それが日常   作:はなみつき

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ちょっちエロい話。別に15禁ですらないけど。
エロいというかスケベ。


新しい家族と77話

 年は明け、今年は新暦77年。

 分かりやすく言うならば、JS事件から二年後。おれ達の年齢は21歳になったし、ヴィヴィオちゃんは初等科の2年生へと進級した。

 この二年間の間にこれと言った問題も起きることなく、平和に暮らしていた。問題は無かったが、変わったことならある。それは、更生施設に入れらていたスカさんの娘たちとルーテシアちゃんが保護観察期間に入ったことだろう。

 ルーテシアちゃんとアギトちゃんは他の子たちより少し早くにそこを出ている。ルーテシアちゃんは魔力を大幅封印した上で管理局の保護観察の下、母親のメガーヌさんと第34無人世界の「マークラン」第1区画の静かで自然豊かな草原の中で暮らしている。

 一方のアギトちゃんは管理局に努めることになり、シグナムさんを新たなロードとしてシグナムさんと共に行動するようになった。シグナムさんをロードとすることとなったアギトちゃんは新しい八神家の一員として迎えることになったのは言うまでもないだろう。

 そして、今年、他の娘たちも更生施設を出て保護観察期間として各所で生活するようになったと言う訳だ。まだ誰がどこへ行ったという話は耳にしていないが、きっと彼女たちも楽しい日常を送って行けるだろう。もちろん、おれもこれからも変わらず平和な日常を送って行くだろう。

 

 

 

 と、思っていた時期がおれにもありました。

 

 

 

 

 

 

「今日も仕事で疲れた……あ、疲れてないわ」

 

 そんな特に意味もない事を呟きながら、仕事場から家への帰り道を歩く。仕事終わりという事で、辺りはすっかり暗くなってしまった。今日ははやて達は遅くなるという事らしいので、おそらく家に帰るのはおれが一番乗りだろう。

 おれの帰宅時間でさえそこそこいい時間だというのに、おれが一番早いとは……あいつらはちょっと働き過ぎだな。

 そんなこんなしていると、ミッドでの八神ハウスに到着した。

 

「あれ? 電気が付いてる。誰か早く帰ってこれたのかな?」

 

 真っ暗だと思っていた家には電気が付いており、誰かがそこに居ることを示している。

 

「泥棒でしたーって落ちは無しだぞ……ただいまー」

 

 ふと脳裏を過った怖い考えをできるだけ気にしないように、おれは家へ入る。

 

「おかえりー」

「あれ? 早かったんだね」

 

 おれを出迎えてくれたのはなんとはやてだった。一番遅く帰って来るだろうと思っていた人物がそこに居たのでちょっと驚いてしまった。

 

「うん、仕事が思ったよりはよう終わってな」

「ふーん、それは何よりだ」

 

 仕事が早く終わるのは良い事だ。

 

「ところでハムテルくん、ご飯にする? お風呂にする? それとも……わ・た・し?」

 

 ……ん? はやてがこんな冗談言うなんて珍しいな。いつものはやてなら「ご飯にする? ライスにする? それともお・こ・め?」くらい言いそうなものだが。

 なんにせよ、はやてがノリノリなので折角だからおれも乗ってやろう。 

 

「それじゃあ……はやてを貰おうか」

 

 言葉の最後に(キリッってつくような感じで宣言する。正直とても恥ずかしい。

 

「ふふ、もうハムテルくんはエッチやなぁ。ほんなら、ちょっと待っててな」

「ちょっ!?」

  

 はやてがいつにもまして妖艶にほほ笑んだと思ったら、つけていたエプロンを外して、おもむろに上着を脱ごうとする。

 

「ストップストップストーップ!! 嘘嘘! 冗談だから。今日は先に風呂に入るよ」

 

 まさか脱ぎ出そうとするとは想像していなかった。くっ……認めようじゃないか……今日はおれの負けだ……

 

「ん? そうなん? じゃあ先に入っといてな。後から私も行くから」

 

 いや、入って来るなよ! そう言うサービス頼んでませんから!

 

「違う違う違う! えっと、じゃあご飯にするから」

 

 なんなんだ今日のはやては……そんなにご飯に誘導したかったのか……なら最初からご飯かライスか米の選択肢にすればいいのに……

 

「わかった。今日のおかずは私やで?」

「詰んでるやん……」

 

 一体どれが正しい選択肢なんだ……全く分からない……

 いつもと様子が異なるはやての対応をどうするか、驚き過ぎて回転が遅くなった頭を必死に使って考える。

 

「まあまあそう言わんと、楽しいことしようや?」

「た、楽しいことって……」

 

 さっきの服を脱ごうとしていた時の影響で少し上着をはだけさせたはやてがおれの腕に抱き付いてくる。 

 ていうか、楽しいことって言うのは……その……所謂そういう……

 

「本当にどうした? 熱でもあるのか? それとも変なもん食ったか?」

「もー、失礼な人やなー。これが私の本心や」

「うおっ!?」

 

 油断していたおれははやてに押し倒される。これは……大外刈り! 抵抗できなかったおれは綺麗に仰向けにさせられる。仰向けになったおれの上にはやてがすかさずのしかかって来る。

 

「ちょっと待て、こんなところで……ここ玄関だから」

「じゃあベッドの上やったらええんか?」

 

 そう言うことを言いたいんじゃない!

 

「あーもう! はやく……」

「ただいまやー」

 

 どいてくれ、と言おうとしたところにドアが開き、誰かの声が聞こえてきた。この声は……はやて? え? でもはやてはここに……

 

「みんなとそこで会えたから一緒に……帰って……来た……で?」

「あ、あはは……おかえり……」

 

 はやて視点で今の状況を考えて見よう。

 

 家に帰ったら自分が同居人を押し倒しているのを見た。

 

 うん、混乱することは必須だ。

 

「私がハムテルくんを押し倒しとるシーンを横から見とる……どんな哲学や」

「いいから早く助けてくれないだろうか」

「私のこと無視したらあかんで~」

 

 二人のはやてが何か言っているようだが、今のおれには何も入ってこない。

 そういえば、さっきみんなと一緒に帰って来たって言ってたか? こんな場面をシグナムさんやヴィータに見られたら……

 

「貴様……」

「マサキ……テメー……」

「ちょ、ちょっと待て! 本物のはやてはそっちのはやてなんだろ!? 落ち着け! これは違うんだ!」

 

 ゴミを見るような目でこっちを見てくるシグナムさんとヴィータさん。やばいって、背中に変な汗が。

 

「それに、おれは被害者ッ……」

「フンッ!」

「ていっ!」

 

 仰向けになっているおれに対して二人が行った攻撃は無慈悲な顔面への踏み付け。踏む直前に靴を脱いだのはわずかながらの優しさだろうか。

 

「あ、そういえば、言うの忘れとったわ。ドゥーエは家で預かることになったから」

 

 あとから帰って来た方のはやてがそんなことを言う。

 

 そう言うことは早くいってほしかったな。




最近更新頻度高いでしょ?
作者の現実逃避度が今アゲアゲなんですよ。

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