とある科学の因果律   作:oh!お茶

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漸く原作介入です。
さて、新約しか手元にないんだけど……どうしましょうか……


5話「野次馬根性」

 

「ふぅー…いいお湯だったねぇ………ん?」

 

スーパーリゾート安泰泉を出てビルの屋上を飛び移って移動していた恭弥はある違和感を感じる。

飲み干したコーヒー牛乳の瓶を近くのゴミ箱に放り投げて違和感の原因を探る。

ところで、近くとは言っても50mほど下にあったゴミ箱である。瓶は燃えるゴミのところに入った。

閑話休題。

 

(人の流れが……不自然だな)

 

そう、まるでそれが自然であるかのように人の移動が制限されているのだ。

他の場所は学生達が普通にひしめいており、自動車は動き回っている。だが、ある一区画のみ、誰も通っていない所があった。

見たところ交通規制をしている訳でもなく、当然のように皆がそこを避けて通っていた。

少しでも気を抜けば自然と感じてしまいそうな所が非常気味が悪い。

あまりにも不可解な状況に恭弥は熟考する。

 

そしてまず思い付いたのが、ある『木原』が得意とする化学薬品による精神誘導。

しかし、それの実験がこれほど大々的に行われるという事は最近ハックして見た機密事項の中には無かった。

 

次に思い付くのが、それを扱う事で他の実験を行うための人払いをする、というもの。

だが、それは立て札を立ててしまえばそれで済む話であり、わざわざ薬品をふんだんに消費するメリットなどない。

 

分からない……分からない……分からない……これか?……いや、効率が悪い……分からない……分からない……これか?……違う…………分からない……こういう事か?……いや、無駄が多い………分からない……分からない…。

 

結局、考えても分からないと結論を出して、好奇心に任せその一区画へ向かう。

 

(ま、いずれにせよ実験はやってるでしょ………どんな実験かな〜)

 

野次馬魂全開である。

すると、

 

ドガァアアアアッッ!!

 

風力発電のプロペラがスッパリ斬れて橋に突き刺さって行くのが視界に入った。

 

(ワォ!風力使いか?あんなこと出来る奴書庫(バンク)に登録されてたっけ?)

 

ザッと記憶を思い返してみるも元々あまり興味を持って見た訳でもなかったので、該当するような人物が思い当たらない。

判断材料の足りない現状に思考を切り、空を駆けて向かう事に専念した。

 

「七閃」

 

「ぐぁああああ!」

 

現場には二名の男女が対峙していた。

ついでに絹旗風に言うと女性の方は超良いカラダである。

 

(名も知らぬ男よ……あんな別嬪さんに殺されるなんて羨ましい限りだなぁ………)

 

二名がごちゃごちゃやっているのにも全く気に留めず、訳の分からない事を考える恭弥。

いや、分からなくも無いが……ともかく完全に野次馬である。

頭の中の妄想を爆発させて悶える彼のキモさはレベル5。

 

「もういいでしょう?」

 

「ガッ!」

 

(なっ!?足蹴プレイ!?

くっそ!俺と代われ!いや、Mではないですけども……

つか俺があの姉ちゃんを踏みたいなぁ……)

 

なんて煩悩だらけの人間なのだろう。もう少しマトモな思考ができないのだろうか?

いくらなんでも酷すぎる。もう目も当てられない。

 

「うっせぇんだよ!ド素人が!!」

 

そんな女性の叫びに恭弥は漸く現実に引き戻された。

どれどれ?と見てみると、

 

「春を過ごし!夏を過ごし!秋を過ごし!冬を過ごし!」

「ガッ!ゴッ!グァア!」

 

少年がボコボコにされていた。うわぁ、ありゃ痛いぜと内心少年に同情するも、出方を考える恭弥。

それはともかくどちらも感情的。

とても実験とは思えない有様だ。

 

(………ふむ、今日予定されている実験は特にないな………二人ともあんなんだし実験じゃなかったのか?)

 

野次馬しつつもちゃっかり携帯で調べていた彼。

手元にある情報を瞬く間に整理して状況を把握する。

そして彼が次に取った行動は、

 

「ストォ〜プ」

 

「えっ!?」

「………は?」

 

二人の間に割って入る、というものだった。

突然現れた男に戸惑い驚愕する二人。

それもそうだろうここ一帯には人払いの魔術が施されているのだ。

故に女性と男性の両者、神裂火織と上条当麻はすぐに警戒する。

一方は得体の知れない科学サイドの人間に。

他方は敵かもしれない新たな刺客に。

対して鵠沼恭弥は心の中で強く…ただ強く思う。

 

(ケンカ……ダメ、絶対)

 

何人も人を殺しておいて何を今更、と言いたいところだが、常にその場のノリで生きている彼にはそんなツッコミなどなんのその。

とりあえず見知らぬ人間が割って入ったらこの痴話喧嘩も終わるだろう、と安直な考えで割り込んだのでる。

 

完全に失策である。

 

今や先ほどとは比べ物にならないほどの緊張感が場を支配していた。

ヤッべェと頬を引き攣らせる沼恭弥。こんなんでも流石に空気は読める男。

故に現場を打開するために今までにないくらい全力でレベル5の脳味噌を回転させる。そして、一言。

 

「………話は聞かせてもらったァ!!」

 

嘘である。




恭弥さんは適当。

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