##この話は修正されました##
今日は8月31日。一般的な学生なら夏休み最終日ということで思い思いに過ごすなり、宿題のラストスパートをかけるなりしているだろう。まあ、おれの前世の学校は夏休みが8月30日で終わりという学生泣かせの学校だったが。
「あーあついー」
「はやてーアイス食べていい?」
「アイスは1日1本までやで」
「ちぇー」
「zzz」
いつも通りに過ごしている。ていうか、いつも以上にだらけている。
「おいおい、みんなしっかりしろよ情けないぞ?」
「上半身裸の男に言われとうないわ」
「早くそのみっともない体隠せよ」
うるさいよ。暑い時は服脱ぐだろ。ちなみに何故冷房も付けないでこんな状態なのかというと壊れたからだ。この時期は注文が多いらしく家に来るのは1週間後だそうだ。あっつー。
今家にいるのはおれ、はやて、ヴィータ、ザフィーラさんだけだ。シャマルさんは山へ芝刈りに……ではなくお買い物のついでに涼みに行き、シグナムさんは川へ洗濯に……ではなくまた剣道場の方に行ったようだ。
「みっともなくないわ。見よこの健康的な体を」
「逆三角形の体つきになったらよう見たるわ」
うーんそれはおれにとって健康じゃないからな……
「てかなんでザフィーラさんはこのクソ暑いのにフォルムワンコなんだ?」
「それ本人に言うてみ? 楽しいことになるから」
遠慮しておく。ザフィーラさん的には狼らしいので犬扱いすると訂正してくるのだ。
「ザフィーラ曰く、床が冷たくて気持ちいいらしいぞ」
なるほどな。無駄に老けた某神父の気分を味わえるわけだ。それにザフィーラさんがフォルムヒトで床に寝そべってる姿を想像するとこれ……写真を取らざるを得ない。
「おれも床で寝よー」
「あ、私も私も」
「あ、あたしも寝る!」
今日の昼はみんなで床で昼寝。川の字+1で寝た。ちなみに1のところがおれ。はやて曰く、「半裸の男の傍で寝とうない」ということらしい。うん、最もだね。悔しいからそのままで寝たけど。ちょっと疎外感。はあ,床冷たい……
☆
夕食も食べ終わり、まだまだ暑いが昼より幾分かマシになってきた。みんなは夏休み最後の日の夜というのはどういう過ごし方をした? おれは夏休みの宿題を確認して、新しい学期を迎えるための準備だ。確認したらやったはずの宿題が消えていたのは今となってはいい思い出だ。結局どこに行ったのだろう。
「よーし! 花火やるで! 花火!」
「はやて花火ってなんだ?」
「花火っていうのはやな、いろんな色で綺麗な火花を見て楽しむもんや」
「へー火花見て楽しむって変わってんな」
八神家が全員そろいみんなで庭に出ている。そしてみんな浴衣装備だ。おれ、ヴィータ、はやて、ザフィーラさんの浴衣はおれ印。シャマルさん、シグナムさんの浴衣ははやて印だ。結構前から作成に取り掛かっていたのだが、おれの無駄スキルによってだいぶ早く仕上がった。
「よし! ハムテルくん蝋燭立てて」
「あらほらさっさーと」
缶の蓋の裏にロウを一滴垂らしその上に蝋燭を立てることで固定させる。
「ほな、みんな見とってや」
そう言ってはやては適当に取った花火を蝋燭の火に近づける。
「わー」
「ほー」
「これはなかなか」
「おー!」
はやての持つ花火からオレンジの色の火花が勢いよく飛び出す。よし、おれも後に続くとしよう。
「これから毎日家を焼こうぜ?」
「小僧、派手にやるじゃねぇか!」
マッチ1本で家が焼けるんだからあるいは……そして、はやては流石である。ノータイムとは恐れ入る。
「ほらほらみんなもドゥンドゥンやっちゃってー」
お許し下さい!
☆
「これで最後やな」
そう言ってはやてはみんなに線香花火を1本ずつ配る。
「これはあんまり動かしたらはよう終わってまうからみんな慎重にやるんやで?」
ヴォルケンズ達に軽く説明をした後みんなは線香花火に火をつける。線香花火のか細くも存在感を示す火花が散っている。
「……こういう火もいいものですね」
不意にシグナムさんは呟いた。それを聞いたヴォルケンズ達は何かを考えるように沈黙している。なんとなく暗い。よし!
「そんな暗くなんなって! 辛いこと思い出してもなんにもいいことなんかないぜ?今を楽しめよ! 明日はなにして遊ぶ?」
ふぅ、おれ今いいこと言ったわ。
「ハムテルくん明日から学校やで」
「そうだったーーーーー!!!!」
みんながクスクス笑っている気がした。まあ、いいか。
みんなの線香花火の火球が地面に落ちる。線香花火が知らせるのは夏の終わり。そしておれのニート生活の終わりだった。
☆
みんなで花火をやった日から一週間ほど経っただろうか。つまり、暦は9月に突入している。
9月と聞くと涼しそうだが、ついこの間までは8月だったわけでまだまだ暑い。
「で、学校はどんな感じや? ターンエンドや」
「強くてニューゲームってこんな感じかなって感じ。ターンエンド」
また、9月に入ったということは先延ばしにしてきたおれの小学校二度目の入学である。
「あはは、まあそうやろな。ターンエンドや」
これでも元二十歳だ。それに二浪して志望校に入ったおれに小学3年生が習うことなど簡単すぎる。気付いた? 二浪で二十歳ってことは志望校に合格して幸せ絶頂の時にいつの間にか死んでいたのだよ。ハハハ……ハァ……
「さすがに九九とか、円の半径と直径とか、簡単な分数の計算なんて余裕ですわ。ターンエンド」
「せやかて、工藤」
「誰が工藤や」
「いやついな、せやかてって言ったら反射でそう言ってまうねん」
難儀なくせだこと。
「せやかて、授業はちゃんと聞かなあかんで? ターンエンド」
「実は寝ているところ先生に指されてノータイムで答えた時の先生の顔を見るのが最近の趣味です。ターンエンド」
あれは楽しい。一回目は驚いたような顔。五回目くらいから悔しそうな顔するんだよなー。
「まったく。ええで、もっとやれ! ターンエンド」
はやてからの許可も下りたし。ふふふ……
「ま、そこそこがんばりますよ。ターンエンド」
って、あれ! いつの間にか場がひどいことになってる! おれの場にはリバースカードはなく、モンスターもいない。対してはやての場には青眼の究極竜(レプリカ)。そしておれのLPは残り200。どうしてこうなった。
「はっ! 決闘しながら考え事なんてしとるからやで。ハムテル君も一応魔導師なんやからマルチタスクくらい使いーな」
なんだよマルチタスクって! おれそんなんしらねーよ!
「よーし! これで止めや! 青眼の究極竜でダイレクトアタック!」
クッ、使いたくはなかったが最終手段を使うしかないか。
「ここでおれの効果発動! 一度だけおれのLPは決闘開始時と同じになる。」
テテテテテテン↑
「マジもんのハムテル君の効果やな。でもな、甘いでハムテル!」
ダニィ!
テテテテテテン↓
「家主権限により私以外のおれルールは無効になる! よって青眼の究極竜の攻撃は有効や! 行け!青眼の究極竜! アルティメットバースト!」
「ギャー」
テテテテテテテュン
「負けた」
おれの方が歴は長いはずなのに……
「じゃ、私の勝ちってことやな」
「ふむ、やはり主の勝ちか」
「あったりまえよー! はやてが負ける訳ねーって!」
「あらあら」
「うむ」
ちなみにこの決闘は賭け決闘だ。賭けるのはおれとはやてではない。ヴォルケンズがどちらが勝つかというのを賭けているのだ。だがヴォルケンズは全員はやてに賭けてしまい賭けが成立しなくなってしまったので、はやてが負けたらヴォルケンズがおれになにか、おれが負けたら景品はおれが用意する方向でまとまっていた。なじぇ?
「じゃ! よろしく頼むな!」
今日一日は八神家のパシリとなりそうだ。あれ? いつも通りか。
みんなわしの小説つまらんじゃろ?それはみんながわしの小説に日常を感じておるからなんじゃよ(言い訳)