まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ 作:ワッタ~軍曹
不定期投稿ですが、週一投稿を目安に頑張りたいです。
目を覚ますと適度に背伸びをしながら時計を見た。時刻は午前8時を過ぎていた。9時間近くも寝ていたのか。健康的で何よりだな。
ところで何故、私は自分の寝ていたベッドを第三者視点で見ているのだ?ベッドにもう一人の自分が居ないから幽体離脱ではなさそうだが。あぁそうか、寝るときにベッドに付いているベルトをしていなかったから部屋の中でふわふわ浮いていたのか。ふと、隣のベッドを見てみるとスレンダーが白目を剥いて気絶していた。幽霊とでも見間違えたのか?失礼な奴だ。
UC.0079.9.17 AM08:13 運命の日まであと一日
そう考えるとやはりソワソワとしてきた。
私の手で歴史を変える。そのまんまアニメの世界に落っこちてきた訳ではないが、今は確実にジーンとして生きている。原作知識の約8割は役に立たないが、やるしかない。とは言っても今日一日は(ゲリラが来なければ)何もする事はない。何をすればいいのだろうか?意識すればする程、時間という物は遅く感じる。
グゥー
……腹が減った。とりあえず飯を食いに行こう。もう少し寝ていたいが、ぐうたらな兵士だと思われたら査定に響くやもしれない。飯を食べに私は部屋を出ることにした。にしてもアイツ、まだ白目剥いていたぞ。
スイスイと食堂まで行き、渡された朝食はディストピア飯そのものだった。一瞬、絶望したがとりあえず食べる。うん、この黄色い棒はカ○リーメイトだね。しかもチーズ味だ。丸い錠剤は薄いラムネだし、チューブはイ○ゼリーそのものだ。味は前世を何となく思い出す程には美味しい。にしても量が多い。これはコックさん曰く
「MSのパイロットさん特製だぜ?たくさん食って勝ってもらわなきゃ困るからな!戦場で腹減ったなんて言わせねぇんだからな!」
らしい。え?もしかして今日の食事全部コレですか?!そりゃないよ!せめてこの前食ったハンバーグぐらい出して下さいよ!って言ったらすんごく睨まれました。スンマセン。
食堂を出ようとしたら、スレンダーに後で多目的室に来るように言われた。お礼参りじゃなさそうだが、はたして。
多目的室に着いて辺りを見回す。食堂とは違い、椅子とテーブルが丸い。観葉植物も置いてあって休憩にはピッタシだ。それより目を見張るのがそれなりに大きい窓だ。ここから外の景色がみえる。吸い寄せられるように窓に近付くと、無限に広がる暗闇とそこに輝く星達が居た。遠くの方に地球が見える。あぁ、やっぱり地球ってのは青くて丸いんだなぁ。ずーっと見ても見飽きない気色は10分ちょっとで終わりを告げた。スレンダーに呼び出されてそちらに行くと、スレンダーとデニム曹長が居た。おぉ、あのデニム曹長だ。身長は自分より少し小さいが、横っ腹は一回り大きい。とりあえず三人とも席に着く。
「急な呼び出しで悪いな、ジーン。」
「いえ、大丈夫です」
「明日の事で詳しい段取りをと思って集まってもらった。そこまで時間は取らせないから聞いて欲しい」
こんな所でミーティングかいな曹長さん。一応ミーティングルームがあるから、そっちの方がいいんじゃないの?万が一スパイが居たら大変やし。まぁ、とりあえず話を聞こう。
曹長が話したのは侵入ルートの再確認や役割分担などだったが、ここで話す意味はあったのだろうか?20分もしないで終わってしまって少し拍子抜けした。話が終わろうかと思ったら曹長が
「明日の事はこれぐらいにして、少し個人的な話がしたい。予定とか大丈夫か?」
「いえ、特には」
「私も同じく」
「じゃあ、少しだけ話をしよう」
もしかしたらこれが本題かもしれない。多目的室に集まったのも何となく理由が分かった。
「ジーン、お前最近になってすこし丸くなってきたんじゃないか?」
「えっ!?」
ヤバい自分の話題かよ
「出発直後は野心燃えたぎっていた感じがしたが、最近になって真面目になってきたよな?」
「確かに様子が変わりましたよね」
スレンダーも追い討ちをかけてくる
「別に悪い事ではないぞ?野心のせいで偵察任務がおじゃんになったら元も子もないからな」
転生してこなきゃ命令違反してましたよこの人
「何か心変わりした事でもあったのか?」
転生してきました~なんて言える訳ない
めちゃくちゃこの場から逃げたしたい。
「やはり少佐の言葉がきっかけですかね……」
「うーむ、やっぱりあれか……」
なんですか?軍法会議か何かですか?
「いやぁ、時間取って悪かったね。また明日会おう」
……身構えてたが、どうやらこれで終わりらしい。え?もしかして私スパイ容疑掛かってます?ヤバくない??本当に軍法会議に掛けられるパターン???イヤワタシジーンホントアルヨ?
まさか一時間もしないで開放されるとは思わなくて何するか全く決めていない。とりあえずもう少しだけ外の景色でもみようかな。いやはや、本当に自分は宇宙に居るんだなぁと感心する。感慨深いなぁ。
多目的室に備え付けてある自販機でジュースを飲んでのんびり過ごしていたらもうお昼が近い。本当に宇宙から見る星空は見てて飽きない。名残惜しく部屋を出て食堂に向かう。朝食と同じメニューと量が出される。モグモグ食べているとコックがこっちを睨んでた。いや、文句はもう言いませんって。言わないから。
食堂を出た私はふと思う。「目立たないようにしなければ、もしかして危ういのでは?」と。実際色んな人に様子が変わったと言われる。もし転生したのがシャアならまだ変人止まりで済むが、ジーンの場合はスパイと思われてもおかしくない。身の振り方を間違えないようにしなければ。でも生き延びたいからシミュレーションルームに行って特訓する。こればかりはしょうがない。誰も居ない事を確認してシミュレータを使う。
とりあえず対ガンダム戦を予想して地上戦一対一でシミュレーションしてみる。相手ザクの見た目を白くして動きや装甲値を単純に5倍にしてみる。下手したら5倍以上だが。
とりあえず一戦やってみたが、流石に移動力5倍はやり過ぎた。ザクⅡの走行速度は確か100㎞/hだったはず。その5倍となるとガンダムを通り越してアレックスの速度になる。対アレックス戦を想定してるならあの設定でもいいのだが、あんな化物MSと戦う事なんて99割無いぜHAHAHA
とりあえず移動力は2倍に押さえて装甲値はそのまま。これで再戦してみる。
先ほどは10秒掛からずにやられていたのが、なんということでしょう。一分に変わっただけではありませんか。装甲値がザクの5倍あるのでザクマシンガンはおろか、ヒートホークでさえも効きません。連邦軍はなんていうMSを作ってしまったのでしょうか?(シミュレーションだけど)
とにかく黙っていればガンダムと戦闘になることは無い。大人しくしていればモーマンタイだ。気づくと出撃まで12時間を切ってた。今のうちに仮眠を取ろう。そうして自分の部屋に帰り、ベッドに横たわるとだんだんと眠くなってきていつの間にか寝ていた。
……
………
…………
うーん……ガンダム……
ビーム受けたら即死……
サーベルも斬られて即死……
後ろにキャノンもタンクも要る……
やばない?……
積みやない?……
……
ムリゲーじゃない?……
…………
むにゃむにゃ……
今何時?
……20時か。
20時!?ガバッ
やべぇ!あと6時間で出撃やん!あのまま寝てたらあと4時間は寝ていたわ。ぼちぼちと食堂に向かいディストピア飯を貰いに行った。
「ないよ」
へ?
「なんだ?胃袋に飯詰め込んで吐きたいのか?」
あぁ、そういうことか。偵察任務だけど万が一戦闘になった時に、宇宙空間でブンブンMSを動かしたら確かに吐きそう。ヘルメットの中が地獄絵図になる事は容易に想像がつく。朝と昼の量が多かったのはこれが理由なのかな?にしても食堂に行って言われた一言目がアレである。もう少し気を使って欲しいもんだ。
仕方ないのでまた多目的室にいってジュースを飲みながら外を見る。窓の端にサイド7らしきコロニーが見えてきた。あそこに行くのかぁ。しかし、地球が朝見たときよりも少し小さくなった気がする。サイド7って以外と遠いのかな?ホント、こんなところにコロニー作って住んじゃう宇宙世紀の人々には頭が上がりませんわ。
いやぁ、2時間も潰せた。やはり宇宙の神秘や人類の叡智には見とれますわぁ……なんか色んな人に変な目で見られていた気がするけど気にしない。うん、こういうのは気にしたら負けだ。
通路をスイスイと移動日してトレーニングルームへ行く。ジーン(転生)さんがアップを始めました。ランニングやダンベル上げなど疲れない程度に汗をかいてシャワーを浴び、MSハンガーへと向かう。
出撃まであと2時間だ。
いよいよ機動戦士ガンダムの第1話に突入していきます。ジーンは生き残る事が出来るか?
追記 評価の必要コメント数を下げました。
誤字の訂正をしました。