一体何があったん?
あざーすっ!
##この話は修正されました##
「次元転移、次元座標876C-4419-3312-D699-3583-A1460-779-F3125。開け誘いの扉時の庭園。テスタロッサの主のもとへ……」
これから寝ようって時に突然騒ぎだしたフェイトさんをなだめた翌日、フェイトさんから詳しい話を聞いた。なのはさんとフェイトさんの馴れ初め、フェイトさんの母親であるプレシア・テスタロッサのこと、フェイトさんのオリジナルであるアリシア・テスタロッサのこと、そして、フェイトさん自身のこと。フェイトさんがアリシアさんのクローンっていうのは驚いたけど、おれからすればまだまだ地味すぎるぜ。もっと腕にシルバー巻くとかさぁ、って感じだ。こういう言い方はあれだが、フェイトさんがクローンであることは何とも思わない。家にはプログラム体がいることだしな。
おれが、「つまり、ちょっと違うけどフェイトさんも生き返った人ってことだろ? 生き返り仲間だな!」と、言ったら目を丸くしてとても面白かった。
「……それでは、行きます」
「よし来い」
(うむ)
フェイトさんの母親、プレシアさんはなのはさんとの出会いの事件であるPT事件で生死不明になってしまったそうだ。しかし、その事件の真っただ中である今(過去)なら会うことができるということだ。母親とすっきりしない別れ方をしたプレシアさんともう一度話がしたいそうだ。
そう言えば、話の途中に出てきたジュエルシードというものに見覚えがあるような気がしたが、それはどうでもいいことだろう。
☆
「もう、いいよ」
「ふー。やっぱ次元間の移動は少し疲れるな」
海鳴の人目のつかないところからフェイトさんの家であった時の庭園に転移してきた。ちなみに、次元間の転移というのは船に揺られるような感覚なので人によっては転移後ゲロッパしてしまうそうだ。
「しっかし、暗い所だなここは」
「ごめんね~、前はもっと明るくてきれいな場所だったんだ」
ここ、時の庭園を一言で表すなら豪邸。大きな庭、きれいな噴水、色々な花が咲いている花畑、一体何人を収容することができるのかわからない邸宅。ただし、庭は荒れ、噴水は枯れ、花畑に花はなく、邸宅は手入れがされなくなって久しいようだ。
「ちゃんと整備したらすっげー綺麗だろうな、ここ」
「うんうん! 君にも見せてあげたいよ!」
そうだな、それは見てみたいな。
「公輝? 一人で何言ってるの?」
(公輝、医者が頭おかしくなったら世話ないな)
は? 一人でって、おれは隣にいるフェイトさんと話してるんじゃないか。ただしそのフェイトさんは全裸で、服を着たフェイトさんは反対側にいる。そして、リインさん! あなたおれに対してちょっと酷くないですかね。別にいいけど。
「誰って、フェイトさんだろ?」
「私は何も言ってないよ」
「私だ私だ私だ!!」
フェイトさん(全裸)がどこぞの芸人みたいなことをしている。フェイトさんのイメージがブレッブレである。
「じゃあ、あんた誰だ」
「私? 私の名前はアリシア、アリシア・テスタロッサだよ!」
アリシア・テスタロッサ、聞いたことがある名前だな。いや、ついさっき聞いた名前だ。フェイトさんのオリジナルの女の子でプレシアさんが蘇らせようとしていた子だ。と、いうことは……
「……」
「公輝、さっきからどうしたの?」
(公輝、いい医者を紹介しよう……と、思ったが君ほどの医者はいないな)
下げながら上げるリインさんに惚れてまうわー。まあ、そんなことはどうでもいい。アリシアちゃんはすでに死亡している人。つまり、故人。ならば、ここにいるのは……
「お」
「お?」
「おばけええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
☆
「もーひっどいなー。人をお化け呼ばわりなんて」
「ごめんごめん。流石にびっくりしたんでな」
生き返った人ではなく死んだ人を見ることになることは想定していなかったよ。
「ほ、本当に……アリシアだ……」
(ほう、あの骨董屋は侮れんな)
今おれたちが持っているものはこっちに来る直前にヤッサンの店で買ったお化けその他諸々が見えるようになる精霊水晶のメガネだ。おれは左のレンズを覗き、フェイトさんが右のレンズを覗くようにしてみている。リインさんはおれの視界を共有することによって見ている。
「じゃあ改めまして、私の名前はアリシア・テスタロッサ。どうしてこんな姿になったのかは分かりません!」
「どうもー、坂上公輝と」
(リインフォース・アインスでーす)
リインさん、そこはもっと楽しそうに言うところですよ。無表情クール美女なのは知っていますが、ここはにっこり笑えばいいと思うよ。
「わ、私はフェイト・テスタロッサです」
「え? フェイト? いつの間にそんな大きくなったの? お姉ちゃんは経験したことないけど成長期ってそういうものなの?」
そんな成長期は嫌だ。目が覚めたら身長がガッとあがるとか怖いわ。
「このフェイト、未来のフェイト。未来のフェイト、過去へタイムスリップ。OK?」
おれがとってもわかりやすく説明してあげる。
「OK! ずどーん!」
とっても可愛くてよろしいと思いますよ。
(公輝、顔がニヤついていてキモイぞ)
おっと。
「それにしてもお兄さん、お兄さんにくっ付いてるととっても気分が良いよ」
そういいながらアリシアちゃんがおれの背中に乗ってくる。残念ながら触れている感覚は無いが、裸の幼女が……おれの背中にッ!
(公輝)
おっと。