テンションが上がってきたァーー!
今だったら文花帳の美鈴をクリアできそうな気がする!
………………うん、無理ですた。
side美鈴
レミリア様が社交界に趣いても私は何一つ変わらず門番としての仕事を続ける、続けなければいけない。
お嬢様がいないことを何者にも気取られないように…だから…。
「私が…寝てても…問題…なし…zzz」
「ふぁー。」
さて、もうそろそろ咲夜さんが来る時間かなー。
それにしても咲夜さんも大分あれだよなぁ。
ほんのちょっと睡眠を取っただけでナイフを飛ばしてくるなんて…。
ちっちゃい頃はあんなに甘えてきていたのに、紅魔館で迷子になって泣いていたり、掃除の時に壺を割って泣いていたりして…
その時は私の名前を呼びながら抱きついていたのに…紅魔館色に染まったよなぁ。
……紅魔館色…赤?
…深く考えないようにしよう
ああ、暇だなぁ。チルノちゃんは昨日来たばかりだからしばらくは来ないだろうし…、昨日が魔理沙ちゃん、一昨日には霊夢ちゃんが昼餉を
たかりに来たっけ…じゃあ今日はなんにもないかな?
そんな取り留めのないことを考えていると不意に屋敷内の声が聞こえた――私の持つ『気を使う程度の能力』は身体能力を上げることができ、当然の事ながら聴覚なども普段は上げている――。
「――チェェ、美鈴(みれい)ぃ、小悪――」
みれい?ミレイ―…
「ふ、ふふっ――――ダレダ…」
反射的とも言える素早さで声のした方へ駆ける。
瞬間的なスピードで言えば魔理沙ちゃんも超えていただろう(飛んでいるわけではないが)。
この辺で気は一つだけ…そこかぁ!
「誰ですか!私を美鈴(みれい)って呼ぶのは。」
目の前にいたのは…お嬢様!?
いや、違う咲夜…ちゃん…?
いや、どっちでもない。
「…っ!」
昨日に説明があったお嬢様の人形。
これが人形?
私には目の前の子は、ただあの頃の…私が咲夜さんを咲夜ちゃんと呼んでいた時の迷子となった時のソレと重なって見える。
「みれーい!」
「っ!!」
しまった。あまりの事に放っておいてしまった。
「じょぐどうまでづれでっでーー!」
ああ、もうガン泣き状態だ。
「わわっ!ええっとお嬢様?」
なんと呼べばいいのか分からず疑問系で呼んでしまったが大丈夫だろうか…。
「びえぇーー!」
うん、それ何処じゃさそうだなぁ…。
「落ち着いてください。」
ゆっくりと落ち着かせるように抱きつく、この時背中をさするのがポイント…まぁ咲夜ちゃんの場合はだけど…。
「うぐっ、ぐすっ、ひっく。」
痙攣もなくなってきたしもう大丈夫かな?
離すと自分の行動が恥ずかしかったのか目元を拭ってから言い訳を始める。
もしかしたらレミリアさまがちっちゃい頃はこんな感じだったのかもなぁ。
折り合えず相槌を打っておく。
するとごまかせたと思っているのかすごく満足げに胸を張っている。
咲夜ちゃんもそうだけどすごく保護欲が湧いてくる。
というかよくよく考えたら魔理沙ちゃんを通してしまうのも怪我をさせないようにしているからだし、昨日持ち場を離れて怒られたのはチルノちゃんに構っていたから…もしかして私って子供にすごく甘い?…そんなことはないはず。
「美鈴(みれい)、せっかく会ったのだから私を食堂までエスコートしなさい。」
よし!ここは一つきっちりと怒っておこう。
「あ、あの。お嬢様?」
私の名前は飽くまでもメイリンだ。
「何?美鈴(みれい)。」
問題が解決したからなのか、凄く良い笑顔。
…ここで叱ったりしたらまた泣いて、落ち込んじゃったりするのだろうか…。
「あ、あははー、分かりました。不肖ながら私、紅美鈴(ホン メイリン)がエスコートさせていただきます。」
…ま、覚えてもらえればいいよね?
少女移動中…
そう思っていた時期が私にもありました。
食堂に移動する間もずっとミレイでした。
うう、何故?紫さん…同じ勢力の名前って結構重要な幻想郷の知識の一つだと思います…。
あっと、いけない…。
「お嬢様?こちらが食堂です。この前改装してお嬢様のお部屋までこの道を真っ直ぐ行けば付くので便利になりましたよね!」
とりあえずの応急処置、迷う確率は下がっただろう。
あれ?そういえばなんで咲夜さんが居るのに一人で彷徨って泣いているなんてことに?
疑問に思いながら扉を開ける。
開けて気がついた。咲夜さんから放たれているのは嫌気に怠気、そんな負の感情の気にまみれている。
それでも表面上は取り繕って、普段お嬢様の席ではなく一番手前の席に案内する。
でもお嬢様を案内した時に辛そうな表情をしていた…。
恐らくは自分の感情が整理できなくて持て余しているというところか。
それに運ばれてくる料理…取り敢えずその料理はレミリア様でも泣きますよ?
というかお二人とも…特に咲夜さん、泣くぐらいなら最初からしないでくださいよ。
お嬢様も、無理に食べちゃダメですよ?
うーん、どうにか…よし、申し訳なありませんが妹様を言い訳に使えば大丈夫だろう。
「ああーー。そうだ、お嬢様、ちょっと食べるのを待っていただいてよろしいでしょうか?」
棒読みなのは演技の下手なお二人のせいに違いない。
「―ひっぐ、ひっぐ、なに?みれい。」
「少しだけ待っていただけますか?咲夜さん、ちょっとお話が…。」
取り敢えずお嬢様は待機!
先に咲夜さんの問題から…。
廊下に出たはいいけれど、咲夜さん目を合わせようとしないしポロポロと泣いている。
――はぁ、この子は昔から――
気づくと無意識に頭を撫でていた。
でも、昔とは違う。今の咲夜さんならきっと大丈夫、昔みたいにずっと甘えてくるなんてことはない。
――ほら、もう大丈夫。
もうその目には力強い光が灯っていた。
それがなんだか娘の成長…というのだろうか。そんな風のものを感じて少し寂しかったけれど、すごく誇らしい。
撫でる手を止め、お嬢様の料理を取り上げに行く。
きっとこれでお嬢様と咲夜さんは仲良くなっていけるだろう。
ええっと、料理を取り上げる場面?
特に書いて目新しい描写がなく削りました。
次の更新は日曜日予定、これもしっかりと顧客の引継ぎをしてくれない上司が悪いんや!
挨拶に伺おうとしたら教えてもらった住所が田んぼのど真ん中…orz
結局、他もごたついて今日の仕事は土曜日に持ち越しって…。
補足:美鈴=この作品内ではかなりの世話好き+子供好き、書いててお母さんかと思った
咲夜ちゃん=完全にオリジナル設定です
料理=レミリアも血だらけの料理には引きます。みなさん、料理の味が全部同じってどうですか?そういうことです
五話タイトル=門番の仕事じゃないっていうところがポイント