それが日常   作:はなみつき

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お土産と帰省(中編)と59話

 地球帰省二日目。

 

 昨日は高町家で桃子さんが作る美味しい夜ご飯をいただいた。はやての作る料理とはまた違った美味しさだった。言葉にするなら、母さんの味……かな? お袋の味ではない、母さんの味だ。わかるかな、この微妙なニュアンスの違いが。わからないな。そうすると、はやての料理を例えるとするとなんて言えばいいのだろう? お袋の味? 彼女の味? ばあちゃんの味? うーむ、迷いどころだ。まあ、どうでもいいことだな。夕食の後、風呂に入り、早めに就寝した。ベッドは現在ドイツに行っている恭也さんの物を使わせてもらった。恭也さんと言うのはなのはさんのお兄さんである。他人のベッドではあるがぐっすりと眠ることが出来た。

 

「いらっしゃいませ! 喫茶翠屋へようこそ。お二人様ですね? こちらへどうぞ」

 

 そして、今日は地球でゆっくりする日と決めていたのだが、翠屋のアルバイトが一人病気でお休みという事で助っ人をかってでたのだ。

 

「公輝くん、チーズケーキとショートケーキ。コーヒー二つ3番ね!」

「はーい」

 

 桃子さんの指示を受け、出来上がったケーキとコーヒーを3番のテーブルに持って行く。翠屋の看板メニューは特性シュークリームであるが、他のケーキも絶品なのである。そして、このコーヒーは士郎さん自慢のコーヒーでありこれまた絶品なのである。圧倒的紅茶派で、コーヒーはあまり飲まないおれが唐突に飲みたくなるコーヒーは後にも先にも士郎さんのコーヒーだけだと思う。

 

「お待たせしました。こちら、チーズケーキとショートケーキ、コーヒー二つになります」

「どうもー」

「ありがとう!」

 

 3番テーブルの女性二人組に注文の品を届け、新たに出来上がった料理を取りに戻る。

 

「公輝くん、今度はシュークリーム3つとミルクティー2つとコーヒー。5番ね!」

「了解!」

 

 こんな風に、海鳴でとても有名な喫茶店翠屋のウエイターとして忙しくも充実した時間を過ごしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 人の勢いも落ち着いたため、一息つくことにした。

 

「ふいー、疲れたー」

 

 肉体的にではなく精神的に。客商売は大変だなぁ。社会の荒波に揉まれてるって感じがする。

 

「ご苦労様、公輝くん。君が居てくれたおかげで助かったよ」

「お役に立てて何よりです」

 

 ねぎらいの言葉をかけてくれる桃子さん。確かに、これだけ店が繁盛していると人が一人欠けただけで一人当たりの仕事量が大変なことになるだろうな。

 

「お疲れ公輝くん。もうすぐなのはが帰るって言ってたよ」

「え? なのはさんが? 何でです?」

「偶然仕事で近くに来てるらしい」

「あ、そうなんですか」

 

 管理局の仕事で地球に来たのか。すごい偶然だな。こういうことってあるんだなー。

 

「じゃ、ちょっとおどかしてやりますか」

「お、いいね」

 

 士郎さんの許可も下りたことだし、ちょっとしたドッキリを仕掛けてやることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 カラン、カラン

 

 それは翠屋のドアに取り付けてある来客を知らせるためのベルのようなものがなった音だ。来客したのが普通の客ではなく、ターゲットであることを確認し、おれは息を潜めてタイミングを計る。

 

「お母さん、ただいま」

 

 よし、今だ。出る!

 

「あれ? 居ないの? お父さん? お姉ちゃん?」

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

 そこに居るのは呆然とした様子のなのはさんとリインちゃん。驚いた様子で固まっているスバルさんとティアナさん。そして、燕尾服を着て執事スタイルでワックスでオールバックのパッと見誰か分からないおれ。もちろん、おれは執事の見本のようなお辞儀をしている。

 

「え……あの……誰?」

 

 まだまだ畳みかけるぜ!

 

「お嬢様の大好きなビールはキンキンに冷えてやがります。どうぞ、お風呂上がりにぐぐっとやってください」

「ちょっ! 私の生徒もいるのに、それじゃあ私が酒飲みみたいに聞こえるじゃん! ていうか、私まだ未成年だからお酒は飲まないよ!……って、あれ? もしかして公輝くん?」

 

 むぅ、もう気づかれてしまったか。オールバックバージョンのおれを鏡で見た自分ですら「誰だ?」ってなったのによくわかったな。流石だと言わざるを得ない。まあ、後ろで「なのはさんって酒飲みなんだ……」とか念話で話してそうな雰囲気を醸し出しているスターズの二人と慌てふためくなのはさんの姿が見れたので良しとしよう。リインちゃんは変わらず呆然としている。

 

「ふふふ……なのは、お帰り」

「なのは、帰って来たな」

「なのは、お帰り!」

 

 裏にいた桃子さん、士郎さん、美由希さんが出てくる。

 

「お母さん、お父さん、お姉ちゃん! もう、びっくりしたよ!」

「ははは、ごめんごめん。公輝くんがなのはを驚かしてやろうってね」

 

 あ! さらっと罪を擦り付けられた! 士郎さん、恐ろしい人だ。

 

「え! あの執事さん先生だったの!」

「ほ、本当……よく見たら先生だわ……」

「びっくりですー!」

 

 なのはさんの後ろにいたスターズの二人とリインちゃんもおれに気が付いたようだ。

 

「この子たち、私の生徒」

 

 そう言いながらなのはさんはスバルさんとティアナさんを高町家のみんなに紹介する。

 

「おお! こんにちは。いらっしゃい」

「ゆっくりしていってね」

「は、はい! あ、私はスバル・ナカジマです」

「こんにちは。私はティアナ・ランスターです」

 

 士郎さん、桃子さんと二人が挨拶を交わす。

 

「ケーキは今箱詰めしてるから」

「うん、フェイトちゃんと待ち合わせ中なんだけど、居ても平気?」

「もっちろん」

 

 桃子さんとなのはさんが言葉を交わす。どうやらフェイトさんも地球に来ているようだ。機動六課の中心戦力の二人がミッドを離れるというのはいいのだろうか? まあ、こういうことはおれが考えることではないから深く考えるのはよしておこう。

 

「コーヒーと紅茶もポットに入れておいたからな。もちろん、なのはのビールも忘れてないぞ」

「その設定まだ続いてるの!」

 

 もう終わったことだと思って油断していたなのはさんに襲い掛かる士郎さんの不意打ち。うむ、良いきょどり具合だ。しっかり写真に収めたから後ではやてに見せてやろう。

 

 その後、なのはさん達と一緒にお茶を飲みながらゆっくりしてながらフェイトさんが来るのを待った。お店も落ち着いたという事もあり、士郎さん達のご厚意でおれもなのはさん達に付いて行くことになった。夜ご飯はアリサさんの家の庭で……庭? 庭っていうには広すぎるが、庭で食べることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 ここにいるのは初対面の人などもいるので、初めに全員が自己紹介をして夕食を食べることにした。今日の夕食は外でバーベキューである。

 

「いただきます!」

 

 いただきまーす!

 

 ここにいる全員が食事を始めるための挨拶をする。

 

「おっす、はやて。久しぶらない」

「久しぶらないやな、ハムテルくん」

 

 驚くべきことに、機動六課部隊長のはやても地球にやってきていたのである。流石にこれはおれでも異常だということは分かる。

 

「なあ、はやて。機動六課の主力全員地球に来ちゃってるけど、ミッドでのレリック確保はいいのか?」

「ハムテルくん、私は戦力の分散という愚は犯さんのや!」

 

 いや……そうは言っても、戦力の一括投入のしどころおかしいだろ。

 

「というのは冗談で、上からの命令なんよ」

「上からの?」

「聖王教会を通しての任務の依頼やったけど、機動六課の全主戦力を投入し、早急に解決せよって管理局の上の人に言われたんよ」

 

 六課の全主戦力を投入するほどヤバイ事件が地球にあるっていう事なのか?

 

「確保するロストロギアは人に害を与えるタイプやないんやけど、持ち主ができるだけ早く確保してほしいって話らしいで」

「その持ち主ってのは相当管理局に関わりが深い人物なんだろうな」

 

 すごい人もいるもんだ。しかし、管理局も組織だ。組織には金が要る。それも、とてつもない規模の組織となると必要な金は大変な量だろう。そこを支える出資者と良い関係を築き続けるのは必要なことのだろう。まあ、そういう事だろう。

 

「まーまー、そんな細かいことを気にしてもしゃーないわ」

「そうだな」

 

 六課は管理局の命令に従って行動しているし、問題が生じても言い訳はできるだろ。起きないのが理想だが。

 

「あ、キャロちゃんいるじゃん」

 

 はやてとの会話を切り上げ、おれは目に入ったキャロちゃんとエリオくんの方へ向かう。二人にはお土産があるのだ。

 

「キャロちゃーん、エリオくーん、楽しんでる?」

「はい! とってもおいしいです」

「キュクルー!」

「こういう食事もいいですね」

 

 

 うんうん、楽しんでいるようでなにより。おーよしよし、フリード、よしよしよしよし……って、こんなことしてる場合じゃない。

 

「キャロちゃん、これ付けてくれないかな」

「? いいですよ」

 

キタ━(゚∀゚)━!

 

 おれが紙袋から取り出し、キャロちゃんに渡したものは秋葉で買ったコスプレグッズだ。詳しく言うと、ピンクの犬耳とピンクの犬尻尾だ。あ、この尻尾はベルトと一体化していて、ベルトをつける要領で取り付けるタイプであって、決して尻の穴に差し込むタイプではないことは明言しておく。

 

「うんうん、思ってた通りぴったりだ!」

「キャロ、とっても似合ってるよ」

「そ、そうですか? ちょっと恥ずかしいですね」

 

 もうどこからどう見てもビスコッティの犬姫である。うーん、余は満足じゃ。

 

「あ、エリオくんにもお土産があるんだ」

 

 再び紙袋に手を突っ込んで取り出す。

 

「エリオくんにはこのリストバンド(ビスコッティの勇者仕様)をあげよう。ガンガン使い倒してくれ」

「あ! ありがとうございます。丁度欲しいと思っていたんですよ」

 

 うむ、どんどん使ってくれ。アニメショップで買った物だけど汗拭きとしての役割を果たすことを信じているよ。

 

「二人とも、先生のお土産いいな~私も欲しいな~」

「こら、スバル。図々しいわよ」

 

 おれたちのやり取りを見ていたスバルさんとティアナさんがこっちに来たようだ。

 

「ふっふっふ、抜かりはない。二人にもちゃんとあるぞ」

「おー!」

「え、そうなんですか? ありがとうございます」

 

 またまた紙袋に手を突っ込み二人のために買ったお土産を取り出す。

 

「はい、スバルさんには東京で買った仙台牛を使ったサラミだ」

「おお! おいしそう! ありがとうございます!」

「うむ、フリードと仲良く二人で食べるんだぞ」

「えー! 私とフリードで二人で一つですか!?」

 

 ビックリ!っと、顔に書かれているというのはこの事を言うのだろう。スバルさん、良いリアクションだ。

 

「冗談さ。フリードにはこの東京で買った仙台牛を使ったビーフジャーキーをプレゼントだ」

「キュクルー!」

「フリードよかったね。公輝先生ありがとうございます」

 

 しゃべれないフリードの代わりにキャロちゃんがお礼を言ってくれる。

 

「ビーフジャーキー……ねえフリード、サラミ半分あげるからジャーキー半分くれない?」

「キュク」

 

 結局二人で分けるのか。まあ仲がよさそうで何より。

 

「ティアナさんにはこの目薬を。ガンナーも目が命だからね。目が疲れた時は使うとよいよ」

「あ、ありがとうございます」

「あ、それとティーダさんにはこれを渡してもらえるかな。地球土産って言っておいて」

「分かりました。わざわざ兄の分まで申し訳ありません」

 

 本当にティアナさんは礼儀正しい子だなぁ。ちなみに、ティーダさんに渡したものはラノベだ。疎遠だった兄妹が人生相談を繰り返すうちにお互いの気持ちを知っていく物語だ。

 

 こんな感じで地球土産のお披露目をおれの予定よりも早くに終わらせ、楽しい食事の時間が終わったのだった。

 

 食事の次は風呂だな。




……風呂に……たどり着かない……

こんなはずでは……

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