ちなみに我が家では犬がよく脱走します。
sideレミリア
この城に着いてから早5日、正直ここまで厳重に監視されるとは思わなかった。
「おい!看守、まだ誰が犯人か全く目星もつかんのか?」
「…ツキマセン。」
「やはり貴様では話にならん。現在の責任者を呼べ。」
「…イマハ、アエマセン。」
クソッ、取り付く島もない。
「おいっ、何時の間にか捕まってた役立たず。」
今現在拘束されている独房には私ともうひとり…。
「何だ?事件第一容疑者。」
変態な狐と二人きりだ。
「貴様は第二容疑者でわたし的にはお前が第一容疑者なんだがな。あの時間は何をしていた?」
「…すまんが話せん。だが私は犯人ではない。」
「…ふん、まあいい。犯人が誰かなんてこの際は関係ない。そろそろ私を出せ。」
「出ると拙いのではないか?何時だったか言っていたコミュニティも弾き出されるだろうに。」
「そこも問題あるまい。ヴァン・カルンスタインさえいなければ積極的に私たちを粛清しようなんてやからは少ない。むしろ反対してくる奴のほうが多いだろうな。今は吸血鬼減ってるし、わざわざ幻想郷にまで危険を冒してまで来て討伐したがるやつもおるまい。だから早く転移しろ。」
「…すまん。」
「……は?」
「ここの主人のヴァン・カルスタインはやたらと警戒心が強いやつだったみたいでな。私レベルの転移術では無理だな。」
「チッ、使えんな…でもお前のご主人なら出来るんだろう。タライ落としてたし。」
「使えるのだろうが多分助けてはくだされないだろうなぁ…。」
「…どうするんだ?多分あいつらこちらを出す気はないぞ?魔法使いやら吸血鬼やらを多数抱えたこの屋敷の者たちが未だに犯人を捕まえられないのはおかしいんだよ。」
イライラしながら言う。
「おおよそ正気の沙汰とは思えん程に凝った魔法…どういう人物だったんだ?」
うわー、そっち方面でから考えようと?…面倒臭い…。
「あー、何か以上に血統と言うよりも私個人に執着心を持った変な奴だ。」
「…それってロリコ「それ以上は私への挑戦状と受け取るが?」」
「後は日本文化に造詣が深く、幻想郷についても調べていたとか…。噂だと幻想郷に乗り込もうとして失敗したとか…。」
「はあ!?幻想郷はよっぽどの事でなければ来るもの拒まずだぞ!?」
「ま、あくまで噂だからな。私もアイツのことは嫌いだったからな…情報としてはこの程度しか持ち合わせておらんぞ。」
「結局ここから出る手がかりはなしか…。」
「というかあの隙間はどの程度までが今のところ計算通りなんだ?」
「ん、今捕まっている以外は…。」
「大事な部分がダメな気がするんだが?」
「いや!セーフだ。この先は計画上重要な事柄には絡まないし、もしかしたらこれすらも全知全能な紫様なら把握しているかもしれないし…だからセーフだ!」
ああ、まだ鑑賞会とやらは諦めてないのか…とっくにアウトだと思うが…。
「…脱獄でもするか?」
「看守がこの会話聞いているのにか?」
「…ヤメテクダサイネ。」
ほれみろ。
「はあ…、こうドカッと壁が壊せんもんかね…?」
「流石にこの魔法防壁の厳重さを見ると期待できんな。」
そう言って軽く裏拳をかます――ドゴッ
「「「……。」」」
「……い、行くぞ!!」
「お、おう!?」
「…マ、マッテクダサイ!」
問題はあの人形だな…館を出てくるときには随分とねっとりとした不気味な運命が絡みついていたが…。
side傭兵団
博麗神社
「さて、この神社だな。意味はわからんが形が同じだ。」
ミス・ハーンから聞いた神社はここで合っているはず。
「おい!野郎ども、ここが転移できる場所だ。行くぞ!」
転移のための御札は四方に配して陣となすことでその効力を発揮するらしいが入っている御札は8枚、一回こっきりで意味がなくなるとも言っていたので往復分しかない。
「よーし、これでいいのか。」
四角形に御札を貼ることでその真ん中に明らかに異質なもの、両側をリボンで結んだ空間が口を開ける。
「シット!この中に入るのか…。」
見ると中には目が蠢いている。
「さあ、何時も通り妖怪をぶっ飛ばす、行くぞ!」
「「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」」
館一つとの全面戦争だ。
過去最短かもしれません。そして、ようやく物語も動き始めてました。
補足:看守=狼男です。かたことです
ヴァン・カルスタイン=死んでもなお名前が出てくる意外でもなくしつこい人です
犯人を捕まえられないのはおかしい=この先解説は出てこないのでここで、理由は二つ、ほとんどの人がちょうどよく他の吸血鬼が集まっているのをいいことに新しい就職先を見つけるのに忙しいのと頭首自らが犯人のことをどうでもいいと書いた遺書のようなものが置いてあったから、後カリスマ皆無だから…アレ?三つ?
次回、ちょっと流血表現が出てくるかもしれません。