。帝光の制服は水色のカッターシャツに白のカーディガンとブレザー。男子ならシンプルな黒のスラックス、女子なら白のラインが入ったのがスカートだ。
目の前の女の子はブレザーを脱ぎ、カーディガンを腰に巻き付けている。なかなかラフでオシャレな着崩し方だ。
でもシャツのボタンを開けすぎでは? 中1の平均的サイズを越える胸が見えそうです。あとスカート短いんだから足なんて組んだら中身が……あっ、黒、いやスパッツか。眼福なり。
ちなみにここまでの思考は1秒にも満たない。エロに関すれば俺のシナプスは神速に達する。
「うん、そうだよ。君は確か……青峰さんだったよね?」
「おう! もう名前覚えてんのか。スゲーな、オレはまだ全然覚えてねーぞ」
俺に話しかけてきたのは青峰 光さん。たぶん本当の黒バスの世界だったら青峰 大輝だった子だ。容姿は黒に近い青色の髪に健康的でどこか色気を感じるチョコレートのような褐色肌。身長はその年の女の子にしては高めで俺と同じくらいある。 (俺の身長は163センチ)
まさかオレっ娘だとは。いや、似合ってるけどね。
「じゃあ自己紹介するよ。俺は藍流 英理。君と同じ1組のクラスメイトだ。そしてこっちは……」
「黒子テツナです。同じく1組です」
ツナちゃんがヨロシクといったふうに会釈すると、青峰さんが思い出したように言った。
「もしかして入学式で飛ばされた?」
「はい、その黒子です」
災難だったな……、いえ慣れてますんで、といった具合に二人は会話が弾んでいるようだ。
ちなみにだが青峰さんがツナちゃんを認識出来ているのはツナちゃんが俺と手を握っているからだ。どういった原理かは知らないがツナちゃんは俺と手を握っている間は影の薄さがなくなるのだ。
「あっ、そうだ。お前ら時間あるか? 時間あるなら何かの縁だし一緒に食わないか?」
「いいの? 連れがいるみたいだけど」
青峰さんが座っているのは四人掛けのテーブルで、青峰さんの対面席にはもう一つの帝光の指定バッグが置かれていた。
「いいんだよ。オレの連れもそんなの気にする奴じゃねーし」
それなら願ったり叶ったりだ。店で食えるに越したことはない。それなら早速注文を…… 「あー! ヒカちゃんまた着崩してる! みっともないから止めなさいって言ってるでしょ!」 ……また中断させられた。
現れたのはアニメのキャラか何かと思うような桃色の髪の美少女。手にはハンバーガーの乗ったトレイがあるから先ほどまで注文に行っていたのだろう。青峰さんの連れならこの人だろうと思っていたので驚きは大きくない。でもこの人はTSしてないのか。別にTSして男になってほしいわけじゃないけど。
「うるせーな、さつき。つかヒカちゃんは恥ずかしいから止めろって言ってんだろっ! お前はオレの保護者か!」
「またそんな乱暴な言葉遣いして! 私はヒカちゃんのお母さんからヒカちゃんを頼まれてるのっ!」
なんか言い争いが始まった。このままでは店員さんに頼んでもいないスマイルを突きつけられながら「表に出ろ」なんて言われかねない。
「あの、お二人さん、他のお客さんもいることだしそのへんで……」
俺の言葉に自分たちの状況が分かったのか二人は顔を赤くしながらおとなしく席についた。
じゃあ俺も注文しに行くかな。ツナちゃんはいつものでいいよね?
「はい、構いません。これ、クーポン券です」
ツナちゃんが財布からクーポン券を取りだし、それを受けとる。代金は先に俺が支払ってあとからツナちゃんが俺に払うというのは暗黙の了解なのだ。
「英理くん」
ん? なに?
「バニラシェイクはLサイズでお願いします」
あまり自己主張しないツナちゃんがはっきりとそう言った。妹のような彼女のその姿に俺は……
「ツナちゃんはお腹弱いんだから、Mサイズにしときなさい」
ニッコリと、そう返した。
日常系ほのぼのにするかスポコン系シリアスにするか悩む。
いっそ主人公をバスケとか関係ない立場に置いてキャラとだけ絡むようにするか……悩むわぁ。
とにかくツナちゃん可愛いペロペロしたい。