##この話は修正されました##
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現状は混乱の極みと言っても過言やあらへん。
オペレーターは絶えずどこかと連絡を取り、現状の報告をしている。
武装局員は今なお続く敵の侵攻を食い止めようとしている。
医務室はけが人で溢れかえっている。
お偉いさんは緊急の会議でもしていることやろう。
「六課はどうなってるんや……」
地上本部で行われる公開意見陳述会の護衛任務のため、私たち機動六課は地上本部まで来とった。途中までは順調に行われていた陳述会やけど、そこにやはりというかなんというかガジェットによる妨害が入った。今回の今までと違う点はガジェットだけやなく、戦闘能力に秀でる戦闘機人もその中におったことやろう。
私たちも自身の任務を全うするため、機動六課フォワード陣も迎撃に向かった。もちろん私も隊長として状況を把握するために臨時の対策本部となっている地上本部の一室にすぐに向かった。
地上本部は酷いものだった。
神経性のガスを吸って動けなくなった局員。
そこらに散らばっているガジェットの破片。
ジャムパン。
ガジェットの質量兵器によって破壊された本部の瓦礫。
いたるところから上がる炎。
ジャムパン。
地上本部の対処に追われていると、ある連絡が入った。それは、地上本部襲撃と同時に機動六課にも戦闘機人による襲撃が行われているとという物やった。
しばらくするとシャマル、ザフィーラとのつながりが消えてしもた。ここでは何が起こって、どうなっているのか何も分からん。
「!? 通信が回復した!」
さっきから何度も試みていた六課への通信がようやく繋がった。
「グリフィス君! そっちはどうなってるんや!」
『八神部隊長! はい……機動六課の施設は壊滅状態です。しかし、ザフィーラさんやシャマルさん達が防衛に当たってくれたおかげで職員全員、無事に避難することが出来ました』
「そうか……」
とりあえずは安心や。
「そや! シャマルとザフィーラは! 二人はどうしたんや?」
『はい、気を失っているようですが、怪我も見当たりません』
「はぁ……」
よかった。ほんまによかった。嫌な予感がしたからものすごい心配やったんや。やけど、二人が一切の抵抗も出来ずに気絶させられたとは思えへんのやけど……。まあ、怪我がなく何よりや。スカリエッティは絶対に許さん!
『八神部隊長……一つお話が……』
「なんや?」
なんかあったんやろか?
『マサキさんとヴィヴィオちゃんが行方不明に……』
「……なんやて?」
何かの聞き間違いであることをここまで願ったことは無い。
『襲撃を受ける前に二人で街へ向かったところまでは分かっているのですが、その後連絡が取れず……』
「そうか……。またなんかあったら連絡してや」
『はい』
それを最後にしてグリフィス君との通信は途切れる。
二人の身に何もなければええんやけど。まあ、ハムテルくんが付いてるなヴィヴィオちゃんが怪我するなんてことは無いはずや。
「ん? なんだ? 通信が割り込んで……」
オペレーターの一人がそんなことを呟いたのが聞こえる。
壁に大きく投影されているスクリーンに映像が映し出され、そこに居る人達の視線がそこに集まる。
『ミッドチルダ地上の管理局員諸君、気に入ってくれたかい? ささやかながら、これは私からのプレゼントだ』
割り込み通信の相手、スカリエッティの演説の最初の言葉それやった。
『治安維持だとか、ロストロギア規制などと言った名目のもとに圧迫され、正しい技術の進化を促進したにもかかわらず、罪に問われた稀代の技術者達。今日のプレゼントはその恨みの一撃とでも思ってくれたまえ』
なんてふざけた奴なんや。確かに、管理局がやっていることのすべてが正しいとは思ってへんけど、規制されるものには規制されるなりの理由がある。その技術者がどれだけすごかろうが、人としてやってはあかんことをやったから罪に問われたんやろうに。
『くくく……そう! 私たちは地上本部にジャムパンを仕掛けた!』
モニターを見ている人たちの時が止まったような気がする。
『ああ……命を愛する私ではあるが、流石にこれは非道なことだと思うよ』
言うまでもなく、私も呆然としている。
『さーて、次はどこだろうねぇ? 時空管理局の本局かな?』
だがその時、私はある可能性に気付いた。
『忌むべき敵を一方的に制圧することのできる技術。それは十分に証明できたと思う』
私はその言葉を聞いてやはりと思う。あのジャムパンは誰にも気づかれることなくいつの間にかそこにあった。もし、あれが爆弾だったなら。もし、あれが生物兵器のようなものだったら。想像するだけで恐ろしい。
つまり、今日のスカリエッティのジャムパンはただのデモンストレーションでしかないという事や。
ステルス迷彩的な物を使ってそこに置いたのか、はたまた高性能な転送装置を使ってそこに置いたのかは分からないが、これはとても危険だ。
『今日はここまでにしよう。この素晴らしき力と技術が必要ならば……』
『おい、スカさん! 次はスカさんの番だぞ! 早く電話終わらせてくれ! はよ!』
『ああ、もうちょっとだから』
『ウーノさん、ヴィヴィオお腹すいた……』
『え……こ、困りましたね……食事ですか……お恥ずかしながら私は料理は……』
『え? そうなのか。意外だな。じゃあおれが作ろう。ウーノさん、キッチンどこでしたっけ?』
『それでしたらあちらに』
『やったー! おじさんのご飯だー』
『……ゴホン。必要ならば、いつでも私宛に依頼してくれたまえ。格別の条件でお譲りする。フゥーハハハハ!!……待ちたまえ! 私は人参はいらん』
ブチッ
実際にそんなブラウン管のテレビが切れるような音がしたわけではないが、そんな音がしたような切れ方をしてスカリエッティの通信は終わった。
……
うん、色々突っ込みたいことがある。
「予言は……覆らなかった……」
隣でシャッハがなんか言うてるけど、そんなことはどうでもええ。
「なにやっとんねん!! あいつー!!」
一度殴って連れ帰って話を聞かなあかんな。
ハムテルくん。
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正直すまんかったと思う。
六課のボコられ具合は原作より大分マイルドです。だけど建物先輩は原作通りぐちゃぐちゃです。
ちなみに、スカさんがジャムパンを仕掛けた理由は特にない。