超弩級戦艦駿河、推して参ります!   作:気まぐれ猫

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 はい。皆さんおはこんばんにちわ、気まぐれ猫です。
 こっちの方が思ったように筆が進むな・・・もう一つの作品も早く考えないと。
 では、第二話です


第二話「拠点を探そう」

 

「首相。SSTOが軌道に入りました」

 

 防衛本部の指令室で上影龍二郎が部下からの報告を聞いてモニターを見る。画面の中ではつい先日に発射されたSSTOが無事に軌道に入ったことを示していた。

 

「先日にナガラが来た時は焦ったが、蒼き鋼のおかげで打ち上げに成功したな」

 

 彼は安心して息を吐く。海を閉鎖されたことによって貿易が不可能になり、飛行機で超えようものなら撃墜される。彼らの生命線ともいえるSSTOが撃墜されることは許されなかった。

 

「今の我々にはSSTOと彼らしか頼れるものがいない。早いところアレを受け取ってもらわなければ・・・」

 

 人類にとって切り札ともなりえる機密兵器を量産するためには物資が豊富であるアメリカしかない。しかし、運ぶには霧の艦隊と戦える力を持っている千早群像率いる蒼き鋼しかない。彼らに運んでもらうしかなかった。

 

「悔しいですな。私達は何もできず、あんな若造に望みを託すしかないとは」

 

 彼の隣で統制海軍の一人が悔しげに歯噛みする。彼と同じような考えの人は何人もいるようで、何もできない自分たちに腹が立っていた。

 

「仕方がない。今の我々が霧に対抗するには彼らに頼るしかないんだ」

 

「やつはあの裏切り者の息子だぞ! そのうち心変わりして霧についたらどうする!!」

 

「そうならないことを祈るんだな、ルーキー」

 

 彼らが騒ぎ出す中、上影はじっと画面を見つめていた。

 

「人類の希望は裏切り者たちが握っている・・・か」

 

 彼が呟いた時、オペレーターの一人が悲鳴を上げた。

 

「大変です!SSTOに接近するミサイル反応を確認しました!」

 

 その声で指令室にどよめきが走る。

 

「馬鹿な! 今まで撃墜する仕草はなかったのに!」

 

「軌道を変更しろ! なんとしても落とされるな!」

 

 生命線を断たれまいとミサイルを回避しようとするが、そんな彼らに追い打ちを立てる報告が入った。

 

「さらに報告!別方面からもミサイル接近! 回避間に合いません!」

 

「ここまでか・・・」

 

 上影の目で見ても回避をすることは不可能だと判断できた。何とかしたいが、彼らには何もすることができない。そして、ついにミサイルがSSTOを捉えるかと思った瞬間、彼らは信じられないものを見た。

 

「なんだと・・・!?」

 

 ミサイルが直撃するかと思った瞬間、別方向から来たミサイルが爆発して膜のようなものを展開した。SSTOに直撃するはずだったミサイルは膜に阻まれて届くことはなく爆発する。一瞬で激しい爆炎が発生して見えなくなるが、少しすると無傷の状態のSSTOが煙の中から姿を現した。

 

「一体何が・・・」

 

 あまりの非現実的な光景に指令室が静かになる。上影も同じように絶句していた。

 

「緊急会議だ。すぐにこの映像を解析して何が起こったのか確かめるんだ!」

 

「りょ、了解です!」

 

 いち早く我に返った上影がすばやく部下に指示を出すと、慌てて走っていく。霧のミサイルを迎撃したとなれば、それは人類初の快挙になる。そして霧に対抗できるかも手段を持つことが出来るかもしれないからだ。

 

(一体誰が・・・)

 

 部屋に続く廊下を早足に歩きながら考えるが、誰も見当はついていなかった。

 

                     ★

 

「よし、成功したな」

 

 甲板上に寝転がって特殊望遠鏡を覗きながら一人呟いた。SSTOを破壊させないために防壁弾を撃ってみたのだが、どうにか成功したようだ。同時に追撃されない様にミサイルのルートから撃った艦隊の位置を演算して、いると思わしき所に回路をマヒさえるための衝撃弾を撃っておいた。ちなみに防壁弾と衝撃弾は防御機能に入っていたため、何とか使えることが出来るようだ。

 

「でも、これじゃ根本的な解決にはならないよな」

 

 確かにこれならサポートすることが出来るけど、もし俺が見ていない時に撃墜されては意味がない。確実に物資を届けるなら、自分の防御力を生かした運搬をするしかないだろう。

 

「う~ん・・・」

 

 でも、運ぶにしても面倒だろうな。というか許可がないとできないだろうし、絶対解体されて調べ尽くされる。もし、この世界の人たちが波動エンジンを解析してしまってそれを兵器転用したら霧に対抗できるかもしれないが、技術が漏れて対抗策を出されないか不安だった。

 

「とにかく今はちゃんとした拠点を探そう」

 

 それもあるが、今はちゃんとした拠点を探すのが必要だった。この巨体を収容できるほどの大きさや食料を栽培することが出来る条件を満たす島を探さないと飢えて死ぬ。今も手心な島を探している所だが、ほとんどが海面上昇によって沈んでいた。

 

「・・・海面上昇か。氷山でも解けたのかな?」

 

 俺のいた世界でも温暖化は起きていたし、それによって氷山が解けて海面が上昇しているなんて話を聴いたことはある。それで島が沈んでいるということも知っているが、固形が液体になったところで上昇などするだろうか。実際はプレートによって沈んでいっているのではないかとも考えている。

 

「どれどれ・・・」

 

 幸いにも今の俺の頭は元の残念な頭脳ではなく、スパコンと同じかそれ以上の性能になっているからシミュレートが可能だろう。近くにあった島の過去の形と元の海面の高さと今の高さ。地表のプレートの動きからどうなるのかシミュレートしてみようとしたが、そうはいかなかった。

 

「ぐぅっ!!?」

 

 演算しようとした瞬間、強烈な頭痛が走って強制的に停止させられ、あまりの痛みに甲板を転げまわっている。少しすると、痛みは多少残っているがなんとか収まった。

 

「・・・どういうことだ?」

 

 痛む頭をさすりながらふらふらと立ち上がる。

 シミュレートをしようとした瞬間に頭痛がして強制的に止められた。あれか? 容量が足りないから負荷に耐えられなくなって強制終了したのだろうか。それとも知ってはいけないから誰かに止められた?

 

「くっそ・・・」

 

 ナノナイトで作ったイスに座って今でも痛む頭をさする。どうにもこの体は一癖もふた癖もあるらしいな。本当にこの体はいったい誰に作られたんだよ。

 心の中で悪態をついていると、額にひんやりとしたものが当てられる。隣に眼を向けると、心配そうな眼で水に濡らしたタオルを額に当ててくる妖精さんがいた。

 

「ありがとう。もう大丈夫だよ」

 

 痛みが引いてきたため、タオルをどけて立ち上がろうとすると、妖精さんは「少し休んでいて」と言わんばかりに椅子に押し付けてきた。

 

「・・・心配してくれているのか?」

 

 問いにコクリと頷く彼女を見て顔が綻ぶ。どうにもかわいいものには荒れている心を癒す効果がありそうだ。子犬や子猫が大量破壊兵器と呼ばれている理由が分かる。そのまま痛みが完全に消えるまで横になっていると、波で揺られて眠くなってきた。このまま寝てもいいかな・・・

 

「って、寝たらあかん!」

 

 椅子から飛び起きると、驚いた拍子に妖精さんはしりもちをついてしまった。このまま寝たいけど、拠点となる島を確保できなければ海底で眠らないといけない。海底で眠ろうとすると、なんか落ち着かないから海上で寝たい。今は太陽が高いからいいけど、早いとこ探さないと日暮れに間に合わない!

 

「どこか手頃な島はないかな?」

 

 しりもちをついてしまった妖精さんを助け起こしながらレーダーを見るが、今のところ見えるのは暗礁とメンタルモデルを持たない霧の船だけで手頃な島はなかった。

 

「このままじゃまた海底で過ごすことになるな・・・ん?」

 

 げんなりして肩を落とすと、妖精さんが何かをデータを見せてきた。

 

「『この船には艦載機があります。それを使って探してみましょう』か。水上偵察機があるのか?」

 

 史実では戦艦に積んでいるのは水上偵察機だけど、この体は何を積んでいるだろう? 妖精さんが見せてくれたデータを見てみると、水偵だけではなく、普通の艦載機も積んでいた。その中でも比較的索敵能力が高い『彩雲』があった。

 

「発着できないんじゃないか? それにパイロットがいないんじゃ意味ないよ」

 

 妖精さんが言うには、積んである艦載機には大幅な近代化改装がされて滑走路がなくても発着できるらしい。パイロットは艦載機を操縦する妖精さんがやるらしく、しかもステルス機能があるから探知されることはまずないとかどんなチート艦載機だよ・・・

 

「分かった。じゃあ彩雲を使って探してきてくれ。この船体を隠せて廃村があるならなおよしだ」

 

 とにかく、レーダーで発見できない以上、形振り構っていられないな。やれることをやろう。

 妖精さんにお願いすると、敬礼をして姿が消える。少しすると、後部甲板になるカタパルトが伸びて射出口から彩雲が弾きだされて空高く飛んでいった。

 

「頼んだよ・・・」

 

 ジェット機並みの速度を出しながら消えていく彩雲を見送りながら祈る。いくらステルス機能を持っていたとしても、見つかる時は見つかるだろう。向こうが艦載機を持っているかは分からないが、もし撃墜されたら・・・

 

「やめよう」

 

 嫌な光景が一瞬脳裏に浮かんだが、頭を振って振り払う。それは敵が艦載機を持っていた場合だ。群像たちが空母と戦ったのは見た事はないけど、漫画版にでていたズイカクは空母じゃなくて海域強襲制圧艦だから艦載機は持っていないだろう。というか海域強襲制圧艦ってなんだよ。空母たちはみんなそうなっているのか?

 

「お、もう発見したのかな」

 

 空母について考えていると、彩雲から通信が送られてきた。開いてみると、離れた場所に船体を隠せそうな大きさで廃村がある島を発見したと書かれていた。

 

「よし、座標を送ってくれ。今からそっちへ向かう」

 

 すぐに島の座標が帰ってくる。そこは小笠原諸島の端っこにある島だった。その後、帰ってきた彩雲を収容して見つからない様にステルスフィールドを展開したまま潜航して島へと向かった。

 




はい、第二話でした。
今回は原作キャラの上影龍二郎が登場しました。これから少しづつ原作キャラが登場していきます。
群像たちとはどうなるかな・・・

それと、妖精さんは(・ワ・)ではなく、東方や艦これの妖精さんを参考にしています。
では、また次回お会いしましょう。
・・・面接練習でも言われたが、何を伝えたいのか分かりにくいぜ

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