とある科学の因果律   作:oh!お茶

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実は書き溜めしていた。


3話「お初任務」

 

打ち合わせがある程度終わり、迎えが来るまでまだ一時間程あるということで、恭弥は買い物へ出ていった。

残された少女四人はドリンクを飲みつつ彼について話す。

 

「それにしても第八位って事には超驚きましたね」

 

「ええ、確かにね。まさかあんな即戦力になる奴が入ってくるとは思ってなかったわ」

 

「しかもギャラはいらないって言うし。

結局、私の心配は杞憂だったって訳よ」

 

そう言うフレンダに苦笑しつつ、絹旗は麦野に問う。

 

「同じレベル5としてどう思いましたか?」

 

「そうねぇ……話を聞く限りじゃ本当に第八位なのかしら、とは思ったわね。

ま、そう簡単に負ける気はしないけど下手したら私より上かもしれないわ」

 

「ふぇ!?麦野のより強いの!?」

 

「あくまで聞いた限りだとね。

『エネルギー変換』、この能力の応用性は間違いなく第三位より上よ。

応用性が強さに直結するとは限らないけど多分私の攻撃は一切届かない可能性があるわね」

 

「……確かにその可能性は超ありますね」

 

「え?結局、どういう事?」

 

「麦野の『原子崩し』を受けてもそれを光エネルギーや熱エネルギーに超変換すれば無傷で済む、って事です」

 

「ええ。第一位や絹旗みたいな演算を行っているなら間違いなく私、いや、第三位よりは上よ」

 

「ええー……結局、すごい奴だったんだ…」

 

「ま、第八位って事だから限界はあるだろうけどね。味方になってくれるならこれほど有難い事はないわ。

今日の仕事は比較的早く終わるかもね」

 

「………シーザーサラダ…美味し…」

 

 

 

****

 

 

「ヒィ!見逃してくれァギャッ!!」

「すまんねぃ。仕事なもんでぃ」

 

「オラァ!死ねァガッ!?」

「オラァ、死ねなぃがぁ」

 

恐怖に顔を引きつらせ逃げ惑う者、殺気を撒き散らし銃を構える者、三者三様の様子を見せる人間を次々と殺していく恭弥。

 

「あの……その超ふざけた口調やめてくれませんか?

緊張感が超なくなるんですけど……」

 

「超嫌どす」

 

「ムカッ」

 

「チッチッチッ、『超ムカッ』」

 

目の前の研究所から出てくる人間を全員殺した後、絹旗の窒素パァーンチ☆を躱していると、馬鹿でかい爆発音が聞こえた。

 

「お、そろそろ終わりか?」

 

「はぁ……はぁ……そうですね……」

 

そして目の前の建物から数本の光線が飛び出た後、建物が崩れ始める。

 

「わーぉ、猛烈ゥ。こりゃ敵に回したくないな」

 

あれを食らったらお腹に大きな穴が空いちゃうだろうなぁと感嘆の声を漏らす恭弥。

そんな彼の緊張感の欠片もない様子に呆れつつ絹旗は口を開く。

 

「能力を一切使わずに弾丸を躱す貴方も超大概ですけどね」

 

「ま、そこら辺は研究と鍛練の成果だよ」

 

今、恭弥は絹旗最愛と共に建物の外で待機している。

周りにはただの肉塊と成り果てた元人間が何人も倒れている。

やる事がなくなって手持ち無沙汰になった恭弥と絹旗が欠伸混じりに建物が崩れていく過程を見守っていると、漸く中にいた三人が出てきた。

 

「わぁあああ!!恭弥!絹旗!結局、助けて欲しい訳よ!!」

 

「……崩れてく」

 

「ちょっとやり過ぎたかしらね。

絹旗、恭弥お疲れ様。終わったわ。帰るわよ」

 

「はいよ」

「了解です」

 

飛んでくるコンクリートの塊を弾き返し、砕き、消し飛ばして五人は合流する。

ガン、と恭弥が近くに止まっていた無人のキャンピングカーを蹴るとエンジンがかかり、ドアが開いた。

 

「ふぅん……だから今回はアイツ等私達を送っただけで帰ったのね」

 

「超便利な能力ですね」

 

そんな軽口を叩きつつ、五人はキャンピングカーに乗り込む。

 

「ほんじゃ捕まっててね。俺の運転はちょっと荒いよ」

 

そしてさらりと第八位による警告。

 

「は?どういうーーー」

 

次の瞬間急発進。

加速を一切せずに速度0から一気に時速50kmに達する。

中にいる人間は勿論、

 

「「「キャァアアア!」」」

「………わぁ」

 

後方に叩き付けられる。

が、相乗りしているのはエネルギーを司る第八位。

 

「…え?……衝撃がないわね」

 

「ああ、それなら俺の頭を働かすエネルギーとして貰ったよ」

 

四人が叩き付けられた際に生じたエネルギーを全て己に取り込み、無事に事を済ませた。

それだけでなく、

 

「………あの、運転席に人が見えないんですが…」

 

「ああ、エンジンで生まれたエネルギーをそのままこの車の運動エネルギーに変えてるからアクセルとか踏む必要ないよ。

大雑把になら方向性を持たせる事も出来るからハンドルを握る必要もないしね」

 

なんと言う高性能。

一家に一人欲しいくらいである。

当の本人は前など一切見ずに先程の黒服から拝借した拳銃を暇つぶし感覚で弄くり回しているのだ。

良質過ぎる手駒を手に入れた『アイテム』の四人はただただ唖然としていた。

 

 

「あ、事故った」

「前を見ろ!!前を!!」

「超適当!?」

「結局、碌な事にならなかった訳よ!!」

「大丈夫。私はそんな恭弥を応援してる」




今日はここまで。

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