それが日常   作:はなみつき

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やったー受かったよー。

おみくじ引いたら受かったよー!

##この話は修正されました##


ラジオ体操と鬼ごっこと22話

 

 何もしなかったり、何もしなかったりしていたらいつの間にか11月は去り12月がやって来た。現在時刻は朝6時。普段の俺ならこの時間は目覚ましをかけていて一度は起きるが、何事もなかったかのように2度寝をしていたことだろう。ではなぜおれはこんな朝早くに起きて外に出ているのかというと、

 

「あー寒いなーめっちゃ寒いわ―。それに眠いし、めっちゃねみー」

「あーもう! うっせーな! 黙ってついて来いよ! まったく、ハヤテに言われなけりゃこいつとラジオ体操なんて行かねーのに……」

 

 おれとヴィータは近くのじいちゃんばあちゃんが集まってやっているラジオ体操に参加しようと最寄りの公園に向かっている。

 

「大体なんで冬にラジオ体操なんだよ、普通夏だろ?」

「そんなことアタシに言われてもな。じいちゃん達すげー元気だからな」

「ああ、元気なのはいいことだな」

 

 ヴィータは仲良くしてもらっているじいちゃん達に朝のラジオ体操に誘われて今日から参加することになっていた。そこに何故おれまで参加することになったかというと

 

「ん? ヴィータ明日からラジオ体操行くんか? なら、ハムテル君も連れてってや! そしたらハムテルくんも少しは朝が得意になるやろ」

 

 という、家長の指令なのである。非常に面倒であるが八神家において家長であるはやての言葉絶対である。

 

「まあ学校の体育以外に運動するのも偶にはいいかもな」

「そうそう、マサキはもっと運動して筋肉つけるべきだな」

「筋肉ねー。そうだな、腹をうっすらと6分割するくらいには体締めたいな」

 

 割れた腹筋っていうのは男にとって憧れだよね。前世では太ってこそいなかったが目に見えて筋肉あるって程でもなかったから今回はちょっとは頑張ってみたいね。

 

「ならザフィーラに弟子入りしろよ」

「ザ、ザフィーラさんに弟子入り?」

 

 ザフィーラさんに教えを請うたらそりゃ腹くらい割れるだろうな。加えて腕、足ともにムキムキに太くなり高校に入学すればラグビー部の勧誘に引っ張りだこになるだろう。

 

「……ちょっとそこまではいらないかな」

「ならシグナムに頼んでみるか?」

 

 想像してみた。ボコボコにされる未来しか見えない。

 

「ボコボコは勘弁してほしいです」

「なんだよ、注文の多い奴だな。どこのレストランだよ」

「食われるのはおれなのにな」

 

 どうやらおれの肉体プチ改造計画は構想の時点で上手くいかないようだ。ふん! おれのことは軟弱者でもなんとでも言ってやがれ!

 

「シャマルはこういうのはちょっと違うしな。ならアタシがマサキの訓練見てやろうか?」

「え? ヴィータが? うーん」

「な、なんだよ! なんか文句あんのかよ!」

 

 文句? 文句はない。ヴィータが監督となるとそれは厳しいものになるだろう。しかし、シグナムさんのように全て体に教え込むようなモノでもなさそうだし、ザフィーラさんほど極めて行くということはないだろう。(まあこれはザフィーラさんがおれに合わせてやってくれればいいだけだが)

 ヴィータを見る。

 

「何見てんだよ」

 

 睨まれた。

 

「いや、ヴィータにおれの運動見てもらうのもいいかなって」

「え、それ本気で言ってんのか?」

「ああ」

 

 ヴィータのぱーふぇくと体育教室。結構いいかもしれない。

 

「小学校の体育はお遊びみたいなもんだから少し物足りなくてな。だから頼もうかな?」

「え? お、おう! 任せろよ! マサキの希望通り立派な騎士並みの体力にしてやるよ!」

「え!? そこまでは望んでない! それならザフィーラさんに頼んだ方がよさそうじゃないか!」

「何! アタシの指導じゃ気に食わないってか!」

 

 そうやってわいわいしていたら目的地の公園に着いた。これからが本番だというのになんだか疲れてしまった。そして、ヴィータ先生のぱーふぇくと体育教室の生徒になることが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふいー体操した後の朝飯は美味いだろうなー」

「おーそうだな。ただでさえギガウマなハヤテの飯がもっと美味くなるんだ!」

 

 朝飯が美味いのはいいことだ。

 

「レイジングハート! 今日は昨日より上手くいったの!」

「そうですね、魔力操作の訓練は順調ですよ」

「やったー!」

 

 んんん? なんか聞いたことある声が聞こえたぞ。

 

「うん! 次も頑張るの! って……ん?」

「おい、マサキどうしたんだ? ぼーっとして……ん?」

「まあ、割と近くに住んでるしな……」

 

 曲がり角で会いたくない人とばったり、なんて無さそうであって、ありそうで無い。稀によくある、という言葉はすごく的確だとおれは思うんだ。

 

「あー!!!あなたは!!!」

「げー!!!おまえは!!!」

 

 前回の遭遇後しばらくは気をつけていたんだが。気が弛んでしまっていたのだろうか。

 

 ま、仕方ないね。

 

 

「お、おまえは!」

「あなた闇の書の!」

 

 同時に声を上げたのはヴィータとなのはさん。うん、この状況は本当にどうすればいいんだろう。

 

「てめぇ! ヤんのか、コラ!」

「ちょ、ちょっと待ってよ! なんであんなことしてるのか話してよ! 話してくれたら何か力になれるかもしれないよ!」

 

 ヴィータ……おまえはどこのヤーさんだよ。さて、じゃあ二人の意見を検討してみよう。

 

 1、ヤる

 

 これはいくら何でもないだろう。状況をさらに悪くする未来しか見えない。

 

 2、お話

 

 おれ等の目的をすべて話してなのはさん側である管理局とやらに協力を申し込むというのは悪い手段ではないだろう。しかし、問題は俺ら、というよりおれ以外のみんなの身の上がどうも管理局にとって都合のいいものではないようだ。この間会ったクロノくんの様子から察するに、闇の書の主守護騎士であるヴォルケンズはもちろん主のはやてだって何をされるかわかったものではない。少なくともはやてと闇の書とヴォルケンズがバラバラにされるのは必須であろう。と、なるならば……

 

「仕方ない! 封s」

「逃げるぞヴィータ!」

「え、ちょ、ちょっと待てよ!」

「え? ……はっ! 待ってなの!」

 

 昔の人は偉大で、本当にいい言葉をたくさん残していると感心することが多々ある。

 

 三十六計逃げるに如かず

 

 今の状況ではすべてが悪手となり得る。というか自分の人並みより少し勉強ができるくらいの頭では物事が悪くなる方へ悪くなる方へとしか想像ができない。警察組織からの逃亡。字面だけ見れば小心者のおれなら夜しか眠れないくらい大それた出来事だが、すでに1度やってしまっているのでもう今更である。ならば、おれはごちゃごちゃ考えるのは頭のいい人(シャマルさんとか)に任せて現状維持の手を打とう。

 

「走れヴィータ! 逃げ切るまで!」

「お、おい! そんなんでいいのか?」

「ま、待って~!」

 

 おれとヴィータが並走し、少し後ろからなのはさんが追いかけてくる。だが、おれは無策で逃亡という手段を取ったわけではない。なのはさんのお母さん、つまり、翠屋の店主の奥さんである桃子さんからなのはさんの話はいくらか聞いたことがあるのだ。その時の情報の一つ、なのはさんは運動音痴で体力は無い!

 

「うおおおお! 走れヴィータ! 走れヴィータ!」

「おまえ! 「あ、これ走れメロスみたいで語呂がいいな」って思っただろ! 絶対そうだろ!」

「はあ……ま、待って……なの……はあ……」

 

 何故ばれたし。まあそんなことはどうでもいい。どうやらおれの思っていた通りなのはさんは体力が無いようでどんどん距離が離されていく。そういえば何故彼女は魔法を使わないのだろう? もしかして、おれ等が走って逃げたからつい走って追いかけてしまったとか?

 

 

 

 

 

 

「はあ……はあ……ふう、この辺まで来ればいいだろ」

「そうだな。てか、お前体力ないな」

「体力は人並より少し下なんだ」

 

 能力を使えば体力も回復できるのだろうが、基本的に体力がないという事が自分にとっての基本である。必死で走っていた時は体力の回復なんて考える暇も無かったから能力を使い損ねてしまった。

 今俺らが歩いているのは商店街。木を隠すには森の中、人を隠すには人の中ってな。

 

「でもよ、本当にあそこで戦っとかなくてよかったのか?」

「そんな派手なことしたら向こうの他の奴らが出てきて面倒なことになるに決まってる。まあ、逃げた時に応援を呼ばずに一人で追いかけてくれたのも助かったな。何にしろまだ大人しくするべきだな」

「そんなもんか」

 

 そんなもんだ。

 

「さて、じゃあそろそろ帰るか。はやても待ってるしな」

「お、そうだな! 早く帰ってはやてのご飯を食わなきゃな!」

「ふっふっふぅ……見つけた……の!」

 

 !?

 

「逃げた方向から私のかくれんぼハンターとしての勘がここにいるってことは教えてくれたの!」

 

 なん……だと……まさかなのはさんは追うのではなく探したというのか。ハッ、そうじゃないか。人より体力が少なかったおれ少年はいつも鬼ごっこではタッチに制限をつけてもらうという痛すぎる善意をもらっていた。そんなおれが活躍できた外遊びは何だった! そう、かくれんぼ! かくれんぼなら友達と互角以上に戦えた。くっ……これは想像していなかった。想像をできたはずなのに。おれが浅はかだった!

 

「に、逃げるぞヴィータ!」

「お、おう!」

「え! まだ逃げるの!?」

 

 

 

☆~路地裏~

 

「見つけたの!」

「ぎゃあああああああ!!」

「ぎゃあああああああ!!」

 

☆~デパート家具売り場~

 

「いたの!」

「ぎゃああああああああ!!」

「ぎゃああああああああ!!」

 

☆~民家の屋根の上~

 

「よし、ここなら……」

「魔法は反則なの!」

「ひええええええ!!」

「アイエエエエエ!!」

 

 

 

 

 

「はあ……逃げられちゃった」

 

 今まで追いかけていたのは今アースラが追いかけている事件にかかわっているとされる人物たち。

 

「あの子、ヴィータって呼ばれてたの。名前はわかってるけどやっぱり自己紹介はしなきゃいけないよね!」

 

 うん! やっぱりお話したい!

 

「そういえば一緒にいた男の子どこかで……あー!」

 

 大きい声出しちゃったけど周りに人がいなくてよかったの。

 

「あの子! よく翠屋に来てくれる子! たしか公輝くん! ということはヴィータちゃんも公輝くんと一緒にいるのかな? でもどこに住んでるのかはわからないや……」

 

 うーん、大発見だと思ったんだけどな~……あれ? ということは……

 

「公輝くんが闇の書の主さん?」

「マスター!」

「ふえ! 何? レイジングハート?」

「ボーっとしてましたよ。それで、何故最初から魔法を使って追いかけなかったのです? そうしたら捕まえることもできたでしょう」

「え? ……あっ」

 

 

 

 

 

 

「た、ただいまぁ……はあ……はあ……」

「ただいま、はやて……」

 

 そんなこんなで約1時間。俺らは結局走り続けてなのはさんを撒いたと思われるタイミングで家に向かい、家に走り込んで帰宅した。

 

「あ、やっと帰ってきた。二人とも遅いで? どこで油売りよったん?」

「あ、ああ……ふう、色々あってな……なあヴィータ」

「うん、そうなんだ。本当に色々あって……」

 

 さて困った。さすがにこんなに長い間ラジオ体操やっていたなんてことは有り得ない。いったいラジオ体操第何まであるんだ。まあ、ヴィータがじいちゃんたちと話し込んでたことにでもすればいいか。

 

「ふ~んそうなんか。色々ってなんや……あっ(察し)」

「ん?」

「え?」

 

 ん? なんだ今の「あっ」って。おい、なんだ、その「わかってる。なんも言わんでもわかってる」っていう生暖かい目は!

 

「うん、まあ、お腹すいたやろ。みんな朝ご飯待ってるで」

「お、おう」

「わ、わかったよ、はやて」

 

 そんなこんなでおれとヴィータの長い朝は終わり、いつもと同じ一日が始まろうとする。

 

「そうやったな、ハムテルくんとヴィータは付きおうてるんやったな……(ボソッ」

 

 今はやてなんか言ったか?まあ聞こえるように言ってこないならどうでもいいことなんだろう。そんなことよりおれは今ある言葉が頭に浮かんでいる。昔(?)の人は本当に良いこと(?)を言うものだ。

 

 魔王からは逃げられない

 

 あれ? ということは逆に考えるとなのはさんは……

 

 

 

 




デバイスは自動翻訳ということで

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