とある科学の因果律   作:oh!お茶

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29話「………風……斬…………?」

 

現在、鵠沼恭弥はゴーレムの前に佇んでいた。

 

「ちょっと!?そこの少年(恭弥君)!避難しなさい!」

 

「おりゃ!」

 

「クッ!中々やるじゃないか!」

 

「話聞いてる!?」

 

もちろん警備員(アンチスキル)の警告などガン無視である。

 

まぁ彼を無視して銃を乱射し続ける彼等も大概ではあるのだが。とは言っても、学舎の園全壊事件の一件で恭弥の事が警備員(アンチスキル)に知れ渡っているからこその対応であるとも言える。

 

間違いなく肉片になるであろう速度で地面に激突したにも関わらず、頭から血を流す程度で済んだレベル5(バケモノ)

壁を破壊して脱獄し、コンビニでポテチを買って戻ってくるという一連の行動を数回繰り返した自由人(災害)

取り調べ開始から三日後に何やらブツブツ呟き出して何の前触れもなしに、時に地団駄を踏み、時に爆笑し、時に泣いていた、イっちゃってる生徒(アブナイ人)

 

彼を有名にする要素は多分にあったのだ。フラスコに浮いている人物が頭を抱えたのは言うまでもない。

 

閑話休題。

 

ともかくあの後、恭弥は御坂美琴とは面倒な事になりそうだなと思ったため、気配を消してここまで来たところ、ゴーレムと遭遇した次第である。

 

後ろから飛んでくる容赦無い銃弾をエネルギー源に、ボカスカとゴーレムを殴り、熱波を放ち、岩を投げつけて粉砕していく恭弥だが、如何せんゴーレムの修復が速く、焼け石に水となっていた。

修復に使われるエネルギーを変換すれば事は済むのだが、やはりそこは魔術、どう足掻いても不可能だったのだ。

さてどうするか、とここで恭弥は一考する。

 

ピタッと動きを止め、その場にただ立つ。

 

そんな彼を訝しく思い、学園都市に潜入した魔術師、シェリー・クロムウェルも出方を伺う為に動きを止めた。

 

そんな静止の連鎖はまだ続く。

 

明らかに様子の変わった二人に警備員(アンチスキル)も動きを止めたのだ。

 

先ほどとは打って変わって静寂が場を支配する。

こうなってしまっては逆に動きにくくなってしまった。

動けば勿論音が出る。

しかも自分達の持つ戦力の規模を考えればどれほど大きな音が出るかは想像に難くない。この静まり返った暗闇の中で音がどれほど大きな物であるか、理解できない者などここにはいなかった。

そう、つまり自分達の動きを逐一相手は把握でき、下手をすれば隙を突かれてしまう、という状況になったのである。

絵に描いたような膠着状態。

 

その中、恭弥は思考する。

 

 

(………何故だ?

…………何故こんな事になっている……!?)

 

 

騒ぎのど真ん中にいる人物が原因を把握できていないとは、これいかに。

 

うんうん唸って過去を思い出してみるが、特に戦闘参加の原因となりそうな出来事は思い付かない。

 

まぁ、最初にシェリーのゴーレムに恭弥がワンパンしたのが参戦のきっかけとなったのだが、無意識のワンパンだったので、彼はそれが原因だとは思わない。。

 

と、ここでビビッと彼の脳裏に電撃が走る。

 

ふと、気付いたのだ。

 

そう、ーーー

 

 

「よし、一時休戦な。喉渇いたからなんか飲んでくるわ」

 

 

ーーー喉が渇いた、と。

 

次の瞬間、恭弥は消えた。

 

彼は最低な一言を残して、最低な状況を放置し、最低な形でその場を去った。

 

「「「 ( ゚д゚) 」」」

 

唖然として固まってしまった彼らを誰が責めることができようか。

 

 

 

****

 

 

位置エネルギーを変換し、地上に飛び出た恭弥。

近くの自販機でゴボウコーラを購入し、十口飲んで気づいた。

 

 

 

(!!………魔術師放置ってマズイやん!!)

 

 

 

盛大にコーラを噴き出し、ゲホッゲッホとむせる彼は一体何がしたいのだろうか。

 

ここが学園都市でなかったら、

『ママ〜、あの人何やってるの〜?』

『シッ!目を合わせちゃいけません!』

的な三文芝居が行われているだろう。

 

それはともかく、放置は流石にマズイかと思い、恭弥は取り敢えずゴボウコーラを飲み干してヤシの実サイダーを買う。

それを飲んでのんびりしてから再び元の場所に戻った。

 

 

「で、何してんの?」

 

「!?…恭弥か!」

 

すると、大きな穴のそばで膝をついて中を伺う上条当麻を見つけたため、現状を尋ねる。

 

「ま、そうだけど……どういう状況?」

 

「えーっとだな……何から話せばいいか…………………………………風斬がな…人間じゃなかったんだ……」

 

随分と悩んどいて何そのチョイス?もっとマシな話題から切り出せなかったの?と頭の中で突っ込みつつも、恭弥は即答する。

 

「風斬って………誰?」

 

「( ゚д゚)」

 

硬直。

 

「…………?」

 

「( ゚д゚)」

 

不動。

 

「……………」

 

「( ゚д゚)」

 

凍結。

 

「だから誰だよ!!」

 

「ぐへっ!!」

 

ピシリと固まって動かない上条に痺れを切らした恭弥はビンタを入れた。

神様の奇跡すら喰い殺す幻想殺し(イマジンブレイカー)を持つ上条であるが、それは彼の右手に限られる。そう、つまり頬は異能の力をそのまま受けてしまう無防備な部位なのだ。故に上条は5mほどぶっ飛んでから頬を抑えて訴えた。

 

「酷くね!?

つか一緒に飯食った上にゲーセンで遊んどいて、なんで風斬を知らねぇんだよ!?」

 

つい先ほどまで一緒に遊んでいたのだ。知らない方がおかしいだろう。そんなもっともな上条の言い分。

これには流石の八位も言い返せまいーーー

 

 

「Huh?」

 

 

ーーーと、思った時点で負けである。

 

ポカンと口を開ける恭弥。

そして次の瞬間、合点がいったと言わんばかりに頷く。

 

「ああ!!あの女の子の名前か!

って、そんなん知らんわボケェ!!パラドックスちゃんが氷華って呼んでたのぐらいしか聞いて無かったんだよォオオオ!!」

 

これが、八位。

 

「パラドックスじゃなくてインデックスな!!あとお前の目の前で風斬って呼んだ気がすんだけど!?」

 

「あの猫の名前かと思ってたわ」

 

「スフィンクスのことかよ!?」

 

「え"……ゴミみたいなセンスだな……」

 

「俺が名付けたんじゃないけどね!」

 

いまや、件のインデックスがピンチであることや、魔術師を追わなければならないことなど上条の頭からは抜け落ちていた。

 




なんか……こう………アイディアが………沈没して浮かんでこない………

久々に聞いたヨルムンガンドのサントラにハマったんだけどね、なんか考えてる間ずっと頭の中でループしてて何も考えられなくなっちゃうんだよね

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