「あの子に感謝しろよ。お前が無実であることを証言したんだからな」
そう言う
太陽の光を受けて黄金に輝くその髪は美しさを一層引き立てて、神々しさを彼女の身に纏わせていた。
「ちょっとぉ……どうして捕まってたのよぉ」
ぶー、と可愛らしく文句を言う彼女に対し、その言葉に反応を示さずスッと前に出る恭弥。
そして流れるような滑らかな動きで膝を折り、地面に手を付き、ーーー
「………有難う御座いました。
この御恩、一生忘れません」
ーーーOh…と感嘆してしまうような美しい土下座をした。
隈ができ、痩せこけ、無精髭が生えてやつれたその顔に涙を浮かべて恭弥はただ感謝する。
もちろん特殊メイクである。
その様子を見た食蜂操祈は流石に同情した。
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「俺はやってません」
「ハイハイ、レベル5の第八位なら簡単にできちゃうよね」
「俺はやってません」
「で?どうやったの?何故か君の能力が
「俺はやってないですよォオオオ!!」
捕まってから一夜明け、朝六時から取り調べが始まった。
彼は吐血した。
(睡眠時間八時間って………俺を殺す気か!?)
そんな事で唖然とする鵠沼恭弥。三日前に六十二時間ぶっ通しでTSUTAYAで借りてきた海外ドラマを見続けていた事など彼の記憶には残っていない。
起きてからの尋問。
朝昼晩の飯はコンビニ弁当。
そして続く取り調べという名の拷問。
小腹が空くと脱獄して手軽な物を買い、連れ戻されて怒られる。
からの尋問。
それが繰り返される日々。
それはジリジリと、地道に、しかし確実に恭弥にストレスを与えていった。
留置所の中で、
(チクショォオオオ!!元はと言えばモヤシの奇抜なTシャツが原因だろォが!!)
支離滅裂な思考を繰り返し、
(絹旗ちゃんprpr)
時に喜び、
(神裂さん最高!)
時に恨み、
(なんで統括理事会は俺を釈放させないんだよォオオオ!!)
時に嘆き、
(あの豆腐屋のザルでスーパーセルが発生しただと!?)
学舎の園を豆腐屋のザルと間違えてしまうまでに彼の精神は追い詰められてしまった。言うまでもなく重症である。
元からこうだったような気がしなくもないが。
そして、取り調べ開始から四日と十三時間後。
(俺がやったのかもしれない……)
とうとう彼がそう思い込み始めた頃……
いや、実際に彼がやったのだから、思い込みでもなんでもないただの事実なのだが、そう思い直し始めた頃、
「おい、釈放だ。無実だってよ」
「おっ!マジ?」
「おう。マジマジ。疑ってごめんな」
「いいって事よ」
突然釈放されたのである。
なんという軽いやり取り。
なんという適当感。
彼が感じるのは猛烈な解放感。
心躍るとはこの事だろうか。
恭弥は二十年ぶり(主観的)のシャバにテンションが高揚する。
そしてウキウキしながら外に出てみたところ、第六位、食蜂操祈が立っていたのだ。
彼女を視界に捉えた瞬間、言われずともピーンときた。
(ハッ!……ま、まさか……彼女が…豆腐屋の看板娘か……!?)
違ぇよボケ。
ちなみに、今回の件に豆腐屋は一切関係ない。
そんな彼の心を読んだかのようにタイミング良く彼女がしたことを説明する警備員。
「あの子に感謝しろよ。お前が無実であることを証言したんだからな」
そんな警備員の言葉により、今度こそ理解する。
莫大な感謝の気持ちで涙が溢れてくるのを抑えられない恭弥。
(証言してくれたのはあの子か!!テラ女神!誰だか知らんが麗しいお嬢さん、テラサンクス!!)
だが記憶が飛んでいた。
なんか疲れてテンション上がんね。
連投じゃあ