真剣で私に恋しなさい! MA   作:x.i.o.n

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お待たせしました
第16話です
それではどうぞ!


第16話~第3試合~

 

――第3試合 風間軍対教師軍

 

こちらの戦力は万全

 

対して相手の戦力は将全員が教師という構成だ

 

主力としては小島先生にゲイル先生だ

 

残念ながら我らが宇佐美先生は出ていない

 

曰く「おじさんの出る幕じゃない」らしい

 

あの人は実は結構な実力を持っているだけに此方としては有り難かった

 

「よし軍師、ご機嫌な指示を頼むぞ」

 

「まずは相手の出方を見る。小島先生の鞭は厄介だしゲイル先生も相当強い、あの人たちを自由にさせたらこっちもヤバい」

 

キャップに意見を求められたため自分の意見をキャップに伝える

 

とはいえ周りの男連中は闘志ギラギラ、これは私の指示をキチンと聞いてくれるか心配だ

 

「ゲンさん、相手が出てきたら前方で教師軍の兵士を迎撃してほしい」

 

「おう、了解した」

 

小島先生やゲイル先生を足止めするためにはクリスやワン子達を当てるしかない

 

そういう意味でもゲンさんの部隊を有力な将がいない部隊に充てておくのがいいだろう

 

「あの、私はどうすればいいんでしょうか?」

 

「まゆっちには遊撃に出てほしい、頼める?」

 

「はい、分かりました!」

 

おずおずといった様子で指示を仰いできたまゆっちに指示を出すと何だか嬉しそうに頷いていた

 

まゆっちは兵とかの調練はしなかったし、役に立ちたいと思っていたんだろう

 

「美哉はどうするの?」

 

「私は旗の護衛、京も迎撃だよ」

 

「うん分かった」

 

さりげなく私の隣に立つ京に私は迎撃指令を出しておいた

 

気づいたら私の隣に立っている

 

背後霊ならぬ隣霊だ

 

「そろそろ試合開始の合図だ。気を引き締めて行けよお前たち」

 

『応!』

 

風間軍全員が気合を入れなおす

 

さぁ、そろそろ開戦の時だ

 

「では、両軍……試合開始!」

 

タカ姉の合図とともに教師軍の兵が一気に此方に雪崩れ込んでくる

 

それに対してこちらはゲンさんの軍と京の弓兵部隊が迎撃として対処した

 

「雪崩れ込んでくる兵士たちの中に教師の人はいない…か」

 

恐らく事前に策を与えられているのだろう

 

それか更に下の階級の人間を1人作ってその人に部隊運用させているか

 

ゲイル先生は旗の防衛、そして小島先生は

 

「こっちに来ましたか」

 

「まぁこの旗を落とすためには生徒だけでは荷が重いだろうからな」

 

私の目の前には鞭を撓らせ戦闘準備は万全といった先生がいた

 

一応教師でしょうに、なんでそんなにやる気なんだか

 

「教師とてフラストレーションは溜まるもんだ、と学長がおっしゃってな出たければ出てもいいと」

 

「授業はどうするんです?」

 

「安心しろ授業がない先生ばかりを選んでいる」

 

「さいですか」

 

周りを見てみると先生の他に小島先生の部隊の兵士が十数名いた

 

恐らく兵士はあれだけではないはず

 

まだ他にも隠れている人間がいるはずだ

 

「でもまぁ、まずは見えている人間から仕留めにいきましょうか」

 

「んぁっ!? う、動けねぇ」

 

「きゃっ! これは、糸!?」

 

この程度の人数では足止めにもなりません

 

小島先生だけは動きを察知して逃げてしまいましたが……

 

後方へ飛びずさった小島先生が何やら激しく鞭を動かしている

 

あれは……

 

「小島流鞭術・犬神!」

 

リボンの如く回転した鞭が巨大な犬のような形を形成し、こちらへ突っ込んできた

 

これが小島流鞭術、応用力だけなら糸と同じくらいありそうだ

 

「対策済みです」

 

糸をクイッと動かすと向かってきた犬は糸によって絡め捕られる

 

既にここら周辺は飛び道具用の防衛は施してあったからそういった類の物は効かないよ

 

「む……糸による結界か、厄介だな」

 

顔を僅かに顰めた先生が素早く鞭を糸の捕縛から回収すると今度は鞭を大きく撓らせる

 

そして撓らせた鞭は地を這ってこちらにやってきた

 

「小島流鞭術・這蛇」

 

その様は地を這う大蛇そのもの

 

見事に糸の罠を掻い潜ってこちらへ確実に近寄ってきていた

 

「ではこちらも行きます……鳳」

 

糸で鳳の形を形成し上空から先生の鞭へ強襲を掛ける

 

これには流石の先生も驚きを隠せないでいた

 

「ッ! ……なるほど、糸はこちらと同じく応用力が高いものなのか」

 

「その通りです、そして鞭と違うところは…」

 

指の数だけ操ることが可能だということです

 

小指に巻いていた糸を動かすと小島先生の近くに仕掛けてあった罠が作動する

 

「む!?」

 

先生はそれに対処するために鞭を自分の方へ呼び戻し対処しようとした

 

その瞬間、意識は私から罠の方へ移ってしまった

 

「ほら、私相手に一瞬でも気を移したら駄目ですよ」

 

「しまっ!?」

 

一瞬の隙があれば先生を糸で捕縛することなんて容易い

 

そのまま先生は糸によって拘束されてしまっていた

 

「わざとこの位置まで誘導したのか」

 

「ええ、まぁ先生が自分からあそこまで飛びずさってくださったのは誤算でしたが」

 

「くっ」

 

拘束されてしまった先生は私に悔しそうな表情を浮かべていた

 

まぁ、年下にこうまでしてやられたんだから仕方ないと思うけど

 

「ではなぜ直ぐに罠を発動させなかった?」

 

「ギリギリまで先生の意識を罠から遠ざけておけばかかやすいと思いまして」

 

犬神の後に確かに先生は罠の位置まで後退してしまったがそれでも他の場所も警戒していたはず

 

それに先生は基本的に冷静、そんな状態で罠を発動させても片手間で処理されそうだった

 

何より鞭が先生の近場にあったがためにその処理や対処が速く済んでしまう可能性だってある

 

だからこそ先生が次の手を使って鞭を先生から離れさせてくれれば罠は発動できなかったというわけ

 

「なるほど、だが敵は私一人ではないのだぞ?」

 

「ええ、それも把握済みですので先ほどの戦いで罠を発動させて全員捕縛済みです」

 

「やれやれ、その年で学長たちと同じ域まで到達するとは……末恐ろしいな」

 

糸に捕縛されながらヤレヤレと肩を竦めてみせる先生

 

随分余裕がある、ここのところは流石は大人といったところか

 

「私なんてまだ若輩者ですよ……」

 

ホントに恐ろしいのは私ではなく姉さんの方だ

 

強さの覚醒が始まっていない状態であの強さ

 

多分、あと10年もしない内に誰も姉さんには敵わなくなる

 

とんでもない才能だよ、ホント

 

 

――intrude ???side

 

「終わりましたか」

 

林の影から美哉の戦闘を覗き見ていましたが鮮やかな手並みです

 

相手の教師は完全に拘束されていますからもう攻撃することもできないでしょう

 

恐らく私が覗き見ていることなんてあの子にはお見通しなのだろうけど

 

「あぁ、やはり……気づかれてしまいました」

 

一瞬だけ此方の方を見ました

 

クラウディオ様といいあの子と言いどうして私の気配が分かるのでしょうか

 

まぁいいです、私は私に与えられた役割を全うすることにしましょう

 

本丸から離れ前線へと移動するとそこでは自軍の兵士と相手方の兵士がぶつかり合っていた

 

時々前線外れた遊撃部隊が旗を襲撃する者のカラカル・ゲイルによって見事に防がれていた

 

あの動きはゲイル単体の動きだけではなく弟ゲイツのコンピュータによる予測も加味されているんでしょう

 

そしてゲイツもそれを疑うことなく実行に移す

 

強固な信頼関係があればこそ出来る技ですね

 

元々の身体能力の高いゲイルに弟の予測データが合わされば並みの人間では破ることができない

 

実際の所、こちらの生徒が何人もやられてしまっている

 

其処へ突っ込んでくる影が1つ

 

あれは……

 

「ほぅ、黛由紀江……貴女が来ましたか」

 

「ゲイル先生、ゲイツ先生」

 

剣聖黛の娘、黛由紀江

 

あのヒューム卿が珍しく推している人物の1人

 

その実力は親をも凌ぐとさえ言われており実力は既に壁越え級

 

なるほど、美哉が守り彼女が攻める、そういう役割分担ですか

 

或いはその逆も考えられます

 

ゲイルに対峙する黛は一呼吸置くと鞘から刀を抜いた

 

抜刀……そこから攻撃に至るまでの速さは明らかに常人のそれを遙かに上回っていた

 

それをゲイルは避けた

 

多少服を切り裂かれた程度ではあるが避けることに成功していた

 

「oh……ゲイツの予測がなければ直撃していました」

 

「まさか避けられるとは思ってませんでした」

 

「少ない戦闘データから導き出した予測だったからネ」

 

黛も驚いた顔をしていましたがそれも一瞬の事

 

それに先ほどゲイツが少ない戦闘データと言った以上、もう次が無い

 

何しろあれでまだ本気を出していない

 

義経曰く恐らく阿頼耶の域を越えるほどの速度で斬撃を繰り出せるはず、らしい

 

「それでは速度を上げます!」

 

次の斬撃は先ほどよりも明らかに早い速度でゲイルに迫り腹部に直撃した

 

流石に峰打ちではあったもののそれでも相当なダメージなようでゲイルは倒れ、立ち上がることができなかった

 

「に、兄さん!」

 

ゲイルが倒れてしまった以上、もはやゲイツに黛を止める手段がない

 

そのまま黛は教師軍の旗を断ち切った

 

「試合決着! 勝者風間軍!」

 

橘天衣の宣言により第3試合は決着した

 

私達の出番はありませんでしたか

 

それでは戻るといたしましょう

 

 

――intrude out

 

 

試合終了の合図がなり第3試合は決着した

 

終わってみれば試合に勝利したものの大なり小なり怪我をしている兵士が少なからずいた

 

やはり一般生徒ではゲイル先生に太刀打ちできなかったか

 

今は試合終了後の後始末中

 

グラウンドの指定された位置で皆が作業中だ

 

怪我人は既に保健室に運び込まれている

 

「怪我人の報告を」

 

「あ、はい。風間隊とクリス隊は数人程度ですが源隊が十名ほどです」

 

ふーむ、まだ全軍には影響はあまり出ないと思うけど先を見るとちょっとまずいかもしれない

 

何せうちには他の軍と違って代えがあまり利かない

 

更にまだ試合は序盤も序盤

 

これから十数試合やらなければならないっていうのに1試合に10人ずつ減っていくだけでもかなりの痛手になる

 

「これからはもう少し戦術的に立ち回らないといけないなぁ」

 

ぼやきながら頬を掻く

 

すると後ろから誰かが近づいてくるのを感じた

 

「……美哉」

 

「どうしたの京」

 

あずみが去った後に来たのは京だった

 

何だか機嫌が悪そうな顔してるけど何かあったんだろうか

 

「他の女の臭いがする。上書きするんだっ」

 

「なんでそんなことが分かるんですかね」

 

確かにさっきまであずみがいたけどさ

 

臭いなんて付く物なのだろうか

 

女になってもそういうのは分かんないなぁ

 

「というかサラッと抱き着こうとしない」

 

「はぁ…はぁ……コウフンする!」

 

駄目だ……人の話を聞いてない

 

あずみもあずみで他の女の人に抱き着かれたりすると京みたいなこというし

 

分かる人には分かるんだろうか

 

「ゲンさん」

 

「どうした」

 

偶然通りかかったゲンさんを呼び止めると彼は立ち止まって律儀にこちらに体を向けてくれた

 

ホントに根は優しい人だなぁ、惚れてしまいそうだ

 

「頼みがあるんだけど」

 

「断る」

 

頼む前から断られちゃったよ

 

まぁ、誰だってあんな京とは関わりたくないだろうけども

 

「あの京をどうにかしてほしい」

 

「俺には無理だ、他を当たれ」

 

ゲンさんは仏頂面で、けど確かに顔が引き攣っている、そんな何とも言えない表情だった

 

気持ちは分かるけども

 

「そこをなんとか」

 

「ダメだ」

 

「もう一声」

 

「何にも妥協してねぇだろうが」

 

梃子でも動かないか……ならば

 

「あー、こんなところに諭吉さんが(棒読み)」

 

「その金は私が拾う!」

 

結構棒読みでいったつもりだったけど姉さんが空から降ってきた

 

跳躍でここまで来たんだろうけど下手をすると見えちゃうよ

 

「大丈夫だ、お前以外には見えないように調節した」

 

私には見せてもいいんかい

 

「フフン♪ その代りお前のも見るけどな」

 

「見せないよ」

 

「むー」

 

ちょっとふくれっ面な姉さんも可愛いな

 

あ、でも今はそんなこと話してる暇ないんだった

 

「姉さん頼みごとが」

 

「だが断る」

 

「まだ何も言ってないんだけど」

 

どうしてこういうときだけ聡いんだろうか

 

普段は一も二もなく頷いてくれるのに

 

「いいじゃないか、あんなに好いてくれてるんだからこれくらいのこと」

 

「そのまま押し倒されて既成事実を今にも作りかねられないんですけど?」

 

目も血走ってるし、絶対に危ない人だよ

 

前はあんな子じゃなかったのに

 

「もし京を引き取ってくれたらこれをあげよう」

 

懐から取り出したるは1枚の諭吉さん

 

ああ、ちゃんと谷間から取り出しましたとも

 

「おおっ」

 

「どう?」

 

「引き受けた」

 

なんとも単純な人だ

 

それにそれを渡せば京も標的を変えてくれるだろうし

 

「京に売りつけたら高値で買いそうだ」

 

万札を売りつける女子学生ってなんだかシュールだよね

 

しかも相手は同じ女子高生って……

 

「まぁ何でもいいからお願いね」

 

「了解」

 

そのままとんでもない速度で京に近づくとそのまま京を引き摺っていってしまった

 

いつもならそこで抵抗するんだろうけど今回は比較的大人しかった

 

……ホントに京に売りつけないよね?

 

引き摺られていく京を見ながら私は少しだけ不安になっていた

 

って次の試合の準備もしておかないと

 

「次の試合相手は……と」

 

第2試合…風間軍対九鬼軍 日時7月○日 14:00~

 

to be continued....





どうでしたでしょうか?
今期は思った以上に学校が忙しそうで更新できるか分からないんですよね
GWに何とかしてストックを作っておきたいところです

第2章はどれくらいまでやりましょうか
多分、そんなに続かないと思いますw
第3章は夏休み編となりますのでまたダラダラと彼女達の日常を書いていきたいと思ってます
それでは感想等お待ちしております
ではでは!

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