真剣で私に恋しなさい! MA   作:x.i.o.n

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第14話です


第14話~模擬戦開始直前~

 

「モモ先輩が?」

 

「そうみたい」

 

一旦Fクラスの教室へ戻った私はキャップに屋上での出来事を話した

 

これにはキャップも寝耳に水といった顔をしてかなり驚きを隠せないでいる

 

「それで、キャップの方はどうだったの?」

 

「ファミリーの連中は全員うちの軍に勧誘できたぞ」

 

「まゆっちも?」

 

「おう」

 

そうか、ならよかった

 

この期に及んで誰もつかまらなかったなんて笑えないからね

 

「それと同じ寮に住んでいるゲンさんも軍に入った!」

 

キャップはとても嬉しそうな顔で私にゲンさん加入を報告してくる

 

ゲンさんがいれば百人力だね!

 

「源忠勝だ、よろしく頼む」

 

「直江美哉です、こちらこそよろしく」

 

ゲンさんが私に握手を求め手を差し出してきた

 

私は即座にその手を取って握手をする

 

あれ、ゲンさんってこんなに素直だったっけ?

 

いつもなら勘違いすんじゃねぇとか言ってツンデレっぷりを発揮をするのに

 

「主だった将はこれで揃ったな」

 

「後は指揮をする兵の調達が必要になるね」

 

ゲンさんと握手を終えて一通り集まっている将を見回したあとキャップはそう呟いていた

 

それに応える形でモロが兵の調達が必要な事を訴えた

 

兵を統率する将がいても統率される兵がいなければ何の意味がない

 

また自兵が30人未満だと自動的に壊滅判定を受けて負けになってしまう

 

模擬戦のおいて最も肝となるのが一般の兵たちともいえるだろう

 

「その兵士はどうやって集める気なのキャップ?」

 

「もうFクラスの人間の9割がたは軍に入ってくれるってよ」

 

キャップの方へ視線を向けると少しだけドヤ顔をしながら応えてくれた

 

Fクラスの9割というと凡そ70人程度が今のうちの兵数とも言えるだろう

 

壊滅の判定は受けなくなったもののこれではまだ数が足りない

 

他のクラスから人間をかき集めてくる必要がある

 

「ガクト、モロ」

 

「おう」

 

「どうしたの?」

 

ガクトたちに声を掛けると2人はこちらの方へ向き私の指示を待ってくれていた

 

「2人は誰か心当たりのある人はいる?」

 

「俺様は何人かいるぜ」

 

「僕はあんまりいないけど、ヨンパチのツテを辿れば……」

 

ヨンパチか…

 

そういえば前の世界では男子だけで何やら怪しげな集会を開いていたけど

 

それ繋がりかな?

 

「使えるものは使っていきたい。頼める?」

 

「任せといて……というか僕にはこれぐらいしか役に立てないけど」

 

「十分だよモロ」

 

モロは少しだけ顔を赤らめると席から立ち上がってヨンパチの方へ歩いて行った

 

ガクトも既に教室から出て心当たりのある人間を当たってくれていた

 

「京は弓道部だったよね? 何人か引っ張ってこれそう?」

 

「うーん、何とかしてみるよ」

 

京は少しだけ困ったような顔をしたものの、了承の意を示してくれた

 

やっぱりこの世界でも外部でのコミュニケーションが取れてないみたいだね

 

「京」

 

「?」

 

「もしも京が弓道部の人間をたくさん連れて来てくれたらご褒美を上げるよ」

 

「絶対に連れてくる!」

 

少々気だるそうにしている京のやる気を引き出すために条件を呈示すると今までとは打って変わってやる気を出し始めた

 

現金というか何というか

 

ある意味京らしいけど

 

「キャップとワン子は誰かいる?」

 

「俺も何人か聞いてみるぜ」

 

「私もー」

 

キャップとワン子も兵をの調達を引き受けてくれた

 

正直あんまり期待はしてないけど無いよりはマシかもしれない

 

「後は外部助っ人枠だな。直江とクリスは此処に来てから日が浅いだろ、その辺はこっちよりもツテがあるんじゃねぇのか」

 

「そうだね、私は外部の人間を当たってみるよ」

 

「自分も外部を当たってみよう」

 

ゲンさんの言う通り私は外部の人間を当たってみるしかない

 

この学校に来てから日が浅すぎてあまり人脈を築けていないのが痛かった

 

望みは薄いがそれでも九鬼に何人かは心当たりがいる

 

え? ゲンさんは何をするかって?

 

ワン子達のお守りに決まってるでしょ

 

「よーしそれじゃ各自兵の調達を任せるぜ!」

 

『おう!』

 

ワン子達は意気揚々と教室を出て行った

 

ゲンさんがついて行ったから大丈夫だと思うけど

 

「私達には話が回ってきませんでしたね松風」

 

「気にするなまゆっち、オラたちはオラたちで頑張ればいいんだ!」

 

ごめんねまゆっち、あんまりこういうのではまゆっちは期待してないんだ

 

各自が兵の調達に動いた結果

 

まずFクラスの人間70人、モロがヨンパチのツテを使って来てくれたのが20人

 

京が連れて来てくれた弓道部の人達が30人、ガクトの心当たりのあった人達が10人

 

クリスが連れて来てくれた人が1人、私の連れてきた外部枠が3人

 

キャップたちが集めてくれた人たちが20人

 

人数揃ったがもう少し補充の兵が欲しい所ではある

 

これは私やモロが頑張るしかないだろう

 

「よし、ここからは分担作業に入ろう。兵の調練組と調達・情報収集組に分けようか」

 

私がそういうと教室にいた将全員が頷いてくれた

 

「まず調練組だけど、弓兵部隊を京、それから歩兵部隊40人を選抜してクリスに任せたい」

 

「分かった」

 

「任せておけ!」

 

京とクリスにそれぞれの部隊を任せたいから2人に自分の部隊の調練を任せる

 

クリスは既にやる気に満ち溢れた顔をしており、京も少しだけやる気の表情をしていた

 

「ゲンさんにも部隊を任せたいから、歩兵部隊40人を任せてもいい?」

 

「あぁ」

 

ゲンさんは無愛想ながらも了承してくれた

 

「キャップも20人選抜して部隊を調練してほしい、ガクトはキャップの補佐を頼める?」

 

「おっしゃあ、任せとけ!」

 

「おう!」

 

待ってましたと言わんばかりにキャップとガクトは了承してくれた

 

2人はこういう暴れられるのは好きだからね

 

「マルギッテさんも20人の調練お願いします」

 

マルギッテさんはクリスが連れて来てくれた

 

クリスもあまり人脈があるわけでもなく

 

とりあえずマルギッテさんに模擬戦参戦を呼び掛けるとほとんど一瞬で参戦を表明してくれたらしい

 

過保護にも程があると思うが…

 

「任せておきなさい」

 

マルさんはこれくらいのことは簡単だと言わんばかりの態度だったけど、現役軍人の上に今も狩猟部隊を率いているからね

 

これくらいのことは彼女にとっては児戯に等しいだろう

 

私の外部助っ人枠は調練なんてそもそもいらないし

 

調練組はざっとこんなもんでしょ

 

「モロは他軍の情報収集をお願いできる?」

 

「了解」

 

モロは一つ頷くと早速情報収集に掛かっていた

 

私も手伝ってあげたいけど今はモロの方が適任だし今の私じゃ足手まといになりそうだ

 

チームの方針を決めてから数週間経って兵たちの調練は順調に進んでいるとのこと

 

他のチームの情報も集まりつつあり、模擬戦の下準備は進みつつあった

 

あとは実践でみんながどれくらい動けるかにかかっている

 

模擬戦まであと数週間になった

 

やれることは全てやっておかなければならない

 

転入してから2か月弱して学校生徒の大部分にコネを作ることもできた

 

これで仕込みも大分行いやすくなった

 

調練に一息ついたらしい将たちに近づいていくとこちらに気付いたのかあちらから駆け寄ってくれた

 

「兵の調子はどう?」

 

「だいぶ、動けるようになったぜ」

 

「自分もだ」

 

兵を調練するキャップたちは満足そうな表情をしていた

 

兵の調練が順調に進んでいる証左でもある

 

「いよいよって感じだよな」

 

「校庭も拡張工事で広くなったしな」

 

学長が300人が動き回るには今の校庭では狭すぎるとのことでグラウンドの拡張工事を行った

 

九鬼もその件に一枚噛んだらしい

 

「いよいよ模擬戦が始まるぜ、俺様が目覚ましい活躍を見せて女子のハートをゲットするチャンスでもある」

 

「ガクトがそうやっていうと碌な結果になってないんだから止めた方が良いんじゃない?」

 

「なんだとモロ!」

 

ガクトとモロの軽口に皆が笑い始めた

 

雰囲気、士気も上々

 

やる気は既に万全といったところだった

 

 

 

――7月中旬

 

 

学校の校庭にて模擬戦参加組が集められていた

 

参加人数は1080人という大人数が集まっている

 

これから月・水・金と週三日でリーグ戦が行われる

 

期間は期末試験終了まで

 

つまり夏休みの直前までということになる

 

朝礼台の上に学長が上るとマイクに音声が入ってきた

 

「では諸君、今日から皆が待ちに待った模擬戦が始まる。この日のために各々準備をしてきたことじゃろう。模擬戦では悔いのないように全てを出し切るのじゃぞ」

 

学長のありがたい言葉を聞き、皆が今か今かと体を疼かせていた

 

既に我慢の限界と言わんばかりで学長の言葉の半分は入っていないようにも思えた

 

「まるで獣みたいだ」

 

「あははは」

 

そんな獣たちに囲まれながらもそんなことを漏らすとモロが乾いた笑いを浮かべていた

 

同感という事らしい

 

学長が壇上の上から降りると今度はルー先生が壇上の上に上がってきた

 

いよいよ緒戦の組み合わせが発表される

 

「第1試合は九鬼軍対松永軍」

 

この模擬戦中最大勢力を誇る九鬼と知略や戦術で勝る松永軍が第1試合となると周囲は大いに盛り上がった

 

見ごたえのある戦闘となりそうだ

 

「第2試合は川神軍対源氏軍」

 

第2試合もかなり注目のカードとなった

 

武神対英雄…誰もが見たいと思っていた対戦だろう

 

「第3試合は風間軍対教師軍となル」

 

よし私たちの相手は教師ぐ……へ?

 

「し、ししし質問いいですカ!」

 

「なんだイ?」

 

あまりの事態にどもってしまった

 

手も勢いよくあげすぎてちょっと痛い

 

「あの、私の聞き間違いでしょうか。いま教師軍って」

 

「うん、そうだヨ。教師軍と言っタ」

 

「この催しは生徒だけではなかったんですか?」

 

「別に生徒限定といった覚えはないヨ」

 

ルー先生は慌てた様子もなくもう質問はなさそうだから降りるヨとかいって壇上を降りてしまった

 

いまの組み合わせに他の軍も騒然となる

 

最後の一軍だけは情報が最後まで入ってこなかったのだから

 

全軍が初耳というわけだった

 

「これがうち軍に影響を与えなきゃいいけど」

 

…と数分前まで私はそう思っていた

 

いまの私の目の前の状況は皆がヤる気に満ち溢れていた

 

第3試合とはいえ作戦を練り直さなきゃいけないと思って全員を集めたんだけど

 

何故だか先ほどよりヤる気に満ち溢れていたという状況になっていた

 

「なんで?」

 

「いや俺に聞かれても困る」

 

近くにいたゲンさんに理由を尋ねてもゲンさんも困った顔で返された

 

そこへモロが補足を入れてくれた

 

曰く「みんな日頃から教師への鬱憤が溜まってたんだよ」

 

この学園どんだけなの

 

梅先生はいい先生だけど下手をすると鞭打ちだし、歴史教師の麻呂は言わずもなが

 

こうした日々の積み重ねに段々カルマが溜まっていたと

 

そういうわけらしい

 

「ま、結果オーライになってよかったじゃん」

 

気楽そうに言うけどねキャップ

 

下手をすると試合前に士気が下がりかねなかったんだよ

 

もう少し緊張感を持ちなさい貴方は

 

「そろそろ第1試合が始まるころだぞ」

 

ゲンさんが試合開始前に私たちに知らせてくれると主だった将たちは移動を開始した

 

みんな他の軍のことが気になる様子だ

 

今後、全軍と当たっていくのだからその実力を肌で感じ取っていきたいんだろう

 

いよいよ波乱の模擬戦が始まろうとしていた

 

to be continued....





というわけで第14話でした
何だかスランプを感じ始めてしまいました
速いなぁ
ただ漸く模擬戦の様子が書けるのでしばらくは大丈夫かもしれないww

予告しておきます
更新ペースを落とそうと思います
流石に前にみたいに毎日更新や1日おきの更新はちょっと無理そうです
そして次回は外伝の方を更新しようと思いますので15話の更新は少し後になりそうです
楽しみにしてくださっている方には申し訳ないです
次回またお会いしましょう

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