Reborn'   作:pork

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標的1 並盛のアイツ

 この世界の赤ん坊(別名赤ちゃん、赤子など。何でもかつどうでもよい。)は特殊である。0歳児であっても言葉を話すどころか銃をぶっ放し、術を操り、格闘技をマスター、最先端の科学を研究開発している。愛人が三桁の奴がいるって噂もある。頭がでかいとか、首が据わっているのか、なんて気にしてはいけないのだ。だって彼らは世界最強の称号を持つ赤ん坊で、それぞれの分野のプロフェッショナルであるからだ。そんなことよりも、彼らは彼らで自身の主義、主張、規律、信念、プライド、立場諸々の事情で生きているのだ。その楽しそうだったり、誇りに思っていたりする生き方を真似するなんて出来ない、普通の人には。まして越えることなんて。

 

 

 

 

 

 なんだか最近変わった視線を感じるようになった。後ろを振り返ってみる。笹川妹が手を振ってきた、可愛い。とりあえず、手を振り返しておく。原因は見つからない。

 日頃からとある理由で注目を集めたりする自分だが、日常生活ではあり得ない、狙われているような感覚がするのだ。しかしその視線には敵意がないのだ。

 

「この感覚は、敵の偵察か。」

 

 という中二病満載の台詞をつぶやいておく。いや、確かに視線を感じ取ることが自分には出来て、今視線を感じている。つまり自分は実際中二病ではないのだが、それを患っているということになっている。滅多に口にしないので端から見れば多少痛い普通の中学生であるはずだ。

 

 こんな考え事をしているうちに向こうが動き出したようだ。それなりに速いスピードで程一直線にどんどん近づいてきている。どうやら狙いは自分で間違いなさそうだ。視界に入ったそれは砂埃を巻き上げてよく見えないが、人の気配がするのでミサイルではなさそうだ。しかし爆発物を持っている可能性を否定は出来ず、自分の家周辺を壊されても困る。

 

 つかず離れずの速度で空き地まで誘導し迎え撃とうとしたとき、目の前で奴が止まった。なんと下着姿の女の子ではないか。「へ、変態だ。」と叫ぼうとした。

 

「神田啓示さん。」

 

「は、はい。」

 

「私と付き合ってください。」

 

 下着姿の変態(女の子)はそう叫んだ。

 

 

 

 

 

 何だ、この女の子は。自分は少し冷静になったようだ。目の前の女の子の額にはどうしてか炎が灯っている。目が据わっているし。この子をどこかで見た気がしてきた。

 

「とりあえず落ち着こうか。君の額が燃えているし、そんな格好じゃ変態にしか見えない。」

 

 彼女の額の炎が徐々に小さくなり消えた。すると彼女は目が覚めたように周りの見渡し最後に僕をみて顔を真っ赤にした。

 

「きゃ「落ち着こう。コレを貸してあげるから、とりあえず羽織ってくれ。このままでは自分が犯罪者になってしまう。」

 

 口を手で塞ぎ、叫ぶのを止めてから、自分の上着を彼女に貸して落ち着かせる。襲撃者に見覚えはあるのだが名前を知らないので聞いておく。

 

「君の名前は。」

 

「沢田ツナ。」

 

「自分は「知っています。並中の先輩で有名ですし。」

 

「君も並中だったのか。」

 

「はい。」

 

 通りで見覚えがあるわけだ。

 

「君がそんな格好で告白してきたのには非常に驚いた。今までで一番インパクトがあった。何故そんな格好なのかは聞かないでおく。深い理由があるんだろう。自分も中学では頭のおかしい部類かもしれないが中二病は中学生では普通だろう。君もそうだと思っておく。とりあえず送ってあげるから今日のところは帰りなさい。」

 

 彼女はうっ…と声を詰まらせた後泣きそうにする。

 

「え、何だ、何がだめなんだ。わからないよ。」

 

「だって絶対変態だと思われた。」

 

「いや、そうだけど。」

 

 また泣きそうにする。

 

「ちょっと、待てって。じゃあ今日のことはノーカウント、見なかったことにするから。」

 

「え、で「いやもうしらん、沢田さんとは知り合いっていうだけ。帰ろう。」

 

「は、はい。」

 

 よし、押し切った。今日はこのまま家までおくっておさらばしかない。こっそりと見つからないよう家の前まで送り届けることコレが難易度的には今日一番かもしれない。インパクトはもっとすごいものがあったし。送り届ける間はあまり会話をしなかった。見つからないために移動しているのだから当然だよね。

 

 

 

 

 

「今日は「あばよ。」え、あの。」

 

 先輩何も言わずに帰っちゃった。お礼も言えなかったし、問題の告白もなかったことにされちゃって私どうすればいいのか、もう変態としか思われてないよ。

 

「よ、ツナ。おかえり。」

 

「お帰りじゃないよ。どうしてくれるの、私の初恋。こんなんじゃもう先輩に合わす顔がないよ。街の人にはなんとか合わずにすんだから恥はかかなかったけど。」

 

「ああ、それなんだが。」

 

「えっ。」

 

「いや何でもない。」

 

この新しく家にきた赤ん坊は何かを考え込んでいるみたいだ。もうこの子の変な武器の被害者になりたくないので、中断させることにする。

 

「とりあえず家に入ろう。」

 

「ああ。」

 

本当にだれにも遭遇しなくてよかったよ。

 

 

 

 

 

 彼女の家に着くや否や、何も言わせないまま帰ってきてしまった。その家に何かただ者じゃない気配を感じたけど、バレとらんだろうし、まあいいか。しかしここであることを思い出す。

 

「あ、彼女に上着貸したまんまじゃん。」

 

 家の前とはいえ、はぎ取るわけにもいかなかったのだから仕方ないと諦めつつも、あのトラブルメーカーっぽい子と再び関わることが確定したことに心境はよくない。肉体的には問題ないが、心は疲れるのだ。それともう一つ。

 

「ヒバリちゃんになんて言おう。」

 

 目下一番の難題に頭を悩ませている。

 

 


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