それが日常   作:はなみつき

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一番くじのはやてとヴィータのポスターをばら売りでゲットできたのはとてもうれしいのですが、売れ残っていたということを考えると何とも複雑です。

##この話は修正されました##


空白期2
兄と兄と44話


「なあ、リインさん」

(なんだ公輝)

 

 時間旅行から早三日。フェイトさんは突然現れた母親と姉に戸惑いながらも楽しくやっているそうだ。

 

「なんでおれがはやてにタイムトラベルをしたことを話したら「またまた御冗談を」って言って、リインさんが言ったら「なん……やと……」っていう反応なんだ?」

(今までの行いじゃないか?)

 

 解せぬ。おれがいつも冗談を言っているみたいじゃないか。って思ったけど、おれがはやてと初めて会ったときに転生の事を話した時もこんな感じの反応だったな。

 

 

(ところで公輝、その麦わら帽子似合っているぞ)

「そいつはどーも」

 

 イメチェンでメガネを掛けていたのをおれのマネージャー的な人に見られて「何かトレードマークみたいなものがあった方がいいですよ!」って言われたから麦わら帽子をかぶることにした。ちなみにメガネは見えなくていいものが見えすぎて鬱陶しいから掛けるのをやめた。

 

「こいつのおかげで『麦わらのお医者さん』とか呼ばれるようになっちゃったよ。何? おれは海賊王を目指しながら獣医にでもなればいいのか? いや、この言い方だと麦わら帽子を直す人みたいじゃないか」

(マネージャーの言う通り知名度は上がったじゃないか)

 

 確かに帽子をかぶり始めてから知名度は上がったと思う。今までは管理局所属の凄腕の医者みたいな認識だったのが、麦わら帽子をかぶった医者という個人を特定するような知られ方をするようになった。

 

「まあ知名度が上がれば仕事が増える。仕事が増えれば給金も増える。それでいいということにしよう、うん」

(もう十分なほど稼いでいると思うがな)

 

 神の手と呼ばれるような凄腕の医者が他の誰にもできない手術を何時間、場合によっては10時間以上かけてやっと一人を助けることができるのに対し、おれは最大5分で死人以外の人を治すことができるので患者の回転がとても速い。いっぱいだった待合室が空になることなんてざらにある。そんな成果を出しまくっていたらおれの給料は目ン玉が飛び出るような金額になるのは当然のことである。

 

「じゃあ助けられる人が増えるからいいことにしよう」

(ふふっ、それはとてもいいことだな)

 

 そんな会話をしながらおれはミッドチルダの裏道を通っていく。次元世界の中心を名乗っている世界ではあるが、実はここの治安は少し前はかなり悪かった。だが、今の陸の実質的なトップであるレジアス・ゲイズが指揮を執るようになってから犯罪数は激減。巷では英雄視する声もかなりある。とはいえ、どんなに治安の良い街であっても行ってはいけない所と言うものは存在する。たとえば今おれたちが歩いているところとか。では、何故今こんな道を使っているのかというと、職場までの近道だからだ。信号もなくスラスラ行けるから愛用してるのである。時々襲われることもあるがリインさんに回避を任せておれの神の手(笑)で打ち破って来た。神の手って言うのはだな……

 

「ん? なんだ今の音は」

(公輝、近くで魔力反応があった)

 

 こんな街中で魔力反応というのは穏やかじゃないな。

 

「行くか」

(ああ)

 

 けが人がいたらおれの出番だしな。

 

 

 

 

 

 

 

 リインさんが魔力反応を感じた方へ走っていく。

 

「どけー!!」

 

 すると前から人相の悪いおっさんがこっちに走って来た。おれの襲われた経験上ああいう奴は大抵悪いやつだ。おれに何もしてこないならおれも何もしないが、こちらを攻撃してきたら容赦なく反撃する。

 案の定おっさんはおれにデバイスを向けてくる。……ばかなやつだ。

 

「リインさん!」

(任せておけ)

 

 おれは足の操作権限をリインさんに渡す。そうすることによって熟練の戦士であるリインさんが相手の攻撃を避けてくれる。そこらへんのゴロツキなら足運びによる回避だけでなんとかなるのである。おそらく殺傷設定の魔力弾を避けながらおれは準備を進める。

 

「食らえ!!」

「あばばばばばばばばばばば」

 

 おっさんの懐に入り込んだおれはおっさんをなで回す。この時の撫でまわし方は動物に対してやるようなものではなくて本気を出して手をこすりつけるのだ。ガガガガガガガガって感じだ。

 君たちはゲームをしたことはあるだろうか? ゲームの中で何らかのゲージをためるためにAボタンを押し続けろという指示が出た時どうする? もちろんAボタンを長押しするだけでいいときもあるが、時にはAボタンを連打した方が早くゲージが溜まることがあるのだ。おれの能力の一環で血行が促進されるというのがある。だが、おれがすごい速さで断続的に能力を行使すると血行が促進され過ぎて心拍数が上がりまくり、苦しくなってしまうのだ。全力疾走した後の疲労が無い版だと思ってくれるとわかりやすいだろう。これがおれの神の手(笑)である。

 

「ふっ、またつまらぬものを撫でてしまった」

(相変わらずえげつないな)

「ハッ……ハッ……」

 

 息も絶え絶えと言った所だろうか。こんなおっさんがハァハァしてても気持ち悪いだけだな。とりあえず常備しているこの縄(ヤッサンの店で買った物)で縛っておこう。

 

(! 公輝、向こうに人が倒れている)

「ん、分かった!」

 

 そこに倒れていたのは茶髪の青年。この制服は……ってどこの部隊がどんな制服着てるかなんて知らねーよ。まあ、おそらく管理局員だろう。さっきの男にやられたのであろうか、その体は酷い傷が多くあり、このままでは命に係わるだろう。

 

「そうはさせないよ」

 

 おれは青年に手を当てて治療を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、君のおかげで助かったよ」

「いえいえ、どういたしまして。自分はそういう仕事に就いているので人を助けるのは当たり前ですよ」

 

 傷だらけだった青年は完治して、ちょっとお話ししている。

 

「へー、妹さんがいらっしゃるんですか」

「ああ、大切な家族さ。妹のためにもまだ死ぬことはできないんだ。君のことは知っているよ、今噂になってるからね、麦わらのお医者さん」

「やはは、恥ずかしいですね」

(よっ、有名人)

 

 そ、そんな噂になるような程なのか。ちょっと効果あり過ぎじゃないですかねぇ。有名になりすぎるとそれはそれで恥ずかしいよ。もう仮面とかかぶっちゃおうかな? また中二病が再発したみたいでいやだけど。

 

「あ! まだ自己紹介してませんでしたね。自分は首都航空隊所属ティーダ・ランスター一等空尉です。今回は命を助けていただきありがとうございました」

「これはご丁寧にどうも。坂上公輝……あ、いえ、マサキ・サカウエ二尉相当医務官です。どうぞよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、仕事始まる前から仕事しちゃったよ」

 

 ティーダさんにビクンビクンしてるおっさんを引き渡しておれは職場に到着した。あのときのティーダさんのひきつった顔は中々傑作だった。

 

「先生! 急患の方がいらっしゃいました!」

「わかりました」

 

 事務員の人が走ってやってくる。じゃあ今日の仕事を始めるとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

「こちらです」

 

 そこにいたのは茶髪の少女と茶髪の青年。患者は少女の方で、事件に巻き込まれて左目に魔力弾が当たってしまったらしい。青年は少女の兄だろう。少女の名前はラグナ・グランセニック。青年の名前はヴァイス・グランセニック。

 

「先生! ラグナを……ラグナを治してください!」

「大丈夫ですから、そこで見ていてください」

 

 おれはラグナちゃんの体に手を当てる。

 

「せ、先生? 大丈夫なんですか? 先生!」

「落ち着いてください、先生に治せない患者はいないんです!」

 

 看護師の人がそんなことを言っているが、そんな胸を張られて言われると恥ずかしいんですけど……

 

 3分ほど経った頃だろうか。ラグナちゃんの左目は見たところ元通りになった。

 

「ラグナ……大丈夫……か?」

「おにいちゃん、大丈夫! ちゃんと見えるよ!」

「ラグナ!」

 

 グランセニック兄妹が抱き合う。こういう場面を見ることができると、おれもうれしい気持ちが心の中に満ちるのがわかる。医者をやっていてよかったと思う瞬間である。

 

「先生! ありがとう!」

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

「どういたしまして、お大事に」

 

 

 これはおれの仕事のある日の出来事。

 




もう空白期のネタもないのでここからStrikerSはっじまるよー

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