6月も終わり、7月に突入した。気温が高くなり始め嫌になってくる季節だ。あー暑い。
「って、あー!! そういえばすっかり忘れてたよ!!」
おれは叫ぶ。色々あって結局確認することができなかったこと。はやてのなんでもいいから家族だ発言、ヴィータの尾行大作戦、たのしい4人プレイ、おいしいおやつ、etc……色々あって結局日常を楽しんでいたからすっかり忘れていたおれの非日常要素。
「どうした、急に叫んで。とうとうおかしくなったか?」
え? シグナムさんひどくね? おれそんな兆候あった? まあそれはそれとして
「有耶無耶になってたけどおれ魔法使えるんだろ? だったら魔法の使い方教えろください」
「おめー日本語おかしいぞ」
うるさいよヴィータ。魔法。実に面白そうじゃないか。おれだって魔法を使うことを夢見ていたことがある。
「構わんが、貴様の魔力量だと基本的なことしかできんぞ?」
「いいよ、それでも」
「じゃあ、私が優しく教えてあげる」
お、おうシャマルさん。ありがとうございます。
「おもしろそうやなー私も混ぜてーな」
はやても参戦。
よーしやるぞー
……あ、ちなみにじゃべってないけどザフィーラさんもいるよ?
☆
「じゃあまずは念話からやってみるか」
「念話って?」
なんとなーく分かるが一応聞いてみる。
「まあ言ってみれば電話だな。そういう通信機を用いずに離れた相手と会話をする」
お? なんかいきなりすごい使えそうな魔法だな。それでそれで?
「とりあえずやってみるか」
(どうだ? 私の声聞こえるか?)
「おお? なんだこりゃ? すごいな」
「おー、私にも聞こえるで」
これは……いいな
「受信は少しでも魔力があればなんてことなく使えるわ。で、送信なんだけど、自分の中の魔力という電波を話したい相手に飛ばすイメージよ」
解説がシグナムさんからシャマルさんへと移る。しかし、魔力か……そんなもの今まで感じたことないしな
(こうか?)
「そうそうはやてちゃん! そんな感じよ!」
なに!? はやてはできたのか。う、うぬー、魔力魔力……これか? これか? こっちの方がいいか?
(できたかな?)
「あ、公輝くんもできたのね!」
お、おうやっぱりこっちだったか。なにはともあれ念話使えるようになったぞー!
「これで携帯の通話料が浮くな!」
「ハムテルくん携帯持ってないけどね」
あ、そうだった
「じゃあ、次は魔力弾の生成でもやってみるか」
今度はシャマルさんからヴィータへ。
「ほうほう、で、それは一体どんなの?」
「言っちゃえば魔力の塊だな。それを相手にぶつけて魔導師は戦うんだ。あたしたちはベルカの騎士だからあんまり使わねーけど、デバイスのないはやてとマサキだったらこっちのほうがいいだろ」
ベルカの騎士。知らない単語が出てきたけど、つまりヴォルケンズは基本剣とかで戦うってことか?
「うーんでも人を傷つけるのはちょっとなー」
はやてが懸念を示している。
「ああ、そこは大丈夫。魔力弾は当たった時に衝撃こそあるけど非殺傷設定なら魔力的ダメージだけで体に怪我はしないんだ」
へー便利だなそれ。自衛隊とか警察とかに重宝されそう。
「それに何かあった時のためにこういう事を覚えとくと役に立つんだ」
確かにヴィータの言うとおりだな。誰かに襲われることがあるかもしれないしな。何かあった時のために胸ポケットに懐中時計を忍ばせるのと同じような物だ。
おれはうんうんと頷く。
「じゃあやってみるか。とりあえず、魔力を少し手のひらに集める感じで」
よし! 行くぞう! さっきのこっちの感じで魔力を感じて手のひらにっと……
「わー、なんやこれすごい!」
はやてしゅごい
「お? おおう! できたぞ!」
手のひらにはテニスボール大の光球が浮かんでいる。色は紺色っぽい。おれの一番好きな色だな。
「そうそう、それを手から切り離して相手にぶつけるんだけど、ここでやったら大変なことになるからそのまま空気中に散らしていく感じで」
おれとはやての手から光球が消える。
「でもマサキはこの魔力弾10発くらいで魔力切れ起こすんじゃないか?」
え、おれの魔力どんだけ少ないの。
「だから戦うのは無理ってことか。まあだれかと戦う予定なんてないんですけどね」
このあとザフィーラの身体強化教室も開かれた。身体強化してもはやての足は動くことはなかった。ちょっと期待していたが残念だ。
こうしておれたち二人は魔力の扱いを少しだけ覚えた。お試し程度魔法だったが、今までありえないと思っていたことができるというのは不思議な感じだ。
はやてはこの頃魔法使えなかった(使ってなかっただけ?)気がしますが、これも仕様です。