ギャグ満載の物語の方が好みなんですけどねえ?
side人形
僕はレミリアじゃない、ただ気がついたらレミリアの容姿になっていた。
それでも言えなかったのは最初は怖くて言い出せなかったから、今は一緒にいるのが楽しいから。
『紅魔館の皆は私含めて吸血鬼としては偽物でも本物のお嬢様だと思ってます。』ろくに、吸血鬼として対して力を持っていないという比喩表現であって本当に中身が違うだなんて考えてもいないだろう、けど…けどやっぱり嬉しかった。
でも、それは本来ここにいるべき
「むきゃ。」
「あややや、抱っこしているんですから無闇矢鱈に動かないでくださいよ?」
今、僕は移動が遅いからと文の右腕の中に収まっている。
「私が出て行ったときはパチュリー様と妹様が八雲さんと、咲夜さんが霊夢さんと戦っていましたがどうなっている事かわからないのでなるべく静かにお願いしますね。」
「でも!……むっー…。」
そのまま美鈴に口に手を当てられ……なんでお口にチャックのジェスチャー!?子供扱いされてる!?
「…私の能力ではこの先に3…いえ、4人の気配があります…。」
「あややや、どうかされたのですか。人数的には……そういうことですか。」
「…ここで戦闘を行っていたのはいずれも幻想郷トップクラスの実力者たち、おまけにお互いに意見が真っ向から対立している。」
「……仮に紅魔館組が勝っていたのならばここにパチュリー様とフラン様がいらっしゃるはおかしいんです。霊夢さんと紫さんはその立場上、絶対にスペルカードの勝敗を守るはずですから放っておいていいのですから…。逆に紅魔館組は最悪、負けても構わずルールを無視する可能性がある以上は気絶させるか監視させるかをさせなければならない。とは言え相手は搦手の得意な魔法使いに妖怪の中でも特に身体能力の高い吸血鬼、普通に考えれば霊夢さんか紫さんかのどちらかをおいておきますね。」
ふたりが小声で確認を取る中、ポカーンと口を開けて聞きに徹していると不意に見過ごせないことを言ってきた。
「もしこの先にいたのが紫さんなら――私が止めるので射命丸さん、お嬢様をお願いします。」
「しょうがないですね。ま、定期購読者のよしみです。但し、今度はなにかネタくださいよ?」
「ふふ、仕方がないですね。では、今度は不詳ながら私がモケーレムベンベのモノマネを…。」
「あなたの所では流行っているんですか?ソレ…」
なんで…なんで笑っていられるんだろう。ことによっては僕なんかのせいで危険が及ぶというのに…。
「そんなのだめ!」
思わず叫ぶ。
「ちょ、お静かに…お静かにお願いしますよ!?」
(そんなにモケーレムベンベが嫌いだったんですね。)
「わかりましたから、もうそんなこと言いませんから落ち着いてください。」
(モケーレムベンベにでもあったことがあるんでしょうか、お嬢様。)
良かった。僕なんかのためにみんなが危険な目にあう必要はない。
「それじゃあ行こう。」
そうだ、話し合えばなんとかなるだろう。あの時、僕に死んでくれるっていってた紫は泣きそうな顔をしていた。きっと話し合えば大丈夫。
少女移動中
そうしてたどり着いた玄関には倒れ伏したパチュリーとフラン(小悪魔は大図書館、少し離れたところで隠れてるって美鈴が言っていた)、そして怪しく微笑む紫がいた。
けど――
「その人は、その男性の死体はなんですか。八雲紫…。」
ミイラのように皺くちゃになった死体が一人、先ほどの銃を持った人たちの一人?
うぅ、怖いミイラになった死体も怖いけどそれ以上に。
「気にすることはないですよ。先に襲ってきたのはコレですので、少し傷つけられて思わずヤってしまいましたわ。」
「あやや…、笑えない冗談――いえ、あなたに限ってはこういう冗談だけはしない人でしたっけ?何をお考えですか?」
三人ともすごく怖い、戦闘だのといった知識なんかないけど殺気というものがまるで目に見えるかのようだ。
「レミリアお嬢様――ああ、お嬢様のことはこの場にいる全員が事情を知っていましたね。」
「私!私は詳しくは知りませんから!私にはあとで説明お願いします!」
すみません、私にもついでにお願いします。そんなことを思っていると八雲紫も少し呆けた表情になっていた。
「記事にしないんでしたら。」
「記者に対して記事にしないでっていうのは酷ですねぇ。仕方がないのでもっと部数をとってください!」
「射命丸さんの記事を毎日は要りませんよ。」
軽口を聞いている今でさえ二人の視線は射殺さんばかりに紫を見ている。
「事情ね…。まあ、いいわ。紅魔館は――」
僕の方を値踏みするように見ると扇で口元を押さえながら笑う。
「どうにでも出来そうね。」
そう言って炎を飛ばし――うわっ!
「お嬢様!」
「風符「天狗道の開風」、スペルカードの領域ではないですね。全く」
けれど、炎を細切れにして飛散させていき消してしまう。
そして、飛んできた火の粉を僕は見てしまった――ああ、またあの感覚が、力が抜け頭の中でノイズが走るような感覚がきた。
「■■■!■■■!」
ああ、前よりもひどいんだろうなぁ。もう何言われてもノイズにしか聞こえないや。
あれ?でも前よりも苦しくない?おかしいな視界がぼんやりだけど戻って…きた?
side射命丸 文
「風符「天狗道の開風」、スペルカードの領域ではないですね。全く」
飛んできた炎の大きさは大したものではないですが陰湿で無駄に長生きな紫らしい複雑怪奇な術式の編みこまれた炎はスペルカードを使用してようやく消せるものでした。
でも、これのおかげで嫌なことが証明されてしまいました。コイツは確かに紫だ。家のトップ、天魔様をして解けないと言わしめた術式は紫しか使えるものがいない。
「お嬢様!お嬢様!」
な…、レミリアの方には危害が及ぶような炎は行ってないはず、目が虚ろ、酩酊状態ですね。
でも――今、介抱しているのはほかの誰でもない気を扱う程度の能力者、紅美鈴その人だ。任せてしまって大丈夫だろう。
「すみません!戦闘のお手伝いは出来そうにありません。」
「大丈夫大丈夫!この程度では天狗は捕まえられませんよ!それよりもしっかりとその子を守っていてくださいね。」
「ふん、戦闘の余波でヤられちゃったかしら?いい気味ね。」
「随分ないいようですけれど、あの子があなたになにかしましたっけ賢者様?突符「天狗のマクロバースト」」
「単なる独り言よ。いちいち突っ込まなくていいわよ。それにしても技名なんて叫んじゃって…しかも殺傷能力皆無の威力、そんなに殺して欲しい?」
一発一発が必殺の威力な上、面倒くさい術式でホーミングしてくるためにこちらは数で抵抗しているが……もうそろそろ限界が見えてきましたね。
殺傷能力を持った技、使いたくはないなぁ。
「ま、四の五の言えない状況だからそうさせて貰うわ。」
「へっ?」
「あやや!?」
突然、今まで気絶していたと思っていたパチュリーが術式を紫にぶつけ、紫が日に包まれる。
「アアアアアーーー!」
「日符「ロイヤルフレア」、後から宣言させてもらうわ。」
悠々と服の埃を叩きながらそう宣う…
「あやや…、いつから起きていたので?」
「最初から――と言いたいところだけれどあなたたちが近づいてきてからよ。ま、喘息で動けなくなった時のために編んでいた自動回復系統の術式が発動してくれたおかげね。」
「それは結構、それにしてもえげつないですね。せっかくなので奇襲でのスペルカード勝ちのご感想をいいですか?」
「馬鹿なこと言わないで、ところでさっきから火の勢いが止まらないのはあなたの仕業?」
「はい!周囲に風を送り込んでいます。ま、これではさすがの賢者も防御どころではないはずですよ。」
適度に焼き終わったら出してふん縛れば任務終了、後はこのとくダネをどう扱うか…あややや、余りにもでかすぎて困るとくダネとか扱いにくっ!
「そう、今日が幻想郷最後の日なのね。完璧に奇襲が決まったから防御すらしていない相手に対して非道ね。」
「あ…あややや、しょ、消火消火!そうだ、風を逆に吹かせれば――やった、消えてきた!」
ふう、危ないところでした。危うく幻想郷を終わらせるところでした。そんなことしたら天魔様が泣いちゃいますね。
「弱ったところにただでさえ空気の少なくなった日の中からの真空攻撃、死体を踏んづけるような真似がよくできるわね。」
「く、空気投入!」
あ、また燃え上がってきた。
「助けてえーり……パチュリー。」
「っと、そろそろ危なくなってきたわね。水符「ベリーインレイク」」
ふう、ようやく消化できた…あ、黒焦げの真ん中あたりにあるでかくて黒い塊が紫さんでしょうか?
プスプス言ってますね。
「ま、なんとかなるでしょ。今は霊夢が八意永琳を呼んできているし…。」
「あややや、準備のいいことで。そういうことならこれは放っておいていいですかね。さて、急に倒れちゃった原因とかはわかっているんですか?」
「ええ、お嬢様には以前にも火を見て気絶したことがありました。おそらくはトラウマのような精神的なものかと…。」
「トラウマでも取り乱すのならわかるのですがいきなり気絶というのもありうるんですねえ?八雲紫の様子も明らかに以前と違いましたしもしかしたら新たな異変――とか?」
そういっておぼろげな様子でこちらの様子を見てくるレミリア(仮)ちゃんを撫でる。普段の小生意気なレミリアもいいですがこれはこれでいいですね。
「あぁ!ああああああああ!舐めるな!」
完全に注意を向けていなかったこと、避けると美鈴さんとレミリア(仮)ちゃんに当たってしまうこと、このところのスペルカードルールによって奇襲などのない生活をしていたせいか意識を完全に回復に向かっているレミリアちゃん(仮)に向けてしまったのが悪かったのでしょうか。
すぐ目の前に迫ってくる炎弾に対して防御しかできませんでした。
「うっ…。痛っ!」
とっさのことに羽で身を守ったおかげか全身に痛みこそあれその翼以外は無事だけれどあざ笑うかのように数十発の
容赦なく降り続けてくる炎弾に目を固く閉じてその時を待つ――ドガッガガガ――あれ
「大丈夫ですか、すみません、もう少し早く反応できたらよかったのですが…。」
「防御術式展開起動。」
見るとパチュリーが防御式の結界を張り、美鈴が結界に気を巡らせて強化し、に私を守ってくれました。
「けほっ、あややや、正直死ぬかと思いました!」
あややや、正しく間一髪ですね。私たちの周りに敷いてあったはずの絨毯は黒ずみとなっています。
「その、程度、で、防ぎきれると、思うな!」
言葉の合間合間で一発当たれば死にそうな威力の弾幕を貼ってくる。
「っつ…!」
「うっ…!」
「あやや…、拙いですね。これじゃ反撃も何もできないですね。」
頼みの結界も徐々に罅が入ってきていますし。
「……私の奇襲が失敗した時のことを想定して小悪魔にフラン様を治療させている。だから、もう少し粘れば…!」
そう言っている間にも罅が大きくなっている。あややや、こちらも先ほどの一撃で意識を保つのが精一杯だというのに。
パリン
そして抵抗虚しく最後はガラスのように音を立てて割れてしまった。
「散々粘ってくれたがこれで御終いだ!」
あの腐れBB――紫が一際でかい霊力のこもった弾をまるで今までの粘りをあざ笑うかのようにゆっくりとした速さでしかし当たれば確実に消滅するその弾を射出してきた。
「……くっ、もう…魔力が…。」
「こうなればこの身を犠牲にしてでも…!」
お二人は既に命の覚悟をしているご様子で、ですが――
「残念ながら死ぬときは顔良し性格良しの器量良しかつ高収入高身長高学歴な旦那様とサッカーチームができるくらいの雛鳥を生んだあとに畳の上で大往生と決めているのでこんなところでは死ねません!」
((文って産卵性なんだ))
なにかお二人が驚いていますが今はかまってられません。にとりに作ってもらったカメラ、撮ったものの魔力を使って現像するため弾幕ごっこ程度の魔力ならば消してしまう代物。
カシャカシャカシャカシャ
常ならば巻いたまま取るために写真がブレてしまうために使えない自動巻きとり機能を使用して、魔力を散らす。
カシャカシャカシャカシャ
「これぐらいなら飛べない状態でも――塞符「天孫降臨」」
荒れ狂う暴風が威力の弱まった霊力の塊を押し返し始めて――爆発した。
「きゃ」
「ぐっ」
「うっ」
「がっ!?」
四人ともに爆風で飛ばされる。
私は自身から風を出していたことで意識こそありますが…パチュリーさんは頭を打ったのか気絶、美鈴は朦朧としている。
対して紫は――
「ハァハァ…殺す、殺してやる…!」
あややや、未だご健在そうで…。
「これは…本気で…まずいかも…。」
「とりあえず。最初は一番厄介なあなたよ――射命丸文」
「は…っは、あやや、まあお待ちください。ほら、もう動けませんし、ねえ。」
隙はあまりない。
「死になさい!」
あー、これは
「ここまでか…」
紫の手から光弾が放たれる――これが私の最期か――
ゆっくりと近づいてきた光弾に今度こそ成すすべもなかった。
というわけでまだまだシリアスが続きます。書きにくくて仕方がない、ここを…ここさえ乗り切れば作者の好きなギャグをたんまりと書ける…!えっ?文章能力が足りない!?
補足:モケーレムベンベ=レミリアの得意な物まね。ぎゃおー!たーべちゃうぞー!
男性の死体=ちなみに文と
でかくて黒い塊=どうしてもギャグっぽいものを無理やり入れたのがこの結果、ゆかりんは犠牲になったのだ…。
次回更新は一週間後、6日です。