デジモンアドベンチャー01   作:もそもそ23

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前回の投稿から異常な程時間が立ってしまいました。
申し訳ございません。
というのも、ここ二ヶ月程、ずっとあるゲームをプレイしてまして……
昔からファンだったゲームの新作でしたので、思わずのめり込んでしまいました。たんまりとプレイしたので、もう大丈夫です。

後、その間に感想をコメントして下さったみなさま。返事が出来ず本当に申し訳ございません。
遅くなりましたが、折を見て、全てにお返事を返したいと思います。





最後の進化……無情の決戦兵器《3》

もしも……

 

もしも"母"がこの場にいたのなら……オレの選択をどう思うだろうか……?

 

……あれ程までお前に固執し……お前のために一度は世界をも壊そうとしたオレが、今更……よりにもよって"此方側"に力を貸すなど……

 

笑われるのだろうか……それとも、呆れられるのだろうか……

 

今になって"お前を諦める"など、端から見れば、やはり滑稽にしか映らないのだろうか……

 

 

 

 

いや……それは違うか……

 

 

 

 

……"あの時"ですら分かっていた事だ……

 

例え世界を壊して母を救ったとしても……例え、甦ったお前がその事実に気づかなくとも……

 

オレの記憶の母は……オレが目的を果たしたところで……決してに笑ってはくれない事など……

"親孝行"などと言っておきながら……オレはオレのエゴをお前に押し付けようとしたに過ぎなかった……

 

だがな……例えそれが分かっていても……あの時のオレは止まれなかった……

仕方なかろう……25年間、ただ想い続けていたのだ……あの事故さえなければ、あの時、オレがお前を守ってやれていれば……とな。

 

 

 

フッ……思えば……この身体に生まれ変わって二年……長かったのか、それとも短かったのかすら分からんな……

最も、考える時間だけは十分にあったとは思うが……

いや……身体の自由がない"今のオレ"には、考える事しか出来なかったと言った方が正しいか……

……口では"諦める"とは言うが、実際は……そう簡単には割りきれん……今でさえ未練だらけだ……どう取り繕ったところで、本音ではお前を諦めたくはない……

 

 

……だが……それでもきっと……お前ならば……

 

 

"かつてのオレを止める"というこの決断を……誰よりも、喜んでくれるのだろう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アグモン!! ロード(ワープ)進化ァァ!!」

 

アグモンの叫びと共に噴火の如く舞い上がる黒光。

そして、それに向かって一直線衝突するメタルシードラモンの必殺の白光。

白と黒、目が潰れそうな程の閃光が新緑の森の入り口で衝突し、嵐のような衝撃が島全体を震撼させる。

 

『クッ……なんだとっ!?』

 

そしてその光景を前に、海上のメタルシードラモンは驚愕の声を上げた。

既に決着は着いていたのだ。普通ならば進化出来る力すら残されていない死にかけの状況で、究極体たる自身の必殺を相殺するなど、選ばれし子供の力を持ってしても"異様"としか言えないのだから。

 

『おのれぇ!』

 

"敵を侮ってはいけない"

直感した彼はレーザーの出力を一気に最大にまで上げる。

だが、究極体の全力を持ってしても黒光の壁は破れず、ぶつかる二色の光はより一層強くなるばかり。やがて、

 

『バカな……チッ……これ以上は無理か……』

 

最早目を開けている事すら出来ない閃光の嵐の中、メタルシードラモンは短い舌打ちを上げてやむなく砲撃を中断した。

それとほぼ同時に、黒の光は白を飲み込んみ、溜め込んだ力がドカンと二発目の大噴火を起こす。

島へと流れる波を逆に押し返すような衝撃。

 

そしてそれが、アグモンの進化終了の合図となる。

 

 

 

 

『……収まったか……それにしても、今のは……』

 

嵐が過ぎ去った後のような静寂。

目を覆う閃光も徐々に元へと戻っていく。

そんな中、メタルシードラモンがぎゅっと閉じた瞳を開こうとした時、

 

その声は聞こえた。

 

『……拍子抜けだ……"この世界の支配者"の力が……たかがその程度とはな……』

 

『……!』

 

静かに響く低い声。

同時に、目の前の島からピリピリと感じる異常なプレッシャー。そして、眩んだ目を慌てて開いたメタルシードラモンが目にしたのは、

 

『な……に……!?』

 

一部が吹き飛んだ森に君臨する、一体の巨大な機械竜の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……成る程、これが……ヤツの言っていた"力"か……』

 

今しがたのメタルシードラモンの攻撃などまるでなかったかのように、機械竜は新しい身体の具合を確かめるかのように体を軽く動かし、落ち着いた声でそう呟く。

 

そんな中、

 

「う、嘘……進化……出来ちゃったの?」

 

その後方、吹き飛んだ大地の中で、彼に守られるように、ポッカリと無傷のまま残った地面にペタリと座り込んだまま、沙綾は呆然とその巨体を見上げていた。

 

「ア……アグモン……ねえ、アグモンなの……?」

 

『………』

 

まるで信じられない物を見たかのように、彼女は方目をパチクリさせながら声を上げる。

それに対し、先程までアグモンだったそのデジモンは、その首を足元の彼女へとゆっくりと向けた。

 

「あっ……アグモン?」

 

赤い光を鈍く放つ両目と目が合う。

一切の感情が読み取れない機械的なその瞳に、沙綾は一瞬戸惑う。だが、

 

『……ああ……心配をかけた……すまない母よ(マァマ)

 

返ってくる返事は正に自身のパートナーそのもの。

進化と共にあまりにも大きな変化を成したが故に戸惑ったが、それを聞いた彼女は一先ずホッと胸を撫で下ろした。

 

「……よ、よかった……それで……あの、それが君の……究極体の姿……?」

 

『……ああ……どうやらそうらしい……身体中に底知れん"力"を感じる……』

 

「そっか……それにしても、なんていうか……その……すごいね……」

 

改めて沙綾は言葉を失う。

それもそうだろう。何せ、進化を果たしたパートナーの姿は、今までと比べて完全に異質だったのだから。

 

(……これが……あのアグモン? 本当に信じられない変わり様……)

 

沙綾がそう思うのも無理はない。

 

全身は赤錆(あかさび)が回った完全なフルメタル。

 

いくらか丸みのあった完全体までの体とは違い、その姿はあまりにも鋭く、背中に新たに搭載された巨大な電磁砲も相まって、一言で表現するならば容姿は正に"恐竜型兵器"。

 

進化と共にコンパクトになった太一のアグモンとは異なり、体長はメタルティラノモンよりも更に巨大で、大きさは丁度未来で見たカオスドラモンと同程度だろう。

 

一応恐竜の形をしてはいるが、メタルティラノモンまでには見られたアグモンに通ずるような特徴は何一つなく、凶悪そのものな見た目、100%のメタルボディ、そして背中の大砲も合間って、"色"を除けばその姿はあの"ムゲンドラモン"に非常に近い。

 

"ティラノモン"の究極体について様々な妄想をしていた沙綾だが、予想していた姿とは大分かけ離れた、少なくとも彼女の知識には存在しないデジモンである事は間違いない。

 

ただ、

 

『……どうした(マァマ)……?何故 、固まっている? 』

 

「…………」

(いや、でもそんな事より……)

 

その見た目以上に彼女が最も気になるのは、その"声色"である。

メタルティラノモンよりも重厚感のある響く声。

それが瓜二つなのだ。沙綾の脳裏に焼きつく、未来で親友を殺したあの魔竜と。

 

(……どうしてだろ……何なの……この不安な気持ち)

 

過程に不明な点は多いものの、結果的にパートナーが念願の究極体になれた事は喜ぶべき事の筈。しかし彼のその"見た目"と"声"が合間って、両手を上げて喜べない彼女がそこにいた。しかし、

 

『大丈夫か母よ(マァマ)……? まさか、やはり……何処か体が痛むのか……?』

 

「えっ!? う、ううん……違うよ……大丈夫」

 

『……そうか……良かった……(マァマ)にこれ以上怪我を負わせたとなれば……オレはパートナー失格だ……』

 

「そんな事ないよ! ほら、私、貴方のお陰でピンピンしてるから!」

 

沙綾は立ち上がりながら、巨大なパートナーに"大丈夫だ"とジェスチャーを送る。

凶悪そのものな見た目ではあるが、沙綾を気遣う様子はメタルティラノモンの時と何一つ変わらない。

彼の自分を呼ぶ口調に少し"違和感"こそ覚えるが、それはこの見た目にあまりにもそぐわない『ギャップ』からくるものだろう。

 

(まあ、デジモンはデータの集合体だし……音声とか姿が他のデジモンと被るって事も……たぶんない事はないよね……)

 

名前すらわからないが、目の前に立っている巨竜は紛れもなく最愛のパートナーなのだ。その彼を見た目や声で軽蔑する気など沙綾は毛頭ない。

不安を拭い去るように沙綾はそう考える事にした。

何より、

 

(……よく分かんないけど……でも、とにかく今はあのメタルシードラモンを何とかしないと!)

 

そう、今はまだ戦いの最中である。悠長に長話をしている余裕もない。

目まぐるしく変わる状況に混乱していた沙綾だが、戦地のど真ん中で呆然としている訳にはいかないと、即座にその思考を巡らせた。

 

(……ウォーグレイモンが水の中からまだ上がって来てないところを見ると、やっぱりさっきの攻撃が結構効いてるのかも……やられちゃってはないとは思うけど……でも、実際これはかなりまずいかも……)

 

先程のアグモンの独断行動によって、沙綾達は本来変えるべきでない歴史に干渉してしまっている。

小説ならば、このメタルシードラモン戦はウォーグレイモンがいて始めて勝利する戦い。言い替えれば、現状、有効打のない他の子供達だけではメタルシードラモンにはまず勝てはしないだろう。

仮にウォーグレイモンが先の一撃で多大なダメージを受けているとするなら、回復に掛かる時間がプラスされた分だけ味方の被害が増えてしまう。

 

ならば、

 

(もう一か八か、だね……)

「えと、新しい名前が分かんないけど……お願いアグモン……ウォーグレイモンが戻ってくるまで、アイツを押さえて!」

 

そう、たった今進化したばかりの、このパートナーに全てを託す。

名称は不明、戦闘力も未知数。それ以前に、究極体の力を上手くコントロール出来るのかさえ分からない。

加えて、彼女自身がパートナーの特性を理解できていない以上、後方からまともな指示も送れない。

以前、進化したばかりのウォーグレイモン達がピエモンに完敗した経緯も踏まえると、彼女の命令は圧倒的に部の悪い賭け。

 

だが、

 

「……出来る? アグモン」

 

最早これ以外に手はないのだ。

出来なければ、沙綾達は自らの失態で、子供達に甚大な被害を負わせる事になるのだから。

 

不安げな表情を覗かせながら、沙綾は巨竜に声を掛ける。

 

しかし、

 

『……任せろ……だが……』

 

それに対するパートナーの答えは、沙綾の想像を遥かに越えていた。

 

『……本当にそれだけでいいのか……? (マァマ)が望むのなら……"今すぐにでも、ヤツとの戦いに決着を付けてやるが"……?』

 

「えっ!? で、出来るの?」

 

『ああ、勿論だ母よ(マァマ)……オレはそのために……この姿へと進化したのだからな……』

 

沙綾の表情をyesと捉えたのか、巨竜は静かに頷いた後、ガチャリと音を立てながらその体をメタルシードラモンの浮かぶ海上へと向ける。

先日ダークマスターズの戦闘力の高さをいやと言う程見せつけられているのだ。進化したばかりで、尚且つ単体で決着をつけるなど簡単な話ではない。

パートナーの背中を見つめながら呆気に取られる沙綾だが、次の瞬間、

 

『……そこで見ていてくれ母よ(マァマ)……お前の障害は、オレが全て破壊する……』

 

巨竜の雰囲気が、全く別の物へと変わった。

 

「っ!」

 

肌に電気が走ったかのようピリピリとした感覚。

そう、それはパートナーである沙綾すら、思わず身を震わせるような圧倒的なプレッシャーの波。

 

(嘘……じゃない……進化したばっかりなのに、アグモンは、本気でアイツに勝つつもりなの!?)

 

本来ならそのような事は出来る筈がない。

ウォーグレイモンやメタルガルルモンですら、進化したばかりではピエモン一人に何も出来なかったのだ。

 

だが、目の前にいるパートナーの放つ威圧感は、そんな"当たり前"をも吹き飛ばす程の"力"を持っていると、沙綾は直感出来た。

 

(もしかしてホントにいけるかも……でも、なんだろ……この"感じ"も……やっぱり……"アイツ"とすごく似てる……)

 

期待感の中に僅かに燻る不安感。

 

親友の敵と同じ雰囲気を放つパートナーに沙綾が戸惑う中、今、陸と海、海岸を挟んで巨大な二体の究極体が睨み合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……答えろ……一体何をした……!貴様はもう戦える状態ではなかった筈だ!』

 

巨竜に向かい、先程の一撃を防がれたメタルシードラモンが吠える。

彼にしてみれば納得がいかないのは当然だろう。

今しがたの"奇跡"は、既に"選ばれし子供"の力だけでは説明がつかない。いくら彼らが世界を救う存在だといわれようが、死にかけの成長期を、いきなり究極体にまで進化させる事など、普通は出来ないのだから。

 

しかし、感情をむき出しに睨むメタルシードラモンに対し、巨竜は全く微動だにしない。

 

『……教える義理はない……』

 

『……っ、何だと?』

 

『二度も言わせるな……此処で消えるお前に……今更言葉など不要だ……』

 

それは背筋が凍るような冷たく無機質な声。

沙綾と話す時とはまるで違う、破壊対象へと向ける慈悲のない宣告。

そしてその言葉と同時に、巨竜の足元からユラユラと立ち上る禍々しい黒のオーラ。

見るからに凶悪な姿も合わさり、並デジモンならその姿を目にしただけで心が折れそうな程の存在感であるが、相手も流石究極体、そのくらいでは動じない。

 

『……"鉄屑"が……一撃耐えた程度で図に乗るな……進化したばかりの貴様に、何が出来るというのだ……』

 

『……そう思うなら掛かって来るがいい……最も……その果てで"鉄屑"に変わるのは……オレではなく、お前の方だがな……』

 

『っ、貴様……!』

 

巨竜の挑発に、メタルシードラモンは奥歯を噛み潰すようにそう呟いた。そして、

 

『そんなに死にたいのか! いいだろう! ならば貴様の望み通りにしてやる!』

 

その鼻先に点る白い光。

首を大きく上に向け、回りの大気からエネルギーを集束さる。

 

『消し炭すら残さん……オレを愚弄した己を呪うがいい……』

 

相手の攻撃が届きにくい海上にいる事を強みに、メタルシードラモンは先程までよりも遥かに時間を掛け、より一層大きく呼吸をするように光を集めていく。

それはまるで光のブラックホール宛ら。輝きは鋭く、その威力がどれほど絶大であるかなど放つ前から予想がつきそうなものである。

 

『今度の一撃は先の比ではない! 受けれると思うな!』

 

次に来るのが正真正銘、全力全開の一撃。

ダークマスターズの本当の力なのだろう。

だが、

 

『……やってみろ……』

 

その光を前にしても、巨竜は一切動かない。

 

沙綾を守るように立ったまま、防御の姿勢すら取らず、メタルシードラモンのエネルギーが充填されるのを、ただじっと眺めている。

そして、

 

『愚か者が……消えろっ! アルティメットストリーム!』

 

必殺の叫び声と共に放たれる極太のレーザー。

進化し巨大化した"アグモン"を丸々飲み込めそうな光が、盛大な波飛沫を上げて彼らのいる大陸に向かって直進する。

 

「アグモン!」

 

それが先程、瀕死のアグモンに向けて放たれた光景と被ったのだろう。巨竜の背に守られながらも、沙綾は押さえきれずに不安そうな声を上げた。

 

迫る熱線。避ける事は恐らく出来ない。

 

彼女はぎゅっと目を瞑る。

 

しかしその瞬間、巨竜が遂に動いた。

 

『案ずるな母よ(マァマ)……ヤツの技は届きはしない……』

 

「えっ!?」

 

『言った筈だ……(マァマ)はオレが守ると……』

 

彼は振り返らずに背中のパートナーに優しくそう声を掛けた後、押し寄せる光の波を前に、ガッチリと両手両足を地面へとつけた。

 

それが、この巨竜が必殺を放つ合図。

 

身の丈をも超える主砲をガチャリと前面に素早く展開させ、直後、稲光のようにバチバチという音と青い光を上げて、電磁砲へとエネルギーが急速にチャージされる。

 

『……さて、では此方もゆくぞ……』

 

そう、彼はあえてこの瞬間まで動かなかったのだ。

 

目と鼻の先にまで迫る光。そして放出元であるメタルシードラモンをその赤い目で見つめながら、"アグモン"は小さく呟いた。

 

『……"力"勝負だ……プライドの高いお前に、もう"回避"という選択は取れまい……』

 

それが必殺を放たれるその瞬間まで、彼が何もしなかった理由。

先程の挑発も含め、全ては自身の攻撃を"確実に当てるための布石"。

初めから分かっていた事だ。

いくら進化しようと、ただ先手で主砲を放つだけでは、相手は海という地形を生かしてそれを避けてくるだろう。

だが、事"打ち合い"となれば話は別。ダークマスターズのプライドに掛けて、技と技がぶつかり合えば、メタルシードラモンは間違いなく力付くで押し切ろうとする筈。自身最強の一撃なら尚更である。

 

そしてもう一つ。"アグモン"は確信しているのだ。

 

例えどんな強力な攻撃が来ようと、真っ向勝負になれば自分に負けはないというない事が。

 

光に二人が飲み込まれようとするその瞬間、巨竜は吠えた。

 

『終わりだ……! 受けよ……ムゲン…キャノン!!』

 

同時に射出される光の弾丸。そして巻き起こる暴風。

あの夢の果てで習得した、沙綾のアグモン最強の威力を誇る必殺が更に威力を増し、激しい勢いと共に閃光と衝突したのだ。

 

「えっ!? 嘘……な、なんで!?」

 

『バ、バカな!! 何故貴様がっ!?』

 

その驚愕は何に対してか。沙綾とメタルシードラモンが全く同じ表情を見せる中、放たれた光弾は相手の攻撃を物ともせず、ぶつかる側から閃光を裂いて真っ直ぐに突き進む。

沙綾にしても、相手にしても、それは正に目を疑うような光景だ。

敵の光を霧散させ、巨竜の必殺は速度を上げながら一気にメタルシードラモンへと迫っていく。

 

『ぐっ! クソ……何故だ! この海の支配者たるオレが、こんな鉄屑に……押されている……だとっ!? 』

 

"力"の差は歴然。最早いくら出力を上げようと、自身が放った必殺は光弾を止める壁にすらならない。

ただそれでも、最後まで海中へと逃げようとしないのは、やはり彼の究極体としてのプライドだろうか。

 

『くっ……認めん……オレは認めんぞォォ!!』

 

巨竜に向かい、メタルシードラモンが怒号を上げる、止まらない弾丸。そして直後、

 

『!!』

 

カッ、という眩い閃光をあげて消滅の光が彼の身体を包み込み、大きく、弾けたのだった。

 

 

 

 

 

 





今回でメタルシードラモン戦終わるかな、と思っていましたが、全くそんな事はありませんでした。
すみません。
結局、対メタルシードラモン戦 前編という感じです。
久しぶりの投稿ですので、少し読みにくい所があるかもしれません。

巨竜の正体は、前から決めていた通りラストティラノモンですが、話の都合上、今回は名前を伏せさせて頂きました。当然ですが、本来彼の必殺もムゲンキャノンではありません。その辺りは次話で説明させて頂きます。

あっ、それとものすごく今更ですが、作者は普通に喋る生物の場合は「」、機械的でどちらかと言えば思念で会話するような生物の場合は『』で台詞をいれています。

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