Reborn'   作:pork

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標的5 アイツと爆弾

 イタリアから日本に来て初めて獄寺は頭を悩ませていた。

 

 沢田ツナの右腕と自称している私だが、本当に役に立っているのだろうか。ボスの右腕といえば常にボスのそばに存在し、ボスに絶対の忠誠のもとに仕え、全幅の信頼を寄せられそれに十二分の結果で答える存在である。たとえ他の直近の部下であっても教えられない秘密というものは存在するはずだ。それをボスに相談されることがボスの右腕というものではないか。

 

 リボーンに日本に呼び出されて沢田ツナに出会い改心させられた。彼女のその心は大空のように大きいものを感じた。彼女は自分の無礼な振る舞いにも関わらず、自分がダイナマイトで自滅しようとしたときに助けてくれたのだ。その行動こそ、私が彼女いや十代目に仕えようと思った瞬間だった。しかし、十代目は私を必要としてくれているのだろうか。

 

 私が一緒だと十代目は迷惑している気がする。十代目との会話も私の話があまりされない気がする。大抵が山本、リボーン、そして神田先輩という人だ。十代目、山本曰く、かっこいい、包容力がある、頭がいいなどと欠点が見当たらないらしい。伝聞なのは私自身がまだ見かけたことがないからだ。

 

 そう悩んでいたのがいけないのだろう。ちょっとの散歩のつもりがよく知らないところまで来てしまった。引っ越してきたのもついこの間であるし、いつも武器、特に火薬類の調達はボンゴレに入る前からの伝に頼って届けてもらうので、外出は十代目の家にお邪魔するか、食料を買いにいく程度しかしないため、土地勘がほとんどないのだ。

 

 仕方ない、マフィアが交番を訪ねるなんてことできないので通行人に聞くしかないか。そんなとき声をかけられた。振り返ると知らない男の顔だった。

 

「誰だ、てめえは。」

 

 思わず声が漏れてしまった。マフィアはなめられてはいけない。特に私は女なのだから、どうしても男には格下に見られがちである。故に強い言葉を使って牽制しておかなければならない。しかし、一般人に対してはただ印象が悪くなるだけなので、直そうとは思っていた。それがここで出てしまった。

 

「すみません、つい癖で。」

 

 すぐに謝っておく。私だって困っているとこに都合良く声をかけてくれた相手に感謝するくらいの心は持っている。だが本職の人でさえひるむにらみを受けたのだから、もう道なんて聞くことはできないだろう。そう落胆して顔を上げるが、向こうは少し眉をひそめているものの、もの怖じしてないようだ。

 

「君、獄寺さんていったっけ。沢田ツナ達とよく一緒にいる。」

 

 

 なんで私の名前を知っているんだ。待て、今沢田と言った。こいつ十代目のことも知っているのか。

 

「おまえ、なんで私だけでなく十代目の名前を知ってやがる。もしかして十代目の命を狙いにきたヒットマンか。」

「いやそんなことは。」

 

 全く、どっから十代目のことが漏れたんだ。ボンゴレ本部の情報管理はどうなっている。とにかく今は目の前のコイツのことが問題だ。十代目が自分の命を狙われていると知ったら心配なさるにちがいない。私たちだけじゃない、ボンゴレ全体の問題になってしまう。ボンゴレの誰にも気づかれないよう、今ここで処理するしかない。

 

「おまえがどこの手のものかしらねえがな。十代目の手を患わせるわけにはいかねえ。ここで果てろ。」

 

 失敗することは許されない、始めから本気だ、二倍ボム。

 

「やめろ、落ち着くんだ。」

「遺言なんて聞かねえ。」

 

 奴に大量のダイナマイトを投げつけてやった。これでは生き残れまい。

 

「くっそ。聞き分けのない奴。」

 

 そう奴はつぶやくとダイナマイトの火のついた導火線をどうやってか切り飛ばした。なんでだ。奴とは初見のはず。こんなに簡単に処理されるなんて。まぐれに違いない。もう一度食らえ。

 

「同じことをしても無駄だって。」

 

 やはり簡単に片付けられてしまう。あの風紀委員長といい、こいつといい並盛にはこんな一般人が何人いるんだ。仕方ない、三倍ボムしかない。あの十代目に助けられた時のようなミスはしない。(フラグ)くらえ。ポロ。

 

「な。」

 

 くそ、同じ過ちはおかさないと誓ったのにすみません十代目、私ではあなたをお守りできませんでした。自分の最後に目を閉じ、後悔だけが私を包む。

 

「なにしてんだ。おまえ。」

 

 奴の声にかけられると同時に体が何かに包まれ浮き上がる。少し移動したと思ったら、離れたことろからドーンと爆発音が聞こえる。助かったのか。だが何故、奴には私を助ける義理なんてないはずだ。

 

「おまえ本当に何してんよ。自殺願望者。」

「そんなことはない、手が滑った。」

「明らかに扱いきれてないじゃんか。実戦で使うならもっと成功率を上げてからにしな。」

「そんなことより、なぜ私を助けた。おまえは十代目への刺客じゃないのか。」

「十代目って沢田のことか。そもそも刺客って前提が間違っている。自分は沢田やおまえの先輩、神田っていうんだ。何故助けたなんてどうでもいいだろ。助けたいから助けた。それだけだ。」

 

 助けたいから助けた。十代目、コレが彼の性格ですか。

 

「あなたがあの神田先輩ですか。」

「沢田からでも聞いたか。」

「いえ、助けていただきありがとうございました。今日のところはもう帰ります。」

「帰りますって道に迷ってい様に見えたから声をかけたんだが。」

「そうでした。申しわけないのですが、道案内を頼んでいいですか。」

「はいよ。」

 

 十代目私も女の子なのですから、あなたが好きな相手を察することができます。あなたの思い人観察させてもらおうかと思います。

 


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