少年少女の戦極時代Ⅱ   作:あんだるしあ(活動終了)

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トッキュウジャー合体SP編
第22話 トッキュウジャーとの出会い


 

 紘汰が咲と街を歩いていた時、突如として悲鳴を上げて逃げてくる集団に出くわした。

 沢芽市では、いつものこと――とまではいかないが、ありふれた光景になりつつある。インベスの出現。

 

 紘汰は咲と、人波の反対方向へと走り、石造りのすり鉢型ステージに着いた。そこは舞が今日、ストリートダンスを披露する場所だ。

 

「舞!」

「紘汰っ、なんか変なのが!」

「任せとけ! ――咲ちゃん、舞を頼む」

 

 返事は聞かず、紘汰は戦極ドライバーとオレンジの錠前を出した。

 咲なら返事がなくとも舞を守ってくれる。紘汰が零すものがないよう掬うのが自分の戦いだと、咲は言ってくれたのだから。

 

「変身!」

《 オレンジアームズ  花道・オン・ステージ 》

 

 錠前を開錠し、セットしたドライバーに嵌め込んでカッティングブレードを下ろす。いつもなら後は装着を待つだけ――だったのだが。

 

 

《 変身いたしまーす  白線の内側に下がってお待ちくださーい 》

「「「「トッキュウチェンジ!!」」」」」

 

 

「――、あ?」

「え?」

 

 奇しくも互いが互いを認識した瞬間、彼らの「変身」は完了していた。

 

『『ええええええ!?!?』』

 

 

 

 

『オレンジが、頭に?』

『列車がグルグルって』

『『お前ら何なんだ!?』』

 

 鎧武と赤い戦士が互いを指差し合った。これほど理不尽な光景もない、と室井咲は頭痛と共に思った。

 

「ねえ咲ちゃん…これ、どゆこと?」

「あたしが聞きたいよ…」

 

 赤、青、黄、緑、ピンクの、電車のモチーフを入れたバトルスーツをに身を包む戦士たち。アーマードライダーにこんなタイプはいないから、ユグドラシルの手先でないのは確かなのだが。

 

『お前ら何なんだ!』

『『いやお前が一番何なんだ!!』』

 

 鎧武と赤い戦士は示し合わせていないのに、揃ってモグラ怪人を指差した。

 

「あ、わかった。あの赤い人、紘汰くんとおなじタイプだ」

「脊髄反射で物を考えるタイプってことね」

 

 うんうん、と咲は舞と肯き合った。

 

『我らは地下帝国バダン! 我々の崇高な計画の邪魔をするならば』

 

 咲は戦極ドライバーとドラゴンフルーツの錠前を出した。事の運びによっては自分も舞を守って戦わねばならない。

 

『もっと仲間を呼んじゃおう!』

 

 よしこいつ小物だ。

 

 咲は淡々と戦極ドライバーを腹に装着し、ドラゴンフルーツの錠前を開錠してバックルにセットし、カッティングブレードと共に拳で叩き落とした。

 

「変身」

《 ドラゴンフルーツアームズ  Bomb Voyage 》

 

 炎の形をした紅い果実が咲の頭上から落ち、咲を月花へ変身させる。

 

 鎧武が戦闘員を退けつつ、ライオンインベスと切り結びながらクラックに入って行った。だが月花は追わない。今は舞を守るのが優先だ。

 

 月花はなるべく舞から離れないように戦闘員を千切っては投げ、階段下に舞を誘導した。

 

 

『舞さんっ、咲ちゃんっ』

「ミッチっ」

『光実くん』

 

 すでに龍玄へと変身した光実が来て、状況を見て首を傾げた。

 

『? インベスじゃない……それに、この色とりどりの人たちは』

「あたしたちにも何が何だか……」

『確か、トッキュウなになにとか言ってて。色とかメチャ変わるし、どれが誰かも分からないし』

『それはこっちの台詞だ!』

 

 いつのまにやら結構近くに例のモグラ怪人がいたのだが。

 

『『ちょっと黙ってろ!!』』

 

 龍玄と月花はモグラ怪人に、同時にブドウ龍砲とDFボムを食らわせた。こういう時、何故か咲と光実は息が合う。

 

 やがて戦闘員のほうもトッキュウジャーが片付けたようで、モグラ怪人も(モグラらしく土に潜って)逃げ出し、すり鉢ステージは彼らだけになっていた。




 皆様待望?のトッキュウジャーSP編です。
 SPということで、初心に帰って紘汰と咲の変身シーンを気持ちていねいに書いてみました。伝わりましたかね?
 ラストシーン、湊さんに「黙ってろ」と言ったミッチなら言ってくれると信じてる。

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