ちなみに時間がたちすぎて忘れている人向けに書くと
「遠征から幻想郷に帰ろうぜ。ただしスキマつかえねえから電車でな」
以上
sideレミリア(ほんもの)
特に何事もなく列車に揺られること数時間(途中までは泣きじゃくる藍に抱き付かれていたが太ももとおなかを擦ってきてどこか危険な時の咲夜に似て来たので止めさせた。)田園風景の続く山間に入った。
「ようやく近くまでこれたな、向こうに着く頃には夜中か…。」
「残念ながら今日はここまでだ。紫様との契約が切れている私では結界が開く時間が来るまで待たなくてはいけない。」
「結界?開く?」
なにそれ。
「そうか、お前さんが幻想郷に来るときはパチェリー殿に任せっきりという事か。」
「な、なぜそれを…!いや、でもちゃんと手伝ったもん。」
「そうか、ちゃんと手伝えたのか、偉いね。やったね。」
「子ども扱いするな!」
そのまま私の頭を撫でてくる。
「ふむ、幻想郷の結界は知っているな?」
えっ、このまま話すのか?
「ああ、その程度なら。」
博麗大結界、現世と幻想郷とを隔てている結界…だったっけ?
「紅魔館からあの吸血鬼の館に移動するときには私のスキマで近くまで行ったが今はスキマが使えない。」
契約を切られたんだったな。
「なので正規のルートから幻想郷に入る。たまに何も知らない一般人がいわゆる“幻想入り”してしまう可能性の最も高いルートから入るんだが…。」
「入るんだが?」
「時間が決まっている。夜中にはいれるようになっても危険なだけだからな。その場所からはいれるのは朝だ。」
「危険?何がだ?」
「一般人が夜中に入ってきても暴走した妖怪に食われる危険性が高いし、例えば満月の夜に吸血鬼が人里の近くにいきなり現れても危険だろう?」
そういって不敵な笑みをしてくる。うざい
「次の駅で降りるぞ。駅の近くの旅館に予約を入れてある。」
いつの間に。
「ところで…だ。」
と急に張りつめた空気になる。
「…なんだ。」
周囲から音が消え、いつもの調子は成りを潜める。
「旅館の予約や費用は私が払わざるをえない。」
「…? 私が手元に持ってないんだ。当然じゃないのか?」
「吸血鬼のお嬢様よ。いや、無一文のお嬢様よ。態度がでかくないか?」
こ、こいつ…!
「目的は?」
この緊急時に面倒臭いが
「いや、もう少し和やかにしてもらって構わない―――」
特に具体的な数値の入らないその言葉は何の効力も持たない事なぞわかりきっている。くそっ、交渉事なんてここ数十年していないから油断していた。思えば先ほどの軽口は交渉として最悪だったな。幻想郷に入る際には私がパッチェに任せっきりで知識がないことを露呈させてしまっている。余程のことでない限りは要求を呑まざるを得ない状況に成り果てている。
「私だって辛い、だが仕方のない事なんだ。要求は呑むのだろう?詳細は旅館で話そう。まあ何だ。―――諦めてくれ。」
『諦めてくれ』か、くそっ!その通りだ。諦めるしかない。
これから行われる交渉という名の理不尽に思わず歯噛みしながら藍を睨む。
「~♪~~♪」
それを気にした様子もなく鼻歌を歌いながら、すでに交渉を終えたと言わんばかりの笑顔で何かを思案している。
終ぞ旅館につくまでの間、
旅館
受付を滞りなく進み(藍がやった)、部屋に入って荷物を整理して(藍がやった)、茶を入れ(藍がやった)、(私が)一息ついたところで藍が話を切り出してきた。
「さて、先ほどの話だが…。」
もはやこちらに断わるだけの力はない。だからこそ単刀直入に要求してくるのだろう。
「まずは何も言わずにこれを見てもらおうか。」
そうして出てきた物は―――。
―――
――
―
「もう…いっそのこと殺せ…っ!」
あれから一体何時間が経っただろうか?
1、2時間?もしかしたら10分も経っていないかもしれない。それほどまでに私の精神は疲弊していた。そう―――
「まだだ…。まだ、半分すら終わってないぞ?」
「もう、もう止めてくれ…!何故なんだ!何故お前が私にぴったり合う服を大量に持ってるんだよ!」
藍の着せ替え人形となってから。
「次はこれだな。」ミニスカサンタ
「おかしいだろう!何で雪国の妖怪(?)で在らせられるサンタクロースさんの衣装がミニスカートなんだ!?」
えっ?サンタクロースさんが居るかどうかって?何を言っているのやら、いらっしゃるに決まっているだろう。私は去年ももらったしな。
「じゃあ、後3枚。3枚だけ取ったら休憩で風呂に行こう。」
「ぐぅうううーー!3枚だけだからな!」
一言だけ言わせてもらおう。
「何でだよ!?」
結局のところ、この狐は所詮は狐だった。それも真正の変態な狐。
言葉通りに旅館の費用の対価として求められたのは色々な衣装の撮影会。
「仕方がないだろう。
「………。」
「………。すまない、何か反応してくれないか。」
「暫く無視しようかと思ってな。」
というか3着を早く済ませたい。
少女着替え中
くそ、何でこんなに短いんだ?これではサンタさんも寒かろうに…。
少女着替え中
うむ、水着だな。こいつの事だから露出の多いものを着させられるかとも思ったが全身を覆ってる。何故か真ん中に名前を入れる箇所があって『れみりあ』と書かれてるのが気になるが…。
少女着替え中
Yシャツ1枚?………これ、咲夜にも着させられたことあったな…。
「これで一先ず休憩だな?」
「ああ…、先に行っててくれ。ここは露天風呂で有名な所だから楽しんで来るといい。私は
? なんだか普通の台詞なのに悪寒と軽蔑的な感情が…?
「で、では先に入ってる。」
あまり深く聞いてはいけないのだろう。というか聞きたくなかった。
この時の私は想像していなかった。休憩後に待ち受ける服の山の前で言われる残り80着という絶望を。
という訳でレミリア回でした。レミリアの次回の出番はおそらく幻想郷内でしばらく先です。前回と比べると文字数が少ないので補足の前に
おまけという名の文字数稼ぎをどうぞ。
電車内にて
「おい、さっきから何をいじってるんだ?」
「ん?スマホで予約を…っていうか携帯ってわかるか?ほら。」
「携帯位は分かるが、スマホ?…おお!?指で動く!」
「ああ、タッチパネルで動く携帯でな…。ここで電話ができて…こっちはゲームだ。少しやってみるか?」
「おおおお!!!えっと、これか!」
適当に方位磁石の様な箇所にタッチする。
「あ、ちょっ、そっちじゃない…!」
ハラショー! レディーヨ! タヨッテクレテイイノヨ? ナノデス!
「ま、待ってくれ。そっちじゃなくてパズルな方をやろう。ドラゴンをやろう。」
そういって私からスマホを奪い取って別のゲームを起動する…ソフトがいらないとは便利だな。
「そら、お…ちょうどフレンドに輝夜が居るな…。」
「なんだあの引き籠り、連絡とる相手なんて精々が
「いや、むしろ
手紙がどうの線がどうのと話していたが意味が解らん。
「おい、魔法石とやらが足りないそうだぞ?」
「は?…おいぃぃ!ガチャ引いたのか!?結構貯めてたのに!?」
泣きながら狐が迫ってきた。
「私はただ仲間を増やしただけで…。」
「…はぁ、もういい。スマホすら知らないのに一緒に見てなかった私も悪い。で、何を引いたん―――どうやったら結構な回数をガチャしてノーマルばかりなんだ?」
「ん?いきなり強いの仲間にしても詰まらんだろう?だからそういう運命にした。」
「やっぱり一発殴らせろ。………いや、待てよ?」
そういってスマホをいじり始める。
「これ、これを運命をいじって思いっ切り強いの引いてみてくれ。」
「ほれ。」
「こ、これはカリオストロ!?…じゃあこっちは」
「ん」
「ローレライ…っ!仕方がない、無知ゆえの間違いは誰にでもある事。大事なのはそれを許す広い心だ。…むふっ、これでレミリアさえいれば何故か無茶苦茶にレア度の高い物ばかりの輝夜姫にも勝てる!」
輝夜姫…ああ、永遠亭だっけか、一度(異変で)咲夜に襲わせた事もあったな…あれ?
「そういえば永遠亭では何度も運命が転向しているな。具体的には誰かが幸運に恵まれている。」
「え………!そうか、あそこにいる兎の一匹が幸運に関する能力を―――あいつ、ずるしていたな!?」
「今のお前が言うセリフか?」
その後も他愛のない会話をしながら列車の旅は続いた。
補足:ぴったり合う服=なぜ持っていたかは謎………という事でもなくレミリアと旅行すると決まった日から着々と準備していたもの。スキマが使えていたらこの三倍の量が出てきていた。
サンタクロースさん=元ネタがキリスト教なのである意味すごい。
チェンタイト・レミニウム=元ネタはガンダム関連らしいです。ちなみにそれをネタにした這寄れニャル子さんをさらに元ネタにしました。
おまけの補足
ハラショー!=ちなみにこのゲームをうどんはやっていないので画像と名前を検索して藍が好きそうなのを探しだしたっぽい
パズルな方=うどんはすごく弱いです。
カリオストロ=とあるスマホゲームのろり、ちなみにレア度が高い。
ローレライ=実はやっていないスマホゲームなのでレア度が低かったらごめんなさい。