偽物吸血鬼のお嬢様   作:温いうどん

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新作じゃないです。レミリアも人形も出ませんが偽物吸血鬼のお嬢様であっています。



新聞記者、取材する

side射命丸文

 

「文さーん!仕事に戻ってください!」

ええっと…、『そのまま博麗の巫女は団子の支払いを踏み倒した』…と、よし!人里では貪るように読まれること請け合い。

このまま購読者が増えることも…。

「文さん!いい加減仕事に戻ってください!」

へ?

「なんですか椛。いきなり大声を出して…発情期?」

「違います!仕事の時間です!今日は私と文さんが西側地区の巡回なんですから!」

「…えー、椛が一人で行ってきてくださいよー。能力使えば楽勝でしょうに…。」

彼女、犬走椛の千里先まで見通す程度の能力を使えばできないこともないはず…!

「嫌ですよ!先週も二回私だけにやらせましたよね!?いい加減バレそうなんですから!」

「…昨日、香霖堂で例の骨ガムってゆうのを手に入れたんですが…。」

「馬鹿にしてますか!?っていうか馬鹿にしてますよね?」

「椛…ダメ?」

「ここで“喜んで”なんて言うとお思いですか?」

「椛なら或いは…。」

ああ、そっぽを向いてしまった。

「分かりました…はぁ、いってらっしゃい。」

「分かればいいんです。いってきま…違うでしょ!」

「ちっ。」

「ホントいい性格してますね。そんなんだから最近、案山子念報に天狗の購読数で負けるんですよ。」

「ち、違うもん。総合的な購読数は私の勝ちですから…。ちがうもん…」

「な、泣くことないですよ…!?ええっと…ほら、有力者の人たちが読む天狗の新聞といえば『文々。新聞』ですし、たしか今回の天狗内での新聞コンテストも前回より順位が上がってますし!」

「…巡回…。」

「わかりました!分かりましたよ!いいですか、今回だけですからね!」

やっぱりちょろいな椛、将来的に悪い男に捕まりそうです。

「じゃあついでに何か面白そうなことが起きてないか見てくれませんか千里眼。」

「…嘘泣きですよね?さっきの…。」

あ、やばい耳と尻尾が逆だっている。あと少しで本当に切れる。

「良いじゃないですか、私の新聞で色んな人達が幸せになるんです。」

「文様?」

あれー?すんごい笑顔…切れちゃった?

「その幸せのための新聞がどうして博麗の巫女が人里の甘味処の支払いを踏み倒した話なんですか?」

「…あややや…。」

「その前は普通の魔法使いのうふふ笑いの黒歴史、さらに前は紅魔館のメイド長のPAD疑惑。」

「……あや…や…。」

「こんな不幸の記事を作るぐらいなら大人しく巡回してください!」

「で…でも、明日発刊しなきゃ…。」

「知りません。仕事なんですから。」

「…椛?」

「……。」

「椛さん?」

「………。」

「…すみませんでした。でもあと一ページ分の記事を書かなきゃいけないんです。」

「…見返りは…?」

なんだか逞しくなってきましたね椛。

「ビーフジャーキー?」

「つーん。」

それにしても自分で『つーん』なんて言うなんて可愛い。

「…人里の甘味処。」

「…いくつですか?」

うわ、暗に複数個要求してきましたよ、この娘。

「…2?」

「………。」

「…3…、4?」

「文さん、ここは私に任せていってください。」

「任せましたよ、椛!」

愛用の手帳とカメラを首に引っさげて、まずは情報収集として人里へ!

 

 

ふむふむ、昨日はアリスさんが人形劇をし、レミリアと接触…パンチが薄いですね。

次、…一番近い永遠亭。

 

「こんにちはー、いつもニコニコあなたの隣に這い寄る天狗、射命丸文です。」

「帰りなさい。」

酷い…、外の世界で大人気の挨拶だと言われた(香霖堂の店主に)から試しに言ってみたのに。 

「はぁ、いいわ。上がりなさい…。」

「流石は永琳さん!早速ですが取材にご協力を…。」

「ただし、今度実験に協力してもらうわよ?」

「あややや!?」

 

…うん、実験が行われる“今度”をできる限り引き伸ばそう…私が死ぬまで…アレ、魔理沙っぽい?

取材結果は芳しくない結果、藤原妹紅と蓬莱山輝夜が記念すべき2500回目の殺し合いをした。レミリアが遊びに来た。うーん、後者はともかく前者はなんとか想像と希望をふんだんに盛り込めば記事に出来そうですね。

まぁ次、博麗神社――は、確か人がいないんでしたね…あのスキマがどっかに連れて行って。どうしたものでしょうか、下手に時間のかかる場所はいけないですし…。

「よお、どうしたんだ?空で胡座なんかかいて。」

「あや!魔理沙さん、どうも息災のご様子で…。」

「あっはっは、相変わらずお前も胡散臭いやつだよな。所で――燃やしていいか?」

「ちょ!?ミニ八卦炉を取り出さないでくださいよ!?私が何をしたって言うんですか!?」

「自分の胸に手を当ててみろ!」

「そんな…、私が魔理沙さんより胸が大きいからって…。」

「よし!燃やす。絶対燃やす。」

「あややや!待ってくださいってば。こんな善良な一妖怪を捕まえてどうしようって言うんですか?」

「安心しろ。捕まえずに炭焼きにする。くらえ!恋符「マスタースパーク」」

「た、タンマ!本当に待って!」

本当に撃ってきた!?

「どうしたんですか!?まさか…この前、魔理沙さんのパンチラ写真を人里の男衆に売ったのがバレましたか!?」

普段はドロワーズの魔理沙さんが洗濯に出したとかで珍しくパンツを履いていた時の写真、あれはいい値段で売れました。

「はっはっはっ、更に撃つ要素が増えたぜ。」

「あ、違いましたか…。ちなみに霧雨商店の店長さんは五枚ほど買っていかれました。」

「あんのクソ親父~!恋心「ダブルスパーク」」

「あっ、ヤバ!連写「ラピッドショット」」

一部しか消せませんがそれで十分。

「ちっ、抜け出しやがったか…。」

「それで、何なんですか一体?」

「お前はホンっとに覚えてないのな、私の記事書いたくせに。」

「あー、そんな事もありましたね…。」

「で?どういうつもりだ?」

「いやぁ~、ネタがなかったのでストックを投下しただけですよ?」

「…あー、もういいや…ヤル気がガクッと下がったぜ。」

そうそう、平和が一番です。

「所でなにかネタはありませんか?」

「…やっぱりお前等天狗は燃やしちまうのが一番いいと思うんだ。」

「ふむふむ、『霧雨魔理沙、天狗にテロ宣言』…と」

「おいばかやめろ。」

「で、ネタはありませんか?」

「うう、話しかけなきゃよかった…。特に天狗が喜びそうなネタはないぜ?」

「ではでは、どこに行くおつもりだったんですか?」

「紅魔館まで本を借りに…!お前絶対についてくるなよ!?お前がパッド疑惑なんて記事書いてから咲夜がすごいんだからな!」

「あややぁ…、流石にそれは突撃するのが怖いですね…。少しレミリアに話を聞きたかったのですがまた今度にします。それでは…。」

 

ま、レミリアだったら居場所は紅魔館ですし、会おうと思えばいつでも会えるので何もナイフの雨の中に突撃しなくてもいいですね!

「記事は永遠亭のお二人と先ほどのテロ宣言でいきましょう。」

 

 

 




ちなみに作者が一番好きなのはレミリアでなく射命丸です。
今回書いたのは、ここまであちこちで歩いて射命丸の取材センサーに引っかかりそうだなぁというのと、キャラ同士を予定よりも早く動かしすぎて一日分余ったからです。
偽物吸血鬼のお嬢様において、射命丸は人形と絡ませますが最終日あたりになります。
むしろ最終日でないとバットエンド直行です。
…バットエンド…書いても最終話書いてから閑話扱いですかね。作者は基本ハッピーエンドが好きなので。
補足:椛=もみじモミモミ、設定が不明なので二次も色々書かれていますがこの作品では上司と部下というよりも先輩と後輩です。
   普通の魔法使いの高笑いの過去=旧作での高笑い、きゃはは
   いつもニコニコあなたの隣に這い寄る=あざといけどそれもまた好きです
   連写「ラピッドショット」=あの技で弾幕が消せるかはわかりませんがこの作品だと消せることに
   テロ宣言=このあと地味に魔理沙がピンチに…本編には関係ないので書きませんが?

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