##この話は修正されました##
「やっほースカさん。で、用事ってなんだい?」
「ようこそ公輝くん、ちょっと手伝ってほしい事があるんだよ」
ある日の午後、携帯にスカさんから「ちょっと来てほしい」という旨のメールが来た。その1分後にお迎えのウーノさんがやってきた。幸い今日は特にやることもなかったのでウーノさんと一緒にスカさんの住処にやって来たのだ。
「あら~、あなたが例の先生ね~。私はクアットロ、どうもよろしく」
「よろしく」
横からやってきたのは茶髪でメガネを掛けた女性だった。クアットロさんもトーレさんやチンクさんと同じようなスーツを着て上から白衣を羽織っている。彼女たちが着ているスーツがおれの知らない間に流行っていたのかと思っていたが、どうもこのスーツはスカさんの趣味のようだ。おれはスカさんとの付き合い方を本気で考えた方が良いのかもしれない。
「あら~あらあら、冴えない顔にピッタリな冴えない返答ね~」
「……」
可愛い見た目してとんでもないこと言われた気がする。だが、今はそんなことはどうでもいい。だって、この人……この人は……!!
「近所のおばさん!」
「誰がおばさんよ! 誰が!」
近所のおばさんにめっちゃ似てる! 近所のおばさんとは、はやて達に艦娘のコスプレ衣装を作るときに材料をくれたおばさんのことだ。髪型も微妙に似てるし、特に「あら~あらあら」っていうところがめちゃくちゃ似てる! あー、懐かしいなー最近はミッドにいることの方が多いからおばさんに最近会ってないんだよな~。ちなみに、おばさんの名前は陸奥さんと言う。
「キーッ! 人をおばさん呼ばわりとは、失礼な人! ふんっ!」
そう言いながらクアットロさんはどっかに行ってしまった。ていうか、人を冴えない呼ばわりしていた人がおれのことを失礼な人呼ばわりするのは如何なものなのだろうか。
「うんうん、公輝君もクアットロと仲良くなれたようだね。クアットロも私の娘だ、仲良くしてくれたら私はうれしいぞ!」
「あれが仲良く見えるスカさんは一度人との関わり方を勉強し直した方が良いな」
それにしてもスカさん本当に娘多いな。息子はいないのか? まあ、スカさんみたいなやつがもう一人居ても面倒くさそうだが。
「おっと、公輝君を呼んだ本題を忘れていたよ。うっかりうっかり」
おっさんのテヘペロは何にもうれしくないからヤメロ。
「公輝君の力を借りたいと思っていたのだよ。ちょっとこれを持ってみてくれないか」
スカさんがおれに渡してきたのは青い菱形の宝石なようなもの。なんだか見覚えがある宝石だ。
「ウーノ、どうだい?」
「はい、内部から発せられる魔力量が元の何倍にもなっています」
「おー! 流石公輝君だね。これがジュエルシードの本来の姿と言うわけだ。今のままでも大量の魔力を有しているというのに、まだこんなにもキャパシティを残していたとは! すうううぅぅぅばらしいいいぃぃぃ!!」
ジュエルシードって……まあ、いいや。スカさんのテンションが有頂天でやばい。
「では公輝君、それをこっちに渡してくれたまえ」
「ほい」
おれはジュエルシードをスカさんに返す。
「あら? ジュエルシードから発する魔力が元の値に戻った?」
「ん? そうなのかい? ふーむ、公輝君の能力は元々生き物に対して使う物なのだろう。ロストロギアに使うというのは、そもそもの使い方と異なっているわけだ。それ故、人に対して使った時の様に効果が維持されることはないのだろう」
へー、そうなのか。そういえばこの間、局員に「ロストロギアの無断所持の疑いがあります。その懐中時計をしばらく預からせてもらいます」と、言われたのだ。しかし、結局それがロストロギアであるという事実はどれだけ調べても出てこなかったそうですぐに返してもらった。局員にこういわれた時に初めてほぼすべてのロストロギアは所持するのに許可が必要と言うことを知って焦ったものだ。
「ふむぅ、まあ計画に支障はあるまい。元々のジュエルシードで実行するように計画は立てていたのだからな」
計画? 計画とはなんのことなのだろうか。
「なあ、スカさん。計画って何の計画だ?」
「ん? 知りたいかい、公輝君。ふふ……知りたいだろう?」
あ、なんかそういわれると知りたくなくなってきた。
「良いだろう! ならば教えてあげよう!」
スカさんはいつのまにか用意されているお立ち台の上に上り、白衣を翻すようにしながら腕を体の前でクロスさせる。後ろからスカさんにライトを当てているウーノさん、ご苦労様です。
「私は混沌を望み、世界の支配構造を破壊するのだ! だが機関の奴らは強大な力を持っている。それを打ち砕くために私はとてつもなーい計画を立てているのだよ。フゥーハハハハ!!」
こ、これは……まさか……
「フゥーハハハハ、我が名はジェイル・スカリエッティ! 我が目的は世界の支配構造の変革! この研究所は、その目的達成のために、この世界を混沌に巻き込む発明をしなくてはならないっ!」
なんて恐ろしんだ……
「ふぅ、少々語り過ぎてしまったようだ。エル・プサイ・コングルゥ……」
スカさんの演説が終わると後ろからライトで照らしていたウーノさんがパチパチと拍手をしている。
だが、今はそんなことはどうでもいい。スカさんは恐ろしい病気に掛かっているんだ……
みなさんは『中二病』という言葉を(ry
「どうだい、公輝君。恐ろしい計画だろ?」
ああ、確かに恐ろしい。まさか、スカさんが男の子ならば高確率でかかる流行り病にかかり続けていたとは。あな恐ろしや。
「公輝くんには是非私の計画に協力してほしいんだよ。まあ、そこまで無茶なことは頼まないよ。君の予定が空いているときに手を貸してくれればいいから」
「アーソウダネー、ソレクライナラカマワナイヨー」
仕方ない、手伝ってあげよう。おれはスカさんのことは友人と思っているのだ。友人が病気に掛かっているというのなら付き合ってやるのが友人と言う物だろ。
「申し訳ありません、公輝先生。ドクターがご迷惑かけて」
「いえいえ、別にいいですよ」
おれにも覚えのあることだし。経験者として、また、一人の医師として、スカさんを完治させるのがおれの仕事だ!
「フゥーハハハハ、フゥーハハハハッハ……ゲホッゲホッ……」
治せるかな……
技術をもった中二病患者……
厄介すぎるな。