偽物吸血鬼のお嬢様   作:温いうどん

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今回から(一応)地霊殿編。ただし地霊殿とは言っていない……正確に地底には次回か次々回になります。あわせて今回からサブタイのふいんき(なぜか変換できない)が変わります。


地霊殿・共同異変

side人形

 

「地底に覚の姉妹がいるのね?」

姉妹?僕さとりのことは言ったけどこいしのことまで言ったっけ?

「んー。すくなくともさとりは居ると思うぞ?」

「地底……よりにもよって厄介な場所に……。」

地底ってそんなに厄介だっけ?キスメ、ヤマメ、パルスィ、遊戯、じゃない勇儀、さとりん、こいし――成程、勇儀を除いてロリロリしい面子!……なにが厄介何だろう?

「厄介……ですか?……確かに気性の荒いものや危険な能力を持つものが入れられる場所だと聞いているがこの面子ならば問題ないのでは?」

そ、そう!流石は咲夜、言いたいことを代弁してくれた。

「それは―――ってレミリアは何一人でプルプル震えてるの?」

「震えてる!?頷いていただけだ!」

「何か必死になって顔を上下に動かしてるから震えているようにしか見えなかったわ。まあ、いいわ。地底には封印が施されていて自由に出入りができないのよ。」

「封印…ですか?」

「そ、さっき咲夜自身が言ったように気性の荒いものや危険なものを入れておく牢獄のような場所なのよ。出入りは自由にされてはいけないでしょう?」

あ、なるほど、文字通りの牢獄なのか。幻想郷はすべてを受け入れる。ただし、自由とは言っていない。みたいな?

「ではどのようにして中に入るので?」

「私は知らないわ。興味を持たなかったから。」

「うーん、封印か…ここで詳しそうなのはパチュリーかアリス、もしくは八意かな?」

手持無沙汰なのかにとりが僕に後ろから抱き付きながら言う……えっ?なんだと!?隠れ巨乳!?

「残念。そこだけは私も得意分野よ。」

「あら?霊夢、あなたって術式とか面倒臭いっていってすべてその場の即興で適当に作っていなかったっけ?」

うわぁ、それで人外とやり合うって恐ろしい子…。

「だけって言ったでしょ。あそこは代々の博麗の巫女が術式の一角を担う場所なのよ。『四方配して陣と成す』昔ながらの有名で強力な封印術に紫がオリジナルを加えた特別な結界なのよ。」

ちょ、ちょっと待って、一から整理して――――ああ、先に進んじゃった。こんな話の内容わからないよ。

 

sideパチュリー

 

「『四方配して陣と成す』昔ながらの有名で強力な封印術に紫がオリジナルを加えた特別な結界なのよ。」

語られるのは古来からある4つの角を起点に作られる単純かつ強力な結界。五芒星や六芒星ほど条件を柔軟にはできないけど古来より四聖獣や四天王など守ることに関してはこれ以上はない。

「それで、解除方法は?」

「四つそれぞれが独立してそれぞれ別々の人物が守護してるのよ。」

「それじゃあ、その人たちに解除してもらえれば…!」

「そ、一つは私、でも後は大変よ?紫、藍、龍神。」

……!敵である紫が守っているというのはきついわね。

「問題ないと思うわよ?」

ん?ルーミア…?

「私の忌々しい封印が剥がれ掛けているもの。この封印は八雲紫と先代の巫女がかけたものだけど綺麗に“半分”が剥がれ掛けている。理由は分かるでしょ?」

(ルーミアの封印が半分…………!そうか、……分からない!)

今の私は『覚』でもないのに人形の心が手に取るようにわかる。というより顔に出過ぎではないだろうか?

うんうんとうねる様にした後、パァっと顔を輝かせて、首をかしげる…多分見ていた人は全員わかる。

「じゃあ残るは藍と龍神ね。……藍は外出してるけど大丈夫なの?」

「そうね。問題は無いんじゃないかしら。藍の方もルーミアと同じく『契約』が切られている可能性が高いはずよ。系統としては契約も封印も同じものにあたるし。もう今の藍は姿形は同じでも八雲とは名乗れないんじゃないかしら。」

「じゃあ、最大の難関は……。」

「ええ、龍神ね。存在自体は知っていたし文献も読んだことはあるけど、お目にかかったことすらない相手ね。」

だとすると…待てよ?

「普段はどうやって出入りしてるのよ。」

「出入りする必要はないわ。そこにいるだけで存在意義のあるものだからね。」

「けろけろ……、私より神様っぽい?」

…紫の性格上、私に人形のストッパーを作成させる紫ならば自分がいない場合の解除方法程度はありそうだけれど…。

「例えば裏でスキマで紫があってたりは?」

「あり得そうではあるけどそこまでは知らないわ」

「だったら―」

「それは―」

「でも―」

「じゃあ―」

「では―」

忌憚無く意見を交わし、知識の祖語を補う。それでも地底にはいる、龍神の施す封印を解くかは結論が出ない。

「んー。なあ美鈴。」

「はい?どうしたんですかお嬢さま。あ、御花摘みでしたら――。」

「違うから!そうではない。その龍神とやらは何で封印を解いてくれないんだ?」

「へっ?いや、だって…。」

また阿保な事を…。

「レミリア、神龍は別に私たちのことを監視していたりする訳じゃないの。」

この子を威厳のみたっぷりの阿保の子に聞かせるように言い聞かす。

「んー…。でもこれだけの騒ぎが起きてるんだから少しぐらい気になったりするんじゃないの?」

全く、また口調が元に戻ってる。…ん?

「龍神自体の人柄とか考えって言うのは思いもしなかったわ。」

「ここにいる皆さんが馬鹿じゃないですから逆に分からないんですね。」

うんうんと頷いているがつまりは気が付いたレミリアはそうゆう事(バカ)ってことよ?お願いだからもう少しだけ気が付いて…。

「じゃあ、龍神は何かあるって程度には気が付いてるのに何もしていない…?」

「あー、違うわ。さっき言った通り、神龍は存在していることに意味があるからこそ寧ろ、無暗矢鱈に動いてはいけない。動かないでくれって言ってあるみたいね。そもそも仮に手を出そうにも今まで起きたことで言えば紫関連の結界やら封印が解けただけだし手を出せるところだったら手伝ってくれるとは思うけど明確にどこで何が起こっているとかは知らないと思うわよ。そもそも地底事態は今、何の問題は無いでしょ。」

「んー…。じゃあ地底で異変が起きれば(・・・・・・・・・・)?」

「はっ…、そんなちょうどよく異変が起きるなんて偶然が起きるわけ―――レミィ…あなたもしかして…!」

「うん、ケロちゃん。」

「け、けろちゃ…!?っていうかなぜに私?」

あー、ものすごく格好をつけて(本物のレミィと同じく胸に手を当てるポーズ)しゃべリ始めた。

「紅魔館が全面的に協力しよう。諏訪神社と共同で…異変を起こさないか?」

恐らくは幻想郷始まって以来、博麗の巫女の目の前で異変の宣言を堂々とする異変―――後に最も珍妙な異変として語り継がれる異変が始まった。

 

 

side鈴仙・優曇華院・因幡

同日

 

風呂に水を張って酒浸しの布団を沈めた後、診察の時間が来てしまった。

けれど戦々恐々としながら風見優香に頭を下げに行くと、土下座と頭を踏まれるのと少しの小言だけ(・・)で済んだ。

「話で聞いていたより風見優香がやさしい…。」

ちなみに余談だが、聞いていた風見優香の話では『さでずむ』『アルティメット()サディスティック()クリーチャー()』、根も葉もない噂だったか。

そうして額に絆創膏を張って帰ろうとしたら―――竹林が盛大に燃えていた。

近くで慌てふためく藤原妹紅の話によると竹林の中で虫よけ代わりに少し火を出したらなぜか燃え広がってしまったらしい。

恐らくは布団を駄目にしたあのにっくき酒の雨の酒に引火させてしまったのだろう。

周りの竹が盛大に弾け飛び、痛い思いをしながらなんとか消火すると妹紅からお礼として一升瓶の日本酒をもらった…嫌がらせか?

そうして(ようや)く永遠亭に着くと……鬼のが唸り声をあげながら右に左に転がっていた。

「頭痛が痛いよぅ……。」

病人ということで突込みは控えた。(+鬼が怖くて突っ込めなかった。)

問答には支障なかったので話を聞くと

①二日前から久々に友人と酒を飲んでいた。

②つい二時間前に宴会を終えて居候している神社に帰る途中で頭痛が少しした。

③仕方なしに永遠亭に来たものの手足が震え酒が抜けているにもかかわらず寄ったような酩酊状態。

④なんだか誰かに狙われている気がしなくもない。

…………完全にアルコール依存症だコレ……。

「いやぁ、私がアルコール依存症なんて成るわけないしさぁー。あれかな、酒が足りないのかな?」

やばい、どうしようこれ。 ※アルコール依存症は本人が依存症だと認めない+怒りやすくなる事が多々ある精神疾患です。

「ソ、ソウデスネ……あ、試しに本当にお試しになんですが萃香さんの能力でその気分を散らしてみたらいかがでしょう?」

伊吹萃香……密と疎を操る程度の能力を持つ最上級の妖怪の鬼でり、あらゆるものを散らしたり集めたりすることができる―――自分自身(いぶきすいか)すらそれは可能。

「あう……んー、じゃあやってみる!…………あ、だいぶ楽になった。」

できればここに来ずに気づいて欲しかった。

「よっしゃー!酒が飲めるぞー!……ん?」

また酒飲みうのかこの幼女……ん?こっちの手元に視線が……酒。

「おさけ欲しいな。うるうる。」

こんな時にだけ露骨な子供アピール、しかも要求が酒。

「えっと要りますか「要る!」」

奪い取ってさっそくとラッパ飲みを始める幼女(すいか)

「うーん。、人間辺りが好みにしそうな水っぽい酒だねぇ。まぁ、偶にはいいか。」

水っぽい酒―――!これ、滅茶苦茶珍しい酒!

「あ、酒代と診察代でこれあげるー。」

もらったものは黒茶色の厚紙、栞かな?

「この前天狗から巻き上げた白黒の魔法使い(魔理沙)のパンチラ写真のネガ。

……いらない。

「あ、あの萃香様っ……いないし。」

恐らくは自分を散らしてどこかへ移動したのだろう。

「……お布団取り込もう。」

ネガは取りあえずポケットに入れて、風呂で沈めておいた布団を取り込みに風呂場へといった。

 

「―――あそこだな、あそこに例のものが……っ!」

 

ちょうどその時、空に謎の白黒が浮かんでいた。

 

 




補足:キスメ、ヤマメ、パルスィ、勇儀、さとりん、こいし=ヤマメとぱるぱるは作者によって変わりますが基本的にうどんの二人はわりと低年齢です。
   四方配して陣と成す=四方拝して人と成すお言う言葉が本物です。まあ、わかりやすくするために漢字変換。
   八雲とは名乗れない=要するに、陣となったのは『八雲藍』契約が切れているであろういまは『藍』であって八雲の者ではない別の存在なので『八雲藍』で行った契約も切れているだろうということです。
   鈴仙=唐突な鈴仙、けっして文字数稼ぎじゃないよ?ホントウダヨー。そして次回、うどんげをイジメます。うどんげ好きーにはごめんなさいな回になりそうです。
   風見優香=(どこかの師匠より)やさしい
   さでずむ=どっかの小傘がいってました。
   アルコール依存症=否認の病気とわれています。まあ、認めると断酒しなくてはいけませんので。
   水っぽい酒=いい日本酒は水の如しと謳われるらしいですね。
   ネガ=まさかもう一度出て来るとは思わないでしょう?……うどんもまさかもう一度出すことになるとは思いませんでした。
   謎の白黒=いったいどんな普通の魔法使いなんだ!?

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