とある科学の因果律   作:oh!お茶

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投下。
一日中暇だった今日。


4話「ほのぼの回①」

 

現在、鵠沼恭弥はコンビニで買ったシャケ弁、サバ缶、etc.の入った袋を片手に裏路地を歩いていた。

そう、所謂パシリである。

 

初仕事から二日経っている現在、恭弥は『アイテム』の拠点の一つの部屋で生活していた。

勿論寮は有るのだが、今までに使った回数など五回にも満たないのでどの部屋か忘れてしまったのだ。

わざわざ帰って探すのも面倒になり、結局その拠点で過ごす事にした。

だが、そこは今まで女子四人で使っていた花園である。彼女達にとってはそう簡単に良しとできるものでもない。

そう言われた恭弥は

『じゃあ屋上で寝てるからなんかあったら呼んで』

と言い出したので流石に彼女達にも同情というものが湧いた。

結果として、裏の仕事の時の活躍も考慮され、恭弥が買い出し担当となる事で入室を許したのだ。

 

そんな彼がついでに買ったチョコレートを囓りつつ拠点へ戻ろうとしていると、

 

「あン?なンでオマエがここにいるンだ?」

 

モヤシ体型の白髪少年と、軍用ゴーグルを装着して鈍く黒光りする銃を構えた茶髪の短髪少女に遭遇した。

 

「あー……んー……ほー……

…………ああ、なんかの実験?

ゴメンね続けていいよ」

 

あまりに理解不能な状況に呆然とするが、すぐに一つの可能性を弾き出し、そう告げる。

 

「あとモヤシ、財布は返さないからな」

 

続けてなんと突然のカミングアウト。

 

「はァああああ!?やっぱテメェか!!」

 

すると茶髪の少女が、それに反応し背を向けた一方通行に向けて数発発砲するが、

 

「マジで死ね!!」

 

一方通行に当たった瞬間、ベクトルを操作され、全弾恭弥の下へ向かう。

しかし、銃弾が当たると彼はその場から消えた。

チッと舌打ちする一方通行の上の方から声が飛んでくる。

 

「じゃな。あんまやり過ぎないようにしろよー」

 

恭弥はビルの屋上からそれだけ言うと、拠点に向かう。

 

「チッ…位置エネルギーか」

 

一方通行は恭弥の姿が見えなくなったビルの屋上へ視線を向け続ける。そして茶髪の少女はチャンスとばかりに引き金を引き、ーーー

 

「あァ?悪ィな。忘れてたわ、オマエの存在」

 

ーーー少女の眉間に彼女が発砲した筈の弾丸がぶち込まれた。

 

恭弥の事は諦めた様子で、欠伸交じりに路地裏を抜けていく一方通行。

彼が去った後に影から幾つもの人影が出て来て死体と化した少女に群がる。暫くの後、気味が悪いほどいつもと変わらない空間がそこにはあった。

 

こうしてとある人物の、二万体のクローンの内の一体は単価十八万円の儚い命を終えた。

 

 

 

****

 

 

〜絹旗との絡み〜

 

「何見てるんですか?」

 

「校長先生に送るお土産用の通販カタログ」

 

「……火薬とか鉄材とか毒物しか載っていない様に見えるのは超錯覚でしょうか?」

 

「ハハハ、爆弾作ってあいつに一泡吹かせてやるぜ」

 

「どちらかというと血反吐超吹きそうですよね!?」

 

「殺っちゃったぜ☆とか言いたいよね」

 

「まさかの先週見た作品のタイトル!?」

 

 

 

〜麦野のターン〜

 

「あれ?沈りん自炊?」

 

「沈りんって何よ?沈りんって。

コンビニ弁当をレンジで温めるのを自炊って言うなら自炊ね」

 

「え?じゃあその手に持ってるフライパンは何よ?麦のん」

 

「ちょっとそのふざけた渾名止めて貰えるかしら?

これはここの拠点に最初からあったものよ。フレンダが壊したから捨てようと思ったの」

 

「ハハハ、半分になったフライパンで料理とか狂ったのかと思ったぜ。そゆことね。

鮭野沈利、この三つめのシャケ弁貰っていい?」

 

「よーし、ちょっとキレたわよー?ビーム撃ち込んじゃうわよー?」

 

「んまー」

 

「勝手に食ってんじゃねぇえええ!」

 

 

 

〜フレンダがゆく〜

 

「フランダちゃん爆弾作るの下手だな」

 

「フレンダね。あとちょっとムカつくんだけど」

 

「フレイムちゃん、ちょっとその材料貸せよ。俺が一発ドデカイの作ってやるぜ」

 

「だから、フレンダね。じゃあ作ってみてよ」

 

5分後ーー

 

「ほらできたぜ、スライムちゃん」

 

「だからフレンダ!!結局、私の爆弾とたいして変わってないし!」

 

「いやいや、威力は保証するぜ、はぐれメタルちゃん?なんなら今から爆発させてやるよ」

 

「だからフレンダ!結局、名残が跡形も無くなってるし!

あと爆発させないでよ!?」

 

「オラァ!!」ドゴォオオオオオンンッッッ!!!

 

「うわっひゃっ!!??」

 

「ハハハ、これで校長先生も一泡吹くぜ」

 

「け…結局、…爆弾作りもレベル5だったって訳よ……」

 

「フレンダァアアア!!」

 

「麦野!?私じゃないよ!!恭弥がやった訳よ!!」

 

 

 

〜滝壺が寝る〜

 

「………眠そうだね」

 

「………お休みなさい」

 

「お休み」

 

「……zz………zzZZZ」

 

「ZZZZZZZ」

 

 

 

****

 

 

トテトテトテ

 

「ん?…はぁ……真昼間からこの時間まで寝続けるなんて超無職のオッサンですか。

全く少しはーーー」

 

部屋のど真ん中で爆睡している恭弥に溜息を吐きつつ絹旗がまたごうとすると、

 

「……んん…」

 

「おべっ!?」

 

寝返りを打った恭弥に躓き、恭弥倒れこむ形となった。

それにより恭弥は目を覚ます。

 

「ぅうん………ふぁーあ……

………モアイちゃん何やってんの?」

 

「………最愛です。

恭弥さんは超リストラされた中年ですか。いい加減起きてください」

 

「お休み」

 

「話聞いてました!?」

 

結局、絹旗に叩き起こされ、マンションを追い出された恭弥。

十分寝て特に拘りもないため、素直に外へ出た。

どうするか、考えた後、

 

「………大分寝たから目が覚めたなぁ……銭湯でも行くか」

 

ポツリと呟き隣のビルの屋上に飛び移る、

ふりをして拠点のドアをこじ開けて皆の声がする居間の扉を開く。

ある一言を言うために。

 

「はぁ……漸く出て行ったわね」

 

「超手間のかかる人ですね」

 

躊躇いなく開けた扉から目の前に飛び込んで来たのは下着姿の四人。恭弥は固まった。

そして直後、フレンダと目が合った。

 

「結局、明日のみzzzzzzzzzz」

 

「ん?どぉした?フレンdddddddd」

 

「……………」

 

「皆さん超どうしtttttttt」

 

静寂。

 

五人とも唖然として全く動けない。否、動かない。

 

静寂。

 

一早く現実に戻って来た恭弥は目の前の光景をしかと目に焼き付ける事に専念する。

レベル5の記憶能力、舐めてもらっては困る。

 

静寂。

 

「……あのさぁ…これから二十二学区のスーパー銭湯行こうと思ってたんだけど一緒に行く?」

 

何事も無かったかのように表情を一切変えず、言いたかった事を言う。

もちろん完全に目に焼き付けた後だ。優先順位というものが世の中にはあるのだ。それを疎かにするほど恭弥は馬鹿ではない。

ポカンとしていた四人はこのような状況でレベル5認定されそうなスルースキルを遺憾無く発揮した恭弥に軽く尊敬の念を抱く。

 

訳がない。

 

「サッサと出て行けぇええええ!!」

 

「超コロス」

 

「結局、死にたい訳ね!」

 

「………」

 

滝壺以外の皆が殺意を剥き出しにする。

 

恭弥は逃げた。

 

ちなみに拠点からは緑白色の光線と家具、爆弾が飛び出しそこは半壊した。

 




滝壺が良く分からないから投げた。
滝壺ファンの皆さん、済みません。

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