それが日常   作:はなみつき

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ナンバーズの稼働時期とか固有装備を使ってる時期がグチャグチャだけど仕方ないね。

##この話は修正されました##

追記

後の話と矛盾が生じてしまう部分があるので、修正しました。
ヴィヴィオは気絶していないことになりました。


幼女と追手と66話と非日常

「あ! 先生! ……って八神司令!?」

「八神司令!?」

 

 現場に到着したおれ達に気付いたエリオくんが、はやてもこの場にいることに驚いている。その声を聞いてキャロちゃん、スバルさん、ティアナさんが慌てた様子ではやてに敬礼する。

 

「ええよええよ。で、状況はどうなっとるん?」

 

 エリオくんによると、幼い少女がレリックの入ったケースを引きずりながら地下から出て来たというのだ。しかし、その幼女はエリオくんに発見されるや否や倒れてしまったそうだ。気絶こそしていないが、意識がもうろうとしている状態だ。

 

「よしよし、先生に任せなさい」

 

 おれはキャロちゃんに抱かれている幼女に近づき、撫でてあげる。け、決してやましい気持を持ちながら幼女に接しているわけではないぞ!

持ってないぞ!

 

「う、うーん……」

 

 お、幼女の意識がはっきりしてきた。

 

「ここ……は……おじさん……誰?」

 

 ん? おじさん? はて、今この場におじさんと言われるような年齢の人物はいないと思うのだが。

 

「ハムテルくん、現実を受け入れるんや……プププ」

 

 おかしいな。はやての言い様だとおじさんと呼ばれているのがおれみたいじゃないか。おれはまだピチピチの19歳だぞ。おじさんと呼ばれるのではなくお兄さんと呼ばれてしかるべき年齢だろう。

 

「おじさんではない! おれはまだおじさんではない!」

「ふぇ……」

 

 いかん! 幼女を怯えさせてしまった! 

 

「だめやで、ハムテルくん。ごめんな、このおじさんが怖い声だしてもて。君、名前はなんて言うん? 私は八神はやて。こっちのおじさんはハムテルくん」

「ぐぬぬ……」

 

 はやてよ、さっきからおじさんおじさんうるさいぞ。おれはまだおじさんではない! しかし、さっき幼女を怖がらせてしまった手前、何も言えない。また怖がらせてしまいそうだ。

 

「……ヴィヴィオ……」

「そうか、ヴィヴィオちゃん言うんか。よろしゅうな」

 

 幼女の名前はヴィヴィオちゃんと言うらしい。それにしても、ヴィヴィオちゃんの服はボロ布と言っても言い様なものだ。一体彼女に何があったのだろう?

 

「八神司令、この子に繋がれている鎖の様子からレリックの入ったケースはもう一個あったようです。あたし達はこれからその捜索に向かおうと思います」

「そうやな、もしまだレリックがあるようならガジェットが街中に出てくる可能性もあるしな。レリックの捜索頼んだで」

「はい」

 

 ティアナさんとはやてがこれからの行動について話しているようだ。それじゃ、次はヴィヴィオちゃんをどうするかだな。

 

「ヴィヴィオちゃんはどうする? 病院に連れていくか?」

「何言うてんねん。ここに動く病院がおるやん」

 

 ああ、おれのことですね。わかります。

 

「一旦六課に連れて行こか。ちょっと気になることもあるしな」

 

 はやてはヴィヴィオちゃんに思い当るところがあるようだ。素人のおれが見ても、ヴィヴィオちゃんは何らかの事件に関わっているとわかる。その道のプロのはやてなら、おれ以上の事を考えているに違いない。

 

「うーん、今からヴァイスくんにヘリの準備をして来てもらうより、自分で行った方が早いな。と言うわけで、アッシーくん頼んだで」

 

 おれのことですね。わかります。

 

「でっていうー」

 

 とりあえず、了承と答えておこう。

 

「それでは、八神司令、マサキ先生、お気を付けください」

「みんなも気を付けるんやで」

「はい」

 

 そう言ってフォワードのみんなはヴィヴィオちゃんが出て来たであろうマンホールから地下へ向かって行った。

 

「ほんなら、私達も行こか」

 

 はやてはそう言って、抱えていたヴィヴィオちゃんを自転車のかごに乗せ、はやて自身も即席の後部座席に座った。

 

「おいおいおい、大丈夫なのかこれは」

「しゃーないやん、そこしか空いてないんやから」

「こんなことするならヴァイスさん呼べばいいのに。ヴィヴィオちゃんだって怖がって……」

「おじさん! おじさん! 早く行こうよ!」

 

 うっそ! めっちゃ喜んでる!?

 目までキラキラさせちゃって。そこってそんなにいい席だっけ?

 

「わかったわかった。二人ともしっかり掴まってるんだぞ」

「「はーい」」

 

 本当に大丈夫なのだろうか……

 

 おれは出だしでわずかにふらつきながらいつも以上に思いペダルを必死にこいで行った。

 

 

 

 

 

 

「気持ち良い~」

 

 自転車の籠に収まっているヴィヴィオちゃんは風を切りながら走るのを楽しんでいるようだ。

 さっきまで気を失っていたとは思えないくらい生き生きとしているヴィヴィオちゃん。彼女の適応能力はすさまじいな。

 

「ん? ……!? ハムテルくん! 後ろから追いかけてきてる奴がおるで!」

「何!?」

 

 首を回して後方を見てみると、宙に浮かぶボードに乗りこちらのスピード以上の速さで追いかけてくる人物を見ることができた。

 

「な、なんだありゃ!」

「ハムテルくん、スピードアップや!」

 

 おれははやてに言われるまでもなく、ペダルを踏む足の力をさらに強くする。 

 さっき見たボードの上の人物は赤い髪の女性の様だった。何故、女性と分かったのかと言うと、彼女が来ている全身タイツ的なサムシングの所為で体のラインがまるわかりだからだ。すばらけしからん。

 しかし、正体を隠すためのマスクのせいで顔は詳しくはわからなかった。あの目元を隠すマスク……まさか、UMRさんか!? ……そんなわけはないか。とにかく、彼女が誰だか全く分からない!

 

「待つッス! その女の子をこっちに渡すッス!」

 

 どうやら追手の目的はヴィヴィオちゃんらしい。一体ヴィヴィオちゃんは何者なのだろうか?

 

「そんなん言われて渡すアホはおらへんで!」

 

 後ろに座っているはやてが追手を煽る。

 

「そう言うことならこっちも容赦しないッスよ!」

「ハムテルくん! 右にハンドル切り!」

 

 はやてが突然そう言ってきた。はやての言うとおりにハンドルを右に切ると、さっきまで走っていたコースに魔力弾が着弾する。こえー。

 どうやら追手がおれ達に向けて魔力弾を放ってきたようだ。

 うわー、はやての煽りの所為で追手が容赦しなくなっちゃったじゃないか!

 

「次は当てるッスよー」

「キャー!!」

 

 ヴィヴィオちゃんも怖がってしまっているようだ。

 仕方ない、ならこっちも相応の対応をさせてもらおう。えーと、確かあの懐中時計は右ポケットに入ってたよな。

 

「あれ、こっちはハンカチだった……って、あー! ハンカチー!」

 

 手が滑って取りだしたハンカチを落としてしまった。お気に入りのハンカチだったんだけどなぁ……

 とりあえず、おれは改めて時計を取りだそうとする。正しい場所は左のポケットだった。

 

「ギャー!! なんッスかこれ! 前が見えない……フギャ!!」

 

 ん? なんだ今の猫が踏まれたような声は。

 

「さすがハムテルくんや。私にできないことを平然とやってのけるな」

「おじさんすっごーい!」

 

 なんのことだ。それにいつの間にか後ろを猛追していたマスクド少女オンボードもいなくなってるし。まあ、結果オーライだな。折角時計出したのに出し損だよ。

 

「ハムテルくん、またさっきみたいな奴が来るかもしれんから、気をつけて」

「わかった」

 

 おれは周りに注意を払いながら六課への道を急ぐ。

 

 

 




一体何ンディなんだ!

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