ああ、描写がしんどい…
表現の拙さとボキャの無さに泣いた。
その夜、御坂美琴は例の製薬会社に忍び込んでいた。
目的は勿論、施設の設備及び過去の収集データの破壊。
ここを破壊し、残る一箇所も潰せば実験は頓挫。
もうこれ以上、彼女の、ーーー御坂美琴のクローンが殺される事はなくなる。
過去に自分がDNAマップを譲渡したことにより生まれた悲劇。
それの終焉がせめてもの罪滅ぼし。
満身創痍な身体に鞭を打ち、目的に向かって前進する彼女。
(残りは後二箇所……何事も無く終われば良いけど……)
幸いな事に人一人見当たらないが、念のため影に隠れつつ施設内を走って、最奥のデータベースへと向かう。
ここを破壊してあと一つ。
それで全てが終わる。
刹那、御坂美琴の頭上、天井に火花が奔り瓦礫となって鉄の塊が多数落ちてきた。
「!!」
(ワォ、すげ)
だが、磁力でそれらを弾き、落下の軌道を逸らすことでそれを凌ぐ御坂。
やはりそう上手くいくものではない。むしろ、あの程度のセキュリティしかなかった今までがおかしかったのだ。
とは言っても一級品のセキュリティであったことに変わりはない。設備者は涙目である。
ふぅ、と息を吐いてから気を引き締め、一層警戒する御坂。
次の瞬間には床や壁、天上を火花が走り抜ける。
よく見れば、あちらこちらにテープのような鉄を焼き切るツールが張り巡らされているではないか。
あちこちから降り注ぐ鉄塊に舌打ちしつつ、走る御坂。
すると、ふと目の前を通った火花の先に目がいった。
そこには、一つのぬいぐるみ。
それに火花が辿り着いた瞬間、突然の爆発。
「なっ……爆弾!? っ……なんでこの手の奴等はぬいぐるみに入れたがるかな……!」
(なっ!?コイツ……俺が
能力を応用し、落ちた瓦礫を磁力で持ち上げ、爆風や熱の盾とする。次々と奔る火花と連続的に爆発するぬいぐるみ。
毒づきながら御坂は奥へ向かって走っていった。
****
そんな御坂の様子を物陰から観察する一つの影。
(うーん…おしいなぁ……いつもみたいなリモコン式ならやれてたのに……
いや、逆に支配されてただけだったかも……
それにしても……恭弥はどこ行ったんだろ?)
今のところ御坂が予想通りの行動をとっているため、悉く用意していたトラップに引っかかってくれていたが、それでも未だに仕留めきれていない。
それならしょうがないとフレンダは、にひひと笑って次の手を打つ。
****
最大磁力をもっての回避により、壁に強く背中を打ち付けた御坂はダメージに呻きつつも導火線を辿る。
すると前の階段に立つ一人の少女、フレンダ=セイヴェルンが。
(あいつか!)
(そう、あいつだ!)
即座に御坂は行動する。
見失う前に捕らえて情報を吐かせようと。
フレンダに接近しようと駆けるが、直後、赤外線センサーにかかってしまった。
ドバンッッ!!
並大抵の能力者なら確実に仕留められるであろう陶器爆弾が炸裂した。
しめたとばかりにニヤリとフレンダが不気味に笑う。
が、
バチィイイ!!
御坂は眉一つ動かさず、その破片を全て能力により弾き返す。
(嘘っ!?陶器爆弾を一蹴!?)
(カッケェ)
今まで相手にしてきた能力とはレベルが違う事を認識し、頬を引き攣らせるフレンダ。
何事もなかったかのように自分の立つ階段を駆け上がり始めた御坂を視界に収め、内心慌てながらも、御坂を引き付ける。
そして、
「まずいわ!凄い形相!捕まったら八つ裂きにされちゃうかも!」
(糞みてぇな演技だな。あいつバカか?)
果てし無く演技くさい口調でそう叫び、ニヤリと笑った。
「なぁーんつって☆」
(うぉおおお!?ちょ!ざけんな!)
次の瞬間、火花が階段、手摺、柱に走り、階段が瓦礫となって崩れ落ちた。
「大分引きつけたから結構な高さから落ちた訳よ!」
渾身のドヤ顔でそう言うと、フレンダは勝利を確信した。
いかに高位の能力者といえどこれは無事では済まないはず。これでボーナスゲッツ。
が、御坂美琴はレベル5の第三位。
舐めてもらっては困る。
磁力を操り鉄の塊を繋ぎ合わせ、彼女は地に落ちることなくそこに立っていた。
フレンダのドヤ顔が一瞬で凍りつく。
そんな彼女を鋭く睨めつけ、御坂は言う。
「残念だったわね。
私を落としたいのなら……鉄分を抜いて、施設ごと建て直しておくべきだったわね」
「なにそれ!?ずっる!!」
(ずっる……俺なんて頭から落ちたぞ)
そう非難するフレンダだが、ここは能力者の
敵対することになった相手が軍隊を相手取る事が可能な化け物であったとしても文句は言えない。
慌ててとある空間に逃げ込むフレンダ。
追いついた御坂は怪訝そうに眉をひそめた。
「随分簡単なミスをするのね。
慌てて判断を誤ったのかしら?」
そう、何故ならフレンダが逃げ込んだのは出入り口が一つとなっている部屋。
自ら袋小路へ飛び込んだ訳である。
自分をここまで追い詰めたのだ。
単なるミスでこのような行動は取らない筈。
そう思い、警戒を緩めずにその部屋へ足を踏み入れる御坂。
対して、フレンダは余裕あり気にこう答えた。
「ふふっ………どう思う?」
****
さて、区切りが良くなったここで、鵠沼恭弥が何をしていたか簡潔に説明しよう。
やっていたことは至って単純である。
例によって能力を使い、果てし無く影を薄くしていた。
さらに、『フレ!フレ!』『フレンダ!』と書かれた二本の旗を両手に持って、振り回しながら御坂の背後に付いて走っていただけである。
馬鹿か、コイツ。
みこっちゃんの能力の応用性はチートだと思いますね
あんなのを相手にフレンダはよく頑張ったと思う