真剣で私に恋しなさい! MA   作:x.i.o.n

10 / 19

ようやくスワロー娘が登場です
難産でしたね
ではどうぞ!


第9話~松永燕~

 

――ざわざわざわ

 

教室の中はHR中であるにも関わらずざわめきが収まることが無い

 

それどころか生徒たちはみな一様に外を凝視していた

 

今外では何が行われているのか

 

それは……

 

「そら松永ぁ、まだまだ行くぞ!!」

 

「いつでもいいよ!」

 

2人の美少女の戦いだった

 

戦っている2人の美少女の片割れは川神百代、姉さんだ

 

もう片方の名は松永燕

 

西の武士娘である

 

何故西の武士娘がここ川神学園にいるのか

 

それは私たちが転校してくる前まで時は遡る

 

 

――某ホテル内にて

 

 

「松永…ですか?」

 

「あぁ、何でも開発した平蜘蛛という機械のスポンサーになってほしいらしい」

 

「はぁ…」

 

松永…それに平蜘蛛というと燕さんしか思い浮かばない

 

今回は川神百代討伐の依頼を出していない

 

では、なぜ彼女が九鬼に…

 

「師匠」

 

「何だ」

 

「松永は平蜘蛛を使って何を…?」

 

「何でも自分たちの発明を世界に知らしめたいらしい」

 

「…家名、ですか?」

 

「そうだ。平蜘蛛を用い世界にアピールすることで家名を上げようとしているのだろう」

 

くだらん事だがな、師匠はそういうと鼻で笑った

 

燕さん家の事情を鑑みると家名を上げる理由が非常に情けないからねぇ

 

否定をすること、擁護することは非常に難しい

 

「今は紋様が応対している。商談の話とはいえ油断はするな」

 

「分かっています」

 

現在九鬼は厳戒態勢を敷いている

 

大きな敵対勢力は今のところいないもののいつ何時狙われているか分からない

 

加えて紋様自身に戦闘能力がないことも大きな理由の一つだ

 

圧倒的な戦力を保持している揚羽様や一定以上の力量を持っておられる英雄様と違い紋様には武力がない

 

紋様と英雄様達の年齢が離れすぎているためでもある

 

それに比例して鍛錬できる時間も上二人に対して圧倒的に少なかった

 

そのために紋様が行動なさる時は普段以上に護衛をつけることが従者たちの暗黙の了解になっている

 

今この場にヒュームや鷲見、ドミンゲスや紋様の傍にはクラウディオや2ケタ台の従者たちが何人か控えている

 

過剰ともとれるけど報告によれば松永の娘の燕はかなりの手練れであることが皆に知らされているためこの戦力で護衛していたりする

 

燕さんの武力はマスタークラスだからぁ……

 

下手な者を宛がっても不測の事態に対処できない場合があると従者部隊は判断し、今に至っている

 

「なまじ武力があるからこの警備体制…か」

 

「その通りだ。結界の方はどうだ、何か反応があったか?」

 

「いえ全く」

 

結界とは、私が糸で形成した結界で相手の攻撃への防御と同時に侵入者を探知することのできる結界を周囲に展開している

 

もし侵入者があれば糸が相手に触れ私の指まで振動が伝わるようになっていた

 

――ガチャッと扉が開いた

 

「!」

 

「どうでしたか紋様」

 

「おぉ美哉、お前も来ていたのか」

 

「はい」

 

日本に来日してからいきなり緊急招集が掛けられてここに連れて来られましたからね

 

久しぶりの紋様だぁ……癒されるなぁ

 

「そういえば松永はどうされるんです紋様?」

 

「うむ、その技術力…松永のプレゼン通りなら是非とも九鬼に欲しい人材だな」

 

久信さんの技術屋としての腕は本物だ

 

そこに疑いの余地はない

 

しかし問題なのは…

 

「(平蜘蛛の力を利用されて九鬼に矛先が向けられたとき…か)」

 

もし、そうなったら私が粛清する

 

九鬼の名において必ず…!

 

「顔が怖いことになっているぞ美哉」

 

「え? ホントですか」

 

「般若もかくや、というような顔であった」

 

むむ、感情が表に出過ぎていたみたい

 

紋様を怖がらせちゃった

 

私もまだ未熟ということか

 

「結局のところ松永は九鬼監視の下、我々がスポンサーとして付き合っていくことになりそうだ」

 

九鬼の人材に引き入れるまでに至らなかったらしい

 

その辺り燕さんが上手く交渉したんだろうね

 

「紋様、そろそろ」

 

「もうそんな時間か……またな!」

 

「はい、また」

 

クラウディオさんに連れられて紋様は行ってしまった

 

「ありゃ? 随分と若いメイドさんもいらっしゃるんですね」

 

背後から声を掛けてきたのは燕さんだった

 

会談が終わったのだから彼女が出てきても不思議ではない

 

態々紋様が去ってから声を掛けてきたのに裏を感じるんだけど?

 

「どうかなさいましたか松永様?」

 

「あぁ、ううん九鬼には私と年の近い子もいるんだなぁって思って」

 

「松永様より1つ歳が下になります」

 

「うぇっ!? そんなに私と年が近かったんだぁ」

 

驚いて見せる燕さんだがその仕草はウソっぽく見えますよ

 

まぁ事前に知ってたのか気づいたんでしょうけど…

 

「私に何かご用でしょうか?」

 

ある種の毒を込めながら燕さんに応対することにした

 

この人は腹黒いから油断できない

 

「特に何も? ただ歳が近いし、お近づきになれたらと思って」

 

「……そうですか」

 

「私は松永燕、貴女は?」

 

「直江美哉と申します燕様」

 

「美哉ちゃんって言うんだ! よろしくね」

 

「よろしくお願いします」

 

差し出された手を取り握手した

 

とりあえず今のところは何もする気はないということね

 

それとも私とパイプを作っておきたかったのかな

 

九鬼の力はそれなりに使えるから…

 

「じゃまたね」

 

「えぇ、ではまた」

 

燕さんはひらひらと手を振って立ち去ってしまった

 

彼女は紋様の移動に伴って関西から関東の方へ移動することが後に決定した

 

武士道プラン発動のために直接的なスポンサーである紋様がいなければ色々とやりにくい部分もあるし、こちらとしても監視の目を分散しなくても済む

 

という経緯があって松永燕はここ川神学園に来ている

 

ちなみに私達よりも到着が遅れたのは荷造りの時間と配達の時間が掛かったから

 

私達は従者がある程度やってくれるし、運送に至っても最優先で最短距離で運んでくれるため私達よりも先に荷物の方が到着している

 

そんな私達とは違う一般市民の彼女達にとっては急いだほうかもしれない

 

庶民は苦労が絶えないねぇ…

 

 

――intrude Tubame side

 

 

先ほどから繰り出される拳や足技が私を徐々に捉え始めた

 

先ほどからも攪乱や手を変え武器を変え戦っているけど癖を瞬時に覚えられ2度通じなくなる

 

これが武神

 

武に愛されたものの力

 

それは私の想像を遙かに超えていた

 

人がこれほどまでの力を有しているなんて……

 

単純な武力での対決だと完全に私に分が悪いね

 

平蜘蛛だって安易に使える代物ではないし

 

こりゃ武神打倒は難しいかもしれない

 

「でもまっ!」

 

やれるとこまでやってみますか!

 

手に持った武器を構えて私はあの時の事を思い返していた

 

九鬼紋白との商談は無事に終わった

 

何とか九鬼の社員にならずにおとんの技術を売り込むことができた

 

上々な結果と言えるだろう

 

既に九鬼紋白は部屋を出てしまった

 

さて、私はどうしようか……

 

今のうちに唾付けられる子には付けておこっかな

 

部屋を出ると紋白ちゃんと親しげに話している九鬼のメイドさんがいた

 

見た目からして周りにいる従者達よりも年若かった

 

何であんな子がいるんだろうと思うと同時にその考えは愚かしい物であると感じ取ることが出来た

 

遠目からでもわかる…あれは私と同じマスタークラスの実力者だ

 

紋白ちゃんを避けるように放たれる圧倒的な威圧感は周囲の大気を震わせ重圧となって周りに圧し掛かっていた

 

「末恐ろしいね…」

 

九鬼の従者部隊にはあんな手練れが何人もいる

 

例え彼女を破ろうともその後ろにはまだ何人もの達人が控えている

 

逆らう気なんてないけどそんな気も起きないくらいだ

 

ともあれ彼女と面識を持てれば何かいいことがあるかもしれない

 

そんな勘が私を彼女の許へ身体を動かさせた

 

「ありゃ? 随分と若いメイドさんもいらっしゃるんですね」

 

ちょっと芝居くさかったかなぁ

 

今時ありゃなんて…

 

過ぎたことを言ってもしょうがないか

 

なるようになれ

 

「どうかなさいましたか松永様?」

 

恭しく一礼するメイドさん

 

それはとても様になっていて私が何だか惨めに思えてくる

 

「あぁ、ううん九鬼には私と年の近い子もいるんだなぁって思って」

 

「松永様より1つ歳が下になります」

 

「うぇっ!? そんなに私と年が近かったんだぁ」

 

私のリアクションを見るなり怪訝な顔された

 

多分リアクションの所為で年齢を感付いたのを気づかれたのかもしれない

 

「私に何かご用でしょうか?」

 

何というか前置きはいいからとっとと要件を話せと暗に言われてしまった

 

それに警戒されてしまっている

 

これは取り入るのは難しそう

 

とりあえず今日は名前と顔を覚えてもらうことにしよう

 

「特に何も? ただ歳が近いし、お近づきになれたらと思って」

 

「……そうですか」

 

「私は松永燕、貴女は?」

 

「直江美哉と申します燕様」

 

「美哉ちゃんって言うんだ! よろしくね」

 

「よろしくお願いします」

 

彼女と握手をしながら私は唖然とするしかなかった

 

直江美哉…現在EU圏で巨額の金を動かしている直江景清の1人娘で九鬼家従者部隊第5位

 

通称薔薇の従者……

 

こんな大物と会えるなんて思わなかったよ

 

今後のためにも仲良くしておきたいな♪

 

そんなやりとりを思い返してみて苦笑を1つ洩らした

 

まさかこんなに直ぐ会えるとは思ってもみなかったよ

 

生で武神とやり合ってみて過去のデータを完全に上回っていることに驚かされている

 

これはやりがいのある仕事だね、燃えるね!

 

武神を平蜘蛛で倒して家名を上げる

 

そしておかんに帰ってきてもらう為にも

 

いっちょやったりますか!

 

 

――intrude out

 

 

to be continued....





どうでしたでしょうか?
原作は紋白からの討伐以来があり、やってきましたが今回は純粋に自分の家名を高めるためにやってきました
ですので武神打倒は最終目標としても武神打倒に限らず家名を高めるために色々やるでしょう

何というか微妙ですかね
すいません精進します
ではでは!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。