少年少女の戦極時代Ⅱ   作:あんだるしあ(活動終了)

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第6分節 状況開始

 

 

 それから紘汰とザックが“ガイム”グループの業態を教えてくれた。

 

 主な仕事はインベス退治とクラックの封印。民間人から依頼を受けてヘルヘイムの植物駆除。時にはヘルヘイムの果実の危険性を訴える講演などにも引っ張られていくという。

 

「俺が会社って形で活動し始めたせいかな。似たような仕事する会社が次々出来て。純粋に街の人のためじゃない組織もたくさんある」

「そ、それは、紘汰くんのせいじゃないと思うっ。ウチのお父さん、『人は儲かる所に群がる』って言ってたし」

「会ったことねえけど地味に怖いな、咲の親……」

「ふつーのサラリーマン……だよ?」

「そうだな。俺は一度会ったけど、気のいいお父さんだったよ」

 

 隣に座る紘汰が咲の頭をなでなで。咲としてはどういう状況で父と紘汰が会ったのか気になったが、話題が逸れるので言わずにおいた。

 

「あたし、独り暮らししてるんだよね? お父さんとお母さんはどうしてるの?」

「市外に転勤。咲だけ沢芽に残ったって聞いてる」

「――なあ、ちょっと思いついたんだけどさ」

 

 ザックが両膝に両肘を突いて身を乗り出す。

 

「こう、俺たちがランダムにあったことを言ってくんじゃなくて、咲が辿れる記憶がどこまでか試してみたほうがいいんじゃないか? 何でこうなったか分かるかもしれないだろ」

「辿れる、記憶――」

 

 咲は頭に手を当てて考え始めた。

 普通の家庭に生まれて、小学校に入って、ダンスを始めて。

 イヤなこともあったがヘキサに出会えて、リトルスターマインの仲間に出会って、ビートライダーズになって、アーマードライダーになって――

 

「咲ちゃん、一番最近で覚えてることはなぁに?」

「……ビートライダーズ全員で、ダンスイベント、した、こと。最初は鎧武とバロンだけだったけど、後から他のチームも来てくれて」

「合同ダンスイベントの時か。懐かしいな」

「あたし、戦ったの。紘汰くんザックくん、戒斗くんもいっしょに。そんで、ダンスが終わって、紘汰くん呼んで来ようとして――それで。それ、で……ダメ、出て来ない」

「無理すんなよ。焦らなくていいから。覚えてなくても、咲ちゃんが咲ちゃんなのは変わらないんだ」

 

 やはり紘汰はいい人だ。咲のようなコドモにも対等に接してくれる――と考えたが、思い返せば咲は21歳なのだった。対等で当然……

 

 ピーーーーーーーッ!

 

 飛び上がった。間違いなく警告音だが、何に対するものか分からない。

 

 晶が立ち上がり、カウンターテーブルに置かれたデスクトップPCへ向かった。音源はそのデスクトップだと咲も気づく。紘汰とザックも立ち上がり、3人がデスクトップの前に集まった。

 

 咲もおずおずと席を立ってそちらへと行った。

 デスクトップの画面には地図と、その地図の一点で点滅するポインターがあった。

 

「なに、これ?」

「簡単に言うとレーダー。インベス用のな」

「ミッチがユグドラシルの探知機元に作ってくれたんだ」

「ミッチくん、すご……ち」

「ち?」

「何でもない。今の無しで」

 

 地球防衛隊みたい、とはこの緊迫した状況では言えなかった。

 

 紘汰とザックがそれぞれスマートホンを取り出し、デスクトップ横のカードリーダに当てた。

 

「咲ちゃん、どうする? 一緒に来るか?」

「行くっ」

 

 行けば思い出せることもあるかもしれない。咲は迷わなかった。

 

「気をつけてね」

 

 晶の言葉を背に、咲はガレージを出て行く紘汰とザックに続いた。




 某ナンタラQみたいにインベスある所にアーマードライダーありな話。

 原作21話であの3人組がすっかり自警団になってるように見えて、本当に自警団にしちゃいました。特にザック。お前1話目のキャラどこ行ったwwとツッコみながら観ました。

 いざ自分が作り手の立場になってみると、戦隊ヒーローや光の巨人での怪物発生探知機がいかに重要か思い知らされました。ユグドラシルが的確に証拠隠滅に駆けつけられるのはこういう装置があるんだろうと勝手に考えて、ミッチにパチって来てもらっちゃいました。

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